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PMC Twenty26 音質 比較 評価 レビュー 試聴
(Phasemation CA1000と一緒に行った、Twenty26の音質テストを動画で見る)
PMC Twenty 26の特長 ・ユニット PMC Twenty Series搭載されるユニットは、すべて専用品として新開発されました。 SEAS社との合同開発による27mmソフトドーム型ツィーターは、全モデルに搭載されます。 彼らがマットドープと名付けている軽量で強度の高い紙コーンが使われるレスポンスに優れたウーファーは、口径140mmがTwenty 21と23に、口径170mmがTwenty 22と24に使い分けられます。 さらに3WayのTwenty26には、口径50mmのソフトドーム型ミッドレンジ(スコーカー)が搭載され、380Hz〜3800Hzの人間が最も敏感な帯域をこのユニットで再生します。3Way化によってTwenty26は、2Wayを超える細やかさと透明感を実現しています。 ネットワーク ネットワークはPMC全製品に共通する、24dB/octの急峻な遮断特性を持つPMCオリジナル・クロスオーバユニットが使われています。このネットワークもSEAS社との共同開発専用品で、高級なフィルムコンデンサー、精度の高い空芯コイルなど、こだわりのあるパーツが使われています。 トランスミッションライン(ATL) PMCがすべてのモデルに採用しているトランス・ミッション・ラインは、キャビネット内を仕切ることで生み出される長いダクトから低域を放射することでユニットとキャビネットのサイズを大きく超える低域を発生します。 Twenty Seriesには、このモデルに最適化されたトランスミッションライン「ATL(Advanced Transmission Line)」が採用され、サイズを大きく超える低音を発生します。下に著名なスピーカーとTwenty シリーズの再生周波数特性比較表を作りました。ブックシェルフのTwenty 22でさえ、3Way中型スピーカーのYAMAHA NS-100Mに匹敵する低音を再生し、トールボーイ型のTwenty23/24では、4Wayフロア型のJBL 4344を大きく超える低音を、Twenty26に至っては、大型で重いB&W 802D2と同じ低音が出せることが分かります。 スピーカー入力端子には、イギリス製のバイディングポストが使われ、PMCの伝統に従いそれぞれのユニットに専用のターミナルが装着され、3WayのTwenty26では、Tri-Wire入力に対応します。 試聴では、スピーカーケーブルのプラスをツィーター(最高域)、マイナスをウーファー(最低域)に接続し、付属のジャンパープレートを交換せずに行いました。 セッティングは、付属するスパイクを装着せず、カーペットに直置きして行いました。
試聴環境 今回の試聴は、3号館のリビングリスニングルーム(手前側の部屋)でSopla No.1を専用スタンドに乗せ、それをカーペットの上の直置きして行いました。 CDプレーヤーは、AIRBOW SA11S3 Ultimateを用意し、フロントUSBスロットに「audioquest Jitter Bug」を使って、CDから取り込んだ44.1kHz/16bitのWAVファイルを収録したUSBメモリを装着して音源とし、プリメインアンプにはAIRBOW PM11S3 Ultimateを使いました。 AIRBOW SA11S3 Ultimate 595,000円(税込) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら) audioquest Jitter Bug メーカー希望小売価格 7,700円(税別) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら) AIRBOW PM11S3 Ultimate 565,000円(税込) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら) 試聴ソフト (CDからリッピングしたWAVファイルをUSBメモリーに収録し、audioquest Jitter Bugを併用して再生)
ボーカルは、滑らかで質感が高い。子音はクッキリしているが、耳当たりがハードになることはない。この鋭さと、当たりの柔らかさの両立は、伝統的に「テキスタイル(布)」のユニットを採用しているPMC(Vienna Acousticsも)の美点だ。 ブックシェルフ(Focal Sopra No.1)ほど分離は完全ではなく、空間には「適度」な濁りが感じられるが、ライブ(実演)でも必ず音は「濁って」いるので、それほど気にならないし、逆にPMC程度の僅かな濁りなら、それがリスナーを安心させる効果もあるかもしれない。 Twenty26でこの曲を聴いたときの最大の長所は「ユニットの繋がりがよい」と言うことだ。 下手なマルチウェイスピーカーでピアノのような帯域の広い楽器を聞くと、低い音と高い音で「ピアノの銘柄(メーカー)」が違って感じられることがある。初期のB&Wはこの問題を抱えていたため、楽器を演奏するリスナーからの評価が低かった。私も、ピアノの音色が低音と高音で変わってしまうのは許せなかった。その当時、音色の揃ったスピーカーを作ろうとして、PMCを聞いてやめにした。なぜなら、PMCのユニット感の繋がりの良さ、特に音色の整合性は素晴らしかったからだ。 Twenty26には、それがしっかりと引き継がれている。だから、安心してこの曲を聴くことができた。
フロア型スピーカーを適当なセッティングで聞くと、ピアノの響きに濁りが出る。しかし、点音源に近いブックシェルフ型スピーカーは、適当に設置しても空間を濁らさず、音の分離にも優れている。 Twenty26は、ちょうどその中間あたりに感じられる。Sopra No.1ほど圧倒的な透明感、分離の良さは持たないが、他メーカーのフロアが頼りは絶対的に濁りが少なく、分離も良い。 Sopra No.1は、とてもわかりやすい高音質を演出したが、Twenty26は、もっと生に近いというか、自然な音だ。 イントロ部分でのピアノの響きは複雑さもあり、低音は重厚なイメージがしっかりと再現される。ボーカルは人間が音として聞き取れない低音の部分まで再現され、歌手が地面をしっかりと踏ん張って歌っているようなイメージが醸し出される。 PMCの音色は全体的にやや重めで、曲調はクールに再現されるのだが、家庭用としてチューニングされているTwentyシリーズの音は優しく、Twenty26の音は低音が豊かなせいかほのかに暖かく感じられる。 じわじわと心の中にしみこんでくるような、そういう鳴り方で音楽をデリケートに表現するから、明かりを落とした、静かなリスニングルームで、じっくりと音楽を聞きたくなった。 シンセサイザーの「耳当たり」が、Sopra No.1よりも明らかに優しい。これは、ツィーターの振動板「ベリリウム」と「テキスタイル」の違いだろう。けれど、切れ込みの鮮やかさ、パーカッションの芯の強さでは、Sopra No.1がTwenty26を圧倒する。 ボーカルは明るく前に出てくるSopra no.に対して、Twenty26は空間に溶け込むような鳴り方をする。明瞭度ではSopra No.1の勝ちだが、きめ細やかさ、滑らかさではTwenty26も負けてはいない。けれど、今更驚くのは2WayのSopra No.1の解像度の高さが、3WayのTwenty26に決して劣らないことだ。 Twenty26がSopra No.1を凌ぐのは、やはり低域。空気の動きまでが再現され、音の流れにゆとりが出る。また、空間が隙間無く音で満たされているような感じが創出される。この「空気感」は、やはり27Hzという再生可能周波数の低さからもたらされるのだろう。トランスミッションラインの唯一の欠点とされる「低域の遅さ」、「低域の引きずり感」も全くない。 刺激が低いので派手さはないが、じっくりと音楽を聞きたいと思うなら、Twenty26は悪くないチョイスだと思う。
交響曲を聴いても低音には何の不満も無いが、Sopra No.1に比べると「音源が遠い」感じがする。 Sopra No.1では、スピーカーからさほど離れていないところに音源(楽団)があるように感じた。それがTwenty26だとかなり離れてしまう。音の広がりもSopra No.1ほど大きくはない。ここに来てTwenty26は、「立体感」でSopra No.1に大きく差をつけられてしまった。もちろん、それは「セッティング」や「ウェルフロートボード」で解決するはずだが、やはりセッティングの簡易性でフロア型は、ブックシェルフ型には届かないのだろう。 金属を打ち付ける音が出る楽器もSopra No.1よりも音が弱いが、これはツィーターの材質の違いによるものだ。 Twenty26は精密だが、この曲ではパワー感(躍動感)が少し物足りない。 PMCと言えば、低音が必要とされる交響曲やホールで演奏されるクラシックが得意と思っていただけに、この曲が上手く鳴らないことには少し驚いた。 試聴後感想 AIRBOW SA11S3/PM11S3 Ultimateでの試聴の後、開発が完了していたCD6006/PM6006 Liveを繋いでTwenty26を聞いてみました。6006 Liveの少し「角の立つ音」が良くマッチするのか、11S3 Ultimateよりも元気よく音楽が鳴ります。 今回はスパイクも未装着で、足下が緩かったなど、条件が不十分でした。また、ジャンパーの交換、組み合わせるアンプの見直しなど、Twenty26でこの曲を満足な音質で鳴らすためには、もうすこし工夫が必要なようです。 2016年7月 逸品館代表 清原裕介 |
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