来春早々に発売が予定されている、audioproの新製品Black V3 Seriesの試聴テストを行った。サラウンドに対応し、手の届きやすい価格で5.1chが揃えられるこのクラスのスピーカーのテストには、AVアンプとの組合せが適切かも知れないが、大画面テレビと一緒にステレオで使われる事も少なくないとの考えから、今回はAIRBOW SA7003/PM7003/Liveとの組み合わせで試聴を行った。
電源ケーブルは、AIRBOW
KDK-OFC 、 インターコネクトには新製品の
MSU-Mighty 、 スピーカーケーブルにはHCR-ACF/EVOを使っている。
AIRBOW SA7003/Live
AIRBOW PM7003/Live

Black
Star
Whitney
Houston "The Bodyguard" original sound track 07822 18699 2 (CD)
かなり古いソフトだが、最近復活を遂げたホイットニー・ヒューストンの最新アルバムを聴いていると、全盛期だった頃のホイットニーが聞きたくなって、このソフトを引っ張り出してきた。
無音からアカペラのボーカルが入った瞬間「やられた!」と思うくらい、素晴らしく音が良い。audioproの日本デビュー作IMAGE40を聞いた当初の衝撃が蘇ってきた。
適当に置いただけにもかかわらず、スピーカーに一切音がまとわりつかない。空間からホイットニーの声が気味悪いほどのリアルさで聞こえてくる。唇の動きが読み取れそうなほど細やかで明快。クリアなのに暖かく、明瞭なのに滑らか。
伴奏が入ると、さすがに重低音の部分は物足りなく感じるが、弾けるようなリズム感が抜群で音楽がぐんぐん迫ってくる。ホイットニーの声にも黒人女性ボーカル特有の張りが感じられる。最盛期のホイットニーのパワーは、やはりすごい。
IMAGE44と比較すると、低音の量感は僅かに減ったかも知れないが、IMAGE44よりも軽快で乾いた低音が音楽を躍動させる。高域の繊細さはIMAGE44譲りだが、それよりも音抜けと切れ味がよく、開放的な明るいサウンドに仕上がっている。サウンドがテンポ良く、ぐんぐんと迫ってくる。体に響く楽しいサウンドだ!
Nora
Jones “CAME AWAY WIHE ME” 7243 5 332088 2 0 (CD)
さすがにT3Gなどの高級機と比較すると、音の粒子が粗く情報量がやや希薄に感じられてしまう。しかし、各楽器の音の特徴やそれぞれのパートの分離感は抜群だ。
ノラの声はすこし乾いて聞こえるが、女性らしい色っぽさは充分に伝わってくる。ピアノは美しく響き、ベースの音程やリズムも明快。低音がすこし足りないせいか?全体にやや軽い感じがするが、楽器のアタックが明快に出るのが心地よい。
明瞭さ明快さは、このクラスで他に類がないほどレベルが高く、とても分かりやすく明るいいサウンドだ。これだけの中高域を持っているなら、良質なサブウーファーを使えば完全な音になるはずだ。ノラの声だけではなく、伴奏楽器の音色の鮮やかさ、響きやプレゼンスの素晴らしさが強く印象に残った。
交響曲“シェーラザード” PHILIPS 470 618-2 (SACD)
空気を揺るがすような重低音までは出ないが、交響曲を楽しむのに必要な低音は充分出る。
CDよりも音の木目が細かくなり、情報の薄さがほとんど気にならなくなる。
バイオリンの音色、ハープの音色、管楽器、弦楽器、それぞれの音が濁らずに見事に分離する。楽譜に書かれた音符が見えるほど各パートの音が綺麗に分離し、美しいハーモニーを形作る。この価格でここまで交響曲を鳴らせるスピーカーは、そうざらにはないはずだ。
Black
Starの長所は「音が澄み切っている」ことと「空間が濁らない」ことだ。それぞれの楽器の音色を明確に鳴らし分ける実力と定位(音の広がり)の素晴らしさが、交響曲をホールで聴いているような素晴らしいイメージで鳴らす。
今回は、価格的に相応なCD/AMPの組合せを選んだが、もっと上級の機器で鳴らせば違う魅力を見つけられるだろう。Black
Starのポテンシャルは、相当に高い。

Black
Ruby

ホイットニーの声が、肉声の様に自然だ。スピーカーに近づいても、その存在が感じられないくらい、ストレスなくふわっと音が広がる。Starも素晴らしかったが、Rubyではウーファーが一つになり、キャビネットが小さくなった効果で、さらにボーカルの透明感が向上した。
このサイズで密閉方式なら、本来低音はあまり出ないはずなのだが、それが足りないという感じがせず、良くできたフルレンジスピーカーのような、バランスの良い暖かいサウンドで音楽を楽しく聴ける。
兄弟モデルのAIRBOW
IMAGE11/KAI2と比較すると、切れ味の良さではIMAGE11/KAI2がBlack
Rubyを凌ぐ、逆に低音の量感ではBlack RubyがIMAGE11/KAI2を凌いだ。記憶にあるIMAGE12との比較では、低音はチョボチョボだが中音〜高音にかけての反応の良さでRubyが上回る。中高音の切れ味は、初代のIMAGE11に戻った感じだ。
RubyはIMAGE11とIMAGE12の長所だけを引き継いだ、完成度の高いスピーカーだ。

Black
Starでも高いと感じた透明感(空間の濁りの少なさ)がRubyでは一段と増す。
アンプが温まったせいか?情報量の希薄さや音の粗さがほとんど気にならなくなる。
Wウーファーによる、あるいは大型のエンクロージャによる「付帯音」が少なくなって、ボーカルの質感、伴奏楽器の質感は、RubyがStarを超える。
ウーファーが一つになり、こんなに小型になったのに低音に意外なほど差を感じない。Starとそれほど変わらない印象を受ける。サブウーファーがなくても、これなら充分に音楽を楽しめだろう。
楽器のアタックがほんの少し強調されたように聞こえたStarにくらべてRubyは、すごく素直な音だ。RubyはIMAGE11/12からさらに値上がりしているが、音質の向上はそれを補って余りある。価格的に非常に近いAIRBOW
IMAGE11/KAI2とは、良いライバルになりそうだ。

やはり低音がすごい。とてもこのサイズのスピーカーから出ているとは思えないほど、豊かで厚みさえ感じる低音が出る。
試聴はStarの上にRubyを乗せて行ったのだが、何度かRubyを鳴らしていることを確認しないとStarと切り替えた確信が持てなかったほどだ。
このソフトでも、Starよりウーファーが一つ少なくキャビネットが小さくなった効果で音の濁りや余計な響きが減少する。音が消えるところで、きちんと音が消える感じ。音の立ち上がりだけでなく、音が消える瞬間の表現がとてもリアルだ。「静寂感(休符の存在感や、音がないところにも音があるような気配がする感じ)」はBubyがStarを明らかに上回る。
サブウーファーを使わずに、この小さなスピーカーで交響曲が充分に楽しめるのは、IMAGE11/KAI2同様「音の精度が非常に高く」人間の耳が「勝手に音を作ってしまう」からだろう。
相当な音楽通をも唸らすことができるほど、自然で無理のない音が出る。このサイズ、この価格では、他メーカー品にライバルはいないと断言できるほど、素晴らしい小型スピーカーに仕上がっている。

Black
Diamond V3

StarやRubyに比べ、ボーカルの定位がやや不明瞭になる。
スピーカーのキャビネットとユニットが大きくなった影響でボーカルと低音が膨らみ、声に付帯音がついて口が大きくなり、ホイットニーがすこし太ったように感じられる。
低音は量感が大幅に増加するが、速度がやや遅くなる。音の出始めはそうでもないが、ユニットの静止が遅くなりラウドネスをかけたように中低音が膨らむが、意外に不愉快ではない。
ベースやドラムの量感が大きく増加するのは音楽的には明らかにプラスだが、全体的にリズムが緩くなるので緊張感が薄れてしまう。フレンドリーに音楽を聞いている雰囲気だ。しかし、これはこれで悪くない。
Starの切れ味良いサウンドを好むか、Diamond
V3のウォーミーなサウンドを好むかは、ハッキリ分かれるだろう。それぞれの音を楽器に例えるなら、バイオリンとチェロ。音色は似ているが、音調が違う。そういうイメージだ。

ボディーガードを聞いたのとまったく同じで、このソフトでもStarに比べDimanod
V3の音像は明らかに大きくなる。中低域がやや膨らみ気味でクローズアップされるイメージの鳴り方だ。ボーカルやピアノは切れ味の良いStarに魅力を感じたが、ベースは厚みのあるDiamond
V3が良い。
ウォーミーな世界の中で、音楽がフレンドリーで穏やかに繰り広げられる。Black
Starの目差すのがリアルなサウンドなら、Diamond V3はリラックスできるサウンドに仕上げられている。
中低音がやや多い傾向は小音量時に有利に働き、音量を上げられないならStarよりもDiamond
V3がバランス良く音楽を楽しませてくれるはずだ。
見かけは似ているが、実は違うツィーターのDiamond
V3は、高域の刺激感や子音の強さがStarより穏やかで、ソフトの癖を不要に暴かない。音質を追求するのではなく、音楽をまとまりよく聞かせる感じだ。
Starは切れ味、V3はサスティン(溜)が魅力的だ。
しばらく聞いているとV3の緩やかな速度感に慣れてきて、ゆったりとした気分で音楽を聞いている自分に気付いた。ノラジョーンズの雰囲気には、Diamond
V3がより良くマッチした。

StarやRuby(特にRuby)で聞くシンフォニーは、ホールの空気がクールに澄み切っていた。Diamond
V3はそれよりも濁りが感じられ、暖かい雰囲気になる。
低音楽器の量感や圧力が増し、シンフォニーらしい自然な厚みが感じられるようになる。
第一楽章のピアニッシモからフォルテへの変化では、音量と同時に空間(音の広がり)のサイズも大きくなり、まるで生演奏を聴いているな雰囲気だ。スピーカーで音楽を聞いているストレスがない。
しかし、第二楽章のむせび泣くようなコンサートマスターの音は、StarやRubyで聞きたい。そのクールな音が、命を賭して訴えるような切ないテンションをよりリアルに表現するからだ。Diamond
V3では、バイオリンのフォーカスが甘くなり、訴えが客観的になって演奏のニュアンスが若干変わる。同じ楽曲を聴いていても、絶対助けなければならない!から、助けなくても大丈夫かな?くらいの違いが感じられる。しかしどちらを好むのか?やはり聞き手次第だろう。
Diamond
V3とStar/Rubyの差は、音質ではなく雰囲気としてより強く出てくるように感じられた。

Black
Pearl V3

ボーカルはソフトフォーカスだが優しさが感じられ、ホイットニーがすこし大人になった雰囲気で演奏が楽しめる。
全体的にまろやかでマイルドな印象はDiamond
V3と同じなのだが、低音の量感が少なくなった分、魅力も薄れている。これなら、圧倒的な切れ味と定位の良を持つRubyの方が小型スピーカーとして魅力的ではないだろうか。
Rubyの澄みきってどこまでも伸びてゆく高音の感じも私は、Pearl
v3よりも好きだ。
このサイズのウーファーを使うスピーカーとしては、ツィーターとウーファーの音の繋がりは決して悪くなく、充分に及第点を与えられるのだが、もう少しお金を足すだけで魅力溢れるQUAD
11L2が手に入る。そう思うと残念ながら、あまり魅力的に感じられなくなってしまう。

ボディーガードでも感じたが、ウーファーの大きい2Wayスピーカーとしては、音のバランスに優れている。ただ、やはり大きくなったことによる"付帯音"の増加や、それによる音の濁りは避けられない。当然のことながら、中低音はRubyより遥かに太く、ボーカルの肉付きも良い。
しかし、それは「悪い」というレベルではなく、こういうウォームでルーズな音を好む人も少なくないから、それをこのスピーカーの個性と考えればよいと思う。

交響曲では、Rubyと比較にならない量感と厚みを持つ低音にまず驚かされる。このサイズなのにStarを超えるほど豊かな低音が出る。
高域の切れ味は、僅かにDiamond
V3を超えStarに一歩近くなる。
ボディーガード、ノラジョーンズで感じた中域の膨らみや濁りが、シェーラザードではほとんど感じられないのが不思議だ。Diamond
V3でややテンポが遅く感じられた楽曲もPearl V3ではちょうど良い感じにまとまってくる。
とにかくPearl
V3で聞くシェーラザードの中域のエネルギー感や厚みは素晴らしい。ファゴットの音にも厚みがある。
Diamond
V3では、濁りがちになる第二楽章のコンサートマスターも、Pearl
V3ならかなり澄みきった音で聞ける。
ウーファーが一つ減らされたことで、高域の透明度が向上したのだ。
楽器の音が素直に再現され、バイオリンとビオラ、チェロとコントラバス、クラリネットとファゴット、サイズの違う同種の楽器がきちんと「違う音色」で聞き分けられる。簡単なようだが、これがなかなか難しいのだ。
Rubyで聞く箱庭のように美しく精緻なシェーラザードも素晴らしいが、Pearl
V3で聞く自然体の演奏もまた素晴らしく、このソフトでのRubyとPearl
V3の魅力は、甲乙付けがたかった。

Black
Ruby C

センタースピーカー Ruby
Cの実力を試すため、ノラジョーンズを試聴した。
最初に伝えておきたいのは、センタースピーカーにWウーファーを使うメリットは「左右対称の外観」を実現する以外には「まったくない」ということだ。
センタースピーカーは小さければ小さい方が定位が圧倒的に良く、大きくなれば定位が不明瞭になってしまう。そのため、大きすぎるセンタースピーカーや、天井や床近くにセンタースピーカーを置かなければならない不利な条件下ならば、センタースピーカーは「ない」方が逆に音が良くなっても不思議はない。サラウンドに関しては、スピーカーを増やせば増やすほど、音が良くなると考えられているが、それは大きな間違いだ。
Ruby
Cは、Wウーファーの弊害が少なくない。ツィーターとウーファーの繋がりも悪くないが、水平方向の指向性が強すぎて中央で聞く時と、左右方向から聞く時で明らかに音が変わってしまう。Ruby(もしくはIMAGE11/KAI2)を単独で使う方が遥かに音が良い。視覚的な問題をクリアしたい人以外には、Ruby
Cはお薦めしない。

B1.19 、 B2.29
B1.19/B1.29の2つのウーファーをRubyとの組合せで聞いてみた。
B1.19の音には指向性が感じられ、サブウーファーをスピーカーから離してしまうと、サブウーファーから低音が聞こえてくる違和感を覚えた。低音の広がりにも、すこし圧迫感を感じた。
B1.29に変えると指向性が穏やかになり、サブウーファーを離してもRubyから低音が出てくるよう感じられた。低音の自広がりの自然さもB1.19より優れており、B1.29の方が効果が大きく違和感が少ないという結果になった。
逸品館が進めているB2.27
MK2の良さには及ばないが、B1.29は充分に使えるサブウウーファーに仕上がっている。
価格差を考えても、B1.19よりB1.29を買った方が良いだろう。一番のお薦めが、B2.27MK2であることに代わりはないのだが。