Focal
1028Beとの組合せ
Focal1028BeはAzur
650には明らかにオーバースペックだが、ソフトによっては「えっ!」と驚く良い音が出た。
得意なジャンルは透明度が高い系のアコースティック音源のソースだ。バイオリンのソロや室内楽、ギターの弾き語り、ピアノの弾き語り、スローなジャズ、そういうあまり激しくないアコースティック系のソフトは実に上手く鳴る。
低音の量感はさほど多くないが適度。中音は滑らかで柔らかい。高音は透明感が高くやはり柔らかい。女性ボーカルはきめ細やかなシルキータッチで描かれる。バイオリンやギターなどの弦楽器は、倍音が透明で美しい。低音はやや遅く、膨らみがちでウーファーがきちんと動いていないイメージが強い。しかし、それが問題とならないソフトでは価格を信じられないほど良い音で1028Beが鳴る。
しかし、電気楽器系のソフトは良くない。低音が膨らみ、ベースラインが遅れて不明瞭になる。高音もジャリジャリとささくれた音になる。複数のPOPS系のソフトをかけてみたが、その傾向はほとんど変わらないのでソフトの録音の問題ではなく、低音の制動力・駆動力を求める音楽との相性が純粋に悪いようだ。
Vienna
Acoustics Beethoven Concert Grand
ウィーンアコースティック ベートーベン コンチェルト グランド(T3G)との組合せでは、意外なほど中低音に厚みが出る。
高音はやや曇りがちで伸びたりないのだが、T3Gの透明感と切れ味がそれを補って、鋭すぎないちょうど良い感じに高音が鳴る。中音はやはり滑らかでスィート。このセットで最も美味しいのは中音部で、特に女性ボーカルに上手くマッチする。1028Beでも感じたが全体に刺激が少ない音なので長時間聞いていても疲れることがない。
ベートーベン コンチェルト グランドをこのセットで上手く鳴らすためのポイントは、やや伸びたりない高域をどのように料理するかだ。CDとアンプを比べるとアンプがやや弱いようなので、アンプの電源ケーブルを良質なものに交換するとかなり音が良くなる可能性が高いと考え、電源ケーブルを付属品からAETのSCR/AC/EVDに交換してみた。低域の力感が大きくアップし、高音の伸びも良くなる。ボーカルの表情は比べものにならないくらい細やかになり、声のトーンも少し重心が下がる。訴えてくるボーカルの力は段違いで、聞き流せていたソフトに耳が奪われるようになる。音楽の温度感も向上する。その差は相当大きく「聞いていられる音」から「聞き逃せない音」へと華麗に変貌を遂げた。
Starling
Broadcast LS-3/5a
再び電源ケーブルを元に戻し、スピーカーをStarling
Broadcast の LS-3/5aに変えて試聴を続ける。
このスピーカーのと組合せでは、高域、低域共にレンジが伸びきっていない感じがある。しかし、それは決して悪い方向ではなく、厚みのある中域を殺さない良い方向のチューニングに聞こえる。
チェロやボーカルなどの中音の帯域は絶品。シルキーで柔らかく、あたかも真空管アンプでレコードを聞いているようにCDが鳴る。Starling LS-3/5Aのこういう鳴らし方も「あり」だと思う。しかし、個人的にはもっと濃い色艶や、明瞭感が欲しいと思った。
スピーカーが小さくなることでアンプへの負担が減少し、低音の遅れも緩和されるがそれでも低音は少し緩いから、このアンプはそもそもあまり低音は得意ではないのだろう。
組み合わせるスピーカーにかかわらずアンプの電源ケーブルを良質なものに変えることが、使いこなしのポイントとなりそうだ。