逸品館メルマガ バックナンバー 056

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逸品館ショッピングカートメルマガ 2007.10.14
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今回のメルマガは、オーディオから離れて「浪速の商売人」のお話です。

私は、大阪市内の商家に生まれ育って、小さな頃から両親が商売をしているのを見て育った生粋の「浪速の商売人」です。大学を卒業してからも、家業が呉服関係だったこともあり明治後期や大正時代の「年配の商売人」と良く一緒に仕事をしていました。その頃にたたき込まれたのが「浪速の商売人の心得」です。

一般には「大阪の商売人は、がめつい」と思われているようですが、それは全く違います。大阪の商売人は「船場の旦那衆」に代表されるように、商売人であると同時に文化人であることが求められていたからです。私が、たたき込まれた大阪商人の哲学はいくつかありますが、全国的にも有名なのが「損して得取れ」という言葉だと思います。

この言葉の意味は「目先の利益にこだわらず、もっと大きな目線で商売を見よ」と言うことなのです。そんな大阪商人の私から見ると、最近の大手量販店の傍若無人ぶりは、ほんとうに「未熟だな〜」としか思えません。本当に彼らは、目先のことしか見えていないからです。その代表的な行為が果てしのない安売り競争です。その結果がメーカーへの仕入れ価格の圧迫(過剰な値引き要求)−企業利益の圧迫によるリストラや賃金の下落。そして、ますます安いものしか売れなくなる。さらなる値下げ。という悪循環です。商売の土壌が庶民の生活なら、彼らがやっていることは、庶民の生活の破壊でしかありません。

その逆の例もあります。それは、空前の利益を上げ続けている「トヨタ」を代表とする「自動車産業」です。

確かに自動車業界でも、大幅なリストラやコストダウンは行われましたが「自動車の販売価格を維持」したことによって、平静が取り戻せつつあります。自動車業界が「消耗戦のような値引き競争」を行わないのは、各社の「自動車の販売価格」を見ればよくわかります。ほとんどのメーカーの代表的な車種の価格は「横並び」になっているはずです。もちろん、時々は在庫調整のために、大幅な値引きが行われることがありますが、そんな時でもそれを決して表面に出しません。それが表面に出た瞬間に、自社商品の信用が失墜し(買ってから値下がりが大きいメーカーの車種を再び新車で買う人はいない)、次の商品が売れなくなることを彼らは、身にしみて知っているからです。

そしてモデルチェンジの期間も国産車では、4〜5年というサイクルが暗黙の内に守られています。この考えられ、調整された「生産サイクル」が彼らの利益を守っているのです。そして、なぜだか世界中?でこのルールは、あまり大きく変わることがありません。もし、家電メーカーがこのような「生産サイクルのルール」を守れたなら、これほどまでに家電業界は、ひどい状態にならなかったのではないでしょうか?

話を戻しますが「損して得取れ」という言葉の中には、この問題に対する戒めも含まれています。目先の利益ばかりを追っていると、消費者(お客様)は、必ずその店を見限ります。信用できないお店とはつきあえないからです。私は「金を追うな=目先の利益を追うな。まず人に喜ばれる仕事をしなさい。人が集まれば、自然にお金も集まってくる」と教えられました。それには、目先の損を恐れないで未来に向けて「種を撒く」という心構えが必要です。目に見えない未来を恐れずに投資するのです。それを貫くには、先を見る力と確固たる信念、そして情熱と辛抱が必要です。商売をただの金儲けと考えずに、哲学的にも考え、それを「文化」にまで昇華させたのが「浪速の商人」だと私は思っています。

また、逸品館の社長が偉そうなことを言ってる!と思わないでください。「商売」に対して、こんなに強いこだわりを持つ私でさえ頭が下がるような「商売人」が大阪には、まだまだ生き残っているのです。

約半年ほど前「運動不足」を解消するために、自転車を買いました。私は電車があまり好きじゃなくって、車の免許を取るまでは、20Km程度の距離なら自転車で出かけたほど、自転車好きだったこともあり、「こだわりの自転車」を買おうと考えました。インターネットで「こだわりの自転車屋」を探したところ、自宅から何と500mほどの所に「それらしい店」を発見することができたのです。(http://www.acquoso.com/)。


このお店は、間口はそれほど大きくなく、一見大々的に商売をしているようには見えません。ちょっと大きめの「町の自転車屋さん」といった風情ですが、中に入って驚きました!その店内には、所狭しと「専門的な自転車のパーツ」が展示され、数十万円の自転車も多く展示されています。最高品なら、100万円近い自転車も置いてありました。凝り性の私の本性を見抜いたのか?購入時に、一通り私が得心行くまで、自転車を見せてくれたことを良く覚えています。そこで、いろいろと悩んだあげく「ダ・ホーン」という4万円弱の折りたたみ自転車を購入しました。いろんな安全装備をつけてもらって、4万円強の支払いだったと記憶しています。

それだけなら、親切なお店。と言うことで話は終わりなのですが、最近この自転車の「折りたたみ部分」が緩くなって、フレームの折りたたみ部分がやや斜めになってきたのです。私も仕事柄、機械には詳しいので自分でも直せそうだったのですが、万が一折りたたみ部分が走行中に壊れたら!とんでもないので、念のために自転車を買ったお店で観てもらうことにしました。3日ほど預けて連絡がなかったので、こちらから連絡すると「製造メーカーに折りたたみ部分に欠陥がないか?問い合わせの返答を待っている所で修理が完了次第連絡します」と言う返事がありました。翌日携帯に「修理が完了したので引き取りOKです。修理内容はご来店いただいたときに詳しくお伝えします」との伝言があり、自転車を引き取りに行きました。

修理内容の説明は、次のようなものでした。原因は「折りたたみ部分のロックレバーがゆるんでいたためにフレームが真っ直ぐになるまで引っ張られていなかった」、「ロックレバーの緩みは、レバー調整ネジが揺るんだため」、「調整ネジには、緩み止め材が塗布してあったが、量が少なかったため早期に揺るんだものと思われる」、「メーカーからは同様の故障はなかったと連絡があった」。「しかし、この部分の故障は危険なので折りたたみ部分は、念のためにすべて分解して異常な磨耗やゆがみがないか確認した上で調整ネジに特殊なワッシャーを入れてもう二度とゆるまないように対処している」。という心のこもった作業が行われていました。私は即座に「修理代は幾らですか?」と尋ねたら、にっこり笑って「無料です」という返事。高価なオーディオ製品を販売している私からすれば「たった4万円の買い物」でこれほどまで親切にしてくれるなんて!感激でした。


話はこれだけでは、ありません。私は魚釣りが好きで良く「三重県」に釣りに行くのですが、たまたま友人から誘いがあって「和歌山の加太に鯛釣り」に行くことになりました。そこで、普段使っている竿ではちょっと硬すぎるので、この魚釣りのために竿を買うことにしました。これまでは「つりぐのブンブン」という大型釣具店が近くにあったので、釣り具はそこで買っていたのですが、昨今の不景気?で大型釣具店は、大阪市内からほとんど撤退してしまって、小さな釣具店しかないのです。そこで、近くで一番はやっていそうな釣具店を選んでおそるおそる入ってみました。そこには、やはり自転車屋と同じように、いえいえもっと乱雑に展示と言うよりは倉庫に近く、詰め込めるだけ商品を詰め込んでありました。(http://www.fishingshop-ueshima.com/

まず、私は車を停めるところがないかと尋ねると、「道の向かいにガレージがあるからそこに車を停めてください」と言う返事。中央分離帯のある道でUターンするのは、面倒なので車はそこには置かず、すぐ近くのコインパーキングに止めて、店内に入って「かくかくしかじかで(上記参照)鯛釣りの竿を2万円くらいの予算で探している」というと「2階に行って聞いてくれ」との返事。狭い階段を(本当に狭い)2階に上がると、そこはまるで倉庫のよう。お客さんも含めて、5人ほどが満員電車の車内さながらに肩を触れ合わせるような状態で居て、一体誰が店員かわからない有様。しばらく様子をうかがって、店員だと思われる人に「かくかくしかじか・・・。」の話をもう一度すると「この竿がお薦めです。価
格は¥9,800です」と一本の竿を見せられた。


試しに振ってみると、悪くない。でも、社長の買い物としては(店員は、もちろん私が誰かは知らない)ちょっと頼りないので、近くにあった4万円の竿を見せてもらう。でも、それほど変わりはない。迷っていると、薦められた¥9,800の竿と同じメーカーの2万円の竿が見つかったので「こっちはどうかな?」と尋ねると「迷い始めるときりがないですよ。今回の魚釣りには、その2万円の竿では、ちょっと調子が悪いので、胴調子のこちらの¥9,800の竿を薦めています」との素っ気ない返事。特に高い竿を買わなければならない理由もないし、その¥9,800の竿も良くできているので、それを買うことにした。

ところが、やはり安い竿なので「継ぎ足す部分」がちょっと入りにくい。新しい物を探してくれたが、運悪くそれ一本しかない。「ちょっと待って貰えますか?竿をペーパーで研磨して、継ぎ目を調整しますから」と言われたので15分ほど待っていると出来上がった。お金を払って帰ろうとすると、オーナーらしき人が「待って貰ったんだから、そのハードケースをサービスしなさい」との指示を出す。こんなに安い買い物で、ケースまでもらって悪いな〜と思って店を出ると、また別の店員が付いてくる。なんだろう?と思っていると「車はどこに止められました?」と聞かれたので、教えてもらった駐車場は行きたい方向と逆なので、近くのコインパーキングに止めました。というと「じゃ〜、一緒に行って代金を払いましょう」。え〜ほんまに!駐車代金まで払ってもらった。

その上で、乗っていた車(HONDA インテグラ TYPE−R/DC5)まで褒められて、それがたとえリップサービスだとしても、悪い気はしないじゃありませんか!たった1万円の買い物で「この過剰なサービス!」これぞ、大阪商人の「正しい姿」です!残念ながら、潮が悪く鯛は釣れなかったけど、その竿の使い心地には大満足の釣行でした。

立て続けにこんな良い店を知って嬉しくて、私も「大きいだけの心のない店になるくらいなら、一生今のまま、心の通うサービスができる大きさの店」が良いと思ったのでした。商売は「量」じゃない「質」なんだと、逸品館を作ったときに心に誓ったことを思い出しました。近くのお店でさえ、こんな商売に一番大切なことを思い出させる、こんな出会いは、きっと「商売の町大阪」ならではの、人情話かもしれません。なんだか、自分の住んでいる町、自分の生きている人生をすこし誇らしげに感じてしまいました。本当に大阪に生まれて良かった!

どうか皆さんも、近くのお店をのぞいて下さい。そこには、大型量販店にはのぞめない「心のこもったサービス(オーナーの顔が見えるサービス)」が息づいているかも知れないですから。お店を選ぶのは、「価格だけ」なんて、まったく!つまらないじゃありませんか!

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