逸品館メルマガ バックナンバー 131

今年は夏が短かったですね!朝晩はすごく涼しく(時には寒く)昨年より、1ヶ月くらい早く秋がやってきた感覚です。まだ夏が終わっていないにもかかわらず、新型インフルエンザも猛威を振るっています。お体には十分ご注意下さいませ。

さて、逸品館が始めた新しいプロジェクト「B.AIR」の関係で「楽器族」という管楽器系の情報誌に楽器族読者様のためにオーディオについてコラムを連載して欲しいと頼まれました。考えた末に「音楽とは何か?」について書こうと決めました。音楽を聴くオーディオファンだけではなく、演奏家も「音楽とは何か?」と問われたとき、明確に答えられない事が多いように思うからです。では、このメルマガをご覧の皆様には、一足早く「楽器族のコラム」をお届けしましょう。


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「逸品館亭主のひとりごと〜楽器族のためのオーディオ入門・その1」

現在はオーディオショップを経営しており、オーディオの専門家のように見られがちな私ですが、実は私が音をしっかり意識して触れた楽器は「ギター」でした。本誌読者のほとんどは管楽器愛好家だと思いますが、みなさんがマウスピースや楽器を選んだり、それらにさまざまな工夫を加えて少しでも良い演奏をしたい…と考えるのと同様に、私もそんな一心から弦を選び、ピックの厚みを変え、ブリッジを削り、少しでも良い音を出そうと工夫を凝らしました。

でも考えて欲しいのです。「良い音」とはどんな音でしょうか?正式な音楽の教育も受けず、安物ギターとラジカセ程度でしか音を聞いていない…という、決定的な「経験不足」でありながら、本当の「良い音」など分かるのでしょうか?

人のことを言っているのではありません。私自身、オーディオショップを始めた頃はそんな状況だったのです。クラシックのコンサートにもほとんど行かず、もっぱらオーディオでしか音楽を聴かず、生の音にほとんど触れることがありませんでした 。ところがひょんなことからある指揮者と出会い、彼に師事して音楽を学び、楽器の構造を研究し、多くのプロ演奏家の出す音を聞く機会に恵まれてからというもの、私の「楽音」に対する理解は一気に深まりました。

さらにコンサートをリハーサルから立ち会って音を作る現場も経験し、最近はB.AIR(注)の仕事の関係でライブハウスやスタジオにも出入りするようになり、代表的な音楽が作られる現場を一通り体験することができました。しかし、それでも「なぜ音楽を演奏するのか?」という根本的な答えにはたどり着けませんでした。

現場で「答え」が得られなかった私は、音楽のみならず人間の聴覚や、人間と音に関する書物を片っ端から読みあさりました。そして、アルフレッド・トマティス博士の「人間はみな語学の天才である」(翻訳:トマティス研究会 発行:アルク)という著書を知り、ようやく納得の行く「答え」にたどり着いたのです。人間には生まれながらに語学能力が備わっているので、教えられなくても言葉を話せるようになります。では言葉を話さない動物たちは、どのようにしてコミュニケーションをとるのでしょう?

「鳴き声」です。私たちが当たり前のように使っている「言葉」ですが、実は人間の長い歴史の中でほんの最近生まれたばかりなのです。そのため、「言葉」はまだまだ未熟で心のすべてを相手に伝えられません。すなわち音楽とは「人間の鳴き声の名残(あるいはそれが更に進歩したもの)」であり、言葉に変えられない人間の感情を伝え、共有するために残っているコミュニケーションの方法なのです。

楽しいとき、悲しいときやセレモニーで私たちが音楽を奏でるのは、すごく自然なことです。そしてある感情を伝えるときに、どの音を選べばよいか?その感覚も言語能力同様生まれながらに備わっています。人間が生まれながらに語学の天才であるように、すべての人間は生まれながらに音楽の天才でもあるのです。どうか自分の音に自信を持って、感情を音にのせて、音楽を奏でて下さい。その音は、人種や年齢の壁を越え、誰にでも必ず伝わるのですから。

「心が伝わること」これが、私の音楽と音に対する根本的な考え方です。私がオーディオ機器を選ぶときや作るとき、AIRBOW製品を作るときにも「その音から心が伝わること」を一番大切にしています。

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