WIRE WORLD SHH-5-2 SSH-5-2 UHH-5-2 CHH-5-2 IHH-5-2 HDMI ケーブル

AUDIOQUEST HDMI-2 HDMI-1 HDMI-X HDMI-A HDMI-G SONY DLC-HD20HF DLC-HD20

AUDIO TECHNICAAT-DV99HD AT-HMZ  FURUTECH HDMI-N1 HDMI H-1 音質比較テスト

進歩した最新のデジタル方式なのに画質や音質が激変する?その性能に疑問の多かったHDMI方式の音質テストをケーブル比較という形で実施しました。簡単な影像比較も行っています。

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使用DVDプレーヤー

AIRBOW
 DV9500/SpecialMark3

使用アンプ

AIRBOW
 SR7002/Special

使用スピーカー

ZINGALI 1.12

テストソース

SWING FOR JOY (EGO−WRAPPIN’ / RDR−1024)

このディスクは、録音状況、ミュージシャン、楽器、などについて他の ソフトよりもかなり詳しく知ってます。中でも収録されているサックスの 音は、何度も生を聞いたことがありますから、その記憶と再現される 音の違いでそれぞれのケーブルの持ち味を明確に判断できるでしょう。

音楽的にも大好きなソフトですから、その演奏の“ノリ”の変化でケーブルの持っている音楽的な表現力の違いを探れます。

リファレンスとして使ったアンプは、最新規格のHDMI Ver1.3のデジタル入力を持っているAIRBOWカスタムモデル(3月中旬発売予定)のSR7002/Specialです。これはSR7002/Specilalの前宣伝という意味もありますが、それよりもこのアンプは、カスタマイズに際してあらゆる角度から音を聞き込み、その音を良く把握しているという理由で選びました。自分が作ったアンプですから、その音の変化を敏感に聞き取れるからです。同じ考えからDVDプレーヤーには、HDMI音声出力が装備されている製品の中から普段もっとも聞き慣れているAIRBOW DV9500/SpecialMark3を選んでいます。

スピーカーには、小さな音の変化も確実に再現し、ケーブルの違いを把握できるように高性能な製品からZINGALI 1.12を選出しテストに万全を期しています。

比較試聴のソースには、CDソフトを用いました。DVDをソースにしていないのは、選曲(立ち上がり)に時間がかかることがあるのと、AIRBOW製品の開発経験からCDのデジタルアウト音声(SP/DIF出力)で得られた音質が、他のフォーマット(ドルビーデジタルやDTS)にほぼそのまま反映するという結果が得られているためです。

テストは、無線用シールドケーブルから自作した同軸デジタルケーブルを基準(デジタルケーブルとしては標準をやや上回る程度の性能でAIRBOW MSD-090の70%くらいの音質です)基準(10点)として「バランス」・「細かさ」・「広がり」・「色彩感」・「明瞭度」・「エネルギー感」の6項目についてそれぞれのケーブルを比較・採点しました。また、点数に置き換えることの出来ない「音楽を聞いた満足度」は、◎○△×で表現し、さらに細かい音質コメントを添えています。

画質は、今回のテストとは別に行いました。画質のみの単独テストとするため、その評価に憶測が入らないよう、音質テストの結果は伝えずPioneerのBDP-LX80とSHARPLV-52TH1の組合せでPIONEERのブルーレイ・デモディスクをソースとし1号館でビデオ担当者が採点を行いました。時間の関係でテストしたケーブルは、audio-questとWire-worldのみとなっています。採点は、最も画像に優れていたWire-worldの最高機種SSH5-2を10点として色彩、細やかさ、透明感、奥行き、コントラスト、コストパフォーマンス(C/P)の6項目について評価しています。

各ケーブルに書き加えている画質のインプレッションは、音質・画質テストの後で清原が1号館でそれぞれのケーブルを視聴した感想です。

※毎回付け加えていますが、評価はあくまでも上記の条件による「テスターの相対な感覚」によるもので「絶対的」なものではありません。また、使用機器や環境によってケーブルによる音質変化が異なるなどの理由で、このインプレッションの結果と実際にお使いになられた場合の音質が一致しないことがあります。採点グラフと各ケーブルの音質インプレッションを総合してケーブル購入時のご判断に活用下さいませ。

同軸デジタルケーブルの音質

音楽的な表現力、満足度:◎

スピーカーの特性もあって低音は、やや過剰気味に感じられるほどよく出る。 ボーカルは、クリアで繊細。細やかな表情がとても良く出る。 ボーカルと伴奏の分離に優れているが、バラバラになることはなく見事に調和し、ハーモニーが自然でセッションが心地よい。

伴奏間のコンビネーションもばっちり決まって、一糸乱れぬ良い感じの演奏に聞こえる。それぞれのサウンドが非常にきめ細やかに再現されるが、分析的にならずリラックスした中の丁寧さと深さにぐんぐん引き込まれる。厚みがあり暖かく、リズムが弾ける魅力的なサウンド。

ケーブル音質比較

SONY
 
形式 バランス 細かさ 広がり 色彩感 明瞭度 エネルギー感
DLC-HD20 6 7 5 5 8 5
DLC-HD20HF 5 8 3 6 9 8

DLC-HD20 DLC-HD20HF

●業界標準規格・HDMI端子(19ピン標準コネクター)←→HDMI端子(19ピン標準コネクター)
●HDMI Ver1.3aで企画されたHIGH SPEEDタイプ。従来のHDMI規格における最大伝送速度が約2倍(4.95Gbps→10.2Gbps)となり高音質の伝送が可能
●高耐久性24K金メッキプラグ
●価格/OPEN価格(実売価格、約\4,000/2m)

このケーブルは販売していません

●各ペア芯線間の相互干渉を低減する個別シールド構造。ペア芯線ごとにアルミテープ(主に高周波数帯域用)と横巻き銅線シールド(主に低周波数帯域用)を装備
●フラット構造により曲げにより生じるケーブル内部の歪が引き起こす伝送ロスを低減
●音質や画質の信号伝送に影響を及ぼすプラグ先端の端子への微振動の伝搬を避けるメタル(アルミ)グリップを採用
●ケーブル接続方向を定義し、ひと目で確認できるようケーブル面に「Signal Flow→」(信号の流れ)を表示

●価格/OPEN価格(実売価格、約\6,000/2m)

このケーブルは販売していません

音楽的な表現力、満足度:△
楽しくはないが、かろうじて聞いていられる

音楽的な表現力、満足度:×
数分も聞いていられない

音質インプレッション

ボーカル帯域のバランスは、そこそこ悪くないがエネルギー感が大きく減少して、演奏に元気がなくなる。

パーカッションの切れ味が悪くなり、ベースやドラムがもこもこする。演奏が雑に聞こえる。

どこが悪いのか?と聞かれると困ってしまうが、明らかに安い音。深みや表現の緻密さが欠如する。

価格なりといえば、その通りだが、ZINGALIがただの2Wayスピーカーになってしまったようで可哀想だ。 

音質インプレッション

低音がしっかり出る。エネルギー感もかなりでてくる。 綺麗な音で明瞭度も悪くないが、前後方向への広がりが全く足りず、音場が平面的。 スピーカーから音が広がらず、一点に音が張り付いて鳴っている感じ。 音としては綺麗だが、音楽としては全くつまらない。言葉が聞き取り辛く、立体的な生命感が感じられない。 LDC-HD20よりも音はよいのだが、高音の質感がかなり不自然で音の輪郭(隈取り)部分がチャラチャラする。 一部が拡大されたような感じで聴き疲れする。不自然なので気分が悪くなり、数分程度しか聞いていられない。

画質インプレッション

良くもなく悪くもない、標準的な画質。

画質インプレッション

HD20と比較すると、輪郭がクッキリとして解像度が上がる。しかし、そのために奥行き感が損なわれる。色彩も寒色系で冷たい印象。

audio-technica
 
形式 バランス 細かさ 広がり 色彩感 明瞭度 エネルギー感
AT-HMZ 5 7 6 6 8 8
AT-DV99HD 5 7 6 6 8 8

AT-HMZ/2.0m AT-DV99HD/2.0m

●高純度99.996%OFC(無酸素銅)線使用

●三重シールドで外来ノイズを低減

●金メッキ処理による高信頼接続

●価格/OPEN価格(実売価格、約\4,000/2m)

●PCOCC+OFCのハイブリッド導体でデジタル映像+音声を忠実に再現

● 導体断面積約59%UP(当社比)の芯線を採用し、伝送ロスを低減

● 特殊3重シールドで外来ノイズを低減

● 金メッキ処理による高信頼性接続。

●価格/\11,300(2.0m)

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音楽的な表現力、満足度:×
高域がうるさくて疲れる

音楽的な表現力、満足度:×
高域がうるさくて疲れる

音質インプレッション

低域がかなり出る。ボーカルの質感もかなり好印象だが、高域がかなりざらついて、サシスセソがザジズゼゾのようになる。

ケーブルで発生するノイズがかなり大きい感じ。高域のざらつきが気になるが、音楽的には割とまとまっている。 音の抜けや、見通し、広がりはまあまあのレベルで大きな不満はない。
しかし、高域のノイズ感が気になる人には、絶対にお薦めできない。SONY HD20HF同様、聴き疲れする。

音質インプレッション

印象は、AT-HMZ/2.0mとほとんど変わらないが、高域のノイズ感はややましか?

AT-HMZ/2.0mとブラインドですり替えられたら、多分わからないと思う。

基本的にかなりやかましい、ドンシャリ傾向の強い音。

画質の違いはテストしていないが、低価格品のHMZと比べて音質差は全くと言っていいほど感じられなかった。

画質インプレッション

どこと言って優れた部分は、ないが突出した部分もない。それがいい目に出てバランスが良く、滑らかな感じを与える。過不足感なく、安心して映像を見ていられる。

画質インプレッション

音質は、AT-HMZ/2.0mと大差なかったが、画質は全然違う。色彩の透明度と色ノリの良さが大きく改善し、動きも滑らか。遠近感もはっきり出る。映像に使うなら、このケーブルは大きな価値がある。

FURUTECH
 
形式 バランス 細かさ 広がり 色彩感 明瞭度 エネルギー感
H-1 6 7 6 6 8 8
HDMI-A
生産完了品
7 8 7 7 8 8
HDMI-N1 5 7 5 7 8 7

H-1 HDMI-A

●価格
1.2m:¥OPEN
2.5m:¥OPEN
5.0m:¥OPEN

●材質:導体1→α-導体 7/0.45、素材/銀クラッドμ-OFC銅線、導体2→ α-導体 7/0.127、素材/μ-OFC軟銅線、導体3→α-導体 7/0.127、素材/μ-OFC軟銅線
●最大導体抵抗:2Ω
●最小絶縁抵抗:50MΩ・km DC.300V/secs
●シース:柔軟性PVC(Dark Green)

●価格

2.0m:¥19,000 / 3.0m:¥25,000 / 5.0m:¥37,000

7.0m:¥49,000 / 10.0m:¥79,000 / 15.0m:¥97,000

音楽的な表現力、満足度:×
高域がザラザラして疲れる

音楽的な表現力、満足度:△

高域がややうるさいが、我慢すれば聞いていられる

音質インプレッション

audio-technicaのケーブルから繋ぎ変えると音質バランスが改善され、中域の厚みが増す。

低域の力感や締まりも向上するが、高域のザラザラしたノイズ感は消えない。 高域のザラザラ感さえなければ、十分に聞いていられるバランスだが・・・。 しかし、この高域のざらつき感は私には耐え難い。

音質インプレッション

H - 1と比べると中域が充実し、厚みが増す。 しかし、やはり高域のザラザラは消えない。

ここまで聞いた丸形ケーブルの音質は、初期の安物のCDプレーヤーに似ている。音はハッキリしているが硬く、高域がささくれてザラザラし、長時間聞くのが辛い。

"トゲトゲしい"と批判を受けた、初期のデジタルサウンドの悪癖がそのまま蘇ってしまっている。

画質インプレッション

FURUTECHらしい、良くコントロールされた画質。派手さや美しさはないが、滑らかで破綻せず安心して見られる。この価格帯では、画質では非常にお薦めできる。

画質インプレッション

画質を高く評価して取り扱いを開始したFURUTECHのこのモデルだが、今回画質を他のケーブルと比べてみてやはり、その性能の高さを納得させられた。色彩が自然で動きも滑らか。高級感、高画質感のある映像が実現する。

HDMI-N1

●銀メッキ OFC (無酸素銅)線使用
●重シールドで外来ノイズを低減

●金メッキ処理による高信頼性接続。

●価格
1.2m:¥13,200 / 2.5m:¥22,000 / 5.0m:¥38,000 / 8.0m:¥46,600 / 10.0m:¥56,200 / 12.0m:¥65,800

15.0m:¥80,020 / 20.0m/104,200

音楽的な表現力、満足度:×
ドンシャリでうるさくて聞いていられない

音質インプレッション

HDMI-Aの新型なので期待したのだが、結果は×。 高域がジャリジャリして、中域が薄く、気に入らなかった。
SONYやaudio-technicaの線とほとんど大差がない。
ボーカルの色気や表現力は、それらよりも出ているのだが、いかんせん高域のノイズが垂れ流しで高音がチャラチャラし、ボーカルをじっくり聞くという気分にはならない。

画質インプレッション

HDMI-Aの新型らしく、画質もリファインされている。透明感、滑らかさ、鮮やかさに優れ、画面が明るくなったように感じられる。手ごろな価格とは言い難いが、価格帯で比較するならその実力は、間違いなくトップクラスにあるはずだ。

audioquest


形式 バランス 細かさ 広がり 色彩感 明瞭度 エネルギー感
HDMI-G 6 7 6 6 8 8
HDMI-A 8 8 7 8 8 8
HDMI-X 9 9 7 9 9 9
HDMI-1 9 9 8 9 11 10
HDMI-3 10 10 8 10 12 10
形式 色彩 細かさ 透明感 奥行き コントラスト C/P
HDMI-G 5 5 6 5 6 7
HDMI-A 4 4 5 4 6 6
HDMI-X 6 5 6 6 5 7
HDMI-1 6 5 6 7 6 6
HDMI-3 8 8 7 8 7 7
HDMI-G HDMI-A

●フラット型構造を持つ新製品

●価格
1.0m:¥9,000 / 2.0m:¥11,000 / 3.0m:¥14,000

4.5m:¥17,000 / 6.0m:¥20,000 / 7.5m:¥24,000
9.0m:¥27,000 / 12.0m:¥34,000

●丸型構造を持つ従来品(半年後に生産完了予定)

●価格
1.0m:¥10,000 / 2.0m:¥12,000 / 3.0m:¥14,000

4.5m:¥18,000 / 6.0m:¥21,000 / 7.5m:¥24,000
9.0m:¥28,000 / 12.0m:¥35,000

音楽的な表現力、満足度:△
積極的には聞きたくないが、十分に聞いていられる

音楽的な表現力、満足度:○

同軸デジタルケーブルと比べても、大きな遜色なく聞いていられる

音質インプレッション

今までテストしたケーブルとは、ボーカルの質感、表現のデリケートさがまるで違う。 しかし、高域のざらつき感は相変わらず残っていて、ボーカルのサシスセソがシャ、シィ、シュ、シェ、ショになってしまうのが耳に痛い。 しかし、その影響を受けない楽器の音はなかなか魅力的。各楽器感の関係も、バラバラにならずまとまっている。 高域のざらつきさえなければ・・・。かなり高い評価を下せたと思う。

ここまでテストしたSONY、audio-technica、FURUTECHのケーブルはいずれも中域〜高域がブリキのように薄っぺらでチャラチャラしていたが、それと比べるとその質感は全然違う。滑らかで厚みがあり色彩感を伴って色っぽく感じられた。

音質インプレッション

HDMI-Gの良さに加えて、音の広がりや周波数帯域のエネルギーバランスが改善され全体としてまとまりが出てくる。その違いはエージングの前後で感じるものに似ているが、今回ケーブルすべてほぼ新品のケーブルを使ってテストしているのでエージングの差では、ないはずだ。

音が滑らかでデリケート。楽器の分離も良く、各楽器間の音の関係もまとまって、ほぼ納得できるレベル。

声の表現力は、国産のケーブルとは比べられないほどの大きな差があると私には感じられる。この2モデルを聞いただけでも、audioquestのケーブルは、きちんとしたヒヤリングを行って作られていると確信できる。安心&納得のサウンドだ。

画質インプレッション

輪郭成分がハッキリとして、明快でスッキリとした画質。色彩も鮮やかで画面に奥行きが出る。今回は3.0m品をテストしたが、長尺ケーブルでも画質の劣化は少ないと想像できる。

画質インプレッション

色鮮やかでカラー・コントラストが高い。微妙な色彩がきちんと再現されるので、奥行き感と滑らかさが出る。洋物らしいシネマライクな映像が見られる。輪郭は、やや甘いが私の視力では(普段のメガネでは、0.6程度)輪郭はそれほどハッキリ見えないので、それがマイナスになることはないが、私でもコンタクトレンズを使うと(スポーツ用のコンタクトを使うと視力は1.2に向上する)画面のドットまで細かく見えるときがあるから、そういう視力の良い方は、輪郭がキッチリ出るWIRE-WORLDにより大きな魅力を感じるかも知れない。

HDMI-X HDMI-1

●導体表面に1.25%のシルバーコーティング線を使用

●価格
1.0m:¥15,000 / 2.0m:¥18,000 / 3.0m:¥21,000

4.5m:¥26,000 / 6.0m:¥30,000 / 7.5m:¥34,500
9.0m:¥39,000 / 12.0m:¥48,000/ 15.0m:¥57,000

●導体表面に2.5%のシルバーコーティング線を使用

●価格
1.0m:¥23,000 / 2.0m:¥29,000 / 3.0m:¥35,000

4.5m:¥44,000 / 6.0m:¥53,000 / 7.5m:¥62,000
9.0m:¥71,000 / 12.0m:¥89,000

音楽的な表現力、満足度:◎

前後方向への広がりが浅いが、それ以外は同軸デジタルケーブルとほぼ遜色なく聞いていられる

音楽的な表現力、満足度:◎

納得して聞いていられる

音質インプレッション

HDMI-Aをさらに練り上げ、完成に近づけた感じ。中域に厚みが出て来て低域のパワー上昇する。厚みが出にくく、中低域が薄い傾向の強いHDMI接続では、この傾向は非常にありがたい。

ボーカルはスィートで表情がとても細やかに再現される。オーバーダビングのハーモニー部も綺麗に分離する。廉価ケーブルが密度が希薄で薄っぺらい、いわゆる“安い音”なら、HDMI-Xは密度感と表現力がぎっしりつまった“高い音”だ。

ボーカルのみならず楽器の質感も高くなり、ケーブルに投じた金額を完全に納得できる仕上がり。 曲間のサックスの音も、とても良い。高域のざらつきは、ほんの少しだけ残っているが、もうほとんど気にならない。

音質インプレッション

HDMI-Xと比べても、ノイズがさらに少なくなり、音の実在感が増す。響きも豊かで、これまでテストしたケーブルの中では最も音楽的表現力に富む。表現が非常にデリケートで暖かく、国産のケーブルで聞いていた音は一体何だったのか!?という気にさせられる。

実は、今回テストに使ったSR7002/SpecialのHDMI入力の音は、audio-questのHDMI-X/2.0mを使ってテストを行い、同軸デジタル入力と比べても納得できる水準まで練り上げていたからだ。言い換えれば、HDMI-Xを使えばSR7002/Specilalは同軸デジタルに遜色のないサウンドを再現する。にもかかわらず、国産ケーブルのテストはまるで拷問だった。 出来の悪いMP3プレーヤーを聞いているように、身体は疲れるし、気分は悪くなるし、精神と体調の悪化によってテストの続行すら危ぶまれるほどだった。もし、audio-questのケーブルがそれらと同じような音質だったら、私は、絶対に最後までテストを続けられなかったはずだ。

HDMI-1は、市販されている同軸デジタルケーブルによるデジタル音声接続よりも、かなりの高い確率で良い音質をもたらすだろう。

ブルーレイなどの次世代DVDプレーヤーを使うなら、最低でもHDMI-X以上、できればHDMI-1クラスのケーブルを使わないと"本物の次世代サウンド"は、味わえないだろう断言して良いだろう。

画質インプレッション

HDMI-A同様に、輪郭のディティールがやや甘いが、その鮮やかな色彩と自然な立体感、ウルトラスムースな映像の動きを知ってしまうとそんなことはまったく気にならなくなる。良くできたリバーサルフィルムのような映像が実現する。素晴らしい!

画質インプレッション

HDMI-Xをさらに良くした画質が実現するが、その差はあまり大きくはない。音質を必要としないのなら、ケーブルはHDMI-Xの方がコストパフォーマンスが高くお薦めだ。

HDMI-3

●導体表面に6.1%のシルバーコーティング線を使用

●価格
1.0m:¥38,000 / 2.0m:¥53,000 / 3.0m:¥68,000 / 4.5m:¥90,000 / 6.0m:¥113,000 / 7.5m:¥135,000
9.0m:¥158,000 / 12.0m:¥203,000

音楽的な表現力、満足度:◎
同軸デジタルケーブルよりもさっぱりとした音質でHiFi基調だが、これはこれで"あり"の楽しい音だと思う

音質インプレッション

この最高クラスのケーブルを持ってしてもボーカルの子音のざらつき感は、やはり完全には消えない。そのせいもあって音場の自然な広がり感は、同軸ケーブルには及ばない。しかし、その反面、輪郭が同軸デジタル接続よりも明らかにシャープに再現されるため明瞭感や繊細感が高く、高性能だと感じさせる。 HDMI-1に比べると、やはりワンランク高級な音(質感の伴う音)に変化している。このあたりの価格によるケーブル音質の差別化の手腕は、とても見事だ。audio-questは、きちんと音が分かるブランドなのだ。

HDMI-3は、音楽的で血の通った音がする。 ケーブルだけでこんなに大きい差が出るとすれば、高いアンプに安いケーブルを繋ぐよりも、アンプはワンクラス落としてもHDMI-AもしくはHDMI-X以上のケーブルを使うべきだ。 少なくとも、今回音質評価の低かったケーブルでDVDとアンプを繋いでも、それでは正しく次世代サウンドを味わったとは、到底言えない。

画質インプレッション

発色に優れディティールが滑らかでしっとりした映像だ。WIRE-WORLDに比べるとシャープさに欠けるが、それをフィルムライクと感じるなら、それはそれで悪くはない。メリハリとパワーのあるWIRE-WORLD。滑らかさと情緒に優れるaudioquest。インターコネクトケーブルの性格の違いが、HDMIケーブルにもそのまま反映されているのが興味深い。

wire-world


形式 バランス 細かさ 広がり 色彩感 明瞭度 エネルギー感
IHH5-2 7 7 7 8 6 8
CHH5-2 8 8 7 8 9 8
UHH5-2 9 9 7 9 9 9
SHH5-2 10 10 9 10 10 10
SSH5-2 10 11 10 10 11 10

形式 色彩 細かさ 透明感 奥行き コントラスト C/P
IHH5-2 6 4 5 5 5 6
CHH5-2 7 6 7 7 5 8
UHH5-2 9 7 6 6 9 7
SHH5-2 8 8 9 8 8 9
SSH5-2 10 10 10 10 10 10
IHH5-2 CHH5-2

●構造:ローインダクタンスフラット構造

●導体:電線用銅材

●端子サイズ:幅19mm・厚さ11mm

●ケーブルサイズ:幅13.5mm・厚さ3.5mm

●価格
1.0m:¥12,000 / 2.0m:¥13,000 / 3.0m:¥15,000

5.0m:¥21,000

●構造:ローインダクタンスフラット構造

●導体:6N-OFC銅材

●端子サイズ:幅24mm・厚さ11mm

●ケーブルサイズ:幅18mm・厚さ4mm

●価格
1.0m:¥18,000 / 2.0m:¥20,000 / 3.0m:¥22,000

5.0m:¥26,000 / 7.0m:¥30,000 / 9.0m:¥34,000

音楽的な表現力、満足度:△

バランス良くまとまっているが表現がやや浅く、ボーカル子音のざらつきが気になる

音楽的な表現力、満足度:△〜○

バランス良く楽しい音だが、ボーカル子音のざらつきが気になる

音質インプレッション

高域のざらつき感は、audio-questの高級品を聞いた後では、やはりかなり気になるというのが正直なところ。 音はメリハリが利いて明るく楽しい。しっとりとデリケートな傾向のaudio-questとは、このあたりの表現に大きな違いを感じるが、それは両者のインターコネクトケーブルの持ち味の違いとほぼイコールだ。

ボーカルと楽器のバランスや伴奏の関係がピッタリと合っているのは、さすがにWIRE-WORLD。高級感はないけれど、エネルギー感と楽しさがそれを補っている。

音質インプレッション

バランスが良く明瞭度も高い。IHH-5-2と比較すると、全体的にしっとりとして質感が高く感じられるが、高域のざらつき感はやはりハッキリと感じられる。

全体的に上手くまとまっているので、これと言って特徴的なコメントはないが、中域の太さと低域の押し出し感は魅力的。

高域のざらつきが問題にならない楽器の音は抜群に良い。細かいところまでハッキリと聞こえて、音の芯がシッカリしている感じ。

これでボーカルの子音にまとわりつく高域のざらつき感がなければ、満点なのだけれど。

画質インプレッション

全体的には、ややソフトフォーカスで輪郭成分が甘めながらも、色彩の再現性、奥行き感などのバランスに優れたまとまりの良い画質を実現する。

画質インプレッション

ノイズ感の少ない、スッキリとした映像。IHH-52同様、無理をしないバランスに優れたまとまり感に透明感が加わる。

UHH5-2 SHH5-2

●構造:ローインダクタンスフラット構造

●導体:シルバークラッド、6N-OFC銅材

●端子サイズ:幅24mm・厚さ11mm

●ケーブルサイズ:幅18mm・厚さ4mm

●価格
1.0m:¥32,000 / 2.0m:¥38,000 / 3.0m:¥44,000

5.0m:¥56,000 / 7.0m:¥68,000 / 9.0m:¥80,000
12m:¥98,000 / 15m:¥116,000

●構造:ローインダクタンスフラット構造

●導体:シルバークラッド、6N-OFC銅材

●端子サイズ:幅24mm・厚さ11mm

●ケーブルサイズ:幅18mm・厚さ4mm

●価格
1.0m:¥42,000 / 2.0m:¥51,000 / 3.0m:¥60,000

5.0m:¥78,000 / 7.0m:¥96,000 / 9.0m:¥114,000
12m:¥141,000 / 15m:¥168,000 / 20m:¥213,000

音楽的な表現力、満足度:○〜◎

太く厚みがあり、バランスの良い聞かせる音。ボーカルの子音は、やはり少し荒れて聞こえる

楽的な表現力、満足度:◎

色彩感が濃く、聞いていて楽しい。個々の音の表現に引き込まれる

音質インプレッション

下級モデルから聞き比べると価格なりにステップを踏んで徐々に良くなって行くのがわかる。CHH-5-2と比べると、音がより滑らかできめ細かくなる。

WIRE-WORLDらしく中低域に厚みがあり肉感的で 音楽を聞いていて楽しい音。パワフルでパンチがあり、楽しい。ステーキを食っている人間が作ると音はこうなるのだろう。廉価品とは次元が違う。

 ボーカルの子音のざらつき感は、まだ若干残っているが、ほとんど気にならないレベルにまで減少している。

audio-questとの比較は難しいが、これもやはりインターコネクトの印象と同じでJAZZ/ROCKに向くのがWIRE-WORLDでaudio-questはCLASSIC向きという感じだろうか? しかし、どちらも良くできているから、それほどの差はないだろう。明るく楽しくパワフルなのがWIRE-WORLDでしっとりと滑らかでデリケートなのがaudio-questだと思えば間違いない。

音質インプレッション

audio-questを聞いていても感じたことだが、いい音で音楽を聞こうと思ったら、HDMIケーブルは良質なものを使わなければならない。

偽物と本物と比喩して良いほど、ケーブルだけでアンプの音質は激変する。

普及品では頭が痛く、聞くのが嫌なほど悪い音がaudio-questとWIRE-WORLDの高級品に変えると、積極的に音楽を楽しんで聞きたくなるくらい大きな差がある。嫌いなものを無理矢理に口へ運んでいる感じと、お腹がいっぱいでも手が止まらない感じ。それくらい大きな差がある。

SHH-5-2には、やはりまだほんの少しボーカルの子音の荒れが残っているが、もうほとんど問題にならないだろう。 それよりも中低域の色彩感の濃さ、パンチの効いた低域の弾むようなリズム感の良さ、全体的なバランスの良さ、などが上手くまとまって、音楽を本当に楽しく聞かせてくれる。 音を音楽にまとめ上げる実力の高さ。凄さ。このあたりは、汎用ケーブルが追いつけるレベルではない。高いけど、それだけのことは確かにある。

画質インプレッション

下位ケーブルとは打って変わった濃密な映像。色彩が濃く、洋物らしいカラーコントラストの高さを実感できる。

画質インプレッション

UHH5-2の“濃さ”を踏襲しながら、さらに透明感、色抜けの良さが加わる。全体のバランスにも優れ、あらゆる映像を「綺麗」でかつ一切の破綻なく再現する。滑らかさや奥行き感も素晴らしく、思わずその美しさに見とれてしまうほどだ。

SSH5-2

●構造:ローインダクタンスフラット構造

●導体:シルバークラッド、6N-OCC銅材

●端子サイズ:幅24mm・厚さ11mm

●ケーブルサイズ:幅18mm・厚さ4mm

●価格
1.0m:¥53,000 / 2.0m:¥68,000 / 3.0m:¥83,000 / 5.0m:¥113,000 / 7.0m:¥143,000 / 9.0m:¥173,000
12m:¥218,000 / 15m:¥263,000 / 20m:¥338,000

音楽的な表現力、満足度:◎
申し分のないサウンド

音質インプレッション

SHH5-2とブラインドで聞き比べを行えば結果はどうなるだろうか?疑問が横切る小さな差だとも言えるが、じっくり聞いていると、じわじわと浸みてきて元に戻せなくなるのは間違いない。やはりトップレベルの実力は、ひと味違う。SHH-5-2の音質をそのまま継承しているが、細部のディティールがさらに細かくなり、楽器の実在感、ステージの実在感が高まる。デジタルケーブルで、こんなに音が変わるのをまざまざと見せつけられると、まるで魔法のようだ。厚みがあって、しなやかで、透明感も高く、バランスも良く、まるで上質なアナログを聞いているようなサウンドだ。 

ただし、wire-worldはトップレベルまで来てもボーカルの子音のざらつきが完全には消えていない。audio-questでは、それがほぼ完全に押さえ込まれていただけに、このケーブルにaudio-questのようなRFノイズフィルターが装着されていたらどうなるのだろう?・・・と想像してしまう。しかし、ノイズは消えてもWIRE-WORLDの求める元気の良さも消えてしまうかも知れないし・・・。高級ケーブルの音質バランス調整は難しいからだ。

その難しい音質のチューンと、モデル毎の音質差/画質差を明確にしているWIRE-WORLDとaudio-questは、さすがにケーブル専門メーカーの面目躍如だ。

画質インプレッション

あらゆる角度で今回テストした中では最高の映像を実現する。発色が豊かでノイズ感が少なく、滑らかで奥行き感にも優れている。特に中間調の再現性が抜群なのでCGですらフィルムの実写のように感じられるほど、細やかな色彩の変化まで見えてくる。それでいて、見えすぎるいやらしさもなく、バランスも良い。ケーブル一本で、それもデジタル伝送のHDMI方式でこれほどまでに見事に絵作りが出来るものかと感心してしまう。最高の「質」を求めるなら、これしかない!

総合結果

音質について

今のところ理由は、定かではありませんが今回のテストから「HDMIケーブルでも大きく音が変わることが確かめられました。また、低価格帯のケーブルでも音楽を聞くのにあまり不足を感じない同軸デジタルケーブルに比べ、HDMIケーブルの場合では"きちんと音を聞いて作っていない製品(元々がビデオケーブルなので音質には配慮されていないことがあるようです)"は、音楽を破壊しかねないほど音を悪くする事があるようです。この点は、HDMIケーブルで音声接続を行う場合には、必ずチェックするべきです。音が悪いな?と思ったら、HDMIケーブルを疑ってください。

音質チェックの結果より逸品館では、HDMIによる音声接続にaudio-questのHDMI-A以上のグレード、もしくはWIRE-WORLDのUHH-5-2以上のグレード品をお薦めしたいと考えています。幸いにもaudio-questの製品は、WIRE-WORLDと比べるとかなり価格が安く、国産の量産メーカーの高級品とあまり変わらない価格で入手可能です。

※今回のテスト結果をこじつけたわけではありませんがaudio-questのHDMI-Aが、半年後にフラットケーブル型にモデルチェンジするためメーカー標準価格の40%割り引きという大特価で販売可能となりました。この価格なら、十分に手が届く範囲です。現在の所、数量に限定はありませんが、国内在庫数が限られているため品切れを起こすと次回の入荷まで1〜2ヶ月必要となります。HDMI Ver3.1での接続をお考えなら、ご検討のほどよろしくお願い申しあげます。(ご購入は、こちらからどうぞ

画質について

今回のテスト結果を見ると音質は「丸型」、画質は「フラット型」のケーブルが優れているようです。ただし、科学的な根拠はありませんし、何よりもケーブルの品質に大きく左右されることですから、そう言う理由でケーブルをお選びにならないようくれぐれもお願いいたします。また、wire-worldに関しては、フラット型にもかかわらず音質も優秀です。これはすでにwire-worldがHDMIケーブルの製造について高度なノウハウを持っている証ではないでしょうか?

HDMIについて

HDMIケーブルによるデジタル映像・デジタル音声伝送技術で従来と根本的に違っているのは「音声伝送」の方法です。細かい規格を持ち出すと話が非常に複雑になりますので、ポイントのみ説明いたします。

■信号規格とケーブル構造の違いについて

従来の方式(SP/DIF、AES/EBU)によるデジタル音声接続の場合、デジタルアナログ復調に使われるワードクロック信号は「ケーブルを通じてプレーヤーからアンプへ」送られます。アンプは、ケーブルで送られてくるワードクロック(マスタークロック)を基準として送られてくるデジタルデーターをアナログ音声に復調するので送信受信に使われるケーブルは、1本ですみます。このデジタル信号を送るには、光もしくは同軸デジタルケーブルが使われます。

同軸デジタルケーブルの構造図

HDMI方式によるデジタル音声接続の場合、クロックとデーターは個別の専用線で送られます。デジタルデーターは、パケットに分割されて伝送されます。ケーブル内部には、電源供給、シールドの役目をするケーブルも含めて18本もの信号線が収められています。

ピン

信号

ピン

信号

1

TMDS データ2+

2

TMDS データ2シールド

3

TMDS データ2-

4

TMDS データ1+

5

TMDS データ1シールド

6

TMDS データ1-

7

TMDS データ0+

8

TMDS データ0シールド

9

TMDS データ0-

10

TMDS クロック+

11

TMDS クロックシールド

12

TMDS クロック-

13

CEC

14

予備(非結線)

15

SCL

16

SDA

17

DDC/CECグランド

18

+5V電源

19

ホットプラグ検出

 

 

HDMIコネクターのピン配列

HDMI方式では、送信されたデジタルデーターは送受信の間に損なわれていないか照合(ベリファイ)が行われます。そのため照合という機能を持たない従来方式に比べて、デジタルデーターは、一切の欠落がない=完全無欠の状態で送受信されるのです。このような理由によりHDMI伝送では、基本的にケーブルの品質などによる音質の変化はないと考えられていました。しかし、それではなぜ?ケーブルで音質や画質が変化しないはずのHDMI方式で今回のように、それらが大きい影響を受けるのか?あるいは従来の方式(同軸デジタル)よりも音が悪いのでしょう。

理由は、二つ考えられます。一つは、高周波ノイズの発生です。

デジタルケーブル内では、ケーブルに加わった物理的な変形によってジッターが発生し波形が乱れる。

一本の線でデジタルデーターを送信するSP/DIF、AES−EBU方式では、ケーブル中で信号にジッター(揺らぎ)が発生しても、それが受信側でノイズとなることはありません。

同軸デジタルでは、ケーブルで発生するジッターは相互干渉せず高周波ノイズは発生しない。

しかし、複数の線を使うHDMIでは、それぞれのズレが干渉しあって複雑な高周波ノイズが発生します。

HDMIでは、複数のケーブルで発生するジッターが干渉しあって、複雑な高周波ノイズが生じる。

データーが無欠なら、伝送により生じる高周波ノイズがアナログ音声回路の品質を大きく損ねているのではないだろうか?と考えられます。この考えなら、ケーブルによって画質・音質が大きく変化する理由も合理的に説明できます。また、SONYもそう言う理由によって高画質ケーブル(wire-worldに見かけそっくり)を発売しています(今回テストした製品です)。

しかし、それでも音楽を聞くと多くの場合HDMI方式は、従来のSP/DIF(AES/EBU)に比べて「深み」が足りません。音は綺麗でハッキリしているのですが、前後方向の広がりが浅く精緻なデジタル写真を見ているように「雰囲気」が感じられないのです。その理由は、中低域がそのままに高域だけが改善されたことによるものだと考えられます。スピーカーやアンプが根本的に変わっていない状態で高域だけをいたずらに伸ばすと、結果として音質バランスが崩れて音が悪くなります。スーパーツィーターを付けた時に音が良くなっても音楽がつまらなく感じられるようになってしまうのと同じ理屈です。鳴り物入りで登場した新世代デジタルサラウンドフォーマットでも飛躍的に改善するのは「高域」です。元々音質がプアなAVアンプで高域だけを無闇に改善するとどうなるか?その結果は、店頭でブルーレイの音をお聞きになればおわかりいただけると思います。出来損ないのスーパーツィーターは、音を悪くするだけなのです。

現在発売されているHDMIケーブルの形状は「円筒形」と「フラット型(板状)」に分かれます。私が知る限りでは、WIRE-WORLDがHDMIケーブルにフラット型を採用したのが一番早かったと思うのですが、HDMIケーブルによって高周波ノイズが生じる原因を考えると、フラット型を採用する理由がわかります。その理由を説明しましょう。

HDMIケーブルで「信号の遅延や揺らぎが発生する」のは、主にケーブルの変形が原因です。円筒形ケーブルの中に18本もの線を収めると、ケーブルが曲げられたときその「外側(外周)」と「内側(内周)」に生じる「距離的な誤差」によって、各々のケーブルが強く引っ張られたり、あるいは縮められたりして、ケーブルの変形量が非常に大きくなります。その結果、各ケーブルの抵抗(交流インピーダンス)が大きく変化してその「差分で生じるノイズ」が非常に大きくなるのです。

丸型ケーブルでは、変形したとき外側が強く引っ張られその結果各ケーブルの長さが変わってしまう。

フラットケーブルでは、ケーブルを曲げたときの各ケーブルの変形量がほぼ変わらず「差分で生じるノイズ」が非常に小さくなります。結果として、デジタルデーターの質は変わらなくても発生する高周波ノイズに大きな違いが生じることになります。この「高周波ノイズの量的な差」がケーブルの音質(もちろん画質も)を左右していると考えています。

フラット型ケーブルは、各ケーブルが同じように変形し各ケーブルの長さは変わらない。

事前の予想では、ノイズの少ないフラット型が音質画質にも優れるはずでした。しかし、今回のテスト結果を見ると音質は「丸型」、画質は「フラット型」のケーブルが優れていました。不思議です。

このようにHDMI方式では、ケーブルの変形によってノイズが発生し信号の品質を損ねます。しかし、それよりも大きな問題があります。それはコネクターの強度が低く形状が悪いということです。これがHDMI方式が抱えるもう一つの問題点です。

HDMIで伝送されるデジタル信号の周波数は、数ギガヘルツに及びます。この周波数帯域では、ケーブル端末部、コネクター部の形状と接触状態が適切でなければ、信号が反射しそれがノイズとなってしまいます。しかし、現在許されているHDMIコネクターは、その強度があまりにも低いためにケーブルの重さに引きずられ、コネクター部がしっかり接触・固定されません。この部分を改善するだけでも、画質・音質は大きく改善するはずです。にもかかわらずHDMIコネクターの形状は、保護されており各メーカーが独自のコネクターを作ることができません。現状のような「規格のごり押し」が続けられる限り、HDMI接続の品質の飛躍的な進歩は期待できないのです。そのため、真実かどうかわかりませんが、すでにHDMIという規格自体が長くないという噂も出ています。ホームシアターの映像ケーブルの隠蔽時には、将来が保証されないHDMIだけでは不安です。必ず「コンポーネントケーブル(D端子ケーブル)」を同時に埋設されることをお薦めいたします。

このように問題点が「多すぎる」HDMIという規格は"机の上でしかものを考えられない人間が作ったものであろう"と考えられます。パソコン上のシュミレーションでは、さぞ見事にHDMIは完璧な動作をしたでしょう。しかし、現実に完成したものは周波数が高く複雑な信号にプアなコネクター。反射や相互干渉による盛大なノイズの発生。パソコンの規格ならまだしも、高周波ノイズがアナログ回路へ与える悪影響がまるで考慮されていません。

HDMIを使うというのは、AV機器の中にノイズを振りまくパソコンを突っ込んだのと同じような状態です。少なくとも"物作りの良心を持つ"メンバーが作ったとは思えないのが、私の偽らざる感想です。 その上!私たちが改良を加えようとしてもコネクターの改良さえ認められないのですから、始末に負えません。欠陥OSを配布して、スパムメールの反乱とデーター流出、ウイルスによる障害の危機を招いたアメリカの某OSメーカーと同じレベルの仕事です。こんな規格を押しつけられるのはまっぴらです。しかも歪んだ規格を利権の確保、コストの回収という名目でがんじがらめに保護し改良を認めない。もし、HDMIもLINUXのようにオープンな形式であれば、各企業が競って改良を加えられるはずだと思うのです。

このような私の考え方には、「作ったものが利益を享受、独占できる権利がある」という反論があるかと思います。特許という考え方は、まさにこのような論理に基づいています。しかし、小さな会社ならまだしもある程度の規模になり、今回のHDMIのような「一般的に多く使われる規格」に対しては、違う考え方で望むべきだと思うのです。企業は、地域や民衆と共にあるという考え方です。

例えば、身近な例では「SHARP」が堺市に大きな工場を造るときなどに、政府や地方自治体は「補助金」を支給します。それもかなりの額です。それは、企業の進出によって地域経済が潤うからです。企業は、一つのビジネス形態でありますが、同時に「公」の部分を持っています。政府と同じように、企業も国民や民衆に奉仕する考えが必要です。その一つとして、HDMIのような規格をオープンにすることも重要ではないかと思うのです。コストをかけて作った規格をオープンにすることで、一時的には損失に見えるかも知れませんが、長期的にはそれが市場をさらに活性化させ、結果としてはより大きな利益となって企業に還元するという考え方です。大阪流に言うと「損して得取る」です。現在の国内の家電メーカーは、このような「長期的な計画」が欠如しているために短期間で増益・減益を繰り返しているのではないでしょうか?また、株価ばかり気にする株主が企業に対して短期業績の向上を強く望むあまり、トップが短期収益の向上ばかりに邁進するという悪影響も出ているようです。そのためブルーレイのような新技術をあまりにも早急にごり押ししすぎるというような現象も起きるのでしょう。競争によって良いものが安く作られるのは嬉しいことですが、競争が過ぎるのも困りものだと思います。私たちは、そんなにも急峻な変化は望んでいないのですから。

遠くない未来にHDMIコネクターの規格が互換性を犠牲にせず大改良されることを望みますが、こんなにがんじがらめの状態の中で、納得の行く音質を実現したaudio-questとWIRE-WORLDには、忌憚のない拍手を送りたいと思います。素晴らしい!

後書き

私たちはカタログの「数字」に過敏です。インターネットなどのメディアの異常な発達でその傾向に拍車がかかっています。妄想が妄想で済まずに、現実を侵出し始めているのです。しかし、オーディオや映画における「音質」・「画質」というのは、単なる「パーツ(部品)」にしか過ぎません。

モノラル録音でも心に浸みる名演奏もあれば、白黒映画でも、涙を流さずにはいられない名画がありますが、もしそれらの音楽や映画を「最高のサウンド」あるいは「フルカラー・ハイビジョン」で再現できたら感動は深まるでしょうか?私は、けっしてそうは思いません。

欠落しているからこそ、想像させられる。すべてがあからさまにならないからこそ、思いはかき立てられるのです。 ピカソが完璧な写実を会得した後、一見ではなんだかわからないような抽象画に向かっていったように、芸術は「部品の良さ」で決まるような浅いものではありません。

しかし、多くの一般大衆はブランドや知名度、家電品なら価格やスペックというような「目に見えやすい」部分に先導され、本当の価値を見過ごすことが多いようです。特にまだ歴史が浅く、芸術的な価値を認められにくいオーディオやビジュアルという分野では、メーカーの横暴コマーシャルのせいもあって、その傾向が強いことが残念です。

オーディオやビジュアル関連商品は、もっとも身近な存在であり、時として人生を変えてしまうほど深い感動を与えてくれることがあるのです。コンテンツホルダーのみならず量産AVメーカーの首脳陣には、その重みを理解していただける方に勤めて欲しいと、切に願うのです。

作曲者、演奏者。脚本家、役者。彼らは、感動を与えたいから必死で仕事をするのであって、一部のコンテンツホルダー(利権を持つ団体)の利益のために命をすり減らしたわけではありません。彼らのその熱い思いを、言葉にならない熱情を一人でも多くの人に伝える責任があなた方と私たちにはあるのですから。

2008年2月 清原 裕介