逸品館メルマガ バックナンバー 274

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。


今日は今冬最高の冷え込みでエアコンを入れていても室内は寒く感じ、キーボードを打つ指が凍えないように、暖かいお茶やコーヒーを飲んで暖を取りながらメルマガを書いています。

最近、私の訴求が不味いのか?自分が本当に良いと感じる商品の販売数が思ったほど伸びません。製品と情報が乱立しているのが原因とも思いますが、これは聞いて欲しい!と感じる製品がまとまってでないのは、少し寂しくもあります。そこで今回のメルマガより心からお薦めしたいエポックメイキングな製品とそれにまつわるオーディオネタを取り上げていこうと思います。

今号はCDプレーヤーで過去最高のサウンドを実現したと考える、AIRBOW TL3NAnalogueとDAC3N Analogueをご紹介したいと思います。

CDプレーヤーが登場した当初は、Philipsのメカニズム「CDM-0(1およびその後継メカ)」を搭載するモデルの音が良いと言われました。補修部品の枯渇により今では修理が難しい当時のモデル、Studer A727、Revox  B226、EMT 981、Philips LHH-2000などは今でも高価な価格で取引されることがあります。

搭載するメカニズムが音質に影響し、それが「CDの売れ行きを左右する」と分かったことで、オーディオメーカー各社はこぞって「オリジナルメカ」の開発に着手します。この時期に生み出されたのは、CDをターンテープルの上にのせるPioneerのターンテーブル式メカニズム、ターンテープル上からCDに押しつけてディスクの振動を抑えるEsotericの「VRDS方式」、ディスクが回転する部分を密閉して空気の流れを制御することでディスクの回転振動を抑制するnakamichiのメカニズムなど、枚挙にいとまがないほどです。


しかしCDプレーヤーの販売が低調になるにつれて、オリジナルメカニズムは消えて行き、現在も残っている特徴的なオリジナルメカニズムは、EsotericのVOSPとVRDS。そしてCECのベルトドライブ(Burmesterもベルトドライブメカを作っていますが、少数なので除外しました)だけになってしまいました。

では簡単にそれぞれのメカニズムの特徴を挙げてみましょう。オーディオファイルに広く知られているEsotericの「VRDSメカニズム」は、ほんの少しテーパーがついたすり鉢状のターンテーブルをCDの上から圧着させることでCDディスクの歪み除去し、回転振動を抑えCDの読み取り精度を向上させます。VRDSの影に隠れてあまりクローズアップされない「VOSPメカニズム」は、Philips CDM Seriesメカニズムの考えを取り入れ、レーザーを照射/受光するピックアップレンズの動作精度を向上させCDの読み取り精度を向上させます。

CECのベルトドライブ方式は、CDの回転とピックアップレンズの移動にゴムベルトとプーリーを組み合わせるて使うことで、モーターのトルク変動とギアのがたつきによる振動を抑制し、CDからデジタル信号を読み取るときに生じる振動「ジッター」を激減します。ベルトドライブメカニズムの「ディスクに振動を伝えない考え方」は、アナログレコードプレーヤーのベルトドライブと同じです。デジタルにアナログの考えを取り入れ、独自の技術により完成したCECのベルトドライブメカニズム、VRDS方式よりも遙かに安価な上、それを超えるほどのスムースなディスクの回転と読み取りレンズの移動を実現し、驚異的な「低ジッター」を実現します。CECが発売するベルトドライブメカニズムを搭載する製品は、新旧にかかわらず、ダイレクトドライブメカニズムとは一線を画す透明で滑らかな音質を実現します。

では、何故メカニズムがCDプレーヤーの音質に影響を与えるのでしょう?最近ディスクのマテリアルをガラスにした「ガラスCD」や透明度の高い特殊な樹脂を使った「SHM-CD」などが高音質を実現するとして販売されています。確かにそれらのディスクを通常のCDと聞き比べると、高域の透明感や明瞭度が断然高く感じられます。

では何故、ディスクの材質が音質に影響するのでしょうか?それはCDプレーヤーから音が出る時「CDディスクの振動が音として再生される」からです。デジタルなのにディスクの振動が音として再生されるのかは解明されていませんが、経験的にCDディスクの振動が音質に影響することは広く知られています。

CDの衰退と共にこのような「メカニズムの音質」は、あまり注目されなくなりました。しかし、PCオーディオの台頭で「メカニズムの音」が再び注目されています。なぜならば、「ディスクに起因する音付けが発生しないPCオーディオ」の音質、あるいは音楽の雰囲気が従来と異なることが分かってきたからです。また、ディスクの回転に起因する音が発生しないPCオーディオの音質を基準とすることで、各メカニズムに固有の特徴的な音をハッキリと把握することができるように
もなってきました。

このディスクの振動が再生音に与える影響を経験的に解明し、積極的に音作りに利用した製品が冒頭に紹介したAIRBOW TL3N Analogueです。

TL3N Analogueは、AIRBOWがCECベルトドライブトランスポーター専用に作ったスタビライザーSTB-1を「ディスクと共鳴」させ、CDの録音時に切り捨てられた「楽器の高域倍音」を復元するようにデザインされています。つまり、弦(発音部)の音を胴(共鳴部)に伝え、それを振動させることで「美しい響きを生み出す楽器」の要素をCDプレーヤーに取り入れることに成功しているのです。

通常のCDプレーヤーでCDとSACDを比べると、SACDの高域の伸びやかさがCDを超えることが分かりますが、楽器の響きをアナログ的に復元するTL3N Analogueならば、CDの再生でSACDと同等以上の高域の伸びやかさが得られます。雑誌などに提灯記事を掲載することを嫌い、メディアに試聴機を出さないAIRBOW製品だから、あまり表沙汰にはなっていませんが、CDからSACD以上の音質を実現できるCDプレーヤーの誕生は画期的なことだと思います。

そしてTL3N Analogueと対になる、あるいPCと組み合わせてもお使いいただけるAIRBOW DA3N Analogueは、DACチップ以降のアナログ回路を工夫することで、やはりCDの録音時に切り捨てられた高次倍音と豊かな響きを復元します。

TL3N Analogue/DA3N Analogueはそれぞれ単体でお使いいただいても、従来CDでは再現できなかった素晴らしい音質で音楽を楽しむことができます。そして、それぞれを組み合わせて、逸品館お薦めの「外部クロックジェネレーターAntelope Audio OCX」をお使いいただければ、今まで誰も聞いたことがないような素晴らしい音でCDをお楽しみいただけます。もちろんその音質は、現在も名機の誉れ高いビンテッジCDプレーヤーを大きく凌駕します。

2012年に発売された製品中で、AIRBOW TL3N AnalogueとDA3N Analogueは特別な存在だと思います。ベルトドライブという方式、少し時代遅れなデザイン、最近元気のないCECというブランドなど、ニュース的にはあまりパットしない製品ですが、その音質は過去のCDプレーヤーの中で間違いなくベストです。

・TL3N Analogue/DA3N Analogue
http://www.ippinkan.co.jp/airbow/product/cd_transporter/cd_transporter.html

・DA3N Analogueのご紹介(動画)。
・解説
http://www.ustream.tv/recorded/25399268
・試聴
http://www.ustream.tv/recorded/25399980

次のメルマガでは、2012年に私を最も驚かせたスピーカー、Magico Q-1をご紹介したいと思います。
http://www.ippinkan.com/magico_q1.htm

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