AET 音質 HHS/ac/EVD SCR/ac/EVD SIN/ac/EVO Evidence 音質 評価 比較テスト

お客様からの注目度が高く、逸品館で最も売れているAETから電源ケーブルの新製品が発売されました。新型は数割値段がアップしているため、現在特価で販売中のモデルチェンジ前の上級モデルとの価格差が小さくなっています。そこで新型か?あるいは特価の従来モデルか?購入するならどちらがよいのかその目的も兼ねた音質テストを行いました。

2008年発売の“EVO”の音質テストはこちら

テストはAIRBOW の電源ケーブル“KDK-OFC”を基準に情報量を「高音、中音、低音」の3つの帯域に分け、質感を「バランス、細やかさ、透明度、明瞭度、エネルギー感、広がり感、色彩感」の7つに分けて評価しました。ケーブルは、SIN/EVOのみ1.2mで残りはすべて1.8mの長さを使用しました。

採点は、付属品を「5」最大を「10」にして数値化しています。

情報量を「高音、中音、低音」の3つの帯域に分け、質感を「広がり感、エネルギー感、バランス」で評価、「総合」を加えた7つポイントで比較しました。

この評価はあくまでも上記の条件による「相対感覚」によるもので「絶対的」なものではありません。また、料理の味を「点数」で評価できないように、ケーブルの音質も基本的には数値化できるものではありません。使用機器や環境によってケーブルによる音質変化が異なるなどの理由で、このインプレッションの結果と実際にお使いになられた場合の音質が一致しないことがあります。グラフに加え、各ケーブルの音質インプレッションなども加え、ケーブルご検討の参考にして頂ければ幸いです。

テスト環境

スピーカー

 VIENNA ACOUSTICS T3G(Beethove Concert Grand)

アンプ

 AIRBOW PM15S2/Master

PC

 GATEWAY 7430JP

DAC

 AIRBOW D-07/Ultimate

音質はAIRBOW D-07/Ultimateの電源ケーブルを交換して比較しています。

お客様から「AIRBOWの音決めにはどのような電源ケーブルを使っているか?」という問い合わせを時々受けます。AIRBOWの性能を最大に発揮させるため、開発で使っているに違いない特別によい音の電源ケーブルを知りたくての問い合わせなのだと思います。

しかし、AIRBOWの開発では、低価格製品は「メーカー付属品の電源ケーブル」、高級品でも「AIRBOWの最も廉価な電源ケーブルKDK-OFC」しか使いません。電源を取るコンセントも、3号館で「最も音の悪いコンセント」を使っています。その理由は「標準」もしくは「やや劣悪」な条件で「納得できる音」が出せなければ、お客様の手元で「私が意図する音」がでない可能性が高くなるからです。

もちろん最終的には、高性能な電源ケーブルでも音質をチェックしますが、AIRBOW製品のモットーである「誰がどのように使っても心地よい音」を実現するため、音決めは出来るだけ「普通」の環境で行うというのを原則としています。

最高の良い音を出さずに「音質チェックが出来るのか?」、その疑問はもっともだと思います。しかし、経験を積めば音質とは関わらず、比較テストによって本質的な良い音を明確に探せるようになります。

テスト環境での唯一の例外はスピーカーです。音の出口になるスピーカーは、広帯域で解像度が高く癖の少ない、いわゆる「モニター的な性能」を強く求めています。スピーカーが悪いとさすがに音の判断が甘くならざるを得ないからです。

「スピーカー」を除き、特殊なものは使わずに決める音の方が「本質をよりハッキリと捉えたストレスなく自然に音楽を聴ける音に仕上がる」と最近は思っています。

電源は標準的な音質の電源ディストリビューターから取りました。

コンセントの形状が2Pのため、3Pに変換する目的でAIRBOW 4口電源タップ ABPT-4.18Vを使いました。

 AIRBOW ABPT-4.18V

AETの電源ケーブルはすべてプラグが3Pなので、チェックを行う前に2P壁コンセントに直接繋いでいたKDK-OFCを外し、中間にAIRBOW ABPT-4.18Vを繋ぎました。この電源タップの音が良いことは、開発者である私が一番よく知っているはずですが、壁コンセントにABPT-4.18Vを繋いだことで数割以上音が良くなり、電源タップを使うときと使わないときの音質差が思っていた以上に大きかったことにちょっと驚きました。

音源はノラ・ジョーンズのデビューアルバム“Come Away With Me”の3曲目を聞き比べました。

各ケーブルの特徴とテスト結果

AIRBOW CABLE

KDK-OFC

AIRBOWケーブル類NL4FMPR/CR

●導体:高純度無酸素銅

●ケーブル構造:キャブタイヤ

●シールド:なし

●導体断面積:2.0平方ミリメートル
●価格

\4,900(完成品1.8m、税込)

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音質インプレッション

アナログ的な温かみのある音。高域はほんの少しロールオフしているが、基本的にはメリハリある明快な音調だ。

低音は量感豊かでウッドベースは太いが、少し膨らみがちだ。ピアノやドラムなどの伴奏楽器の響きはリッチで太い音だが、音のエッジがややぼんやりとしている。カリカリのHiFiサウンドと対極にある、自然で雰囲気のある心地よいサウンド。

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AET CABLE

HHS/AC/EVD SCR/AC/EVD

HHS AC EVD

HHS AC EVD

●導体:プレミアムバージン無酸素銅(100%国産)

●導体構造:高精度ロープ縒り

●絶縁材:高純度FEP(非カドミウム系)

●シールド:高純度銅フィルム・リボン

●端末:PSE018HG/PSE320HG(純金コーティング)

●価格

\21,000(完成品1.2m、税別)

\24,000(完成品1.8m、税別)

\30,000(完成品3.0m、税別)

\4,800/m(切り売り、税別)

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●導体:プレミアムバージン無酸素銅(100%国産)

●導体構造:4芯平行配置

●絶縁材:高純度FEP(非カドミウム系)

●シールド:アモルファス合金・リボン

●端末:PSE018GR/PSE320GR(純ロジウムコーティング)

●価格

\102,000(完成品1.2m、税別)

\108,000(完成品1.8m、税別)

\132,000(完成品3.0m、税別)

\24,000/m(切り売り、税別)

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音質インプレッション

重心が下がり、低音に重さと深みが出る。

ピアノの打撃感は芯が強く、エコーの濁りが少なくなる。

エネルギー感はあまり増加しない、意外なことに音がやや小さくなったように感じられた。

誇張感の非常に少ない癖のない音で、静けさが強調される感じがあるが、すべての項目で音が数割は確実に良くなっているのが感じ取れる。

楽器の音色の透明感が増し、ニュアンスもより細かく表現が深くなる。

いぶし銀のような音なので刹那的な派手さを求める初心者や音の良さを負うマニアにはあまり向かないかも知れない。

量よりも質が上がる感じの変化が感じられた。

音質インプレッション

HHS/EVDと音質の傾向は非常によく似ている。

ピアノの打鍵感は明快だがデリケートで表現が深い。

エネルギー感はかなり増加する。特に低音の力感や量感は飛躍的に良くなり、全体的なボリューム感が確実に豊かになる。

音質は緻密さを増し、楽器の音のコントロールがプロっぽく、知的で繊細に感じられるようになる。

ボーカルの子音と楽器のアタックの明瞭度が大きく増加し、発音や楽器の細やかなコントロールが明確に聴き取れる。

音のタイミングやバランスも向上し、演奏者とリスナーの距離が近付くのが分かる。

質を伴う量の変化が感じられる。音調はAETの高級モデルにふさわしく、とても静かだ。スタジオ演奏を聴いているような、深みがあり繊細で聴き応えのある音が出る。

SIN/AC/EVO Evidence

SIN AC

Evidence AC

●導体:プレミアムバージン無酸素銅(100%国産)

●導体構造:4芯平行配置

●絶縁材:高純度PFA(非カドミウム系)

●シールド:アモルファス合金・リボン

●端末:PSE018GR/PSE320GR(純ロジウムコーティング)

●価格

\150,000(完成品1.2m、税別)

\240,000(完成品1.8m、税別)

\360,000(完成品3.0m、税別)

\60,000/m(切り売り、税別)

この製品の生産は終了いたしました

●導体:プレミアムバージン無酸素銅(100%国産)

●導体構造:3層円筒(各層反転)

●絶縁材:高純度PFA(非カドミウム系)

●シールド:アモルファス合金・リボン

●端末:PSE018GR/PSE320GR(純ロジウムコーティング)

●価格

\300,000(完成品1.2m、税別)

\360,000(完成品1.8m、税別)

\480,000(完成品3.0m、税別)

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音質インプレッション

SCR/EVDに比べて音場の見通しや透明感が向上し、音場を濁していた「僅かな靄」まで完全に消える。

透明感の向上によりすべての音の明瞭度が増加、一段とクリアでクッキリとした音になるが、アタックの立ち上がり速度や高域のスピード感は、SCR/EVDよりも穏やかなイメージだ。

ピアノの響きが透明で美しく、残響も長い。ボーカルは女性らしい優しさと艶が出て、非常に艶めかしい。

ギターも透明な響きが美しく、残響もそれ以上に美しい。ドラムは切れ味良くパワフルでブラシワークもよくわかるが、スパンと出るのではなく溜ながら音がドンと出る感じだ。

オーディオを聞いているという電気的なストレスが大きく低減し、音楽に自然に引き込まれる。SCR/EVDとの比較では、量よりも質的な改善が大きい。特にSIN/EVOは情緒的な方向での伸び代が著しく、SCR/EVDをトランジスターアンプにたとえるならば、真空管アンプのような音質に仕上げられている。

艶やかで透明、力強く甘美、相反する要素が見事に調和し美しい音楽を奏でてくれる。SIN/EVOは官能的なケーブルだ。

音質インプレッション

EvidenceはSIN/EVOの上位モデルとして作られただけあって、音質の傾向や表現力は見事に一致する。

すべての項目がSIN/EVOよりも数割以上アップするが、価格差を考えるとそのアップ率は少し小さいように思う(注釈有り)。

それでも空気の粒子が一段と細かくなり(音の粒子ではなく、空気の粒子が細かくなったように感じられる)、ミュージシャンとリスナーを隔てる障壁(バリアー)は完全に消える。

スピーカーが楽器になったような、スピーカーが演奏者になったような、圧倒的な情報量とまったくストレスを感じない自然さは、さすがにAETのフラッグシップの風格を感じさせるものだ。

音質評価のあらゆる方向性に文句の付けようがない向上が感じられる。自然で深く一切のストレスが感じられない音。このケーブルはもはやアクセサリーではない。一つの完成品として、あるいは単独のコンポーネントとして成り立っている。

帯域バランス KDK-OFC HHS/EVD SCR/EVD SIN/EVO Evidence
高音 5 7 10 9 15
中音 5 7 10 12 15
低音 5 7 10 9 15

質感 KDK-OFC HHS/EVD SCR/EVD SIN/EVO Evidence
バランス 5 7 10 12 15
細かさ 5 7 11 11 15
透明感 5 7 10 11 15
明瞭度 5 7 11 9 15
エネルギー 5 7 10 10 15
広がり 5 7 10 12 15
色彩感 5 7 10 12 15

試聴後感想

今回のテストでは音源に「PC」、接続に「USB」を使ったため、通常のテストよりも音質差がかなり小さくなってしまったように思います。そこで後日、AIRBOW SA8004/Studioを使った追加テストを行い、データーとコメントを補正しました。

2009年秋に発売されたEvidenceを皮切りにスタートしたAETの新しいサウンドは、従来の音を維持しながらより深い方向への探求が感じられます。一音の深さ、音が消えて行く時の静けさ、そういったデリケートな部分での完成度が一段と向上しています。特にSCR/EVDは価格が高くなりましたが、音質では上級モデルのSIN/EVOを超えるほどの改善が実現し、実質的には「値下げ」と行って差し支えない価格の上昇を補ってあまりあるほど大きな改善が確認できました。

音決めに際し、ある意味で無限の「カット&トライ」が繰り返せるAIRBOWのコンポーネントとは違い、ケーブルは工場で量産するため音質テストに必要な数mの最小単位での試作ができません。そのため一回の音質テストでも最低で数百メータ単位のケーブルを試作せねばならず、そのコストは安くても数十万円、高級モデルになれば数百万円もの多額になります。そのためケーブルの音質は、「机上の設計」でほとんど決まります。

興味深いのは、構造やシールド材がまったく違うHHS/AC/EVDとSCR/AC/EVO、構造とシールド材は同じで絶縁体が違うSCR/EVDとSIN/EVOの音質の傾向に一切の揺らぎのないことです。試作を繰り返さなくても「数回の試作で音をピンポイントに仕上げられる音決めの確かさ」こそAETが現在非常に高い技術力を有していることの証だと思います。

私がこれまでにテストしてきたケーブルメーカーで、AETと同じようなシリーズを等して安定した音質を実現できる高い技術力が感じられるのは、WireworldとAudioquestの2社にしか過ぎません。他のメーカーの製品(特に国内ケーブルメーカー)は、モデルチェンジで著しく音の傾向が変わってしまったり、価格と性能のスケールが一定でなかったりと今一歩信頼性に乏しいように思います。だからこそ「面白い」という考え方もあるかも知れませんが、高価な代価を払って失敗作を掴まされたらたまったものではありません。

そのため逸品館ではお客様のリスクを考えて、主要なAET製品には「60日間の返品保証」をお付けしています。万一失敗した!と思っても60日以内の返品なら原則代金を全額お返しする。こんな保証を付けているアクセサリーメーカー(ショップ)は他にありません。それこそ逸品館がAETの音質に寄せる信頼の証なのです。

2010年9月 清原 裕介

 

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