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Thorens レコードプレーヤー TD240-2TD2035TD550 音質 評価 テスト

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Thorens / トーレンス について

Thorens/トーレンス社は、1883年スイスでオルゴールの製造メーカーとして誕生しました。機械的精密さと熟練した音階調整が必要とされるオルゴールの製造で培われた「精密さ」と「響きの良さ/整った音階」は現在生産されるレコードプレーヤーに生かされています。トーレンス社製品の底に流れる基本精神は一つ、高品質と高信頼性です。

トーレンスが開発し、こだわり続けるたベルトドライブ方式にもその思想は現れています。 1970年代にはダイレクトドライブ方式が世界的な規模でもてはやされたことがありますが、トーレンス社ではそれよりも40年も前、1929年にダイレクトドライブ方式の特許を取得し、実際に製品化していたにも拘わらず、その後開発した自社のベルトドライブシステムの改良を続けました。すでに当時、トーレンス社はダイレクトドライブ方式の限界を見極めていたのかもしれません。

レコードプレーヤー・システムの音楽再生上のクオリティをトーレンス独自の精緻さで突き詰めていった結論こそ、ベルトドライブ方式。現在、他のいかなるドライブシステムも、トーレンス・ターンテープルの音楽再生クオリティを凌駕し得ないと言う事実は、その選択の確かさをうかがわせざるを得ません。

現在のトーレンス製品には、この独自のベルトドライブシステムが持つ利点を最大限生かすための独特のフローティング・サスペンション方式をはじめ多くの新しい技術や素材を採り入れつつ、完全を目指した絶えまざる追求の中で得られた膨大な経験が生かされています。また、トーレンス製品は未だに多くの部分が金属系素材・木質系素材によって作られており、プラスチック製品はその素性が必要であると思われる部分以外は使用していません。

技術はもちろん、素材選びからも一切の妥協を排除したい。この頑固な、しかし単純明快な品質管理こそ、10年、20年に渡り使用されても製造当時の性能を維持し続けることができる、トーレンス製レコードプレーヤーのバックボーンでもあるのです。本物とは、こうした長年にわたる地道な努力と研究過程のみから生まれてくるものかも知れません。(日本語カタログダウンロード

Thorensを中古で探す)・(逸品館お薦めのアナログプレーヤー製品はこちら

今回は、現在のThorens 輸入代理店「Ballad」から届けられた、TD240-2(アーム・カートリッジ付属)、TH2035(TP92アーム付き)、TD550(SME 309アーム付き)の3台です。カートリッジはそれぞれTD240-2/付属品(audiotechnica AT-95E)、TD2035/別売品(audiotechnica AT-95E)、TD550/別売品(ortofon 2M Black)が装着されていました。今回はこれらのカートリッジに加え、逸品館お薦めのGoldring 1012GXを取り付けた時の音質も試聴し、カートリッジによる音の違いも比較しました。

使用機材

スピーカー フォノイコライザーアンプ プリメインアンプ
Vienna Acoustics The Music QUAD QC24P AIRBOW PM11S3 Ultimate

試聴したレコード

アナログの全盛&最終期に録音された、
ダイレクトカッティングの音の良い1枚。
21世紀になってから発売された、
重量盤を使う高音質アナログレコード。

試聴したカートリッジ

audiotechnica AT-95E
(Thorens TD240-2付属品)
ortofon 2M Black Goldring 1012GX

■発電形式 MM(ムービングマグネット)
■周波数特性 20Hz 〜 20kHz
■負荷インピーダンス 47kΩ
■出力電圧 3.5mV±1dB1kHz@5cm/sec
■針先形式 楕円針
■針圧 1.5 〜 2.5g(2.0g)
■重量 6.6g

■価格:海外モデル/実売 5000円程度

■発電形式 MM(ムービングマグネット)
■周波数特性 20Hz 〜 31kHz
■負荷インピーダンス 47kΩ
■出力電圧 5mV±1dB1kHz@5cm/sec
■針先形式 シバタ針:6 ×50μm
■針圧 1.5 g
■重量 7.2g

■価格:72,000 円(税別)

■発電形式 MM(ムービングマグネット)
■周波数特性 20Hz 〜 20kHz±2dB
■負荷インピーダンス 47kΩ
■出力電圧 6.5mV±1dB1kHz@5cm/sec
■針先形式 ラインコンタクト針:6 ×100μm
■針圧 1.5 〜 2.5g(1.75g)
■重量 6.3g

■価格:42,000 円(税別)

Thorens TD240-2 メーカー希望小売価格 ¥184,000(税別)
pdfで日本語マニュアルをダウンロード ・ 動画による音質評価はこちら

形式 フルオート・ベルトドライブ
アーム Thorens TP-19-1
ターンテーブル アルミ製0.7Kg
モーター 電子制御 DCモーター
対応速度 33-1/3、45、78回転
サイズWxDxH (mm) 430×365×130
重量 8.5Kg

Thorens(トーレンス)製品のご購入お問い合わせは、経験豊富な逸品館におまかせください。

現金払い・お問い合わせ カード払い・ワンクリック注文 中古品を探す
 

TD240-2のボディーには天然木が使われています。クラシカルな外観と相まって、いかにもレコードプレーヤーらしい雰囲気を持っています。
ターンテーブルを外すと、ベルトドライブ・フローティング機構が分かります(赤いプラスティックは、移動用のフローティング固定パーツ)。

レコードを乗せれば、後はレバーを押すだけで演奏が始まり、終わるとターンテーブルが自動的に停止する「セミオート方式」が採用されています。

@ 針圧調整ダイヤル

Aインサイドフォースキャンセラー調整ダイヤル

Bアームリフター

Cレコードサイズ切り替え レバー

Dスタート/ストップ レバー

試聴リポート

 付属カートリッジ(AT-95E)

さすがにこの価格帯のカートリッジでは、音の細やかさはCDに敵いません。高域の伸びも、低域の量感も、最新のデジタル機器には及びません。しかし、すべての音がシームレスに繋がっているようなこの何とも言えない「滑らかさ」、ボーカルが中央に高密度に定位する独特の「中央定位の良さ」、さらに中央のボーカルを取り巻くように前後左右に大きく広がる響きの良さ、それらを体験してしまうと、デジタルの殺伐とした雰囲気に戻れなくなる、戻りたくなるアナログレコードマニアの気持ちがよく分かります。

解像度感という意味では劣りますが、硬くて平坦な出来の悪いデジタルサウンドとは次元の異なる心地よさがあるからです。

ウッドベースは暖かく太く響き、シンバルは高域の伸びが少し弱いですがリズムを刻むタイミングの良さ、ドラマーがシンバルを打ち付ける強さが手に取るように伝わります。

ピアノも透明感少し低く響きに濁りを感じますが、響きの音色はあくまでも美しく柔らかく、良質な金属と木材が混ざり合った独特の音質が良く出ます。

ボーカルは・・・!やはりレコードで聞くのが最高です。滑らかさ、艶やかさ、そして中央にコンパクトに定位する素晴らしい実在感、これらは針を使って記録された振動を直に読み取り、それを増幅する「アナログレコード」でしか得られない世界です。

レコードにあってデジタルにないもの。それは「響き」です。そして、その響きが生み出す雰囲気の良さを知ってしまうと、もうアナログから離れられなくなるでしょう。TD240-2は、その芳醇なサウンドで聞く者を虜にする力を持っています。

このディスクは同じレーベルからCDとしても発売されていて、私はそれを所有しています。最新の高級デジタル機器でCDを聴いた後にレコードで聞くと、やはり解像度感の低さが気になります。しかし、数千円しかしないカートリッジを使っているのですから、それは当然でしょう。解像度を比較したいのであれば、少なくとも数万円以上のカートリッジを使うべきです。付属する数千円のカートリッジでは、精々数万円程度のCDプレーヤーの解像度が出れば良しとしましょう。

しかし、価格を遙かに超越した高級デジタル機器にもまったく劣らない「雰囲気の濃さ」には、驚かされます。レコードでこの曲を聴くと、人間が演奏している様子が音を通じて身体に伝わります。「魂のある音」と表現すればよいのでしょうか?この独特な「濃さ」はやはりレコードならではです。

分厚い中域と滑らかで響きの良い高域。軽く押し出し感のある低域。そのどれもがレコードならではの良さですが、TD240-2は「CDみたいな音しかしない高額アナログプレーヤー」をその雰囲気の濃さで凌駕します。

逸品館が見かけはちゃちなThorensのレコードプレーヤーをお薦めしているのは、そのレコードならではの雰囲気の濃さが他メーカーのプレーヤーを圧倒しているからです。こういう「雰囲気の良い音」でレコードは、聴いて欲しいと思うのです。

イントロのトランペットの柔らかくふくよかな音。そして弦楽器の暖かく厚みのある音。それぞれが混じり合ったときの独特の濃さ。解像度こそ低いかも知れませんが、色彩感の濃さは圧倒的です。そして、その濃さから来る雰囲気の濃さ。それも、人間味のある濃さ。最近「有機的な音」という言葉をよく使いますが、レコードの濃さ、肉厚感はやはり別格です。

その雰囲気の良さばかりではなく、TD240-2が嬉しいのは「セミオート機構」を持つことです。レコードをセットして、後はレバーを「Start」に倒すだけで演奏が始まり、レコードが終わるとターンテーブルが止まります。貴重なレコードと針を痛めずに、存分にレコードの良さを味わえる。毎日レコードをお聞きになるなら、音質が多少犠牲になってもオート機構は外せません。特にCDの便利さが染みついた身体でレコードを聴くには、オート機能はマストアイテムだと思います。

TD240-2の濃さは音楽ファンを虜にするでしょう。

 Goldring 1012GX

TD240-2に付属するカートリッジのバランスは抜群です。さすがにThorensが選んだカートリッジです。しかし、解像度を少し上げたくてカートリッジにGold Ring 1012GXを奢ってみました。

付属カートリッジの音を数万円のCDプレーヤーに例えるなら、1012GXの音は10-20万円くらいのCDプレーヤーの音質まで一気にアップします。

気になっていた解像度感の不足が完全に補われ、音の細やかさが飛躍的に向上しました。

ピアノやドラム、ウッドベースとボーカルの分離感もまるで違います。それぞれの音がクリアに分離します。レンジが上下に伸びると中域の独特の濃さが薄れますが、音質の改善がそれを補って余りあります。まったく不足を感じないクリアな音になりました。

ウッドベースの音質が一段と磨き上げられ、ピアノの響きがクリアで乾いた感じに変化します。数千円のお酒と数万円のお酒の「透明感の違い」と言えばおわかりいただけるでしょうか?雑味がなくスッキリとクリアな飲み口です。

立ち飲みやのざわざわした人間くさい雰囲気が、高級なバーのそれに変わりました。落ち着いたクラシックな真鍮とウッドの内装。バカラのグラスと口数の少ないバーテンダー。言葉を交わさなくても、芳醇な時間が流れてゆく。そんな大人の雰囲気で峰純子が歌ってくれました。

レコードを聴く、それを味わうのであれば、これ以上の音はいらないとさえ思えます。

どぶろくが清酒になった。そういう雰囲気です。しかし、あの濁っていたどぶろくの味わいも、それはそれで懐かしく感じます。

楽器の数は倍以上に増え、それらの配置もきちんとしてきました。付属カートリッジの音が、コンサートホール最後部の濁った音なら、今聞いている音は中央からやや前方です。若干間接音成分が不足して感じられますが、音の鮮度は抜群です。

解像度感、レンジ感は、高級デジタルプレーヤーの領域に達しました。同時にアナログらしい芳醇さは少し薄れて、本格的な交響曲らしい、緊張感が漂うようになりました。実にチェリビダッケらしい、精緻で静かな演奏です。

ちょっとクールすぎる印象もありますが、このレコードは「高音質ディスク」ですからこういう鮮烈な音の出方が相応しいのでしょう。
しばらく聞き続けていると、付属カートリッジとの違いに慣れたせいか、あるいはカートリッジが暖まったのか、出てくる音がさらに暖かく厚みを帯びてきました。

カートリッジの交換費用は、TD240-2の本体価格の1/3に及びますが、その価値は十分あると思います。

試聴後感想
最近、各所で「アナログレーコードの良さが見直されている」という記事が目につきます
EARを擁するヨシノトレーディングは、TUTAYAとコラボして東京を中心に「アナログレコード演奏会」を開催するなどアナログ関係のニュースを発信しています。私は、それを知りながら「いまさらレコードねぇ」と醒めていました。

しかし、TD240-2で久しぶりにレコードを聴いてみて、私の思いが「間違い」であったことを思い知らされます。

オーディオラック最上段のCDプレーヤーをTD240-2に置き換えるだけで、「オーディオルームの雰囲気」がまったく変わりました。

右端ラック最上段のTD240-2をPCやCDプレーヤーの置き換えた様子を想像してください。音を出さなくても、TD240-2が見えているだけで、何とも言えない安心感があります。まるで自室が高級バーに変わったような雰囲気。この雰囲気は、PC/ネットワーク・プレーヤーでは絶対に味わえない世界です。

お酒を飲むグラスに凝る。そういう味わいの深さがアナログにはあります。

ただのガラスでしかない「バカラのグラス」がなぜ一個数万円もするのか、同じお酒を違うグラスで飲むとなぜあれほど味わい深さが変わるのか、レトルトやインスタント食品では味わえない「本物の良さ」をTD240-2は私に思い出させてくれました。

同じアナログプレーヤーでも、最高音質を目指すNottinghamにはない「雰囲気の良さ」をThorensは持っています。

「雰囲気」という目に見えない贅沢を味わえるだけでも、このプレーヤーを所有する価値はあると思います。

アナログはやっぱり凄い!

最近TADのプレゼンターが「逸品館のイベントで、音の良さよりも濃さを知った。最近は良さよりも濃さを優先してイベントの音作りをしている。濃さには好き嫌いがなく、イベントの評価が上がった」と話してくれましたが、言い得て妙だと思います。レコードは良さよりも濃さで聴くべきです。だから、刹那的な高音質をレコードに求めるのは止めましょう。

Thorens TD240-2でアナログを始めてみませんか?数百万円のデジタル機器を超える、オーディオと音楽の未知の世界へ通じる扉が開くはずです。

Thorens TD2035/TP92 メーカー希望小売価格 ¥1,000,000(税別)

形式 マニュアル・ベルトドライブ
アーム Thorens TP-92
ターンテーブル アルミ製6.0Kg
モーター 電子制御 DCモーター
対応速度 33-1/3、45回転
サイズWxDxH (mm) 420×330×160
重量 15.0Kg

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TD240-2は、エントリーモデルらしく難しい調整は不必要でした。上級モデルのTD-2035は、開梱〜組み立てにレコードプレーヤーの知識が必要です。

まず、アームが取り付けられた状態で梱包されている本体を「設置場所」に置き、プラッターを取付けてモーターを設置します。

 

 

プラッターとモーター上のプーリーにベルトを掛け、RCA出力ケーブルを取り付けます。

カートリッジを取付けます。ヘッドシェルは交換できませんが、アーム先端のカートリッジ取付部分が取り外せるので取付がかなりやりやすいです。

付属のシートを使って、カートリッジの位置を決めます。

 

アームがレコードと水平になるように、アームの高さを調整します。

最後にウエイトを調整しますが、メモリがないので「針圧ゲージ」が必要です。このあたりの作りはちょっとちゃちですが、音は良いアームです。

調整は完了しました。さあ、レコードを聴きましょう。

試聴リポート

 付属カートリッジ(AT-95E)

音が出た瞬間!おおおぉ。と思いました。中低音の厚みが全然違ったからです。

しかし、しばらく聞いていると、それがうううん!?に変わります。TD240-2のようにアナログチックにとんがった濃さが薄く、あっけないほど普通の音だからです。

最高峰を求めると、音は「ある一定の範囲内に収束してゆく」のでしょう。デジタルプレーヤーとして現在最も完成された音質だと感じるTAD D600に通じる音質です。そしてThorensには、今もアナログを知り尽くした優れたテスター(開発者)がいるのでしょう。でなければ、こんなにバランスよく練れた音が出せるはずは内からです。

レコードを聴いていると言うことを忘れてしまい、ただただその甘く豪華な雰囲気に酔いしれます。LP片面の20分なんてあっという間です。気がつくと最内周までアームが届き、チッチッというスクラッチノイズが出始めます。こんな時は、TD240-2に備わるフルオート機能が羨ましくなります。なんで高級プレーヤーは全部マニュアルなのでしょう?誰か、フルオートの高級プレーヤーを作ってくれないかな?カタログを見ると気になる製品がありました。セミオート式、つまり演奏が終わるとアームが上がるTD-295 Mark4です。セミオートなら、アームの自在な動きを阻害しませんから、音質と利便性が両立しそうです。

TD2035/TP92の音質は、TD240-2の音をうんと細かくして、重厚感を増したイメージです。1.4Lのエンジンを4Lに変えたくらい、つまり大衆車と高級車の違いを感じます。

ボーカルは質感が高く、プレーヤーが響きを付けくわえている感じがまったくありません。ドラムは軽く、リズム良くなります。ウッドベースは、弦を弾く右手に込める力の違い、弦を抑える左手に込める力の違いが、実によくわかる音です。ピアノは、控え目に軽く鳴っていることがよく分かります。まさしくハンク・ジョーンズらしい優しいピアノです。バスドラムの音も遅れずに上手く弾け、リズムセッションはとても軽快です。TD240-2では感じられなかった「JAZZらしいテンポの良さ」が出てきました。
TD2035/TP92は、レコードを聴いているオーディオを聞いていることを完全に忘れさせる、驚くほどスムーズで自然な音で峰純子を鳴らしました。たった数千円のカートリッジでも、プレーヤーが変わればこれくらい音が良くなるのも驚きでした。

音の細やかさと透明感が大きく向上し、楽器の数がグッと増えます。イントロのトランペットの音質も乾き、金管らしい張りが出ました。しかし、プレーヤーやカートリッジが生み出す響き(歪み)が減少したためか、「音は良くなったけれど音楽からは遠ざかった」という感じがします。純正の付属カートリッジはMMタイプですが、交響曲をより繊細でリッチに再生しようとすればやはりMCタイプのカートリッジが必要なのかも知れないと感じます。

TD240-2と1012GXの組み合わせでも感じたように、コンサートホールのかなり前方「音が混じりきらないポジション」で演奏を聴いているような雰囲気です。この演奏は「ライブ」で録音されていますから、もしかすると天井に取り付けたマイクで収録したのかも知れません。それであれば、今鳴っている「間接音が少なめの音」に納得できます。

これはやはりプレーヤーシステムよりも「レコードの録音(マスタリング)」の問題なのでしょう。なぜならば、峰純子さんのレコードではこういう「音がクッキリしすぎて音場が不自然になる感覚」はほとんどなかったからです。逆にダイレクトカッティングらしい「臨場感」が実に雰囲気良く再現されました。

TD2035はTD240-2よりも圧倒的に高音質です。しかし、雰囲気の濃さや良さはTD240-2でも十分に味わえました。車に例えるなら、TD240-2は「ユーノス ロードスター」です。絶対的な性能はさほどではありませんが、人馬一体の「楽しさ」では抜群です。TD2035はBMWのM仕様。ハイパワーで万能ですが、普通の道ではどこか車に乗せられているような「よそよそしい感覚」を感じることがあります。手に余る高性能。山道やサーキットに場所を移せば、その真価を発揮するタイプです。

試聴後感想
TD2035は高性能になった分だけ、使い手の腕を問います。カジュアルにレコードを楽しみたいなら、フルオート機構も搭載するTD240-2。マニュアルで真摯に音楽と向き合いたいなら、TD2035という感じです。善し悪しと同時に、普段のレコードとの関わり方が問われる選択になりそうです。

Thorens TD550/SME309 メーカー希望小売価格 ¥2,470,000(税別)

形式 マニュアル・ベルトドライブ
アーム SME 309
ターンテーブル アルミ製6.3Kg
モーター 電子制御 ACモーター
対応速度 33-1/3、45回転
サイズWxDxH (mm) 525×415×190
重量 20.0Kg

Thorens(トーレンス)製品のご購入お問い合わせは、経験豊富な逸品館におまかせください。

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試聴リポート

 ortofon 2M Black

音が細かくなり、一音の重さと深さが変わります。しかし、それはTD240-2からTD2035に変えたときの変化よりも量がかなり少なく、ブラインドで切り替えられるとその差は分かりにくいかもしれません。

TD550にはThorensではなく、SME/309が付いていましたが、このアームはNottinghamやROKSANなどの最新アームと比べると解像度が低く反応も鈍いので、その影響は大きいと思います。また、せっかくの大型プレーヤーなのですから、12インチのロングアームを使いたいところです。

TD550から流れている峰純子さんの声は滑らかできめ細かいですが、輪郭感に乏しくやや元気なく聞こえます。楽器もアタックが弱いため、弱々しく聞こえます。

TD550/SME/ortofonのセットは上質ですが、TD240-2のワクワクした感じが消えていました。

ortofonの2M Blackも聞いたことがなく音質を図りかねるのでTD550のターンテーブルとしての性能は、きちんと把握出来ません。

カートリッジはこの後でGoldRing 1012GXに変えて聞けるので、カートリッジで音がわかりにくい問題は解決します。しかし、できるならThorens純正のTP125でTD550を聞いてみたいと思いました。つまり、今出ている音には納得できないと言うことです。

TD550/SME-309/ortofonの重く暗いムードがこの曲には合っています。特に低音の迫力は格段と向上しました。ハーモニー部分での音の細やかさと質感の再現性も向上し、TD2035では再現されなかった弱音部分での表情も細かく再現されるようになりました。

それでも価格ほどの音質差は感じられませんし、同じレコードを同じシステムでNottingham Interspace+Phase Tech P3Gの組み合わせで聞いた時より明らかに音が重く、明瞭度とアタックの鋭さに欠けています。

Nottingham Interspaceと比べて「レコードらしい雰囲気がある」という一点だけなら、TD550/SME/ortofonの組み合わせは評価できると思いますが、音質ではその1/3以下の価格のプレーヤーに及ばないのも事実です。立派なのは外観だけで、私が望む「価格なりの音」は出ているように思えません。

 Goldring 1012GX

しかしレコードプレーヤーの音質を最も大きく左右するのは「カートリッジ」です。その次が「アーム」。ターンテーブルシステムはその次ですから、TD550/SME/ortofonから出る音が気に入らないからといって、TD550そのものが原因かどうかは分かりません。そこでその音を知るGold Ring 1012GXにカートリッジを変えて試聴しました。

カートリッジをortofonからGold Ring 1012GXに変えると解像度感が若干向上し、輪郭もシャープでクッキリしました。また音場の見通しが良くなって、音が明るくなりました。それでもNottingham+Phasetech P3Gと比べると、まだ若干解像度が劣りますが、それは1012GX:MM vs P3G:MC+15万円の昇圧トランスという圧倒的なカートリッジのクォリティーの差も効いていると思います。

ボーカルはしっとりとした質感と女性らしい艶を持ち、レコードで聞いているという感じが出ます。楽器の音も磨かれて深まり雰囲気が非常に良くなりました。

カートリッジを変えて音が良くなったことに加え、格好の良いプレーヤーでレコードを聴いているという「雰囲気」を加点すれば、「まあいいか」という感じにはなりました。しかし、それは100万円オーバーを難なく出せる余裕のある方に限ります。コストを考えるならば、やはりNottingham-MCカートリッジが圧倒的なパフォーマンスを持っていることは間違いありません。
最近、逸品館では国産メーカーのレコードプレーヤーをお求めになるお客様が増えています。たぶんレコードのことをよく知らず、雑誌や当てにならないマニアの評価で購入を決断されたのだと思います。また、我々もよほどのことがなければ、「お客様がお選びになった製品にケチを付けてまで違う商品を薦める」お節介は焼きません。そんなことをすると、情報に迎合する「他の販売店」にお客様が流れてしまいかねないからです。

しかし、音質をお求めになるのであれば、それらの国産プレーヤーとNottinghamでは大差があります。また、雰囲気をお求めになるのであれば、それらの国産プレーヤーとThorensにはやはり大差があります。見かけや評判に騙されないでください。アナログレコードプレーヤーとしての歴史が、製品の音に如実に反映されています。10万円までのプレーヤーならThorens、20万円を超えるプレーヤーならNottingham。その選択が間違いありません。

もちろん、ある程度以上のクオリティーが実現するなら、コストパフォーマンスという言葉が存在せず、また個人の好き嫌いもはっきりしているのがオーディオですから、それが「絶対」というつもりはありません。そこから始まられれば、ゴールへの到達がスムーズなはずです。

TD550/SME 309は、そういうコースから外れたところに存在する。"高級品"だと思いました。

イントロのトランペットの艶と深み、音の広がりがとても良い感じです。ただ楽器が増えると音の分離感がもう少し欲しくなります。

ティンパニーの大音量の部分では音の立ち上がりがややもっさりしていますが、これはSME/309の問題だと思います。このアームは質量が大きすぎ各部のフリクションも大き目なため、音が重く解像度が低いように感じます。全体的におっとりとしたいかにも大型プレーヤーで聞いているという雰囲気で展覧会の絵が再生されます。私のように職業で「絶対的な高音質」を知っていなければ、このムードで十分納得できると思います。

剛性が高く軽いカーボンをアームに使い、構造もシンプルなNottinghamやROKSANのアームは、SMEよりも遙かに解像度(感度)が高く、音の立ち上がりもシャープです。TD550/SME/ortofonから出てくる音は、クラシカルで重厚なムードです。

試聴後感想
今回はテストのためにレコードを聴きましたが、普段レコードを聴くことは皆無です。なぜならば、25分ごとにレコードを裏返さなければなりませんし、放っておくとレコードとカートリッジを痛めるからです。仕事中、音楽を聞くのにそんな手間はかけられません。だから、もっぱらサーバーにリップしたCDを聞いています。

音質的にはそれで十分満足なのですが、こうして久しぶりにレコードを聴くと、その良さは格別であると気づかされます。

今回テストしたThorenseのプレーヤーでは、TD240-2が断然お薦めです。Nottingham Interspaceと比べて音質は及びませんが、レコードらしい雰囲気の濃さではそれを上回ります。Thorensのエントリーモデルは、昔ながらの作り方を継承し無理して音質やデザインを追求しなかったため、ビンテッジ製品らしい雰囲気が残っているからでしょう。

レコードを「らしい音」で聴きたい。しかし、CDのように手間はかけたくない。その夢を叶えてくれるのが、TD240-2です。このプレーヤーはThorensらしい芳醇なサウンドでレコードを文字通り「奏で」てくれます。そこから出てくる音は柔らかく厚みがあり、艶やかで滑らかです。誰が聞いても「この音は違う!」と感じるでしょう。今回のテストで借用した、TD240-2は試聴機として発注しました。一号館に設置していますから、Thorensが持つビンテッジな世界をご堪能下さい。

新製品のTD2035/TP92はTD240-2に比べて割高に感じますが、価格差がその音質に反映されています。予算に余裕があり、レコードを聴くことを「特別なこと」と感じていらっしゃるのであれば、TD2035/TP92を選択するのはよいチョイスだと思います。Nottinghamほど高解像度ではありませんが、音質と雰囲気の絶妙なバランス感覚が最高です。しかし、アームをTP92以外のものにすると、そのバランスは崩れそうに思います。

最高峰モデルのTD550は、価格差ほどの音質差を感じられませんでしたが、その原因のほとんどはortofonのカートリッジとSMEのアームにありそうです。この二つのメーカーは、設立当時から会社のオーナーや技術者が変わり、当初の音を留めているとは思えません。にもかかわらず、ブランド料として製品の価格がやけに高く、価格と性能が一致していない商品が多いように思います。アームはThorensの純正品TP125、カートリッジはMCタイプをお選びになられることをお薦めします。話は変わります。

最近、便利に恵まれる不幸を感じることが多々あります。毎日を生きる楽しさを見いだせないと言い換えても良いでしょう。

話は飛躍します。

「火星移住」が現実に見えてきました。もちろん、実現するかどうかはまだまだ分かりませんが、それが夢物語から目標へと変わりつつあります。もし、火星に移住したら・・・。想像するだけでワクワクします。きっと火星では毎日が生きる事へのチャレンジの連続になるでしょう。危険に満ちて不便極まりない生活を毎日を克服する困難がどれほどの喜びに変わることでしょう。もちろん、想像の中での話です。

話を戻します。

最近は週3回ジムに行って簡単なマシントレーニングを行っていますが、マシントレーニングは退屈なので暇つぶしに「携帯ゲーム」をダウンロードしてやっています。しかし、ゲームを終えた時の空虚な感覚、満たされない感覚が半端ではありません。なんだか自分が機械の奴隷に成り下がって虚無な時間を過ごしたような、いたたまれない砂を噛むような気持ちがするのです。

便利であること、スイッチをひねれば電気が付き、火が出ること。画面を見ればあらゆる情報が手にはいることは、本当に幸せなのでしょうか?

見たことない土地を僅かな情報から想像し、時間をかけてたどり着く喜び。特急で過ぎ去る地域を各停で味わう喜び。それに回帰しようとするのは、加齢のせいだけでしょうか?

レコードを聴く喜びは、レコードを扱う手間(不便)と表裏一体であるような気がします。

レコードで音楽を聞くとデジタルにはない音楽との一体感を強く感じます。手触り、振動、音、・・・。5感すべてで「音楽」を感じられるのです。
もし、私に許される音楽再生手段が「レコード」だけならば、安易なPOPSを聞くでしょうか?

それなりの手間と不便をかけて音を出すなら、やはり深みのある音楽を聞きたいと思うでしょう。

デジタルは簡便です。しかし、便利さと引き替えに大切な何かが欠如しています。私達の今の暮らしと同じように。

レコードで音楽を聞きましょう。忘れた何かを思い出せそうな気がします。そしてそれこそが、忘れてはならない大切なものなのです。

2013年9月4日 逸品館代表 清原 裕介

 

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