逸品館メルマガ バックナンバー 243

この時期、大阪ではいよいよ桜の満開が近づいてきました。毎年不思議に思うのですが、そこの日当たりが良いのか?はたまたその木だけ気が早いのか?ずらりと桜が並んでいても、毎年一番早く満開になる木が決まっているのです。木に口があるのなら、どうしてなのか教えて欲しいです。

逸品館の釣りブログに掲載しておりますように、最近社員や友人と一緒に和歌山広川町にある海上釣り堀によく行っています。その道中、大阪から阪和自動車を利用して海上釣り堀のある広川ICに向かう途中、有田ICの手前(大阪側)にある長いトンネル出て有田ICを通過し、次のトンネルに入るまでの5〜6kmの区間だけ気温が必ず「3〜4℃」高いのです。山と山に囲まれた盆地という地形だけでは、これほどの気温差が説明できないので、地熱などの影響かな?と考えています。また、この特殊な環境が「日本一甘い有田町のミカン」を生み出しているのかな?と考えたりしています。

有田ミカンだけでなく、穀物や魚介類など食べ物は産地によって風味が違うことが広く知られています。しかし、工業製品は全般的に産地によって性能に違いがあるとは考えられていません。メーカーもそのような品質のばらつきが起きないよう品質管理には十分な配慮を行っているので当然のことです。

この当然がオーディオ機器には当てはまりません。同じメーカーの同じ型番のIC(集積回路で作られたパーツ)でも製造ロットによって微妙に音が違いますし、基盤や抵抗、トランジスターやキャパシタなどオーディオに使われるパーツのほとんどが「産地=製造工場」の影響を大きく受けます。

このパーツによる音の違いが広く知られているのが真空管です。同じ規格の真空管でもメーカーや製造年(ロット)が違えば、音がまるっきり違います。最近、中国から精密な300Bの復刻球が発売されました。その音質を88年製のオリジナルのWestern 300Bと比較し、録画してみました。それぞれの音の違いがおわかりいただけると思います。
http://www.ustream.tv/recorded/21189978
http://www.ustream.tv/recorded/21191323

真空管による音の違いが知られているのに対して、「製造によるスピーカーの音の違い」はあまり知られていないように思います。スピーカーの構造は楽器に近く、ギターやバイオリンと同じようにキャビネットの材質や表面の仕上げが音質に影響します。また組立時の部品の取り付け具合も音質に影響します。少し前に逸品館では、トルクドライバーを利用してスピーカーユニット締め付けねじのトルクを調整して音を良くするグッズを販売していましたが、ユニットの締め付けトルクは音質に非常に大きな影響を与えます。

組み付け精度によって音が変わりやすいスピーカーの品質管理は、完成後に全数音質チェックを行うのが理想です。しかし、それではあまりにも手間暇とコストがかかりすぎるため、品質管理は「工作精度の向上」に頼っていますが、それでは製品個別の音の違い=当たり外れを完全になくすことができません。


同じ問題を抱えている楽器の製造では、古くからスタイウェイのピアノが製造から修理まで徹底した「音質管理」を行っている事が知られています。
http://www.steinway.co.jp/
スタインウェイほどではありませんが、逸品館が取り扱っているスピーカーのいくつかにもヒヤリングによる品質管理を行っているメーカーがいくつかあります。

まずPMCの限定生産品Signature Series Modelです。PMC Signature Seriesは製造後ヒヤリングテストが実施され、合格の証としてPMC 創業者で設計者でもあるPeter Thomas(ピーター・トーマス)氏のサインがプレートに刻まれています。Musikelectronic社の製品も全数出荷前に「ヒヤリングテスト」が実施されます。Stirling Broadcast社の製品も設計者自らが「最終ヒヤリングテスト」を行った後に出荷されています。

逸品館ではこれらの製品を特に高く評価していますが、それは偶然ではありません。スピーカーは楽器と同じように丁重な最終調整=調律を終え初めてその最高音質を発揮します。作り放しの楽器とそこからさらに一台一台丁重に調整された楽器の音質の違いは、すなわちテストを行わないで出荷されている未調整のスピーカーとヒヤリングテストが行われているスピーカーの音質差と同じです。これらのお薦めスピーカーは、同価格帯の他のスピーカーとは音楽の再現能力に大きな違いがあります。

最新のテクノロジーやマテリアルだけがオーディオ製品の音質を向上させるのではありません。豊かな自然が「素晴らしい作物」を育むのと同じように、音楽への尽きることのない愛情が「素晴らしい音」を育みます。これからもそういう素晴らしい製品を一つでも多く、探し出してご紹介したいと思います。

4月21日土曜日に「真空管を使った音高度な音楽復元コンピューター」と私を納得させた「EAR」のフラッグシップモデル試聴会を3号館にて開催いたします。ただのデジタルデーターが、見事に有機的な音楽に生まれ変わる瞬間を耳にされてみませんか?

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