逸品館メルマガ バックナンバー 222

最近の世間の動向で、気になっていることがあります。それは無菌グッズのような「過ぎた清潔思想」です。考え過ぎかも知れませんが、私自身は「「他人を病原あつかい」しているような気持ちにさせられる「無菌グッズ」が大嫌いです。なんだか、それを使うことで逆に人を不愉快な思いをさせているように感じるからです。


無菌グッズだけならば目くじらを立てる必要はありませんが、自己中心的な正義に固まりすぎて、自分さえ良ければ構わないというような自己中心的発想が蔓延るのは困りものです。たとえば、今回の「平野達男震災復興相」の「ばか」発言。私はその場に居合わ
せていないので事の真偽はニュースで確かめるほかありませんが、「ばか」という意味には親しみが込められていることもあり、一概に悪いとは言えないという意見に賛成です。また、発言の一部を切り取って拡大し事の是非を云々するのは間違っていると思います。もちろん、事件の一部を拡大しておもしろおかしく報道し「視聴率(ヒット率)」を稼ごうとする報道の偏りにも強い憤りを感じます。

「暴力団排除条例」にも疑問を感じます。この条令や法律に関し、出所した山口組のトップが「ギャングと任侠は違う。世の中の仕組みに添えない人間が生きている世界が任侠だ。そこにはそれなりのルールがあり、必要悪だ。」と言っていましたが一理あると思います。決して暴力団を容認したいわけではありませんが、存在意義がなければ「やくざ」は、最初から生まれないし、続いてこなかったはずです。例えは悪いですが、駐車場がないのに駐車違反を取り締まれるでしょうか。それとも取り締まりを開始すれば、自然に駐車場が増えるという考えなのでしょうか?ここにも行き過ぎた「清潔思想」が見え隠れするように思います。あるいは、その清潔思想を煽ることで、利益を得る団体があるのかも知れません。シーシェパードや、グリンピースのように。

社会は「リスク」と「リターン」で成り立っています。清潔を好み感染症にかかりたくなければ、極端な話一生無菌室で過ごせばよいのです。しかし、無菌室を出れば感染症のリスクを負う代わりに「人生の楽しみ」という有意義なリターンが得られます。「ばか」発言も同じではないでしょうか?それによって傷つく人もいれば、それによって力づけられた人もいるはずです。報道の姿勢やトップに求められるのは、「リスク」と「リターン」を正しく説明し、よりより方法を提案できる柔軟性と対応力ではないでしょうか。

日本は法治国家ですが、法律がすべて正しいとは限りませんし、法律を守ればそれで良いというのでもありません。法律をあまりにも過信すれば、「立法する権限」をもつ一部の特権階級を蔓延らせるだけになります。「リスク」を過度に恐れたり、一部の法律違反だけを取り上げてまるでバイ菌を除去しようとするかのような画一的な行動は、「いじめ」を正当化してているようであまり気分が良くありません。

「弁証法」という言葉をご存じでしょうか?古代ギリシャの哲学に初めて登場する言葉で、議論の技術を示しています。有名な「弁証法」にヘーゲルが唱えたものがあります。簡単に言うとそれは、議論はまずある命題(テーゼ=正)が生まれることから始まり、次にそれと矛盾する、もしくはそれを否定する反対の命題(アンチテーゼ=反対命題)が持ち上がり、その対立の中から新しい「テーゼ(ジンテーゼ)」が生まれる。この繰り返しで、論議は深まり高まるという考えです。私たち日本人は特に「決められたこと」、「明確なこと」に恐ろしいほど従順で、反対意見を堂々と述べません。本来自由な社会というのは一人一人が「自分の考え」をもって「自由」に行動し、結果の「責任」を取るというのがルールです。過度なルール違反を抑制するために作るのが「法律」です。法の執行は、不可か可という単純なものではなく、十分な論議を行い「折衷案(さらに良い案)」を生み出すべきです。また、間違った立法(公務)は訂正し、しかるべき責任をとるべきです。

話が長くなってしまいましたが、今年、世界で最も古くから優れた哲学が生まれた国「ギリシャ」が存亡の危機に面しています。現代社会の歪みの象徴のようで皮肉です。このまま社会が暴走を続ければ明日は世界が「ギリシャ」になるかも知れません。権威や数字を信じすぎるのは危険です。常に考えることが大切です。それは、オーディオ・シアターという趣味でも同じです。

オーディオにおいて、私は長い経験を通じて一つの結論に達しつつあります。オーディオは単なる「情報復元装置」ではなく「失われた音と音楽を復元できる高度な復元装置(アナログコンピューター)である」という考え方です。オーディオ機器の価値は「音質」で決まるのではありません。オーディオ機器の価値は「復元できる音楽の品質」で決まります。それこそが、非常に重要なことです。

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TADから新しいスピーカーが発売されます。E1 200万円(ペア・税別)生産完了詳細と音質インプレッションをまとめてみました。
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