EAR 834 音質評価 

EAR V12 \480,000(税別) (製品のお求めはこちらからどうぞ

製品の概要

EAR 834は海外で発売されている834のメッキを省きブラック仕上げとすることで低価格を実現した日本市場向け専用モデルです。

入力は2本のECC83(12AX7)、ドライバー段は2本のECC85()出力管にはEL34が8本使用され、パラプッシュで50Wの最大出力を実現しています。もちろん出力トランスにはEARオリジナルの高音質スペシャル品が使われ、音質に手抜きはありません。

入力は、PH/CD/TUNE/AUX/AV/TAPEの6系統、出力はTAPE-OUTが一系統設けられています。入力感度は200mVと少し高めですが、ボリュームは小音量時の音量調整も難しくありません。

発熱は多く、無信号時の消費電力も320Wと真空管アンプとしても少し多めです。リモコンは付属しません。

形式 真空管式プリメインアンプ
入力数 LINE×6
出力数 TAPE OUT×1
使用真空管 ECC83×2、ECC85×2
EL34×8
最大出力(Ω) 50W(8/16Ω)
周波数特性 15Hz-40KHz
消費電力(無信号時) 320W(逸品館にて計測)
サイズ/重量 405×405×150(mm)/20kg
付属品 電源ケーブル

<明るい> - - - - * - - - - <暗い>

<柔らかい> - - - - * - - - - <硬い>

<総評>

834はパラビチーニの作品らしく、実に見事にチューニングされています。アンプ自体の音にもほとんど癖が感じられませんし、組み合わせるスピーカーによってその性質が大きく左右されることもありません。

834はEARのエントリーモデルという位置づけですが、その音には鬼才パラビチーニの40年以上の長いアンプ作りの経験と、本格的な録音現場の体験が生かされています。834の音にはほとんど癖らしい癖が感じられないのですが、それは達人が作ると真空管アンプ/トランジスターアンプという方式や使用する真空管の種類に関わらず「達人の作る音」になる証でもあります。つまり、834は正しい真空管アンプのお手本のような製品なのです。

外観は控え目な大人の雰囲気ですし、実際大人の音に仕上げられています。ややこじつけがましいかもしれませんが、834の音調には400年前にイギリスに移住したパラビチーニ家の出で立ちが感じられました。表面はイギリス人のように冷静で知的ですが、その血はイタリアの熱さを持っています。達人が作り上げた完璧な作品の一つ、それが834だと感じました。

音質テスト結果 PMC PB1i/Signatureと組み合わせて

PMC PB1i/Signature
\1,100,000(ペア・税別)

一音が出た瞬間に安心します。あらゆる音質バランスが適正で、音がすばらしく自然です。真空管アンプだとか、トランジスターアンプだとか、そういう先入観なしに安心して音楽が聴けるのはEARならではの良さでしょう。それぞれの楽器が「入る」タイミングやボーカルの発音(発声)に全く違和感がありません。アンプ作りの鬼才パラビチーニの作品らしく、完璧にチューニングされた音で音楽が楽しめます。

ボーカルは滑らかできめ細かく、表情はデリケートです。ベースは膨らまず、適切なボリュームがキチンと保たれます。ただし、ギターの音は少し優し過ぎる感じで、もう少しアタックに強さが欲しいと感じられました。それを除けば基本的に癖はほとんど感じられません。高域が繊細で透明、解像度が非常に高く、スタジオのプレイバック・モニターとしても使えるような端正で癖のない音でSeleneが聞けました。

少しクールな音調は時として分析的にも感じられますが、それは834ではなくPB1i/Signatureの持ち味でしょう。弾けて爆発し外に向かうのではなく、静かに内面に食い込んでくるような音ですが、それこそPMC PB1i/Signature性格そのものです。834はPMCを実にPMCらしく、真っ正直な音で鳴らしてくれました。

ほんの少し線が細いことを除けば、質感とエネルギーバランスは抜群に優れています。PMCらしく繊細で、超デリケートにバッハが鳴ります。PB1i/Signatureとの組み合わせで、834を最も高く評価できるのは「音に狂いがない」部分です。パラビチーニの音決めの正確さ設計の巧みさが見事に音に現れて、演奏を聴いていると自然にオーディオの存在を忘れ音楽に深く没頭してしまいます。

明るく弾けるような音ではありませんが、きめ細かく滑らかで質感の高い音でバッハが鳴る。ただ少し端正すぎるので、もう少しエネルギー感が加われば申し分ないと思いましたが、電源ケーブルの交換でエネルギー感は十分出せそうです。

高域の鮮度が驚くほど高く、高音が天井を突き抜けます。

ガガのボーカルは、カメレオンのようにその表情とトーンがコロコロと変わることに驚かされます。最近聞き始めたガガの素晴らしさは、あの奇抜なファッションではなく素晴らしい声とバランスの取れた楽曲にあると思います。834では、その魅力的なガガのボーカルが実に見事に再現されます。

ハスキーでドスのきいた太い声から突き抜けるような高音までのパワフルなイメージ、弾けるようなメロディーラインの楽しさ、ガガが作る楽曲はオーソドックスな魅力と斬新さに溢れていると思います。彼女が尊敬しているマドンナですら、ガガはそれを遙かに凌駕するすると感じさせるほど最近では彼女の楽曲が気に入っています。834はその見事な音楽性と芸術性の高さ、彼女のまっすぐで強いメッセージをキチンと再現してくれました。

音質テスト結果 Focal 1028Beと組み合わせて

Focal 1028Be
\1,350,000(ペア・税別)

StingrayやTRV-A300SERで聞いたときと違って、834ではPB1i/Signatureと1028Beの音質差があまり大きく感じられません。PB1i/Signatureから1028Beにスピーカーを切り替えても、響きがあまり増えることがなく温かさや躍動的なイメージに大きな差が付かないのです。

スピーカーに音質が左右されにくい良くできたトランジスターアンプのように、834はスピーカーを癖なく鳴らします。またStingrayやA300SERでは高音の先端がわずかに丸くなったように感じたのですが、834ではそれがなくシンバルが実にそれらしく金属的に鳴ることに驚かされました。

ボーカルにはわずかに肉が付き、細部のディティールは少し甘くなります。ギターは響きが良くなりますが、やはり操作のデリケートさが少し後退しました。ベースの量感は少し増えますが、PB1i/Signatureで感心させられた「入る」タイミングの完璧さが、やはり少し後退します。結果として、PB1i/Signatureで感じた張り詰めた緊張感が薄くなり、演奏がよりフレンドリーで柔らかいものへと変化します。

どちらも悪くないし、どちらも決定的ではありません。どちらかを選んで欲しいと問われると、両方共レベルが高すぎて返答に困ります。

この曲にはオレンジペコで感じた印象がそのまま当てはまります。響きは良くなりますが、引き替えに細部のディティールがすこし甘くなります。演奏の厚みは増しますが、一糸乱れぬ完璧性が薄くなります。

全体的な印象としては悪くありませんが、この曲に関してはPB1i/Signatureで聞けた「完璧性」に一票を投じたいと思いました。あれほど一糸乱れぬ演奏を味わえるチャンスは、そう多くないからです。

PMCとの組み合わせでクールな音を聞かせてくれた834ですが、1028Beと組み合わせてガガを聞くとそれとは全く違う、弾ける躍動感が出て驚かされます。

Stingrayほどの爆発力はありませんが、それでも十分にPOPSが躍動します。高域はキラキラと美しく、ボーカルには説得力が感じられます。メロディーが変わる瞬間の切り替わりが実に鮮やかで、音楽がカメレオンのように変化し続け最初から最後まで一気に聞かされてしまいました。良い感じです。

2011年 8月 逸品館代表 清原裕介

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