逸品館メルマガ バックナンバー 327

5月にドイツ・ミュンヘンで開催されたHIGH-END Audio Show見学について感じたことを書いてみました。


・ミュンヘン HIGH-END Audio Show 見学記

今年5月、ドイツ・ミュンヘンで開催された「HIGH-END Audio Show」を見学しました。日本の高級オーディオショウでは今秋開催予定の「インターナショナルオーディオショウ」がよく知られていますが、ミュンヘンのオーディオショウはそれより遙かに大きく、ざっと見積もってもその規模は20倍以上でしょう。細かなパーツから、1億円を超える超高級オーディオシステムまで世界中のあらゆるオーディオ機器が展示されているミュンヘン・ショウでまず感じたのが「価格高騰」
。インターナショナルオーディオショウでも同様に感じるのですが、国際的に「オーディオ機器の価格はうなぎ登り」のようです。

国産オーディオスピーカーとしては最も高価なTAD R-1は国内価格700万円(海外ではそれよりもずっと高い)ですが、スエーデン「マルテン」社やMagico社は、現地価格で5000万円を超えるスピーカーを出展していました。1000万円オーバーのアンプが続々と出展され、システム総額1億円を超えるセットは、少なくとも5セット以上出展されていました。それらのすべてを聞けたわけではありませんが、超高級オーディオの音質はインターナショナルオーディオショウほど「悪く」は
ないとしても、価格を肯定できる魅力が私には感じられませんでした。

ミュンヘン・ショウはどのブースもほぼ満員で、通路にも人がいっぱい(TADブースを撮影した動画はYou Tube逸品館チェンネルでご覧頂けます)。大人気のオーディオショウですが、一体どれくらいの人たちが、超高額オーディオの音質に満足していたのでしょう?私にはそれを確認する術はありませんが、彼らの展示方法やデモンストレーションを通じて、音楽ファンとオーディオファンは必ずしも「同一ではない」と感じました。

高級オーディオ機器は、必ず「派手な外観」を持っています。キラキラと宝石のように輝く金属をマテリアルに使用し、あるいは高級腕時計のような精密なメカニズムが誇らしげに配置されます。楽器にも装飾が施されますが、共通するのは「見せる」という考えです。オーナーが持つ喜びを感じられるように、あるいはそれを観た人が一目で「高い」と感じるようにデザインされています。次に「高いものは大きい」と言うことです。カートリッジやトーンアームなどの大きさに制限(規格)が定められる一部の製品を除き、ほとんどの製品は高いものほど大きくなります。スピーカーしかり、アンプしかり。オーディオ機器の音質はある程度物量に比例しますが、それにしてもこんなに大きな機器を収められる部屋があるのだろうか?と感じるほど大きな機器が少なくありません。

機会を得て度々、「オーディオは響きの芸術である」という持論を書いてきました。それは聞くことのできないコンサートを「自宅で可能な限り良い音で聴きたい」という要求を満たすために必要な努力です。けれど音楽の本場ヨーロッパでは、わざわざ馬鹿高いオーディオ機器など買わなくても、そんな小難しい努力をしなくても、ずっと安く簡単に「本物のコンサート」を見聞きできます。オーストリア・国立オペラ座で「椿姫」を鑑賞してきましたが、チケットは2万円ほどです。驚いたことにオペラ座をはじめとして音楽の都「ウィーン」では、頻繁に日本語を見かけました。それは多くの日本人が音楽を通じウィーンと交流を持つからだそうです。ドイツのオーディオ、ウィーンのオペラ。そこから感じるのは、「簡単に触れることのできない本物」への渇望を満たすため、オーディオで音楽を精密に再現したいというと考えるオーディオファンが特別に日本人に多いのではないだろうかという考えです。

ヨーロッパから「輸入」されたオーディオと音楽ですが、世界と切り離された「島国」日本で独自の進化を遂げ、新たな素晴らしい文化を創り上げたのだと、私は感じています。

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