■各種コンテンツ ■サービス・キャンペーン ■逸品館運営・外部ショップ ■Twitter・Facebook ■試聴機レンタルサービス ■オーディオ逸品館 MI事業部オフィシャルサイト
|
ELAC エラック BS263 BS267 260 LINE スピーカー 音質 評価 比較 試聴 価格 レビュー
|
|
テストの概要
今回は、CDプレーヤにAIRBOW CD3N Analogue、プリメインアンプにAIRBOW PM11S3 Ultimateを使いました。
AIRBOW CD3N Analogue |
AIRBOW PM11S3 Ultimate |
![]() |
![]() |
490,000円(税別) | 565,000円(税別) |
この製品へのお問い合わせはこちら |
音質テスト
Last
Live at “DUG” /Grace Mahya 「Mona Lisa」
ギターの音が細かく滑らかで艶っぽいのは、変わらぬELAC/JETの美点です。BS263はそれに「中域の滑らかさと暖かさ」が加わりました。
これまでのブックシェルフ型のELACはやや高域よりの細さや、中域が痩せているように感じる部分があったのですが、BS263にそれはありません。楽器はボディーが厚く、ボーカルもグレース・マーヤさんのふくよかさがきちんと伝わります。5曲目の「Mona Lisa」に続けて6曲目も聞きましたが、ウッドベース、ドラムには量感や力強さがあり、従来モデルと比べて音の密度感が一段と向上している印象でした。
設置はレーザーセッターを使わず簡易に位置決めしたのですが、スピーカーの存在を感じさせない、ストレスのない音の広がりが実現しました。前後左右方向への音場の広がりや楽器同士の位置関係も良好で、BS263の発生する音は周波数にかかわらず音速が一定している事が伺えました。
このクラスで逸品館がお薦めしている、Vienna Acousticsと比べると、BS263はJET5の良さで高音がキリリとしています。Vienna Acousticsよりも高音の明瞭度が高いのはPMCにも共通しますが、BS263はPMCよりも高音に艶と響きが感じられます。ただ、それぞれの高音の鳴り方は善し悪しではなく、好みでしょう。
低音はこのクラスの標準か、それよりやや多めです。ただ、意地悪な聴き方をするのであれば、ドラムなどのパルシブな大音量が入った瞬間、キャビネが共振する「紙っぽい響き」を感じる事がありました。この点では、さらに強度の高いキャビネットを持つVienna AcousticsやPMCが好みではなく「優れて」います。
全般的には音離れ(反応)の良い明るく軽快な音で、グレース・マーヤさんのJAZZを楽しく聞かせてくれました。
"Bach
Violin Concertos" / Hilary Hahn, Laco, Kahane (Hybr) (Ms)
グレース・マーヤさんのJAZZで感じた「キャビネットの共振」がこのソフトでは、はっきりと感じられます。300Hz周辺にキャビネットの共振があり、この周波数帯域の弦楽器の響きが濁ります。また、それが原因で特定の音階で弦楽器の音が混濁して聞こえることがあります。ただ、それはほんの僅かなことなので、相当耳が良くなければ聞き取れない範囲です。この300Hz付近の共振と「イタリア木工製のキャビネット」をもつVienna Acousticsと比べて、やや強度が不足することより低域の密度感が僅かに薄く感じる以外は、ほぼ文句の付けようのない音に仕上がっています。
小型スピーカーでは、バイオリンの中低弦が痩せがちですが、BS263でヒラリー・ハーンのバイオリンは1弦から4弦まで安定した見事なエネルギーバランスで再現されます。中低音の厚みと質感の違いが再現されるので、バイオリン、チェロ、コントラバスの分離は良好です。BS263は従来モデルがやや苦手とした「チェロの甘さ」を見事に引き出しました。
中高音の解像度も高く、それぞれの楽器の音色が鮮やかに再現され、楽器の表情や位置関係がとても綺麗に再現されます。
このソフトはマルチマイクと編集の弊害で音場が混濁しやすいのですが、ELAC
BS263(とAIRBOWのコンビメースション)は、それを微塵も感じさせない透明な音場を生み出します。このソフトをこれだけ素晴らしい透明感と鮮やかさで再現するスピーカー(とコンポのセット)は、そうそうお耳に入るものではありません。細かい欠点は挙げましたが、ペア20万円のスピーカーで、クラシックを上手く鳴らせる製品としてBS263は出色の存在だと思います。
"Xscape"
/ Michael Jackson 「Xscape 」
シンセサイザーの重低音が入る曲になると、さすがにブックシェルフの低音再生限界を感じます。この曲に入っているシンセサイザーの低い音では、量感は明らかに不足しました。しかし、その部分を除けばBS263はなかなか上手くこの曲を鳴らします。高域は細やかで切れ味が良く、またよけいな響きもありません。
マイケルの声ははっきりと伴奏から分離し、オーバーダビングで構成されるコーラス(ハーモニー)もそれぞれの声が綺麗に分離し、厚みのある音で鳴ります。
定位も素晴らしく、音の広がり、各音源の位置関係に一切の乱れや違和感を覚えません。
低音も高音のスピードに遅れず付いてきます。BS263にバスレフスピーカーの欠点である、低音の遅れや膨らみは感じられません。また、従来モデルで気になった低音の膨らみも感じられません。ただしそれを抑えるためだったと思うのですが、低音のサービス感(盛り)もほとんどありません。
中高音は良くなりますが、低音はサイズなりの低音感が得られる感じです。
試聴後感想
このリポートの冒頭にも書きましたが、ELACの初期モデルでは「音量を下げると音が痩せる」イメージがありました。また、試聴位置によって高音の聞こえ方に大きな差が感じられる(特に上下方向)、低音が遅く膨らんで感じられる。などの問題点を感じていました。しかし、この問題はモデルチェンジを重ねるごとに改善され、BS263に搭載される最新のハイルドライバーユニット「JET5」では、その欠点がほとんど感じられなくなっています。特に中音域の厚みと肉付きが改善され、小音量でも音が痩せなくなったのは家庭でこのスピーカーをお使いになられる時に高く評価していただけると思います。
最低音はキャビネットの強度不足(本体が軽いためか、材質の密度が低いように感じられる)により、素晴らしい中高域に比べて若干密度が低く、質感も伴わないように感じられますが、音量を上げさえしなければこの問題はまったく露呈しません。
従来のEALCブックシェルフモデルがどちらかと言えば大音量を得意としたのに比べ、260 LINEは小音量を得意とします。家庭用スピーカーとしてこれは「大きな進歩」だと思います。仕上げも美しくデザイン性も高いBS263は、おとの良いお洒落な小型スピーカーです。
2014年7月 逸品館代表 清原 裕介
|