逸品館メルマガ バックナンバー 285

PCをオーディオに組み込むには、現在USBによる接続が主流になっています。しかし、PCとDACを一対一で有線接続するのでは、CDトランスポートをPCに置き換えただけに過ぎません。確かにこの方法でもCDを遙かに超える大量の楽曲をコンパクトに保存し、それを自由に取り出せるというメリットはあります。しかし、音質的にはCDプレーヤーを超えるほどのコストを投じなければそれを超えられないデメリットもあります。

 

恵比寿のイベントで発表したオーディオ用OSを搭載したDLNAサーバー「AIRBOW SSS-2013」は、この問題を解決します。SSS-2013をDLNA(LAN)でネットワークに対応するDACを搭載するオーディオ機器(もしくはAVアンプ)に接続すれば、PC内部に保存する大量の楽曲をLAN回線で複数の端末(DLNA対応オーディオ機器)に(ストリーミング)送信できます。もちろん、DLNA対応NASやルーター、あるいはPCに搭載されるWindows Media Playerの共有機能などを使えばより簡単かつ低コストで実現しますが、その音質はCDを超えるものではありません。しかし、AIRBOW SSS-2013を使えば、その音質は大きく向上します。i-TunesやWindows Media Playerなどの高機能ミュージック・プレイヤーを使う場合と比べ、楽曲再生の自由度は制限されますが音質は高級CDプレーヤーに匹敵するほど向上します。PC/ネットワーク・プレーヤーの唯一の弱点であった、音質を大きく改善できるSSS-2013はこれからますます注目を集めると思います。SSS-2013の魅力をご紹介させていただいた、恵比寿リスニングルームでのイベント録画は、下記のページからご覧頂けます。
http://www.ippinkan.com/event_news/ebisu_20100612/ebisu_2013.htm

話は変わりますが、少し前に実施したTAD Reference Systemの試聴会ではSACDがCDを超えられない(SACDよりCDの方が音が良い)という衝撃の事実が明らかになりました。一般的な常識とはまったく逆行するこの結果は、CDの再生に特化したシステムを構築すれば、アナログレコード・デジタルを問わず、CDで過去最高の音質が実現するという事実を示しています。この事実が明らかになった、TADイベントの録画は下記のページからご覧頂けます。
http://www.ippinkan.com/event_news/pioneer_2010-09/2013-03-23.htm

SSS-2013やその他のPCオーディオの音質評価とTADイベントの二つの経験から、私は現時点でハイレゾやDSDについて私は次のような見解を持っています(今後この見解は変わるかも知れません。あくまでも現時点での見解です)。

1.  ハイレゾやDSDがCD(PCM 44.1kHz/16bit)より、優れているという論拠は「数字の世界」だけであり、実際に再生した場合には確実な優位性があるとは言えない。その理由は、デジタルのフォーマットは、いくら上位になっても「点」でしかなく、点を線に繋ぐ「アナログ回路」が優秀であれば「点」が粗くても、良い音が出せるからである。

2.  「フォーマット」よりも、元々の音源やレコーディング機材の品質がより重要である。その理由は、元々発生していない音は、録音できないから再現しない。表現力の乏しい音楽をいくら良い音で録音しても、それは表現力の乏しい音楽以上のものには再生できないからである。つまり「元々の音」がフォーマットよりも大切である。

3.  ハイレゾやDSDがCDより良い音で聞こえる場合には、CDの音質をさらに飛躍的に改善する余地がある。その理由は、Tad Reference Systemを完全にセットアップした状態でCDとSACDを聞き比べると、その音質に於いてCDがSACDを圧倒的に上回ったからである。

これはほとんどの人が経験していない「オーディオの頂点」に近い世界のお話なので、俄には信じがたいかも知れません。けれどオーディオの音質が頂点に近づくとその音は、生演奏を確実に、そしてそれを大きく凌駕します。なぜならマイクは私達の耳よりも高感度に音を捉えますし、スピーカーは生楽器よりも遙かに大きなパワーで音を出せるからです。生音が「正しく増幅」されたとき、その影響力は生音を超えます。音質がこのレベルに到達すると、良い書籍や映画、生演奏が人生に大きな影響を与えるのとまったく同じように、その音が人間の心にダイレクトに影響を及ばします。

話は変わります。HEGELの新製品をテストしました。従来のHEGELは音が良くても情が少し薄い感じがしましたが、今回テストしたプリメインアンプH300とUSB DACHD25からは、打って変わって溢れるような熱い情感を感じることができました。音が変わったのは設計者ベントさんの人生(心境)に変化があったからだと考え、近況を尋ねると「結婚して子供が生まれた。」と返答がありました。私が感じたように、かれは大きな吉事に恵まれたようです。今回の新製品から聞こえてくる音には、MR.ベントの「喜び」が宿っています。幸せに満ち足りた人が作るオーディオ機器で音楽を聞くと、聞き手の心も幸せになります。新型HEGELお薦めです。
http://www.ippinkan.com/hegel_h300_p20_hd25.htm


TADの音は日本製品らしく「TADによる色づけ」を一切感じません。圧倒的な細やかさとパワフルさでディスクに収録された「音」を粛々と完璧に再現するだけです。それに対してHEGELは、「幸せ」というテイストを原曲に加えます。録音された「音楽」を様々な方法で解凍することで、自分が好きな音、自分が出したい音、作りたい音が明確になります。私はこの二つの音を聞いて、これからはさらに感動的な音を出したい、作りたいと思いました。


たかがオーディオ、されどオーディオ。普段何気なく聞き流している音楽ですが、それにより熱い情熱を持って取り組む事で、あなたの人生に気づかなかった幸せがもたらされるかも知れません。

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