逸品館メルマガ バックナンバー 074

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逸品館ショッピングカートメルマガ 2008.3.01

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先号メルマガの終わりに、良い音と映像に触れると五感が自然にリセットされ、心と体が自然なバランスを取り戻す。と書きましたが、私はこれをとても重要だと考えています。私たちは、五感に頼って現実を認識しているからです。

私たちが感じている、認識している「現実」とは、五感から得た情報を元に脳の中に作り出したイメージにしか過ぎません。睡眠中に夢を見ますが、これは脳が記憶から得た情報を元に作り出したイメージです。情報源が違うだけで、脳が作り出すイメージということに差はありませんから、私たちには夢と現実の区別が付きません。私たちが感じている「現実」は、五感が得た情報そのものではないのです。同一人物が同じ状態に置かれたとしても、その時の気分や体調、直前に経験した出来事によって「現実の認識」に違いが生じるのはそのためです。

例えば同じ音でも繰り返して聞き続けると、段々と違った音に聞こえますが、それは「脳がその音を記憶」して、今聞いている音を補完し修正してしまうからです。繰り返し同じ音楽を聞き続けると、感覚が麻痺してしまい比較ができなくなります。同じ音源で聞き比べができるのは、せいぜい数回程度ですが、意外とこの事実は忘れられています。しかし、どこからどこまでが「真実」でどれだけが「脳が作り出した創造」であるか?音で区別が付かないように、私たちが認識している「現実」でさえもその「区別」は付かないのです。

話を視覚に移しましょう。視覚が錯覚(脳の勘違い)によって歪むことはよく知られています。「だまし絵」がその代表ですが、それを見ても私たちは「脳が現実を歪ませている事実」を全く認識できません。結果としてだまし絵に騙されます。もし、脳が五感の情報を歪ませていたらどうなるでしょう?全く気付かずに脳が作った「歪な世界」を現実だと誤認識してしまうことでしょう。

だから、この無意識下に行われている脳の情報処理を「自然な状態」に保つことが、正しい現実認識を行う上で非常に重要だと主張するのです。成長期の子供がゲームなどを続けることで、正しい現実認識ができなくなるという問題が指摘されていますが、ゲームだけではなく普段見聞きする音や映像からも私たちは大きな影響を受けています。

特に集中して見聞きする「オーディオ、ビジュアル」の「質」が自然か?不自然か?は、非常に重要です。不自然に強調された音や映像を見続けていると「疲れる」のは、脳が強調された歪みを元に戻そうとオーバーワークになるからです。

もし、「不自然な音や映像」を見続けても違和感や疲れを感じなくなっているとすれば、それはかなり危険な状態です。私たちに生まれながらに備わっている「自然な感覚」が鈍くなってしまっているからです。そんな時には、五感をリセットして欲しいと思います。アウトドアで体中に自然を感じれば、私たちの五感は自然にリセットされます。感覚がリセットされれば、気分や体調も替わるはずです。

前号では、また「いい音」や「良い映像」を受け止めるためには「正しい経験」が重要だと書きました。それは確かにそうなのですが、この話も誤解を避けるためには、補足が必要だと思うので書き加えます。

人種の判別を例にします。ヨーロッパ人やアメリカ人から見れば、私たちアジア系の人間はすべて同じに見えると聞いています。アメリカのドラマを見れば、明らかに韓国系や中国系と思われる人種が日本人として登場することから、この話が間違いでないことがわかります。では、彼らには「人種を見分ける力」が備わっていないのでしょうか?そんなことはありません。逆に彼らが容易に判別できるアメリカ人とヨーロッパ人の国籍の判別が、我々アジア系の人種には難しいはずです。つまりそれぞれの「判別能力」が問題なのではなく、「普段触れている情報=経験」が細かい部分の判別(判断)にとって、非常に重要だということがこの例えからわかるはずです。

音や映像、芸術の鑑定もそれとほとんど同じです。普段どれだけ「判別するために必要な情報に触れているか?=豊富な経験があるか?」が細かい部分の判別を正しく行うために、非常に重要になるのです。個人の能力差が問題とされるようになるのは、それよりもずっとずっと先の話です。

しかし、それはそれとして「良い音楽を聞き、映画を観たときの感動」は、何物にも代え難い喜びです。そしてこの仕事を通じて、それがお客様に伝わったときの喜びはそれよりもさらに大きなものです。うるさいことも言います。偏ったことも、間違ったことも言います。私はただの人間だからです。でも、人間だからこそ、言葉に心を込めなかったことは一度もないつもりです。わからないことは、尋ねてください。それができるかどうかはわかりませんが、全力でお客様のお力になりたいと、逸品館のスタッフは常に考えています。

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