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Triode

TRV-35SE , TRV-A88SE , TRV-A300SE , VP-300BD , TRV-4SE , TRV-M300SE 音質評価 テスト

  

 

 テストリーズナブルな価格で好評のTRIODE/トライオードの真空管アンプの主要製品(残りは後日テストの予定)の音質をチェックしてみました。TRIODE/トライオード製品の取り扱いを積極的に行ってこなかったのは、本文中の終わりの方に詳しく書いていますが、近隣のショップとの摩擦を避けたいと考えていたからです。しかし、それが大きな間違いであったことが今回のテストで判明いたしました。それでは、それぞれの機器の音質レポートをお楽しみ下さいませ。

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写真の製品は試作機のためサイドウッドの止めネジが違っております。
製品では黒のネジとワッシャーを使用しておりますので御了承ください。
※サイドウッドは別売です。

TRV-35SE

標準価格¥150,000(税別)

サイドウッド別売 ¥5,000(税別)

TRV−35SEの主な仕様

■最大出力:45W+45W(8Ω)
■使用真空管:EL34/AB級プッシュプル
■入力端子:入力RCA4系統
(前部1系統、後部2系統、プリアンプ入力1系統、テープアウト録音1系統)
■出力端子:6/8Ω各1系統
■ヘッドフォン端子装備
■KOA高精度抵抗器使用
■USA高品質スピーカーターミナル使用
■消費電力:無信号時100W、最大出力時220W
■サイズ:横330×奥行280×高150mm
■重量:15kg

12万円という価格を疑うほど作りはしっかりしていて、質感が高い。初期に発売されていたTRIODEのアンプとは、隔世の感がある。
音質は、12AX7,12AU7,EL34をプッシュという標準的な真空管アンプの穏やかな音を想像していると裏切られる。良い意味でも、悪い意味でも、トランスター的でFレンジは広いが、真空管的な潤いが少なく、これって真空管?というサウンドだ。これならCDとSACDの差をきちんと描き分けられるぐらい特性は良いのだろうけれど、大ヒットしたUNISONリサーチのSimplyシリーズのような柔らかさや潤い感は感じられない。

トランジスターアンプと勝負するなら正解。真空管アンプをイメージすると失敗。

12万円というのは、この構成の真空管アンプとしては望外に安いが、一生を共にできるか?と尋ねられれば、ちょっと疑問。価格を考えれば非常に良くできている。ファーストフードのストレートコーヒーのような、そういう評価だ。

追記

TRV−35SEは、その後3号館に展示導入を行った。展示した個体の音は、メーカーから拝借した試聴機とはかなり異なっていた。早速、製造元のTRIODEに確認を入れてみた。すると、試聴用として貸し出されたデモ機と現在発売されている生産品では、一部のコンデンサーが異なるためそれが音の違いになっているのだろうと言う返答を得られた。この音を最初に聞いていたら、上記のような評価にはならなかった。

透明度が高く、表情も豊かでTRV−A300SEとの類似性がかなり強い。確かに設置した場所や電源の取り方などはテスト時とは少し違うが、それを考慮したとしても音の違いはかなりある。現在販売されているTRV−35SEの音質は、到底この価格で発売されている真空管アンプとは信じられないほどの素晴らしい音質であることを保証しても良い。すでに、数千台がリーリースされたこの製品が、中古市場にほとんど出回らないのは、顧客満足度が高い=音が良い証拠ではないかと思う。


※サイドウッドは別売です。(拡大写真

TRV-A300SE

標準価格¥160,000(税別)

サイドウッド別売 ¥5,000(税別)

生産完了

TRV−A300SEの主な仕様

■最大出力:8W+8W(8Ω)
■使用真空管:300B/A級シングル
■入力端子:入力RCA3系統
(後部3系統、テープアウト録音なし)
■出力端子:6/8Ω各1系統
■KOA高精度抵抗器使用
■USA高品質スピーカーターミナル使用
■アルミ削りだしインシュレーター使用
■TRIODEオリジナル300B使用
■高品質ソケット使用
■消費電力:80W
■サイズ:横230×奥行400×高185mm
■重量:11.5kg


リアパネル拡大写真

このモデルはTRV-35SEと同じ12万円だが、シングルで出力が低い。でも音質は、比較にならないほど素晴らしいと思う!

私は、今でこそ真空管アンプを積極的にお薦めしないが、オリジナルとして一番最初に発売したアンプは6L6GCのシングルアンプだったのをご存じの方がいらっしゃるかも知れない。その後で300Bシングルも作って発売していたように、何を隠そう私は真空管アンプの音が結構好きだ。では、なぜ真空管アンプを薦めなくなったのか?それは、現代真空管アンプが「高い」「音が悪い」「壊れやすい」といういずれかの問題点を抱えるようになったからだ。そういう私の先入観を覆したのがこのアンプだ。TRV-A300SEは、「安い」し「仕上げ」も非常によい。形状こそ大ヒットしたユニゾンリサーチのSimplyシリーズに似ているが、しっかり感はこっちの方が上だし、音質の透明度も高い。

出力は8Wと低いが、通常家庭で音楽を聴くためなら十分だ。それに、私はこのアンプが「シングル」だから音が良いと考える。なぜなら、シングル出力とプッシュプル出力では、比較にならないほど「トランスの設計の難しさやコスト」が違うからだ。それは、過去に音質研究のために真空管アンプを作っていたとき思い知らされている。シングル出力のトランスは、安物でも結構いい音がする物があるのにプッシュプルのトランスで「これはいい!」と感じたのは数えるほどしかない。一つの信号をそのまま変換するシングルトランスに比べ、プッシュ側とプル側の二つを一つにまとめて出力するプッシュプルトランスに要求される「精度」は、比較にならないのだ。

その上、プッシュ側のとプル側の動作が完全にシンメトリーになっていないと中高域に濁りを生じて透明感が出にくかったり、音が硬くなったりする。しかし、真空管を選別したり経年変化で動作点がずれてゆく真空管をメンテナンスして回路を完全なシンメトリー動作にするのは、至難の業だ。そんな理由からか、過去を振り返っても「音の良いプッシュプル真空管アンプ」は、非常に少ないように思う。中低域の力感やパワーは、あっても「透明度」や「高域のヌケの良さ」を実現したトランスは非常に少ない。サンスイやラックスが、アンプメーカーとして名を上げられたのは、彼らの作る「プッシュプルトランス」が非常に優秀で、音が良かったからなのだろうと思う。それが証拠かどうかはわからないが、ラックスの「OY型トランス」などは、今聞いても素晴らしい特性を彷彿とさせるほど透明度が高く、音のにじみがない。最新のトランジスターアンプにまさるとも劣らないほど素晴らしい透明感とレンジの広さを感じることが出来る。

A300SEの音質は、それらの名器を彷彿とさせるほど透明度が高く、自然だ。安物の真空管アンプにありがちな、ボケた音ではない。スッキリ透明で、それでいて優しく、エコー感が心地よい。う〜ん、これはやられた!最新のCDとスピーカーの「持ち味」を損なわず「潤い」を与えるために、このアンプに投資する16万円は、嘘のように安い。

試聴は、ウィーンアコースティックT3Gと出来たばかりのAIRBOW SA8400/Specialの組合せで行ったのだが、とてもじゃないがCD+AMPでたった「30万円+」の組合せから出る音ではない。下手をすれば100万円くらいのセットでも、こんなに素晴らしい音は出ないはずだとさえ感じるほどだ。音は最高級クラスなのに、この安さ!コストパフォーマンスは抜群に高い。このアンプなら20万円を大きく越えても決して高いと文句は言わないだろう。

そして、このままAIRBOWのバッチを付けて売っても恥ずかしくないと感じるほど良くできたアンプだった。とすごく感激して、アンプを撮影し、箱に戻すときに気がついた!なんて私は慌て者なのだろう。本文中では、訂正を入れたのでわからなくなっているが、私はこのアンプをTRV-A300SEではなく、12万円のTRV-A88SEと勘違いして(早とちりして)聞いていたのだ!そこで、事実関係を整理した上で追加のコメントを掲載することにした。

おさらいするが、TRV-A300SEの出力は、8W+8W。価格は16万円。比べるべきは、300Bのシングルアンプ。本文中で比べたSimplyシリーズは、KT88と同じ5極管を使用する。300Bは、直熱3極管だから比べるべき対象はやはり300Bだろう。

以前、私はシルバーナイト300Bをチューンナップして24万円程度で販売していたが、TRV-A300SEは、そのアンプと同等以上の音質だと思う。たぶんトランスがシルバーナイト300Bよりも優秀だからだろう。

パートリッジのトランスを使っていた、逸品館オリジナルのMINIWATT 300Bと比べると、さすがに低域の厚みが足りないけれど、それはこの価格、このサイズのアンプの限界だから仕方ないとあきらめもつく。それに今さらパートリッジのトランスなんて手に入らない。少なくとも同じ300Bシングルなら大阪の某販売店オリジナル?で売られていた50万円程度の300Bシングルアンプ(今もあるかはどうかは知らないけれど)よりは、格段に音が良いことは保証できる。

使用されている300Bは、チャイナ(中国)球らしいが、チャイナの300Bは、選別すれば音はかなりいける。でも、ウエスタンの300Bに球を換装したら・・・、アンプは16万円なのに、球にさらに10万円近く投資しなければならないけれど、もっと良くなるに違いない。そして、ウェスタンを聞いたが最後・・・、元には戻れなくなるだろう。

アンプを返せなくなると危険だから、手持ちのウェスタン・オリジナル300Bは、今はまだ差し替えないでおこうと心に決めた。


※サイドウッドは別売です。(拡大写真

TRV-A88SE

標準価格¥120,000(税別)

サイドウッド別売 ¥5,000(税別)

生産完了

TRV−A88SEの主な仕様

■最大出力:12W+12W(8Ω)
■使用真空管:KT88/A級シングル
■入力端子:入力RCA3系統
(後部3系統、テープアウト録音なし)
■出力端子:6/8Ω各1系統
■KOA高精度抵抗器使用
■USA高品質スピーカーターミナル使用
■アルミ削りだしインシュレーター使用
■TRIODEオリジナルKT88使用
■高品質ソケット使用
■消費電力:60W
■サイズ:横230×奥行400×高185mm
■重量:11.5kg

リアパネルの形状は、TRV-A300SEと同じです。
リアパネル拡大写真

TRV-A88SEと勘違いしてTRV-A300SEを聞いていたので、今度は間違いなく!TRV-88SEを確認してから試聴を開始した。

TRV-A300と違うのは、価格が12万円と安いことと、出力管が直熱3極管の300Bから5極管のKT88に変わっていること、それに伴って初段管が6SN7から、12AX7に変更されていることだ。これは、それぞれの真空管の特性を考えれば、教科書通りの非常にコンベンショナルな構成(設計)だといえる。私もさんざん真空管アンプを嬲ったが、古典的回路には抗しがたい良さがあるし、アンプを作るならセオリー通りの回路で十分だと考えているから、奇をてらわないこの構成には大賛成だ。

世間では、300Bは透明度が高く、TK88は馬力があるといわれるが、私の経験では真空管の種類でそんなに劇的な差があるわけではない。少なくとも、ブラインドテストで真空管アンプを聞いて、使用真空管の種類や銘柄を言い当てられる自信は私にはない。

しかし、TRIODEのA300SEとA88SEの差は、300BとKT88の音としては世間の評判に非常に近かいイメージだった。KT88SEは、A300SEほどの圧倒的な透明感、ヌケの良さはないけれど、中低音は、A300SEよりも少し柔らかで広がる感じ。中高域は、ほんの少し、本当にほんの少しだけ霞がかかったようにソフトフォーカスになって、エコー感が強くなるが、それはそれで持ち味としては悪くない。このアンプもTRV-A300SE同様、私は非常に高く評価したい。

私の知る限りでは、チャイナ球のKT88は、ガラスが薄い?せいなのか鳴きがやや多く、ちょっと音が緩い感じがするから(この球がそうだとは限らないが)、本当は音の良いビンテッジのKT88に差し替えれば良いのだけれど、Mcintoshが復刻版の#275を発売したお陰でKT88は取り合いになって、今やバカほど高くなってしまったから、同等の動作をする6550か6550Aに差し替えてやれば、見かけが悪くなったとしても中低域が締まり高音のヌケも良くなると思う。もちろん、差し替えが可能かどうかは回路を細かく調べないと確実とは言えないが。

安くて良い球が少ない出力管のKT88にくらべ初段管の12AX7は、数千円も出せば未だに数十種類が入手可能だから、ソフトごとに、あるいは組み合わせるスピーカーやCDプレーヤーに合わせて好みで差し替えて音を楽しんでも良い。

ハイエンドオーディオは、気が狂ったように高くなり、低価格のオーディオ機器はデジタル全盛で「音を作って遊ぶ楽しみ」が消えつつある今、こんな良心的な価格で、こんなに楽しめるアンプがあるなんて!今さらだけど(理由は後述)、もうすでに国内で数千台近く売れたブランドだけど、パーソナルなオーディオの楽しみを求める方に心からこのアンプをお薦めしたい。自作!?止めておきなさい。材料だけ12万円で揃えても、こんなに良いアンプは「絶対」に出来ないと思うから。

いい音を求めるためにアンプいじりがしたいなら、このアンプを買って、改良という形で勉強するだけで十分だし、アマチュアが自己満足で作ったアンプがプロが作った良い製品を「総合バランス」で越えられる可能性は、ごく希でしかないのだから。


※サイドウッドは別売です。(拡大写真

VP-300BD

標準価格¥380,000(税別)

サイドウッド別売 ¥10,000(税別)

VP−300BDの主な仕様

■最大出力:21W+21W(8Ω)
■使用真空管:300B/A級パラシングル
■入力端子:入力RCA4系統
(後部4系統、テープアウト録音なし)
■出力端子:4/8/16Ω各1系統
■KOA高精度抵抗器使用
■TRIODEオリジナル300B使用
■高品質ソケット使用
■消費電力:250W
■サイズ:横430×奥行320×高210mm
■重量:約20kg


リアパネル拡大写真

続いて、VP-300BDを聞いてみた。スイッチを入れて音を出した瞬間、まだウォーミングアップも終わっていない段階で中高域の透明度と見通しの良さがTRV-A88SEを上回ることがわかる。しかし、ウォーミングアップが完全に終わった段階でもTRV-A300Bほどの清々しいまでの透明感には至らない。やはり、出力管を2球(プッシュプルでもパラシングルでも)以上使ってシングルと同じような透明度を出すのは難しいのだろうか?

やはり、さんざん真空管アンプを嬲って実験した経験から、ハイパワーと音質の両立には、送信管のような巨大な球をシングルで使うか(電圧が高く危険、音のために命を捧げたくはない)あるいは、完全に対称動作となるように真空管、トランス、回路を完璧に測定、選定して「完全なるシンメトリー」の状態にするしかないと実感する。

とは言え、プッシュプルよりは、パラシングルの方が濁りは少なくなるから、その点ではこのアンプは有利だ。中高域のほんの僅かな、透明度の低下と引き替えに出力が8Wから21Wに増えて、音質的には失ったものばかりなのだろうか?

そうではない。このアンプの真骨頂は、中高域の透明度にあるのではない。中域の厚みとエネルギー感、低域の力感が半端じゃない。真空管アンプとは、思えないほど力強くウーファーを押してくる。低域のリズム感が心地よい!シンバルの切れ味も良い!ドシリとしたピラミッド型の安定した、安心感のある、体に響いてくるようなサウンドは、重低音が必要な交響曲、あるいはパンチが必要なJAZZやROCKに向いているとさえ思えるほどだ。

TRV-A300SEやTRV-A88SEは、小編成のクラシック(室内楽)や弾き語りのボーカル、スローなJAZZやバラードに最適だが、組み合わせるシステムや聴き方によっては大編成では厚みが足りなくなるかも知れないけれど、VP-300BDならそんな心配はいらない。直熱3極管らしい、良くできた300Bのアンプらしい、地を這うような低音管が出る。それを承知でパラシングルを選ぶなら、その期待をこのアンプは裏切らないだろう。

大地を悠々と流れる、大河のようなそんなイメージの音質だ。そして、TRV-A300Bは、高原の渓流、そんな清々しく透明で瑞々しいサウンドだ。

いっそ両方買って、気分や音楽に合わせて繋ぎ変えるという贅沢な楽しみも許されるくらいの価格なのがとてもありがたいと思った。


※サイドウッドは別売です。(拡大写真

TRV-4SE

標準価格¥150,000(税別)

サイドウッド別売 ¥5,000(税別)

生産完了

TRV−4SEの主な仕様

■使用真空管:12AX7,5AR4/A級増幅
■入力端子:入力RCA4系統
(前部1系統、後部2系統、プリアンプ入力1系統、テープアウト録音1系統)
■出力端子:RCA3系統
■KOA高精度抵抗器使用
■真空管式フォノイコライザー搭載(NF型)
■周波数特性:−1,−3dB(10Hz−100kHz)
■S/N比:96dB
■入力インピーダンス:LINE100kΩ/MM47kΩ
■出力インピーダンス:7kΩ
■高品質ソケット使用
■消費電力:40W
■サイズ:横340×奥行315×高185mm
■重量:8kg


リアパネル拡大写真

このアンプのデザインは変わっている。価格を下げるためにプリメインアンプと筐体を共用しているからだ。

音質は、TRV-A300Bなどと共通の透明感見通しの良さを持った瑞々しいサウンドだ。これも音質から考えれば、12万円という価格は非常に安い。

真空管というイメージから想像されるより、音の濁りやぼやけは少ない。真空管というイメージから想像されるとおり、音は柔らかく中域に厚みがある。残念なのは、若干解像度(音の細やかさ)が減じられることだが、それと引き替えに「艶やかななまめかしさ」がもたらされる。私の知る真空管プリアンプの中では、中位よりも上にランクしても良い音質だ。今お薦めしているQUAD QC24と比べると若干、中域が膨らみすぎて緩くなる感じがあるが十分に許容範囲内だ。

CDプレーヤーにAIRBOW SA8400/specialをパワーアンプにAIRBOW LITTLE PLANET2を使ってプリアンプ単体での試聴を行ったが、高域の若干の切れ味の低下とトレードオフでデジタルのパサパサした感じ、ドライな感じを上手く消す、適度なエコー感としなやかさ、中低域の弾むような力感が手に入った。これは、なかなか悪くない取引だと思う。

超高音質を期待すると、ちょっと物足りないかも知れないけれど、フロントに入力端子があるのも便利だし、今回はテストしなかったがこの価格で「真空管式フォノイコライザー」が搭載されているのだから、これ以上文句を言ったら罰が当たると言うものだ。それに、この価格ではまともなトランジスタープリアンプは存在しないし、出力が3系統もあるのだから、大変便利だ。

低価格で音の良いプリアンプをお探しなら、非常に貴重なモデルと言える。下手な中古に手を出すよりも、はるかに良い選択に違いないだろう。

更に音質を追求したい方には、ちょうど倍の24万円で音質をグンと高めたLIMITED仕様がある。一通りTRIODEの音を聞いた感じでは、その音質の統一感、まとまりから「音をわかって作っている」事が実感として伝わってくるから、きっと期待は裏切らないだろう。機会があれば聞いてみたい。


拡大写真

TRV-M300SE

標準価格¥190,000(1台/税別)

サイドウッド別売 ¥5,000(税別)

TRV−M300SEの主な仕様

■最大出力:20W+20W(8Ω)
■使用真空管:300B/A級パラシングル
■入力端子:入力RCA1系統、XLR1系統
■出力端子:6/8/16Ω各1系統
■KOA高精度抵抗器使用
■TRIODEオリジナル300B使用
■新開発24金OFC高品質ソケット使用
■アルミ削りだしインシュレーター
■サイズ:横176×奥行440×高200mm
■重量:約15kg


リアパネル拡大写真

今回の試聴の締めくくりに聞いたのが、TRV-4SEとTRV-M300SEのセットだ。音質評価に移る前にまず、簡単にTRV-M300SEを紹介しよう。このアンプには、RCA/XLR入力の切り替えとボリュームが付いている。出力も4/8/16オームから選べるなど、現代の真空管アンプに求められる機能がほぼ完璧に搭載されている。入力を1系統しか使わないなら(背面でRCA/XLRを切り替えれば2系統も可能)ボリュームが左右別々になるのは不便だが、簡易的にプリメインアンプとして使用も可能だ。

十分にウォーミングアップが終わったTRV-4SEとの組合せで音を出したが、スイッチを入れた瞬間から透明感のある音が出た。音色や音質としてはVP-300BDに非常に近いが、F/Dレンジ感の余裕や透明度の高さに設計の新しさとセパレートの優位性が感じられる。そして、カタログのパワーアンプの価格を見てまた驚いた!15万円/1台!!やっぱり安い!!!

これはもう、安くて良いアンプを作るコツをTRIODEは知っているとしか考えられない。この性能と音質、仕上げの良さでこの価格なら、冗談抜きに世界を席巻してもおかしくないとすら思える素晴らしい製品だ。

音質は、基本的な部分ではVP-300BDに大変よく似ているが、前述したように中高域の透明度が向上し、D/Fレンジが拡大している。これは、経験によってトランスやアンプの組み立て精度が向上したこと、そしてよりよい真空管やソケットを開発して使用するなど持続的で地道な細部にわたる改善を繰り返してきた証だろう。その結果として、VP-300BDで若干不満の残った中高域の透明度が高められ、様々な意味で全体的なバランスが非常に良くなっている。今日聞いたアンプの中では、問題なくBEST1はこのセパレートアンプだ。

国産有名メーカーのトランジスターセパレートアンプよりも格段に音楽性が高く、中高域の透明度表現力、音の立体感が高いと感じる。この私でさえ!?脱帽したくなるほどの出来映えの素晴らしい音。こんなアンプが目の前にあったなんて、それを知らなかったなんて、不勉強だったのだろう。アンプジラに引き続き、ご紹介が遅れたことを心からお詫びしなければならない。

これを言ったら、言い訳になるかも知れないが、TRIODEの山崎さんとは彼がまだたぶん家内商業的に真空管や真空管アンプのパーツの輸入を行っていたときに取引があった。TRIODEがまだ、トライオード、サプライ、ジャパンと称していた頃の話である。良質な真空管アンプのパーツが欲しくて探していた私は、山崎さんの会社を知る。今はなき名器COUNTER-POINT SA5000に使われていた高音質コンデンサーWONDER CAPやそれを凌ぐというSUPER CAP、SORENのフィルムコンデンサー、そして今もTRIODEのアンプに使われているKOAの高音質抵抗など、山崎さんから入手したパーツは、積極的に逸品館オリジナルの真空管アンプに使っていた。その後、TRIODEが真空管アンプを作り出す頃とオーバーラップして、私が真空管アンプに見切りを付けたため(IC+インバータ電源のアンプが真空管を越えるとわかったから)TRIODEとは徐々に疎遠になったが、良心的な価格設定と信頼できる仕事ぶりでTRIODEは、急成長する。

そして10年くらいほど前だと思うが、中国製の真空管アンプで10万円を切る製品をTRIODEが発売したとき、私は真っ先にそれを聞き、そして落胆した。なぜなら、その製品は「安かろう」、「悪かろう」という域を脱していなかったように感じたからだ。それに当時私は、自分が作っていたIC+インバーター電源のアンプ(現在のLITTLE PLANET,LUNA、TERAの習作)に入れ込んでいたから、何を今さら真空管という気持ちがあったことも否めない。

そんな事情でTRIODEとの取引は、しばらく空白の時を迎える。TRVシリーズが発売され、好評を博しているのは知っていたが、私がよそ見をしている間(私が悪いのだが)に近隣のオーディオショップがTRIODEを積極的に薦めていたのが最大の理由(人様の商売を横取りするようなマネはしたくないから)で、私は最近のTRIODEのアンプを積極的に聞くことはなかった。

それが手のひらを返したように、今回TRIODEのアンプを聞く切っ掛けとなったのは、私の旧知の人物、ある大手オーディオショップの店長を務めた人間が退社した後、TRIODEのエージェントとなり、彼を通じて再びTRIODEとの縁が深まったからだ。義理が噛んで、私は再びTRIODEのアンプに触れそれを聞き、そして驚いた。私の知らない10年間に、TRIODEはなんと長足の進歩を遂げていたことか!

今は自分の怠惰を恥ずかしく思う。そして私以外にもゼロからスタートし、その情熱で今を築き上げたメーカーがあったことを、私は心から嬉しく思う。

人の懐を狙って隙あれば高いものを売りつけ、モデルチェンジの度に値上げを繰り返すそんな高級オーディオメーカーの傍若無人な高価格商品にスポットライトが当たる中で、そういう派手な舞台に背を向けて、人が人を思う気持ち、音楽を愛する心、そしてそれを求める人、そういう暖かく幸せな連鎖の中で良心的な製品を製作し、販売しようとするその秘めた情熱。

求める方の負担にならない金額で、手持ちのソフトがすべて愛おしくなるような、期待以上の素晴らしいサウンドを届けようとするその心意気!TRIODEの製品は、そんなみんなの夢を叶えてくれる数少ない製品の一つだと自信を持ってお薦めできる。

そして、TRIODEが驚くべき良心的な価格で、素晴らしい音質の製品を作っていることを知り、私は同業者として心から誇りに思う。

この業界、まだ捨てたもんじゃない!

TRIODEの音を聞いていると、真空管アンプのヒーターの灯のように穏やかだけど暖かい、そんな思いが心を満たした。

2006年10月 逸品館代表 清原 裕介

あとがき

真空管アンプとトランジスターアンプの違いについて

CDの音を増幅してスピーカーを鳴らすという機能において、真空管アンプとトランジスターアンプにはまったく違いはない。音質的にも、違いがあるようできちんと作れば、そんなに大きな差異は生じない。目差すいい音に変わりはないのだから。では、一体どこが違うのだろう?

技術的には、ダンピングファクターと周波数特性がまったく異なって、この二つの特性の優秀さでは真空管アンプはトランジスターアンプの足元にも及ばない。

真空管アンプは、20Hz以下の低域大信号を歪みなく再現できないが、トランジスターアンプはほぼDC(0Hz)領域まで低歪みで再生する。高域も真空管アンプは、30k〜50kHz程度が限界だが、トランジスターアンプなら、100kHzを遙かに超える領域まで(スピーカーが対応すればの話だが)再現しうる。

これが、周波数特性の大きな差。

ダンピングファクターとは、ウーファーを制動(止める)力のことで、トランジスターアンプは、ウーファーを動かして素早く制動し止めることが出来る。対して真空管アンプは、ウーファーを制動する力が弱いから、B&Wのように思いコーン紙を使ったスピーカーとは電気的に相性が悪い。つまり、どう考えても技術的には真空管アンプは、トランジスターアンプにはまったく敵わない。

では、そんな真空管アンプの長所とは?

まず、トランジスターアンプで発生する「歪み」は音を硬くしやすいが、真空管アンプで発生する「歪み」は、正反対で音質を柔らかくしたり、瑞々しくしたりすることがある。また真空管アンプには、特有のエコー感が不可避だから、これらの「歪み」を逆に上手く利用すれば、デジタルの刺々しさや硬さを相殺することが可能だ。真空管アンプならトランジスターアンプよりも「耳に優しい音」を作りやすいのだ。それが、オーディオマニア、音楽ファンが真空管アンプを好む最大の理由かもしれない。

しかし、忘れてはいけない「長所」がもう一つある。それは、トランジスターアンプが「簡単に音を変えられない」のに対して、真空管アンプは「真空管を交換する」事で、いとも容易く音が変えられることだ。

300BやKT88など人気のある、希少な真空管は非常に高くTRIODEのアンプに差し替えるのは価格的に現実的だとは思えないが、初段管の12アX7,12AU7,6SN7などは、数千円で様々な種類の球が入手できる。

球を差し替えるという実に簡単な作業で真空管アンプは、アンプを買い換えたのと同じように「根本的に音を変える」ことが出来る。数万円もするケーブル類や数十万円もするアクセサリーで「表面的に音を変える」のとは訳が違うほど、違うアンプ?と思うほど変化が大きく、故に楽しみも大きいはずだ。(失敗しても安い)

自分のオーディオに積極的に参加して「音を作る」。音作りを通じて「音楽への造詣を深める」。レコードの時代にあって、CDの時代に失われたもの。音を作る楽しさ、音から学べるもの、趣味としてのオーディオの真骨頂がそこにある。

パソコンを自作して、その性能を競うのも良いかもしれないが、音作って互いにそれを探り、音楽に目覚めることが出来れば、その方が人間的にずっと良い成長ができるのではないかと思う。そのすばらしい「オーディオ文化」をCDソフト一枚を買うくらいの価格で味わうことが出来るから、真空管アンプは素晴らしい。

機器に悩むことなくいい音で、音楽を楽しみたいだけならAIRBOWが完璧だ。AIRBOW LITTLE PLANET2は、軽く小さく故障ぜす、消費電力も少なく、音質もTRIODEのTRV-4SE+TRV-M300SEにまさるとも劣らない。そして価格も安い。それが私が真空管アンプと決別した理由なのだから。繰り返すが、音楽を聴きたいだけなら全部をAIRBOWで揃えるのがもっと安くて確実だと思う。AIRBOWは、私がこだわりにこだわり抜いて、研究を重ね続けた、結論であり結果であるから、絶対と言っていいほど間違いはないと信じるが、究極を簡単に成し遂げてしまうから、「過程」が伴わない。(繰り返すが、良い音で音楽を聞くという結果だけが欲しいならAIRBOWがBESTだろう思う)

いい音を結果として実現するAIRBOWには、残念ながら「自分なりの音を積極的に作る」という楽しみが少ないかも知れない。いい音へ繋がってゆく階段を一つずつ登ってゆく楽しみ。実は、それこそが真空管アンプにあって、AIRBOWでは手の届かない、また違った世界の違う意味でのオーディオのすばらしい楽しみ方の一つなのだ。

そうそう、それからもう一つTRIODEのユーザーには嬉しい?ニュースがある。

まだ、まったく着手はしていないが、TRIODEの製品に手を加えたチューンナップモデルの製作が逸品館に許可されているのだ。

AIRBOWの初めての真空管アンプ。どんな出来映えになるかどうか?わからないし、パーツ入手の関係(真空管アンプ用の手持ちのスペシャルなパーツはそんなに多くない)で限定数の販売になるかもしれないが、この素晴らしいTRIODEのアンプをベースに、久しぶりに思いっきり遊び心のある真空管アンプを作って見たいと思う!

もちろん、チューンナップしなくても、これ以上は望むことないほどいい音のアンプだけれど、ノーマルでこれほど良い音なら、手を入れればもっと良くなるはずだ!それに私が途中で投げ出したため、高音質真空管アンプを作るために買い集めた素晴らしいパーツを倉庫に眠らせたままにするのも、そのまま朽ち果てさせるのはいけないと思う。良いパーツには、本来の仕事をさせてあげないと!

真空管アンプは、回路が簡単だから、ノーマル状態からの後日のバージョンアップにも対応できるはずだから、まずはノーマルで楽しんで、もし完成すればバージョンアップでさらに楽しみを深められるという「2度おいしい」遊び方も出来そうだ!

求める物を、求める方に、エンゲージするのが私のやりがいだから、時間を見つけて頑張ってみようと思う。もう忘れていた?「オーディオ弄り」の血が久しぶりに騒ぐほど、TRIODEの製品には夢を感じる。

 

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