marantz SA8003 PM8003 音質 評価 試聴 比較 テスト

2008年9月発売のMarantzの新型CD/SACDプレーヤー SA8003 とプリメインアンプ PM8003の音質を試聴しました。

SA8003

PM8003

定価(税別) \90,000 生産完了しました
(逸品館お薦めのCDプレーヤーはこちらから)

定価(税別) \90,000 生産完了しました
(逸品館お薦めのプリメインアンプはこちらから)

製品仕様

■形式: 2ch CD/SACDプレーヤー

■再生周波数範囲: CD/2Hz-20KHz SACD/2Hz-100KHz

■ダイナミックレンジ: CD/100dB SACD/112dB

■ SN 比: 110dB

■アナログ出力: RCA*1 2.3Vrms

■デジタル出力: RCA*1 0.5Vp-p(75Ω) TOS*1(光)

■信号方式: CD/16bit リニアPCM SACD/1bit DSD

■消費電力: 25W 待機電力0.5W

■外形寸法: W 440 ×D 343.5 ×H 108.5mm

■重量: 7.8kg

■付属品: IR リモコン、電源ケーブル、リモート接続ケーブル
        RCAケーブル

製品仕様

■形式: トランジスター方式ステレオプリメインアンプ

■最大出力: 70W+70W(8Ω) 100W+100W(4Ω)

■周波数特性: 5Hz - 100kHz (±3.0dB 1W)

■入力感度: フォノ/2mV LINE/200mV メインイン/1.6V

■出力電圧: メインアウト/1.6V

■入力端子: 3 ラインRCA 、 2 Recorder RCA 

■ライン出力: 1 RCA

■スピーカー出力: 2系統

■消費電力: 200W 最大 待機電力0.3W

■外形寸法: W 440 ×D 379 ×H129.8mm

■重量: 12.0kg

■付属品: IRリモコン、電源ケーブル

テスト環境と使用ソフト

使用機材

スピーカー

Vienna Acoustics T3G

定価(ペア・税別) \638,000

電源ケーブル AIRBOW KDK-OFC

定価(税別) \4,900

AIRBOWケーブル類NL4FMPR/CR

電源ケーブルは、プリメインアンプPM8003にのみAIRBOW KDK-OFCを使用し、CD/SACDプレーヤーSA8003には、付属品を使っています。

電源は、電源タップにAIRBOW ABPT-4.20Hを使い、CDとアンプを別系統の電源から取りました。

接続に使ったRCAケーブルは高純度の銀単線を使った自作品を使っています。この線は非常にナチュラルでストレートな音質が特徴で、一般的にイメージされている銀単線の音とは少し違います。AIRBOW製品なら、MSU-095WEが最も近いと思います。

使用ソフト

Carpenters

GOLD

UICY-1100

日本限定発売のカーペンターズベスト盤。

カレン・カーペンターの美しい声とアコースティックな伴奏、子供達のコーラスなど聞き所満載の一枚。

MOZART

PIANO CONCERTO

No.20 , 24

Clara Haskil

PHCP-21013

モーツァルトのピアノと言えばハスキル。

その切なく美しい、響きの繊細さと管弦楽団のマッチングの再現性でシステムの能力を判断する。

BEST FICTION

安室 奈美恵

AVCD-23650/B

今一番話題で、一番売れているCDソフト。

鳴り物入りのソフトらしくJ-POPの中でも録音はピカイチ。最も愛され聞かれるソフトがどう鳴るか?

NORA JONES

COME AWAY WITH ME

7243 5 41747 2 8

輸入盤

CD/SACD/SACD-MULTIの3フォーマットが一枚に収録され、価格も2000円を切るお買得ディスク。

それぞれのフォーマットがどう鳴るか?それを探るのに最適。

音質比較レポート

まず、感じるのは「細やかさ」。中域から高域にかけて非常にスムースで、滑らかなシルクのように音が繋がる。カレンのボーカルも質感・密度感が高く、上品で滑らかだ。 低域は量感があって、ウーファーがきちんと動くように感じる。このしっかりしたウーファーの駆動力は、PM5003などの廉価モデルには感じられない長所だ。

コストが許される分、音の「質」として感じる部分については高級と呼んで差し支えがないレベルに向上している。

音楽的には、どうだろうか?エコー感、広がり感共になかなか心地よいのだが、聞こえるか聞こえないか?あるいは聞こえないけど肌に感じる、といった繊細な音楽の「質感」では、さすがに上級機と差を感じる。残念ながら、この組合せでは鳥肌が立つような?ほどの濃密な空気感や気配感、雰囲気の繊細さまでは再現されない。

音調は滑らかで嫌な刺激はないが、華やかさと鮮烈さにやや欠ける。弦楽器の切れ込みの鮮やかさ、ピアノの煌びやかさが足りない。ホールの後方で演奏を聴いているような感じだ。

この組合せでクララ・ハスキルを聞くと、彼女が上手いピアニストだというのは分かる。他のピアニストに比べ、明らかな聴き応えを感じるからだ。しかし、このレベルの音では彼女の「天才」は届かない。それは生のピアノの「いい音」と比べてしまうからだ。オーディオは生音と比較すべきではないというのは百も承知だが、ハスキルの「可憐さ、美しさ」がもう少し出て欲しいと思う。

しかし、ややこぢんまりするとはいうものの、楽器の音調は正しく各々の楽器の音色もきちんと描き分けられる。さすがに、オーディオ専門メーカーの作る製品だけのことはある。ハーモニーの構成も正確に再現され、音楽の表現も立派である。このセットで聞くクラシックは上質で心地よい。充分に音楽を理解し、楽しめるレベルに仕上がっている。

 

従来のmarantzの製品はクラシックは良くなるものの、POPS、ROCKなどは「元気なく」聞こえる傾向が強かった。それは切れ味の甘さや、低域の腰砕け感(低音が固まらずに広がってしまう)が原因だった。SA8003/PM8003は従来の製品に比べ、その点が大きく改良されている。

カーペンターズでは良い意味でmarantzらしくない、クリアで明るいカラッとした音が鳴った。それでも標準よりはやや線が細くパンチが弱く感じることがあるが、POPSを十分に楽しめる音が出た。

安室/BEST FICTIONとは相性が良いのか、低域のパンチも十分感じられ、ボーカルもグンと前に出る。「充分に」という枕詞を抜きにして楽しめる。ただ、カーペンターズやクラシックでは感じられなかった「粗さ」が高域に感じられることが気になった。高域のエッジが少し強調され、高域がほんのすこし「ざらつく感じ」がする。ソフトの状況を正確に再現しているせいだろうが、少し耳障りだった。

このソフトはJ-POPとしては録音の良い方だ。だから、録音状況の芳しくないソフトをかけたら、ちょっと高域がうるさく感じられるかも知れない。

 

私が度々試聴に使う「ノラ・ジョーンズ / Come and away with me」は、CD、CD/SACDコンパチ、レコード、DVDなどすべてのフォーマットのディスクで発売されている。その上、音楽的にも分かりやすいソフトだから、オーディオのテストにはもってこいである。このディスクを使ってSA8003のCDとSACDの音質差を聞き比べてみた。

CDの音はパンチがあって広がりも豊かだが、全体的にやや「甘さ」や「緩さ」が感じられる。ベールがかかった?というのとは少し違うが、音源が大雑把でボーカルの口もやや大きい感じだ。ベースの音も低域方向になればなるほど「緩さ」がより強く感じられるようになる。ドラムのブラシの音は、高域の上限が丸く、抜けきっていない感じがした。とはいえ、この価格帯のシステムとしてはかなりいい音には違いないのだが。

 SACDに切り替える。曇りがパッと晴れたように見通しが良くなる。ボーカルもコンパクトにまとまるし、ドラムのブラシの音も乾いて抜けるようになる。ベースも締まってくる。音として音楽として上質になる。その変化をスピーカーのグレードに例えるなら、2倍くらいの価格にスピーカーをグレードアップした感じだ。

SACDにソースを変えることによって、SA8003の音は明らかに良くなる。しかし、その「音質アップ」は、電源ケーブルやRCAケーブルの交換で得られるはずだ。言い換えれば、電源ケーブルやRCAケーブル、スピーカーケーブルやインシュレーターなどを工夫することで、CDからSACD以上の音が取り出せるのだ。

CDをすべてSACDに買い換えることはできない。SACDはそれほど種類がないし、もし可能だとしても買い換えの費用は膨大になるだろう。しかし、機器をグレードアップしたり、確実なオーディオアクセサリーを使うことでCDからSACDの音を出せる。それが、オーディオの真骨頂だ。

総合評価

SA8003/PM8003はmarantzらしい良くチューニングされた音で、上級機に通じる滑らかで優しい音がこのクラスでも充分に感じられる。しかし、同時にmarantzの上級機で時に私がやや不満と感じる、パンチ不足の傾向も持っている。癒される傾向の音だが、激しい音楽を聞くためにはスピーカーとのマッチングを工夫した方が良いだろう。

POPS、ROCK、JAZZなどではあまり問題にならないかも知れないが、交響曲のような楽器の数が多いソフトでは、「大まかな音」はほぼ完全に再現されるが、繊細な音、聞こえるか聞こえないかという雰囲気の深さや濃さを司る微少信号までは再現されない。その部分は数十万円クラスのアンプやセパレートアンプと比べるとどうしても薄く感じてしまう。それがこの製品の「価格的限界」だ。

さらなるプラスアルファーを求め、正しくコストを投入すれば、確実な音質アップが実現するこのクラスの製品は、オーディオ的工夫の楽しさを教えてくれる。SA8003/PM8003は「素」のままで聞いても良いが、そういうオーディオ的な素材としても申し分のない仕上がりと、高いコストパフォーマンスを持っていた。

音の違いを考える

最近大型家電メーカーのAVに関する広告は、BD(ブルーレイ)が主役になっています。映像だけならまだしも音質に関してもBDは、従来のどんなメディアよりも優れていると宣伝されています。しかし、実際に聞いてみるとその音は期待していたほどではなくがっかりしました。そして大きな怒りがこみ上げてきました。

レコードを抹殺したのは誰ですか?世の中にあんなに大量に出回っていたレコード。それに記録された音楽。私たち音楽ファンにはレコードへの様々な想いがあり、ファンが作り上げた文化が確かに存在しました。それを「金儲け」のためにあっさりとゴミ箱に捨てたのは誰ですか?恥ずかしいことに、一度捨てたゴミを拾ってお金儲けを企んだのは誰ですか?企業倫理として正しいと思いますか?

ここのところBDの音質についてメーカーや評論家は、声高々に5.1ch録音で「ロスレスだから(非圧縮)」とか「192Khz/24bitで収録できるから」などと、その音質がまるで「空前」であるかのように宣伝を繰り返しています。しかし、「192Khz/24bit」の音質はSACDやDVDオーディオですでに実現し、CDを遥かに超えていたにもかかわらず普及しませんでした。それはなぜですか?

それらの音がCDよりも格段に優れてはいなかったからです。私の知る限り(すくなくともAIRBOW製品では)、DVDビデオソフトの音質はCDを確実に上回ります。PMC/2chであったとしても、圧縮されたドルビーデジタルやdtsのサラウンド信号であったとしてもです。BDがそれを越えていたら、私は新しい世界が広がると諸手を挙げて歓迎したでしょう。しかし、そうではありませんでした。

CDを導入した、あるいはSACDやDVDオーディオを導入した当初の広告を忘れ、またもやBDで同じ広告を繰り返すメーカーは、いったい何を考えているのでしょう?完全に消費者を馬鹿にしています。またもや!の大嘘をこんなにも高い立場から堂々と言い切るのは、どういうつもりでしょう?これでは広告に名を借りた「プロパガンダ」ではありませんか!こんな力任せの情報操作は企業倫理として許されることではありません。そしてそれに乗っかる雑誌や評論家もまったく同罪です。

レコードを作りそれを聞ける環境を作ったのは、確かに企業かも知れません。でも、それを消費することで花を開かせたのは、私たち消費者です。その消費者の気持ちを踏みにじり、嘘の広告(CDはレコードより音が良いとされた)をしてまで新しい製品を売り込もうとする、その傲慢さに変わりはありません。

利益追求のため「嘘」を力任せに正当化しようとする「企業の姿勢」が私の怒りの対象です。せめてもの抵抗に私は、メルマガでBD(ブルーレイ)の音質が思った程よくないと書いたのです。

私の怒りの矛先は、決して企業そのものではありません。彼らなくしては、私たちの豊かな暮らしは存在しないのですから。では、批判はこれくらいにして「フォーマットによる音の違い」と「機器による音の違い」を実際に検証してみましょう。

オーディオの目的とは?

「BDの音が良い」というのは、フォーマット(データー形式)による音質を示します。「レコードとCD、CDとSACDの音が違う」と言うのも同じ意味です。これに対し、同じCDソフトが演奏する装置によって音が変わるのが「製品(装置)による音の違い」です。オーディオという趣味は、そういう「フォーマット」や「製品」による音の違いを統括して工夫を凝らし「いい音を聞く努力」を行うことです。

機械好きなオーディオマニアは時として「音質向上の原因(手段)」について細かく言及し、分類することがありますが、それはオーディオ本来の目的とは異なることです。目的はあくまでも「音を良くする=音楽を少しでもいい音で楽しめるように努力する(結果を求める)」ことで、手段にこだわることではありません。とはいえ「手段の研究」も行わなければ、効率的に音を良くすることもできません。「結果」と「手段」が上手くバランスすると楽しみはより大きくなるはずです。

今回はSA8003/PM8003にAIRBOWのCC4001/Special、PM15S1/Masterという製品を交えて、一枚のディスクから取り出せる音が「どのように変わるか?」のテストを行いました。

デジタル回路でも音は変わる

「録音〜再生」=「空気の振動をマイクでとらえ、スピーカーで再び空気の振動に戻す」。それがオーディオのすべてです。このプロセスで「失われる音」が少なければ少ないほど、良い音が聞けると一般的には考えられています。しかし、実際には再生のプロセスで録音されていない音が生まれ、それによって生演奏よりも再生演奏のほうが「音が良くなる(演奏が上手く聞こえる)」ということもあります。

私たちがもっぱら音楽を聞いているのは「CD」です。CDには音楽が「デジタル信号(PCM信号)」で記録されています。CDプレーヤーはディスクに記録されたデジタルデーターを読み取り、DA変換によってそれをアナログ信号に変換します。このデジタル〜アナログ変換のプロセスでは、音の変化は理論的には生じないはずですが、ここでも何らかの変化が生じ、音が変わります。極端な例では、音楽編集に使うハードディスクのメーカーを変えても音は変わりますし、接続するケーブル(fire-wireやUSB)でも音は変わります。

プレーヤーでなぜ音が変わるのか?

「プレーヤー」に必要とされるのは、記録された信号を「ロスなく」取り出すことと、それを「ロスなく増幅」することです。抵抗や配線、コネクターでのロス、増幅素子の感度、そういう「パーツの質の高さ」が要求されます。高性能なプレーヤーには、ロスの少ない高価なパーツが多用されるので価格が高くなります。レコード針の信号を復調・増幅する装置を「フォノイコライザーアンプ」と呼び、高価なものは100万円を超えます。CDプレーヤーにもDAコンバーターが出力した信号を復調・増幅するフォノイコライザーに近いアンプが搭載されています。高価なCDプレーヤーには高価なアンプが搭載されます。

一般的にはあまり知られていませんが、この「復調」では、「実際に録音されていない音」が生成される事があります。例えば「レコード」では、一本の針で左右の音を拾うために右chの音が左に、左chの音が右に混じることが避けられません。これをクロストークと呼びますが、それが発生した状態でスピーカーから音を出すと、あたかもセンタースピーカーを置いて中央部の定位を増強したような「疑似センタースピーカー効果」が生じます。レコードでは、クロストークという録音時にはなかった音が作り出されることで、再生音が生よりも良くなることがあるようです。CDとレコードの「音の広がりの違い」は、このクロストークの有る無しによる部分が大きいはずです。実際にミキサーを使って、このクロストークの量を増減して「中央部分の定位の変化」を調べた結果、この考えはほぼ間違いないことが確認されました。

デジタル回路でも「実際に録音されていない音」が作り出されます。最近はあまり表に出て来ませんが、一時CDに収録されていない「20KHz以上の音域(帯域)」を擬似的に作り出す回路が話題をさらったことがありました。DENONのアルファプロセッサ−、VICTORのK2プロセッサー、PIONEERのレガートリンク、などがそうです。これらの回路は「量子化によって失われた信号をもう一度作り出す」ことを目的としています。足りない部分を補う信号を作り出すこの仕組みを「補完(補って完全にするという意味にとると分かりやすい)」と呼んでいます。

最近、TVや映画で「画質の悪い写真」をパソコンで処理し「見えなかった細かい部分を見えるようにする(人の顔や、車のナンバープレートなど)シーン」を見かけることがありますが、これが「補完技術」によるものです。音声も正しく「補完」すると、収録されなかった「細かい音が聞こえる」ようになります。

この「補完」を20KHz以上の高い周波数に行っていたのが、先に紹介したCDプレーヤーに搭載されていた技術です。当時はまだ「補完」の技術が未熟であったため、機械が作り出す音は不自然でした。しかし、それから10年以上の年月が流れデジタル音声処理が飛躍的に進歩した結果、この「補完」によって作り出された音の不自然さが消え(作り出される音が正解に近い)、その結果CDからSACD並の音が出せるようになったのです。

このようにフォーマットがプアであってもプレーヤーが優れていれば、フォーマット以上の音を取り出すことも不可能ではありません。

アンプでなぜ音が変わるのか?

アンプはプレーヤーから受け取った信号をスピーカーを駆動できるレベルに高める役割を持っています。アンプに求められるのは、可能な限り細かい電気信号までスピーカーで音に変換する能力です。プレーヤーとアンプを繋ぐケーブルのグレードを上げると細かい音まで聞こえるようになりますが、それはケーブルの中で微少信号が失われなくなるからです。

ケーブルなどの回路の中で「音が消えないようにする(ロスをなくす)」のは、プレーヤーにも求められたことです。アンプがプレーヤーと違うのは、アンプが信号を伝えるスピーカーには「慣性」という物理的な力が働くことです。回路の中を流れる電流と違って、スピーカーのユニットは動かすと「さらに動き続けよう(慣性)」という力が働きます。また重量があるために、ユニットは瞬時には動かせません。ユニットを入力された信号に忠実に動かすためには、動きにくいユニットを動かし、動いているユニットを止め、次の動きを与えなければなりません。

このアンプの動力の元になるエネルギーを発生するのが電源回路です。そのためアンプの電源は強力である方が望ましいとされています。瞬時に必要なだけの電力を回路に送ることができる、ノイズの少ないクリーンで強力な電源が理想です。しかし、低価格のアンプではコストの問題で、このような「理想的な電源」を搭載することができず、制動・駆動力の限界が低くなり、スピーカーに搭載されるユニットの重量が大きくなりすぎると大きな歪みが発生(ユニットが忠実に動かなくなる)します。これが大型スピーカーを駆動するためには、それなりのアンプが求められる理由です。

現在販売されているアンプには「トランジスターアンプ」、「真空管アンプ」、「デジタルアンプ」の3つの方式があります。この中で圧倒的に歪みが大きく、スピーカーの駆動制動力にも劣る真空管アンプの音が良いとされるのは、どういう理由でしょう?

これもレコードに発生したクロストークと同じ考え方で説明が可能です。一般的にプレーヤーと同じようにアンプも「音のロスを減らす」事しかできないように考えられていますが、例えば真空管アンプでは増幅素子(プレートやグリッド、カソード。特にカソード)が振動することで音にエコーが付加されます。トランジスター・アンプでも増幅素子が僅かに振動し、音に新たな個性が生じますが、真空管アンプに比べるとその「量」はごく僅かです。発生した「エコー」は、カラオケでエコーを聞かせるとボーカルが広がって心地よく聴けるのと同じような感覚でリスニングルームに音を広げ、録音されていなかった「ホールトーン」を生み出します。

ウェスタンの300Bが名球と呼ばれるのは、それが発生する「エコー(響き)」が美しいからです。中国製の300Bとウェスタンの300Bを指で弾いてその響きを比べれば、ウェスタンと中国球の音の違いが分かるはずです。真空管マニアは真空管の「型番」でその音を分類しますが、私はそれは間違っていると考えています。真空管を分類するときに必要なのは「真空管の響き(作り)」であって、型番ではないからです。

このアンプで発生する「エコー」は真空管やトランジスターのような増幅素子のみならず、電源部の振動でも発生します。インシュレーターを変えると筐体の振動モードが変わるので、振動に敏感なアンプは音が大きく変わります。

スピーカーでなぜ音が変わるのか?

スピーカーはアンプから入力された信号によって空気を振動させ、電気信号を音に変換します。内部が見えないプレーヤーやアンプに比べて、スピーカーは「見た目通り」なので理解し易いと思います。

スピーカーに付いている大きなユニットからは低音が、小さなユニットからは高音が出ています。それぞれの感度が高く(敏感)、入力された電力に対しリニアに動く(歪みが少ない)のが理想のユニットです。

スピーカーは「ユニット」で語られることが多いのですが、忘れてはならないのが「エンクロージャー(箱)」の存在です。バスレフ・スピーカーやバックロードホーン・スピーカーでは箱そのものが「ユニット」の延長ですから、その影響の大きさは想像できると思います。しかし、密閉型のようにエンクロージャーから音が出ていないように感じられるスピーカーでも「箱の音」の影響を大きく受けています。

先ほど真空管は「響きを作る」と言いましたが、スピーカーのエンクロージャーはユニットと常に共振し、さらに盛大な「響き」を生じています。エンクロージャーで生み出される「響き」が「いいか?」・「悪いか?」でスピーカーの善し悪しはほぼ決まると言っても過言ではありません。ユニットやネットワークばかりを重要視するアマチュアが作ったスピーカーの音質がメーカー製品に敵わないのはそのためです。

またプレーヤーやアンプの歪みを測定すると小数点以下の小さな数字になるのに対して、スピーカーの歪みは数十%を大きく越え、それらとは比較になりません。そのためメーカーは、スピーカーに関しては歪みを発表しません。カタログデーター(スペック)とは、このようにメーカーが消費者を欺くために作っているでたらめな指標です。騙されないようにして下さい。そして歪みの最も大きいスピーカーこそ、音質に最大の影響を与えます。いい音を出そうと思うなら「良いスピーカー」を使わなければなりません。それが最も重要です。

プレーヤーやアンプによる音の違い、フォーマットによる音の違いをテストする

プレーヤーによる音の違いを検証する。

CD/SACDの違いを確認するためにSA8003で聞いたソフトを取り出しプレーヤーをAIRBOW CC4001/Specialに変え、CDプレイヤーを再生しSA8003+SACDの音と比べてみる。

 するとどうだろう?高域の音抜けの鮮やかさや細やかさこそ、ほんの少し後退した感じはあるが、ボーカルや楽器のニュアンスの再現性や色彩感の鮮やかさは、SA8003+SACDをハッキリと越えるではないか。

音楽としては、あきらかにこちらの方が上質だ。

ピアノの音には芯があり、重さも感じられる。ボーカルは口先だけではなく、地面に足が付いた音になって、ノラ・ジョーンズの体つきまで感じられるようだ。

ピアノ(小さい音)とフォルテ(大きな音)の違いも大きくなり、メロディーも流れがより滑らかになる。また、音楽の緩急もハッキリとして、先ほどは感じられなかった「休符」が感じられるようになる。

CC4001/Special+CDの組み合わせは、SA8003+SACDよりも音楽が楽しく聴けて、音も良かった。

アンプによる音の違いを検証する。

次にCDをSA8003+SACDに戻して、アンプをPM8003からAIRBOW PM15S1/Masterに変更する。

高域の鮮やかさ、低域の力感、空気感の再現性などあらゆる部分でSA8003+SACD/PM8003の組合せを大きく越える。この違いは、プレーヤーによるものよりも遥かに大きい。

ピアノの美しい色彩感、ノラ・ジョーンズの声の透明感としっとりとした美しさはどうだろう?はっきり言って全く別物だ!SA8003が、まったく違うプレーヤーに聞こえる。音の広がりもそうだし、密度感も全然違う。

T3Gはサイズも大きいし、ユニットも5つある。その反動(逆起電力など)をものともせず、スピーカーを鳴らし切るのにPM8003はあきらかに役不足だったのが、アンプを変えることで明確になった。

フォーマットによる音の違いを検証する。

SA8003にはMarantzのCD/SACDプレーヤーとして初めて「USB」端子が搭載されている。えっ!?と思われるかも知れないが、市場の現実を考えれば正しい選択だ。SA8003の「USB端子」に対応する音源の入ったUSBメモリーやi−podを挿入し、簡単な操作で選曲するだけで記録された音楽が再生できる。非常に便利だ。

今、音楽販売の主流はディスクから「配信」に移りつつある。著作権料も配信がディスクを上回った。これほど普及している「メモリー上」の音楽を再生できなければオーディオプレーヤーとは言えない。音質云々は抜きにして、最も流通しているメディアに合わせた商品を用意する。オーディオ・メーカーの妙なプライドよりも、お客様の利便性を優先させたmarantzのこの姿勢は、高く評価されるべきだ。AV8003にも、業界初「DLNA」を搭載したmarantzは、一歩先を行っている。

USBの音をテストするための音源を作るため先ほど聴いた安室のCDをWINDOWS MEDIA PLAYERで圧縮しUSBメモリーに記録した。それをSA8003に挿入し、フロントパネルのボタンで再生メディアをUSBに切り替える。曲名が表示されるので選び、プレイボタンを押すと音が出た。あっけないほど簡単だ。

音が出た瞬間に驚いた!CDの音とさほど遜色がなかったからだ。

USBに「圧縮」して記録した音源からも、CDの情報を100とすれば80以上は楽に出ている感じだ。私でも“それ”と聞かされなければ、CDとUSBのすり替えを気付かないかも知れない。確認する。間違いなくUSBメモリー上のファイルは、MP4に圧縮されている(音質モードは標準)。

気をよくして、違うCD(コバのアコーディオン)を非圧縮でUSBに録音して聴いてみた、これも驚いた、逆の意味で。

なぜなら、非圧縮にもかかわらず安室を圧縮したときよりも、音が悪くなっていたからだ。あえて言おう。音が悪いというのは正確な言い方ではない。CDで出た雰囲気がUSBの音源からは出ないのだ。

USBに録音すると音が軽くなって、音楽にまるで深みが感じられなくなる。これでは折角の素晴らしい演奏が台無しだ。この違いには愕然とする。

音源(音楽)による差が出た。そうとしか考えられない。私の考えはこうである。J-POPはマスタリングまでの段階、あるいはマスタリングの段階で様々なデジタルエフェクトが使用される。それに比べアコースティックな音楽、それも本格的なものになればなるほど、生のままの音が使われる。つまり、すでにデジタル化によって劣化した音と、純粋な音を変換した事による「失われるものの差」が最も顕著に現れた結果と考えるのだ。

MP3/4は発売当初から現在を比較すると、その音質の向上を否定できない。当初はJ-POPですら酷い音になっていた。しかし、現時点ではやはりMP3/4には「音楽的に限界がある」と断定せざるを得ない。少なくとも、今回のシステムではそういう結果となった。

フォーマットによる音の違い、i-Tune7、Media Player9による違いを更に詳しく検証したページはこちら

まとめ

今回のテストではCD/SACDというフォーマットによる音の違いと、プレーヤーやアンプによる音の違いを検証した結果、CD以上のフォーマットでは音質への影響は、プレーヤーやアンプよりも「遥かに小さい」ことが確認できました。今回のテストで得られた結果を簡単にまとめましょう。

SA8003/PM8003/T3GによるCD/SACDの比較では明らかにSACDがCDを上回りましたが、これくらいの変化量ならアンプやCDプレーヤーの電源ケーブルを変えるか?あるいはインターコネクトを高級品に変えたとしても、同じ量かそれ以上の変化が出るはずです。CDプレーヤーをSA8003からAIRBOW CC4001/Specialに変えた場合、あるいはアンプをPM8003からAIRBOW PM15S1/Masterに変えた場合には、CDからSA8003/PM8003で聞くSACDを越える音が出せました。この結果から、いい音を望まれるなら「高いフォーマットの製品」を買わなくとも、良いスピーカーやアンプ、プレーヤーを購入することでその望みが叶うことが分かります。効果的なオーディオ・アクセサリーなどを使って、現在お使いの機器の性能をアップさせるのも良い方法です。

ここ数年のデジタル技術の進歩により、CDは遂にレコードに匹敵するほどの音質になったと私は感じています。確かに5年前まではSACDでないとダメだと思っていた時期もありましたが、今のCDの音質は最高級のレコードに遜色ないほどにまで向上しています。今年ヨーロッパでブルメスターの代表と合った時、彼は私に「SACDは何が良いのか?下手をするとCDより音が悪いではないか?ブルメスターはCD以上のフォーマットは要らないと考えている」と話してくれました。私はそこまで極端ではなくSACDはCDより音が良いと考えていますが、ヨーロッパでトップのオーディオブランドの代表の言う「CDで十分」という言葉には重みがあります。

CDが発売された当初「デジタルだからプレーヤーによって音は変わらない」と言われたことがありましたが、現在「レコード」の音が「カートリッジ」によって変わったように、CDも「プレーヤー」によって音が変わると言う「事実」は広く認められています。結果として「プレミアム(ハイエンド)オーディオ」の市場は生き残ることができました。

同じソフトから取り出せる音が「変えられる」からこそオーディオは面白いのです。音質は「フォーマット」で決まらないからこそ、オーディオマニアは高価な電源ケーブルや信号ケーブルを使って「フォーマット」や「製品」の限界を越える音を出そうとします。前者は電源回路、後者は増幅回路を強化したのに等しい効果が音に出て、高級機のようなパワフルで雰囲気のある音が同じコンポから出せるようになることをオーディオマニアは知っています。逆説的に言うなら、フォーマットが完全でどんな機器からも「常に最高の音が出る」ならば、オーディオという趣味は成り立ちません。録音された音が「不完全」であるからこそ、それをより「完全」にする試みが生まれ、その努力や工夫こそが「オーディオ」の楽しみなのです。ケーブル一本でCDをSACDに変えられるのが、オーディオの真骨頂です。

ではCDよりも下位のMP4というフォーマットでもレコードに匹敵するほどの音質が得られるでしょうか?それを探るため、SA8003の機能を使ってCDとMP4を比較しました。J-POPのようにデジタル編集やエフェクトを多用した結果、音源として単純になったソフトでその差はさほど大きくありませんでしたが、アコースティックな楽器から構成される音源や、交響曲の様に非常に複雑な倍音構造を持つ音源での差は残念ながら非常に大きなものでした。MP4のレベルでは残念ながら交響曲を楽しく聞くことはできません。圧縮により失われるものが多すぎて、その複雑さや構造が再現されないからです。

最近BDの発売に触発されたのか、オーディオ専門メーカーがBDプレーヤーをラインナップする代わりにDVDプレーヤーをカタログから落としていますが、それは明らかな間違いです。オーディオ専門メーカーがトライすべきなのは、「DVDからBD並の音と映像」を出力することで「フォーマットの僕と化す」ことではありません。5000円/1枚のBDと対等の音と映像が1500円/1枚のDVDで実現できるからこそ、高級品の存在が正当化できるのです。ユーザーが求めているのは最高の音質・最高の画質ではありません。彼らが求めているのは「納得できる音質・画質」を1000枚に満たないBDではなく、30万枚を越えるDVDから取り出すことです。BDプレーヤーに匹敵するDVDプレーヤー、SACDプレーヤーに匹敵するCDプレーヤーに価値があるのです。

東芝はBDとの戦争に敗れた結果、DVDからBD並の映像を取り出すプレーヤーを作ると宣言しました(2008年11月頃に発売されます)。その製品で東芝の主張が現実となるなら、デジタル技術の進歩により「DVD」が「BD」に匹敵しうる画質を実現できる証明になるでしょう。音質は?すでにAIRBOWがそれを実現しています。

「フォーマット」という「変わるもの」に依存せず、いかなる「フォーマット」からも常に「最高の音質・画質」を実現する装置。それが「真にプレミアム」な価値を持つ高級機だと私は考えます。

2008年9月 逸品館代表 清原 裕介 

 

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1号館・午前10:30〜午後7:30 (定休日なし:年末年始及びお盆、臨時休業を除く)
住所 ・〒556-0004 大阪市浪速区日本橋西1-7-28 常盤ビル1F
電話 ・ 06-6644-9101(代表)  fax ・ 06-6644-6990

3号館・午前11:00〜午後6:00 (定休日:毎週水曜・木曜、平日はなるべくご予約下さい)
住所 ・〒556-0005 大阪市浪速区日本橋5-18-25 アリタビル6F
電話 ・ 06-6636-2917(代表)  fax ・ 06-6636-2916

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