Mcintosh C22 MC75 マッキントッシュ 真空管プリアンプ パワーアンプ 音質 テスト レビュー 評価 価格 販売
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YAMAHA ヤマハ A-S2100 CD-S2100 プリメインアンプ CDプレーヤー 音質 試聴 比較 レビュー 価格 

 Mcintosh C22 MC75 音質テスト

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2013年よりイタリアのファンド「Fine Sound」の持ち株会社になったMcintoshから真空管プリアンプ"C22"とモノラル真空管パワーアンプ"MC75"の2モデルが発売されました。"C22"は1963年に発売されたC22のレプリカモデルとして2012年に日本専用モデルとして100台限定で発売されたC22がレギューラーモデルに昇格したものです。"MC75"もC22同様、1955年に発売されたMC75のレプリカモデルとして2009年に発売された限定モデルが、C22同様レギュラーモデルへと昇格しています。

レプリカ(復刻モデル)がどれくらいオリジナルモデルを忠実に再現しているかは重要な問題です。回路や外観は当時に似せられても、使われている「部品」は最近製造されたものに変更されています。例えスペックや回路仕様が同じでも「部品が異なれば、音が変わる」のは、オーディオ機器の常識です。では、現在中古市場で売買されている「オリジナル」は当時の音質を留めているのでしょうか?

ここ最近「Wireworldやaudioquestなどの高級ケーブル」の偽物がネットオークションを中心に出回り問題となっていますが、新しいものだけではなくビンテッジと呼ばれる古い時代のオーディオ製品にも「偽物」が多く存在します。ビンテッジのまがい物で良く見かけるのは、「真空管」。中古球の印刷を消して、新たに印刷を施した再生品は、業者の間では「洗い球」と呼ばれています。経年変化と長時間の使用でエミッションが低下した球を、新品として販売する汚いやり方です。また、高額で売買されることの多いビンテッジオーディオ機器の偽物は、日本の業者だけではなく中国の業者も作っていて、外観はプロでさえ見分けが付かない巧妙な製品がほとんどです。

逸品館の設立は平成元年(1989年)ですが、中古オーディオとしてC22/MC275の「オリジナルモデル」を何度か取り扱ったことがあります。これ以外にもオリジナルのMC240、C20などを複数聞いた事があります。現在ビンテッジ品として販売されている"オリジナルモデル"は、耐久性に限界のある電解コンデンサー(ケミカル・キャパシター)が新しいものに変えられたり、あるいは音質の要となる真空管やカップリングコンデンサー、抵抗などが交換されたものがほとんどです。経年変化もあり、当時の音質をそのまま留めてる個体は「あり得ない」と考えられます。オリジナル(本物)の音を知らなければ、修理により音が変わった個体(ほとんどそうです)や偽物を見分けることは難しいと思います。くれぐれもご注意下さい。

今回試聴を行うC22/MC75は、どちらの製品も「当時のオリジナルモデル」とは、部品や配線がまったく異なります。当然音質も少なからず違うはずなのですが、Mcintoshのブランドイメージは高く、限定モデルとしてレプリカが売り出される度に完売となっています。しかし、オーディオ機器を聞き分け、さらには生産する技術までもつ我々としては、メーカーが製作するレプリカもある意味では「偽物?」ではないのだろうかと感じる事があります。

はたしてレプリカは、私の記憶にある「オリジナル」とどのように違っているのか?その誉れ高きMcintoshサウンドは、「レプリカ」にも宿っているかどうか?今回は、じっくり聞いてみようと思います。


試聴に使ったスピーカー

Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)

 
形式 3Way・5Speaker・バスレフ方式
ユニット 高域:28mm/シルクドーム
中域:152mm×1/スパイダーコーン
低域:178mm×3/スパイダーコーン
能率 91.0dB/1W/1m
クロスオーバー 150Hz/2600Hz
周波数特性 28-22Hz
インピーダンス
サイズ W245×H1130×D455(mm)
重量 32.5Kg(1台)
希望小売価格 900,000円 (ペア・税別)
仕上げ ローズ、チェリー、ピアノブラック
ピアノホワイト

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試聴に使ったCDプレーヤーとアンプ

AIRBOW SA14S1 Master

AIRBOW PM11S3 Ultimate

PM11S3/Ultimate
360,000円(税込) 565,000円(税別)
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音質テストの概要

C22はウォーミングアップを兼ねて、開発中のネットワーク・プレーヤーNA8005 StudioとプリメインアンプPM11S3 Ultimateの間に入れて聞き始めました。

音が出てしばらくの間は低音と高音のレンジが丸められて中域に音が偏った、いかにも「ビンテッジ真空管プリアンプ」のイメージでした。3.5Wayのワイドレンジスピーカー"Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)"がまるで「フルレンジスピーカー」のようにタイトな鳴り方をします。ネットワーク・プレーヤーとプリメインアンプを直接繋いで居るときに比べ、解像度と明瞭度も明らかに低下して音ははっきり悪くなりました。

しかし音質が悪化したにもかかわらず、不思議なことに楽器の音色やコーラスの分離はC22を使う方が好ましく、この雰囲気はどこかで聞いたことのある音だなと考えていてひらめきました。これは「第一興商(DAM)のカラオケの音」ではありませんか!C22を使って歌謡曲を聞くと、まるで歌手本人が「カラオケ」で歌っている(つまり、雰囲気は良いが、音質は今ひとつ)ように聞こえます。C22を使うとクォリティーは悪化するのですが、音楽の雰囲気や表情は実に心地よく伝わるのです。また、良い録音のソフトもそうでないソフトも同じように悪化して音質差を感じずに鳴るので、C22を使うとソフトを選ばず実に聞きやすく音になります。例えばAKBやモモクロZのように、ソースとしてはあまり頂けないソフトでも、この音ならびっくりするくらい上手に聞こえると想像できる音質です。

実は「そういうほどよいいい加減さを持つ音」こそ「Macintoshらしい音(昔、Mcintoshをオッさんの哀愁と評した、愛好家のお客様がいらっしゃいました)」なんですが、それを久しぶりに味わえてなんだか嬉しくなりました。

そのまま、30分ほど鳴らしているとレンジが拡大し、透明感、解像度感も改善して、電源投入直後とはまったく別物の洗練された音が出てきました。さらに30分ほど続けて聞いて音質に変化が感じられなくなったことを確認し、ウォーミングアップ完了を判断。試聴を開始しました。

Mcintosh C22 メーカー希望小売価格 ¥660,000(税別) (この製品のご購入はこちら

使用真空管 12AX7×2(LINE)
12AX7×2(Phono)
12AX7×2(Phono/MC)
入力端子 LINE×5(XLR×2兼用)Phono×2(MM/MC)
音声出力 RCA×2/XLR×1(プリ出力)
RCA×1(TAPE出力)
周波数特性 20Hz〜20kHz(+0/-0.5dB)
10Hz~100kHz(+0/-0.1dB)
サイズWxHxD 445×152×410(mm)
重量 19.7Kg
消費電力 75W、待機電力 1W未満
35W(無信号時・実測)

C22の試聴は、CDプレーヤー AIRBOW SA14S1 Masterとプリメインアンプ AIRBOW PM11S3 Ultimateの間にC22を入れて、C22を使う/使わないの音質を比較しました。

ラスト・ライブ・アット・ダグ Last Live at “DUG” /Grace Mahya 「Root 66」

SACDレイヤーでの音質比較

 → PM11S3/Ultimate

再生周波数帯域が非常に広いことに驚きます。特に低音の伸びやかさが顕著で、30cmを超える大口径のウーファーから出ているような量感と不要に膨らまない引き締まった低音の質感が両立しています。

高音は繊細で透明感が高く、このソフトの録音の良さを余すことなく引き出しています。難を言うならば、シンバルの厚みがやや薄く、ピアノのアタックの重量感がやや軽く感じることでしょうか。しかし、これはBeethoven Concert Grand(T3G)が搭載する「テキスタイル型ツィーター」の特長でもあります。

ワイドレンジで音が細かく、明瞭度も高いリアルな音は、HiFiなサウンドで生演奏を聴いている雰囲気を感じさせます。

 →  → PM11S3/Ultimate

C22を間に入れると、高音と低音のレンジが少し狭くなります。しかし、それは「高音・低音が出なくなった」というイメージとは少し違っています。

C22は高音と低音を若干削ぎますが、そぎ取られたエネルギーを中域に注ぎ込むような、不思議な「パワー感」が音に宿ります。音抜けの良さが若干失われますが、シンバルに厚みが出ます。トランペットは「演奏者の唇の厚み」が音に出ます。ピアノはサイズが一回り大きくなったようにボリューム感が増し、ドラムとウッドベースの音は一段と低く腹にずしんと響きます。エネルギーバランスが中低音に集中するので、思わず身体が持って行かれるようなリズム感が醸し出されます。音場もより大きく広がり、演奏に「タメ」が出ました。

音質としては若干後退しているのですが、「ドラムを叩く感じと、ベースの唸る感じ」が生々しく感じられて、あたかも目の前で演奏される生楽器を聞いているような「ゴージャスなイメージ」でライブが鳴りました。この生々しいライブ感の演出こそ、歴代のMcintoshが最も得意とする分野です。
C22レプリカは往年のMcintoshサウンドの「味わい」を実に忠実に再現しています。もちろん、当時よりは「薄味」ですが、それは現代的に進歩していると感じる良い変化だと思いました。

Violin Concertos (Hybr) (Ms) "Bach Violin Concertos" / Hilary Hahn,  Laco, Kahane (Hybr) (Ms)

SACDレイヤーでの音質比較

 → PM11S3/Ultimate

グレース・マーヤさんのソフトでも感じましたが、SA14S1 Master+PM11S3 Ultimateの組み早生で得られる音はレンジが広く、細かく音まで驚く程はっきり聞こえます。しかし、その高性能がHiFi的な感覚(電気的に無理矢理拡大している感覚)ではなく、音楽表現をしっかりと高めていることに好感が持てます。

バイオリン、チェロ、コントラバスの音色の分離は完璧に近く、それぞれの楽器の特長と弓を弾く奏者の感覚が如実に伝わります。それぞれのパートは容易に分離して聞き取れますが、全体としてのまとまりがきちんと再現され交響曲らしい美しいポリフォニックの構造が再現されます。

録音があまりよろしくないグラムフォンのこのソフトですが、SA14S1 Master+PM11S3 Ultimateのコンビはその悪影響を微塵見感じさせず、コンサートホールの最上級の席よりもほんの少し前方、間接音よりも直接音のバランスがほんの僅かに強い座席位置で、素晴らしい演奏を聴いているイメージでヒラリー・ハーンを鳴らしました。

 →  → PM11S3/Ultimate

SA14S1 MasterとPM11S3 Ultimateを直接繋ぐ場合に比べて若干空間が曇りますが、ホールの響きは豊かになります。弦の切れ味が後退し、弓と弦が触れる「厳しさ」が弱まります。演奏のダイナミックレンジも少し狭くなりました。

音に繊細さよりもパワー感が求められるJAZZでC22は驚くほどの良さを発揮しましたが、パワー感と同時に繊細さも求められるクラシックでは、C22を使うことで繊細さが少し失われることが副作用として出てきます。

もちろん、演奏そのものがつまらなくなったり、落胆するほど音が悪くなることはありません。座席位置が最上級のポジションよりも少し後方に移動したイメージで、楽音の関係性が少し見えにくくなりますが、演奏そのものを楽しむにはまったく影響のない範囲です。ほとんどのリスナーは、音が少し悪くなったことにすら気づかないと思います。プリアンプの存在を感じさせない音で、ヒラリー・ハーンが鳴りました。

CDレイヤーでの音質比較

 → PM11S3/Ultimate

この曲ではチェロの音の鮮やかさが、C22のある/なしでかなり違って感じられます。SACD/CDにかかわらずC22を使わずSA14S1 MasterとPM11S3 Ultimateを直接繋いだ場合、バイオリンとチェロ、コントラバスの音色は綺麗に分離して、何の苦もなくそれぞれのパートを聞き分けられます。しかし、C22を間に挟むとこの分離感が若干損なわれます。

C22が奏でるハーモニーや全体のまとまり感は素晴らしいのですが、C22が若干高域をマスキングするため個々のパートの聞き分けは、C22を使わない方が容易です。ただ生演奏でも個々のパートの聞き分けはそれほど容易ではありませんから、オーディオ的に音楽を聞くのでなければC22を使う影響ははないと言えます。

SA14S1 MasterとPM11S3 UltimateでCDを聞くと、SACDに比べ高域の繊細さと音抜けの良さが若干後退した印象です。また、音の分離感も少し後退していますが、それでもC22を使って聞いたSACDサウンドよりも、再生周波数帯域(レンジ感)も解像度感(音の細やかさと明瞭度)も上回っている印象でした。

 →  → PM11S3/Ultimate

CDではC22を使う/使わないの差が、SACDよりも大きく感じられます。

C22を使わない時に綺麗に分離していた音が、C22を使うと混濁します。この曲ではコンサートマスターと伴奏のバイオリン、チェロとコントラバスのコントラストがぼやけてしまうことが気になります。もちろんそれはかなり軽微なので、それと指摘されなければ気がつく程度なのかも知れません。しかし、私にはプリアンプを間に挟むことによる「情報の劣化」が明らかに感じられました。

このクラシックとの相性が今ひとつ芳しくないのもオリジナルのC22に共通する特長ですが、その度合いはレプリカではかなり薄らいでいます。十分及第点を差し上げられる音質で、C22はクラシックを鳴らしました。また、この曲に合わせて「ヒラリー・ハーン、バッハソロ」も聞いてみたのですが、楽器の数が少なくなるとC22は持ち前の「音色の良さ」を発揮し、弦楽器をより鮮やか(カラフル)かつゴージャスに聞かせてくれました。

 Dangerous Michael Jackson ”Dangerous”

 → PM11S3/Ultimate

イントロの機械のきしむような音、それがだんだん近づいてくるイメージが気持ち悪いくらいリアルです。シンセサイザードラムの低音は、低く重く量感たっぷりです。声を潜めるようにトーンを抑えたマイケルの声もスリルがあってリアルです。

この曲は「弾けるような明るいイメージ」ではなく、少し湿っぽく重いムードなのですが、その「重さ」と「いぶし銀のような暗さ」がうまく演出されます。シンセサイザードラムの高音、低音、それに割り込むようなマイケルの声の分離が完璧で、それぞれの音は一切重なることがありません。また、音と音の間が「真空」のように何もないのとは違って、聞こえない部分にも「きっちりと音が入っている(何かがそこにある雰囲気の濃さ)」様子が伝わります。強い音、弱い音、強い表現、デリケートな表現、その描き分けが鮮やかかつ驚くほど繊細です。

耳を澄ませば澄ますほど、どこまでも無限に音が重なっているのが見えてくる。何度聞き直しても新しい音が聞こえてくる。そんなマイケルらしい、楽曲構成の美しさが伝わる音でデンジャラスが鳴りました。

 →  → PM11S3/Ultimate

高音の切れ味、刺激感、低音のリニアリティー(反応の正確さ)は、若干後退しますが、SA14S1 MasterとPM11S3 Ultimateを直接繋いた時には、無機的で無色に近かったイントロの機械音に「色彩」が見えるようになります。シンセサイザードラムの高音も一様ではなく、毎回違う鳴り方をしているように聞こえます。マイケルの声は、吐息がかかるほど近く、驚くほどリアルです。マイケルの声が重なる部分では、それぞれのマイケルが異なる表情を見せます。

ダイレクトでは理知的に美しく構成されたデンジャラスが聞けましたが、C22を使うとあたかも「ライブ」を聞いているような印象に変わります。ダイレクトでは完璧なスタジオの音でマイケルが鳴り、C22を使うとそれがライブの音になります。どちらが良い、悪いというのではなく、そういう違いがあります。

グレース・マーヤさんの曲でも感じたこの「ライブ感の演出」こそ、Macintoshサウンドの本質であり、C22はレプリカでありながら、きちんとその本質を抑えています。この音を聞かせてくれるのであれば、わざわざ経年変化で音質が劣化したオリジナルのC22を高価に求めなくても良いと思いました。

Kido I Raku Kido I Raku / TEE ”Baby I Love You”

 → PM11S3/Ultimate

イントロはマイクや録音機材まで分かるように感じるほど、ギターの細かい音が聞こえます。ボーカルもTEEがマイク広う声をそのまま聞いているように錯覚するほど、細かいディティールまで再現されます。この超高解像度な分析力は、PM11S3 UltimateではなくSA14S1 Masterの性格だと思います。音楽として素晴らしく聞こえるのはもちろんですが、音質が素晴らしく同時に録音された音のすべてがそのまま再生されているような感覚があります。

すでに音質としては頂点に達しているとさえ感じる、SA14S1 MasterとPM11S3 Ultimateの組み合わせに僅かの色気とライブ感がC22によって加われば、より素晴らしい音になると考えて、今回のこのソフトを試聴に選びました。

自画自賛といわれることを嫌って、私はAIRBOWをあまり表舞台に引き出して論評することを避けていますが、ユーザーだけが知るその実力は、ベースモデルのオリジナル品はもちろんのこと、同価格帯の他メーカー製品を圧倒すると考えています。PM11S3 UltimateとSA14S1 Masterの組み合わせでさえ、数百万円を超えるセパレートアンプとデジタルプレーヤーのセットを確実に凌駕するはずです。見かけは普通、価格はオリジナルの2倍近く高価ですが、その音質は販売価格の数倍〜10倍近くにライバルを求められるほどに高められています。貸し出し試聴機もご用意していますので、もしほんの少しでも興味を持たれたなら、是非一度その音を聞いて欲しいと思います。思いの外「お安く」お望み以上の音質を、手にできるかも知れません。

 →  → PM11S3/Ultimate


C22の持ち味はこういう「録音の芳しくないソフト」で最も大きく発揮されるだろうと想像していましたが、それは正解でした。

イントロのギターが「録音された音」から「生音」を聞いているような鮮やかな音色で鳴り出します。TEEの声は説得力が増し、彼がマイクではなくリスナー(あなた自身)に面と向かって歌いかけてくるような強い訴求力が宿ります。

この曲を一人で聴くならAIRBOWのセットとC22を追加したセットで悩みますが、もし二人で聞くのだとしたら絶対にC22を追加したセットです。

C22試聴後感想
艶、官能、熱情、そういう人生の泥臭さが聞こえます。このMcintoshサウンドを「おっさんの哀愁」と言い換えた、お客様の表現は実に的確にその音を言い当てていると思います。
このアンプに合うのはクールでお洒落な曲ではありません。たばこと酒の香りがするJAZZや、ベルリオーズのような官能的なクラシック。アンネ・ゾフィー・ムターのような情熱的なバイオリンやラカトッシュのように酒場が似合う小編成の楽団。あるいは、ミケランジェリのピアノ。そして石川さゆりや坂本冬美のような艶やかな演歌。録音の悪いJ-POPも良いと思います。つまりは、私達が普段聞き慣れている世俗的な音楽を聞いたときに、思わず胸が熱くなるような雰囲気をMcintoshは醸し出せるのです。
C22はレプリカですが、その魂は紛れもなくオリジナルです。音ではなく、艶と情を聞かせるプリアンプ。それがC22でした。

Mcintosh MC75 メーカー希望小売価格 ¥1,100,000(ペア・税別) (この製品のご購入はこちら

使用真空管 12AX7×1
12AT7×2

KT88×2
定格出力 75W(2/4/8Ω)
音声入力 RCA×1
XLR×1
(切り替え式)
周波数特性 20Hz〜20kHz(+0/-0.5dB)
10Hz~100kHz(+0/-3dB)
サイズWxHxD 451×215×215(mm)
重量 17.2Kg(1台)
消費電力 220W(カタログ表記2.2A)
60W(無信号時・実測)

C22と同時に発売が開始された真空管モノラルパワーアンプMC75は、最大出力が75Wとかなりの「力持ち」です。気になる消費電力ですが、無信号時実測で約60W弱/1台と思ったよりは低めでした。120W(2台)の値は、純A級トランジスターアンプと同等かそれより少し少ないくらいですが、無信号時にほとんど電力を消費しないD級アンプやAB級アンプと比べればかなり大飯食らいと言えます。プリアンプC22も同時に計測しましたが、約35WとこちらはCDプレーヤーやトランジスター・プリアンプとそれほど変わらない数値でした。

C22は一晩鳴らし手から試聴を行いましたが、さすがに高価な真空管パワーアンプを一晩鳴らし続けるのは気が引けたので、朝一番、「ビル・エバンス、Waltz For Debby」から聞き始めました。電源投入直後は、真空管アンプの常で音がやや眠くレンジも狭く感じましたが、30分ほど鳴らしていると霧が晴れるように見通しが良くなりました。

一般的に真空管アンプは、ウォーミングアップに時間がかかると考えられているようですが、私は経験上違う考えを持っています。そもそもウォーミングアップとは、オーディオ機器に使われている温度によって特性が変化する素子に熱がまんべんなく回ることで、その作動が安定するために起きる現象です。発熱が多い機器は熱の回りも早く、早期に作動が安定します。しかし、発熱が少ない機器は熱の回りが遅く、作動が安定するまでに時間がかかります。真空管アンプや純A級アンプのように「発熱するアンプ」のウォーミングアップは、30分〜1時間程度で完了することが多く、逆に発熱の少ないD級アンプやデジタル回路は、熱の回りに時間がかかるためか長時間のウォーミングアップが必要で、時には音質が安定するまで24時間以上かかる場合もあります。

では何故、一般には異なる説が流れているのでしょう。その原因は「冷感時と温感時の温度差」にではないでしょうか。熱くなる機器は、冷感時と温感時の温度差が大きく、ウォーミングアップ前後ではっきりと分かる大きな音質差が感じられます。今回のC22とMC75のテストでも約30分程度で明確に音が変わりました。しかし、発熱が少なく徐々に少しずつ暖まる機器では、ウォーミングアップ前後での音質差が小さく、また変化にも時間がかかるため、私が試聴しているような「特別に音が良い環境(スタジオのような)」でなければ、その違いを聞き取りにくいためウォーミングアップが不要と考えられるのでしょう。

真空管アンプや純A級回路をもつアンプだけが、ウォーミングアップが必要と考えられているのは、作動温度に達する前後の音質差が大きく、その音質の変化が明確なためでしょう。もし、発熱の少ない機器をお使いなら、小さな音で構いませんから10時間以上音を出して置いてから、日頃よくお聞きになるソフトを聞いてみてください。もしかすると、いつもよりもずっと良い音で聞けるかも知れません。

PCなどはウォーミングアップで音が変わらないと考えられているかも知れませんが、これも明確に変わります。PCとその関連機器は動作周波数が高く、発熱が多いのでウォーミングアップは10分程度で完了するように思います。

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ラスト・ライブ・アット・ダグ Last Live at “DUG” /Grace Mahya 「Root 66」

SACDレイヤーでの音質比較

音の細やかさや低音の量感など、物理特性に関する部分でMC75とAIRBOW PM11S3 Ultimateを比較すると、PM11S3 Ultimateが有利です。超高音の切れ味や密度感、最低音の力感や量感でPM11S3 Ultimateは明らかにMC75を上回っていました。しかし、音の味わいに関する部分、音色の鮮やかさ、リズム感、パワー感ではMC75がPM11S3 Ultimateを上回ります。

MC75の音はギターのエフェクターで「オーバドライブ」を使ったようなイメージです。音の頭がクッキリして、余韻が少し長くなります。同じ曲を聴いていても、時間がゆっくりと流れているイメージです。また、シンバルの音やギターの音がより「それらしく」なります。

明るくカラリとしたパワーのある「アメリカンサウンド」で、Root66が鳴りました。

CDレイヤーでの音質比較

トランジスターアンプに比べ高域特性の劣る真空管アンプなので、SACDとCDの違いはそれほどでないと考えていました。しかし、その予想は完全に外れます。

ただでさえ「少し伸びたりない高域」がCDではさらに抑制されたため、明らかな高音不足が感じられます。シンバル、トランペットのプレゼンスが弱くなり、音に元気がなくなります。ドラムも切れ味がなくなり、湿ったイメージです。ボーカルは声が太くなりますが、表情が乏しくなります。

AIRBOW SA14S1 Masterをトランジスターアンプで聞き比べると、この曲を聴いてもSACDとCDの差は少なく、場合によってはCDの音が太くて心地よく聞こえることがあります。しかし、C22とMC75でそれを比較すると、CDレイヤーでは何かが抜け落ちたように情報量が減り、ボーカルと楽器がバラバラに鳴っていて、演奏の質が落ちたように感じます。SACDレイヤーでは「クール(かっこいいという意味)」に聞けた演奏がCDレイヤーではかなり乱暴で雑なイメージになりました。

C22/MC75は思った以上に「ソフトの善し悪しに」過敏に反応するのかも知れません。それをヒラリー・ハーンのソフトで確認したいと思います。

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Violin Concertos (Hybr) (Ms) "Bach Violin Concertos" / Hilary Hahn,  Laco, Kahane (Hybr) (Ms)

SACDレイヤーでの音質比較

PM11S3 Ultimateでは描かれていた「細い線(小さい音の倍音成分)」がMC75では再生されません。

私が好む最良の弦楽器のイメージは、目に見えないほど細い糸(倍音)で縫われた刺繍、あるいは非常に細かい線で描かれた緻密な絵画です。C22/MC75でこの曲を聴くと、PM11S3 Ultimateに比べて使われる線がかなり「太い」印象になります。ざっくりと書かれているイメージならば良いのですが、良くないことに何かが足りない感じがあります。

繊細な部分が再現されず演奏の緻密さが不足するのは、クラシック特に交響曲ではあまり嬉しくないことです。弦の艶も薄く色彩もモノトーンで、SACDでJAZZを聞いた好印象とはかなり違っています。少なくともプリアンプとパワーアンプのセットで150万円を超えるコンポの音は出ていない印象です。

CDレイヤーでの音質比較

何かが足りない印象はCDでさらに強くなりました。

SACDが非圧縮音源ならCDは圧縮音源を聞いているイメージで音数が減少します。しかし、楽器の音色やエネルギー感はSACDよりも向上し、音楽そのものの躍動感は逆に高まっています。この印象は、Grace MahyaさんのSACDとCDの聞き比べで感じたのとは正反対です。

パワーアンプにPM11S3 Ultimateを使った場合の情報量を100とすると、MC75はその半分50程度しか出ていない印象です。十分に聞ける音ですが、弦は混濁し倍音が分離しません。音の広がりは感じられますが、直接音と間接音の関係が聞き取れません。これでは「良いホールの音」が台無しです。

雰囲気は悪くありませんが、その音質(分解能)は価格相応とは感じられません。

 Dangerous Michael Jackson ”Dangerous”

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イントロの機械音が単調です。シンセサイザードラムも音の頭(アタック)に鋭さが欠け、力がありません。ボーカルは、シンセサイザーの音に隠れて言葉がかなり聞き取りにくくなります。曲の流れも単調で、高級コンポで音楽を聞いているイメージはありません。精々数十万円のコンポの音質です。

MC75のメーカー希望小売価格110万円(モノラル・ペア)の価格は魅力的ですが、この価格であればもっととの良い真空管アンプを見付けられます。同じエレクトリ扱い品なら、最大出力はともかく音質ではUnison Research Sinfonia 25th Anniversaryモデルの方が、明らかに音が細かく音質に優れています。C22の音は悪くなかったので、MC75がそれを生かし切れていないと思います。

Kido I Raku Kido I Raku / TEE ”Baby I Love You”

イントロのギターの音が単調で魅力がありません。ボーカルは悪くありませんが、C22+PM11S3 Ultimateで感じた艶やかさ、繊細な表現はほとんど感じられません。

SACDのRoot66でこそMC75はPM11S3 Ultimateを上回っていると感じられましたが、それ以外のソフトでそれを凌駕する部分を感じる事ができません。
聞いていられないような悪い音や間違った音ではありません。しかし、魅力を感じ続けながら聞いていられる音でもありません。無難に鳴っている印象です。

試聴を終わろうとして、MC75に入力感度の切り替えが備わることを思い出しました。MC75にはRCA/XLR入力切り替えと、0.85/1.7Vの入力感度切り替えが備わります。通常パワーアンプとしてMC75を使う場合、入力感度は1.7Vに設定します。しかし、設定感度を「下げる(低くする)」のは、アンプそのものの応答性を阻害することがあります。そこで感度を0.85Vに切り替えるとイントロの高音が伸び、ギターの音に艶が出ました。ボーカルもそれまでは聞こえなかった「子音」が再現され、言葉の消え際の変化が感じられるようになって表現がぐっとデリケートになりした。抑えて歌っている語りの部分と、さびの盛り上がり部分の差もかなり大きくなり、元気のなかった曲が魅力的な曲に変化しました。

この音でもまだPM11S3 Ultimateよりも情報量が多くは感じられませんが、プリアンプとパワーアンプのトータルとしての音質と魅力は、かなり良くなりました。MC75をお使いになる場合、プリアンプの音量調整が問題なければ(C22との組合せでは小音量から十分な音量調節ができました)、MC75の入力感度は0.85Vに設定されることをお薦めします。
MC75試聴後感想

M75の音質に少し不満を感じたのでC22/MC75の試聴完了後、ソースをiPodタッチ(MP3/320bps)プレーヤーを開発中(ほぼ開発完了)のAIRBOW NA8005 Studio、プリメインアンプをPM11S3 Ultimateに戻してTEEの「Baby I Love You」を聞いてみました。圧縮音源なので情報量という部分では、SA14S1 Master(CD)+C22/MC75に敵わなかったのですが、高音の伸びやかさが改善し一つ一つの音がクッキリと聞こえるようになりました。また楽器のアタックが綺麗に出るので、色彩感や表現力もアップしました。このことからMC75の再生周波数帯域がPM11S3 Ultimateよりも狭く、高音の立ち上がりが遅いことが分かります。

また、AIRBOW NA8005 StudioとPM11S3 UltimateはC22のォーミングアップにも使ったのですが、このセットにC22を追加すると外したくないと感じるほど音楽がさらに楽しく聞けるようになった事と比較して、MC75は入力感度を0.85Vにセットしてもその満足度はC22ほど高くないと感じます。ただし、構造が簡単な真空管パワーアンプは、電源ケーブル、インターコネクトケーブルなどの影響を受けやすく(今回は付属電源ケーブル、AIRBOW MSU Mightyを接続に使用)、周辺機器へのこだわりでMC75の音質は劇的に向上する可能性があります。

今回の限られた条件のテストからでは、C22には真空管パワーアンプのMC75ではなく、より広帯域でスペック的にも優れるトランジスターアンプ(エレクトリ扱いの同価格帯パワーアンプではHEGEL H4SEがお薦めです)を組み合わせることで、Mcintoshの雰囲気と良好な音質が両立できると思います

2014年8月 逸品館代表 清原裕介


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