逸品館メルマガ バックナンバー 018

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逸品館ショッピングカートメルマガ 2006.10.21
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皆様今晩は。東京国際フォーラムで開催されている「2006東京インターナショナルオーディオショウ」も明日一日となりましたが、もうご覧になられましたでしょうか?私は、初日の20日に上京しすべてのブースを回って視察と挨拶を済ませてきました。

いい音だなと思ったブースは、CEC、ナスペック、ノア、が記憶に残っています。これは!と思ったのは、J’Mラボ改めフォーカルのChorus836Vです。ペア¥360,000(税別)とは思えないほどの豪華なユニット構成と仕上げの良さ。音質は、これまでのChorusの路線のメリハリがあって楽しい音です。輸入−発売開始は、11月下旬〜12月上旬とのことですが、この価格帯にあまりお薦めのスピーカーがない現状では期待できる製品だと感じました。私も初めて知ったのですが、ヨーロッパではフォーカルはB&Wに次ぐ大メーカーだそうです。それを納得させるだけの音質と仕上げを低価格で実現してるフォーカル(J’Mラボ)のスピーカーですが、なぜか日本では火がつきません。逸品館でも何度となく薦めていますが、爆発的なヒット商品には出来ずにいます。理由の一つはデザインや色に問題があった(日本人好みでない)と思いますが、今回のモデルはデザインも色も日本人にも好まれると思います。

(J’Mラボは、2006年限りでノアとの契約を打ち切ったため、新型スピーカーの輸入時期価格などは宙に浮いたままになっています)

GERMAN PHYSIKSは、立体感(定位感)が非常に優れ、中域の表現力に富んでいましたが、高域の情報量が少なく、音の出るタイミングにも少し無理があったように感じました。この部分さえ克服できれば、かなり完璧に近いスピーカーになると思います。

A&Mのブースは、レコードと真空管を使い温かみと厚みのある音で好印象でした。

B&Wは、発売時期も価格も未定という2Wayの記念モデルを参考出展していました。アコースティック楽器が電気楽器のような音で鳴っていました。私は好みではありませんが、売れているし人気があるから、それで良いのでしょう。

ナスペックのブースで鳴らしている、Joseph−Audioのスピーカーは割と好印象でしたが、価格もそれなりに高いです。このスピーカーをドライブしていたdarTZeelというアンプはかなりの実力派だと感じましたが、これまた価格もかなり高いです。でも、良い音を求められるなら、このセットはたぶん裏切らないと思いますが、自分の環境で聞いていないので断言は出来ません。

BOSEは、901WBでピアノを上手く鳴らしていました。遠くから聞くと、かなりリアルでしたが、良く聞くと中域だけで細かいところがまったく表現されていません。これは901WBだけではなく、BOSE全般に言えることですが、高域〜超高域にかけての表現が私にはもの足りません。ダイナミックですが、繊細さが足りなく感じてしまうのです。結果として、演奏の上手い下手が表現されず、何を聞いても同じように聞こえます。アメリカ的なダイナミックさはありますが、日本的、ヨーロッパ的な繊細さが欠けているように感じます。


某有名メーカーのホーン型Wウーファースピーカーの価格にも驚きます。確かにこのメーカーは、このトップモデルに限らず全製品の定価が製造コストから考えると驚くほど高いのですが、音はまあそれなりに良かったです。実際の所、価格に関しては、購入する人が判断できるので口を挟むのは野暮ですね。

インターナショナルオーディオショウに出展されている100万円を越える高額製品には、毎年のように価格がひと桁おかしいと思えるような製品が多く、とくに一番高いスピーカーとアンプの組合せから出ていた音には、あきれました。2000万円を優に超えるシステムの音が「ラジカセ」みたいだったからです。低域はすかすか、高域はパサパサ。アンプが私の心酔するスイス製のアンプだっただけに、組み合わせているスピーカーは相当悪いのでしょう。価格はすさまじいのに!

こんな音を聞く度に、飾るだけで「音を出さない方が良いのに」と思ってしまいます。いい加減なセッティング、価格を疑うようなお粗末な音、耳を疑うような知性のない解説。音楽のことを話している評論家や、まして海外から来ているメーカーの技術者は、ほとんど皆無です。音楽を聴くための装置なのに、技術自慢ばかりするのは、見識を疑うばかりです。本当は、あきれているのではなく「やめろ!」と怒鳴りたいくらい、怒りを感じます。あんなデモは、真面目にやっている私から見れば「営業妨害」以外の何者でもありません。

年を追うごとに価格と音質がどんどん歪んでゆくのを感じます。もちろん、そうではない製品もあるのですが、魅力を感じられない、高くなればなるほど、欲しいと思えない商品が多いです。入場料は無料なので見て聞くのは好きなだけ楽しめますが、自腹を切って欲しいと感じるものや心が「ぐっと」動いた製品はありましたでしょうか?

悪口ばかり書きましたが、先ほどお話ししたフォーカルのスピーカーのように「良い」と感じた新製品ももちろん見つかりました。それらは、発売後いち早く逸品館のHPで取りあげたいと思います。

ショウの初日が終わった後は毎年「有力オーディオディーラー」がおよばれになる「立食パーティー(関係者のみ)」が催されます。かくいう私も招待される一人なのですが、今年47才になった私より年下の招待客は皆無という状態です。それほどオーディオ専門店は、高齢化しているのです。

このパーティーを主催した「東京インターナショナルオーディオショウ実行委員会」の会長がパーティー開催の挨拶で、我々のことを「販売店様」とお呼びになったのには、興ざめでした。「専門店様」と言う表現が適切でしょう。もちろん、この方の挨拶の内容が大変つまらなかったのは言うまでもありません。

続いて「乾杯の音頭」を任されたのが評論家の長老(失礼)たる菅野先生です。齢70を越えられたのに、とてもお元気で饒舌。スピーチの巧さとリズムの良さには舌を巻かされます。菅野先生については、様々な見方があり、私も当初は評論家という立場でありながら利益誘導が過ぎる?のではないかと、穿った見方をしていましたが、その知識と経験の豊富さ、そして何よりも音楽とオーディオを愛されているという事が感じられるようになってからは、密かなファンとなりました。

もちろん、その姿勢については賛否両論あると思います。私もそれは否定しません。ただ、今回のスピーチでも「愛と情熱を持ってオーディオを・・・」とおっしゃられていましたが、某会長に「心」が感じられなかったのとは対照的に、菅野先生には「心」が感じられました。その「心」があればこそ、ゼロからここまでこの業界を引っ張ってこられることが出来たのでしょう。この業界の重鎮であられる菅野先生がもし引退されたら、一体誰がオーディオ業界を、評論家を引っ張っていくのでしょう?そんな人材は、もうオーディオ業界にはいないのではないでしょうか?

でも、安心してください。古い葉が落ちた後に、新しい芽が出るようにTRIODEの山崎氏やAETの小原氏、そしてまだ芽が出たばかりの若い世代に、新たなオーディオがしっかりと息吹いています。

輸入品でも50万円を超えない程度の製品に光るものがあります。QUADやウィーンアコースティックのスピーカー。ユニゾンリサーチやオーディオアナログのアンプやCD。インターナショナルオーディオショウには、「安すぎて」飾られないような製品群には、過去に例がないほど素晴らしいものが沢山登場しています。

逸品館は、そんな新芽を大切に育てながら、お客様と一緒に大輪の花を咲かせようと思います。「心」を込めて作られた製品には、価格には関係なく「それにしかない魅力」を感じ取れます。槇原敬之の歌ではありませんが「世界に一つだけの音」、「自分の納得できる音」さえ出せれば、機器の価格など問題ではないのです。大切なのは「知識」よりも「智恵」、考える力、生み出す力です。それを鍛えるために、情報を集め時間をかけて、挑戦し、達成感を味わうのがオーディオという趣味の醍醐味だと思うのです!

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