逸品館メルマガ バックナンバー 070

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逸品館ショッピングカートメルマガ 2008.2.2

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今回のメルマガは、前回からの続きです。前回送信したメルマガ(中音の重要性1)は、次のページからご覧頂けます。
http://www.ippinkan.com/mail-magazine/mail-menu.htm#melma

今回は、私が気付いた「中低音の重要性」について「中音を充実させるため私が行った聞き比べ方」について詳しくご説明したいと思いますが、その前に私が従来から行っていた音決めの方法についてご説明いたしましょう。

当初AIRBOW製品は、前回のメールでお話しした「高音の再現性の向上」に重きを置き、完全に「高音優先」の状態で音決めを行っていました。高音の切れ味やアタックの再現性が「生楽器の音にどれだけ近づけるか?」を最も重要な指標とし、スピーカーから再現される楽器の高音部、例えばバイオリンの高次倍音やピアノの響きの高質感、あるいはギター断弦時のアタック音の再現性などを聞き比べのポイントとしていました。「細かい音がどれくらい聞こえるか?」、「楽器の音がどれくらい小さいところまでハッキリ聞き取れるか?」という「耳に聞こえる音の細やかさ(大体が高い周波数の音)」を基準として、二者択一を迫られたときには「音がハッキリと聞き取れる方を良し」としていました。

この方法で音決めを進めると、音はどんどんハッキリ、クッキリしてゆきます。しかし、行き過ぎると音が痩せて固くなってしまいますから、限界を間違えないように、自分自身で録音した音源を音決めのマスターソースとして使っていました。再生した音を録音時に自分が聞いた音に近づける。原音忠実再生=「再生音を生音に近づける」と言う意味では、この方法は最も適切であったと思います。

しかし、その結果得られたのは、音楽をリラックスして聞くと言うよりは、音楽と厳しく対峙する方向の極めて高い緊張感を伴う音でした。当時(ごく初期)のAIRBOW製品)で音楽を聞くと「演奏を聞いた」というよりは「良い音を聞いた」という印象が強く残ります。演奏の現場、特に楽器の直近で演奏を聞くと、これと同じように楽器の圧倒的な「良い音の記憶」が優先され、どんな音楽を聞いていたのか?覚えていないことがありますが、当時のAIRBOWの音はそれに非常によく似ています。生音を目差した結果、生に非常に近づいたのです。そう言う意味では、今でもこの音は「正しい音」と考え、独自の魅力があると思っています。しかし、それから数年を経ずに「正しい音」=「音楽を楽しめる音」ではないことに気づき始めました。その音は、ソフトの「粗」をあからさまにしすぎるから
です。

この経験から私は音楽を楽しく聞くためには、全体のバランスをもっと重要視すべきだと考え、高音一辺倒の音決めの方法を「生音に似せるのではなく、全体から受ける印象がより生々しい音」を目差すことに改めました。具体的には、前述のような「高音の切れ味が生楽器の音と似ているかどうか?」という方向から「スピーカーから聞こえる音が、演奏された楽器の音の特徴をより上手く再現できているか?」にポイントを変えたのです。意識のポイントを「音を聞く」から「雰囲気を感じる」へ移動し、現場の音ではなく現場の雰囲気がそのまま伝わってくるか?を重要視するようにしました。結果としてどんなソフトをかけても、生演奏を彷彿とさせながらも、かつ音楽の雰囲気も十分に伝わってくる音質が実現しました。それからかなりの長期間この音質が個人的にはベストであり、
AIRBOWとして満足の行くものだと思っていました。しかし、このメルマガでも何度か話題に上げたイタリア製オーディオ(Ampzilla2000やUnison-research、ZINGALI)などを聞いたことと、菅野沖彦氏の著作「新・レコード演奏家論」を読んだことで、より思いきった音作りを行うことでさらに音楽再現の魅力を引き出せることを知りました。そして生まれたのが、TRV-35SE/Dynamiteを始めとする「固有の呼称入り」のAIRBOW製品です。

このように私の中で「再生音に対する要求」は年々変化を続け、より「リラックスして音楽を楽しめる方向」へと移行しつつあります。しかし、この変化は元々オーディオに興味を持った切っ掛けが「音」ではなく「音楽そのもの」を楽しむ事であった私にとっては、「原点への回帰」であり、当然のことであると解釈しています。スタートして横道へそれたり回り道をしながら、くるりと大きな輪を描いて、またスタートに戻ってきたような感じです。たぶん「皆様も同じような道筋を歩まれながら、オーディオを続けていらっしゃるのではないでしょうか?もしそうお考えなら、私の体験がお役に立てると思います。

「生音」から「雰囲気重視」への変遷の中で聞き比べの重要なポイントとなっているのが「中低音」だということです。もちろん、過去にサーロジックのサブウーファーのテストで体験したように「聞こえない低音部」が音質や音楽の雰囲気に大きな影響を与えることは知っていました。
http://www.ippinkan.co.jp/events_reports/plus_tokyo_2/sw1600_page.htm

しかし、それはあくまでも「中高音はそのままに低音部だけを改善する」という方法で得られたもので、今回のように思い切って「高音部を切り捨ててでも、中低音の充実にポイントを絞る!」という極端なまでの方向ではありませんでした。SA10/Ultimate開発時のリスニングテストでは、今までは絶対に犠牲にしなかった高音が若干犠牲になったとしても、「中音の厚み感」、「低音の力感」の充実に力を入れ、「身体に感じる雰囲気の濃さ(大体が低い周波数)」がより強く感じられことを優先したのです。そして、今まで気付かなかった新らしい世界を知ったのです。

SA10/Ultimateで聞く音楽は、充実感に満ちています。ビックリするくらい生々しく、AIRBOWらしい鳥肌が立つようなハッとする音や表現を感じますが、それは音にビックリすると言うよりは、心にずしんと来る感じです。良い意味で緊張感が全くありません。身体に力が入らず、リラックスした状態で心に音楽が流れ込んできます。演奏の場に居合わせていると錯覚するほど、リアリティーが高く雰囲気が非常に濃いのですが、全く緊張感が伴いません。リラックスした音でソフトが鳴り、ミュージシャンが普段着で音楽を心から楽しんでいるように聞こえます。コンサートを特別なものではなく、非常にフレンドリーに親しみのある感じで聞くことができます。

あえて高音の「明瞭度(ハッキリ感)」を追求しなかったにもかかわらず、楽器の「高音感」が従来の製品よりもリアルに感じられるのも不思議です。例えば、シンバル。従来のモデルで聞くシンバルは、切れ味鋭く、シャンシャンと元気良く鳴るのですが、SA10/Ultimateでは、派手さはありませんがシンシンとシンバルらしい重量感や厚みを伴った音でそれを聞くことができます。耳で判断すると、前者の方が「音」は、似ているのですが、後者の方がシンバルの「存在感」が強く感じられます。出てくる音が「それらしく、美味しい」感じがするのです。ベースやドラムは、中低音を充実させたのでパワフルで厚みがあります。高音の明瞭度がやや後退したにもかかわらず、中低音の充実によって演奏のエネルギー感やリアリティー感が向上するという、今まででは考えられない結果が得られました。(以下次号のメルマガに続く)

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