逸品館メルマガ バックナンバー 316

車業界が勢いの良かった1990年代、MazdaはM2というロードスターのチューニングカーを製造する子会社を立ち上げ、ロードスターの限定モデルM2 1001を作りました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/M2_(%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80)

300台限定で発売されたM2-1001を手に入れるためには、まず東京世田谷にあるM2本社ビルまで「直接申込」に行かなくてはなりません。この車に「ピン!」と来た私は大阪から世田谷のM2まで出向き、申込をすませました。しかし、結果はあえなく「落選」、諦めきれないわたしはダメ元でM2プロジェクト・リーダーの橘さんあてに熱い手紙を書きました。「車は単なる移動の手段ではなく、運転自体がクリエイティブな趣味の時間である・・・」、要約するとこんな内容だったと思います。

作戦通り?手紙は橘さんの心に響き、M2から「キャンセルが出たので1001を回しましょうか?」という返事が来ました。このM2に宛てた手紙は、M2 Voiceという会報誌の初号の一面に掲載されるほど彼らの心を掴みました。晴れてM2-1001/No.159のオーナーになった私は、その後ライフスタイルが変化するまで7年をM2-1001と共に過ごしました。その時代のM2-1001と共にある記憶は、今も色あせません。

 

1001を手放してから、国産車、輸入車、色々な車を乗り継ぎました。けれど思い出と共にあるのは、常に「Mazda」の車なのです。「Mazda」の車には、作り手の魂が見えます。単なる移動手段ではなく、彼らが生み出す車には「車と共にあるライフスタイル」が透けて見えます。ファミリア
には、お父さんが家族と共に車を楽しむシーンが、RX-7には早さを極めようとする精神が、ロードスターは走る道を吹き抜ける風を感じさせるバイクのような楽しさが、初代MPVには車と共にどこまでも走って行きたくなるようなモーターホームのような感覚が、RX-8には走る楽しさを極めた4シーターのコンセプトが感じられました。

しかし、彼らの生み出す車が常に完全だったわけではありません。より高い性能良い完全なマシンを求め、RX-8を手放し、HONDAのTYPE-Rを乗り継ぎました。HONDA TYPE-Rはマシンとしては良くできていました。けれどMazda車ほど愛着が感じられませんでした。

その後BMW 135iクーペ手に入れて今に至ります。135iクーペも製造から5年が経過しそろそろ次の車を・・・、と思いを馳せるのですが、ピン!と来る車が見つかりません。ドイツ車には確立されたヒエラルキーが存在し、私にはより高く、より大きな車が「偉く」見えるのです。逆に言えば、安く小さい車は「貧相」に感じられます。趣味の車に現実の階級が見えるのはなんだか腑に落ちません。

フランス車は独立した個性を持ち、そういうことがなく、友人の薦めもあってメガーヌ・ルノースポールもなかなか良いなと考えている時に、MazdaがZOOM ZOOMに続いて展開するさらに強力なメッセセージ「Be a Driver」を知りました。そしてロードスター25周年記念に作られたこのCMを見たときM2の持っていた「情熱」が脳裏に鮮やかに蘇りました。
http://www.mazda.co.jp/philosophy/history/roadster/roadster_25th/

このCMにちりばめられた彼らの言葉、主張の一つずつが心に響くのですが、中でも「作り手が情熱を込めてくつり上げた製品は、ユーザーにその気持ちが伝わる」という部分に強く共感しました。彼らが作る車、生み出す車は、まさしく彼らの主張通りの製品に仕上がっていますが、苦労して作り続けた、それを愛するお客様の想いに応えるために、作り続けたという言葉には思わず目頭が熱くなりました。

国産オーディオでは、TADがMazdaに最も近いと感じますが、逸品館が製造するAIRBOW、そしてお客様にお薦めするオーディオ機器にも「Be a Drive」のような熱い魂がを感じ取って頂けるでしょうか?

たかがオーディオ。されどオーディオ。実生活には必ずしも必要とされない趣味の製品ですが、それを正しく選べば、何物にも代え難い素晴らしい時間が育まれます。もう一度、ロードスターと暮らそうか?と悩んでいる今日この頃です。

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