9月15日に、XV−Z21000のプロトタイプを3号館で視聴できましたので簡単にインプレッションしたいと思います。
SHARP担当者の言葉を借りて、結論から先に言うと「今まではけなされてばかりで、今回も酷い評価だと思っていたが、こんなに褒められたのは、初めてで戸惑ってしまった」ということです。
このプロジェクターの長所は、たくさんありますが従来モデルと最も大きく違う点は「コストが十分にかけられている」という点ではないかと思います。
もちろん、実際にどれくらいコストがかけられているかはわからないでのすが、担当者の「前説」なしで私が「画面全域/周辺部までのピントの良さ」と「画素変換回路の優秀さ」をこの製品の長所として感じたことを担当者に話すと「レンズを大口径にするなど、フルスペックハイビジョンの大型DLPパネルにあわせて光学系を新設計し、画面周辺部でのフォーカス性能を大幅に向上させている」ということと「画素変換回路には、SHARP独自の次世代画像処理エンジンを搭載している」という説明を即座に返してくれました。この説明からも、XV−Z9000〜XV−Z11000でやろうとしてできなかったことをXV−Z21000で一気に実現しよう!というSHARPの意気込みの強さが伺えます。
このピント性能についての優秀さを十分に引き出すためには、EASTONEのE2S-100PDHの画質テストのページにも追記しましたが、平面性が高く表面の起伏が少ないマットタイプのスクリーンが最も適しているようです。サウンドスクリーンやビーズスクリーンのように表面に起伏があり、画像の輪郭部分の光が拡散されるようなタイプのスクリーンとの組合せでは、そのピント性能が若干スポイルされます。(どれくらいシャープに見るか?はソースとの相性や視聴者の好みにもよりますが)
特に「アニメ」を見るときには、このピント性能とIP変換回路の優秀さが生きて、今までに見たことがないような「シャープ」で「透明度が高く=奥行きがすごい!」滑らかな映像が得られました。この映像を見るだけでも、このプロジェクターを購入する(衝動買いしそう)勝ちはあると感じました。
色合いは、従来のSHARPプロジェクターのように「青」に偏っておらず、ニュートラルからやや青より(蛍光灯の昼光色の感じ)で個人的にはわりと好みの発色です。また、SHARPお得意のカラーマネージメント機能も搭載されていますので、好みの発色を作り出すのは難しくなさそうです。
従来モデル同様、アイリスは電動の3段階になっています。12000:1の高いコントラストを実現する「高コントラスト/400〜500ルーメン程度?」、高コントラストモードよりも少し明るい「ミドル/600ルーメン程度?」、そして最も明るい「高輝度モード/1000ルーメン」と3段階に明るさが切り替わります。
それぞれを試してみましたが、これについては何度も述べたようにやはり「高コントラストモード」は暗すぎて使い物になりませんでした。カタログ上のスペックのために搭載しなければならない必要悪はわかりますが、このような悪習慣はできれば止めて欲しいです。「ミドルモード」は、ミドルという割には、高コントラストモードより若干明るいくらいでまだ光量が不足するように感じられました。ミドルモードが800ルーメン程度ならもう少し使いやすくなると感じました。
やはり一番コントラストが高く、色彩も鮮やかなのは「高輝度モード」です。高輝度モード時のコントラスト比は「2400:1」程度だということでしたが、もし機会があれば、「高コントラストモード」時と「高輝度モード」時の「実際に見た目」のコントラスト感を比較してみてください。比べた後では、「コントラスト比に関するカタログデーターは無意味」と実感していただけると思います。
高輝度モード時の映像は、逸品館がお薦めしているNEC HT1100JKと共通する発色が鮮やかでコントラスト感の高い「TVライク」な良さを持っています。この点は「シネマライク」な良さを持つmarantzのVP11S1と対照的な性格ですが、このクラスになるとそれぞれは「好み」で選ぶべきで、どちらも致命的な欠陥などは見あたらず、価格を納得させる美しさを実現してくれるでしょう。
少し気になったのは、DLPの欠点とされる「カラーフリッカー/色割れ」がmarantz VP11S1よりも、やや強く感じられたことですが、これについては「輝度が高いとカラーフリッカーが目立ちやすい」というSHARP担当者の言葉が的確に思えます。
フルスペックのDLPプロジェクターは、もう一台10月下旬にOPTOMAから発売される予定です。こちらがフルスペックDLPでは最も低価格になるはずです。
個人的には、marantz VP11S1とSHARP XV−Z21000の価格差を考えるとXV−Z21000を選びそうですが、最後に発売されるOPTOMA HD81は、XV−Z21000よりも10万円近く安くできそうですから、その画質を見てから決めるられるのがよいのではないかと思います。
今までは、液晶TVの陰に隠れてあまり光の当たる機会の少なかったSHARPのプロジェクター部門ですが、XV−Z21000の登場によりその技術力の高さは十分にアピールできたように思います。いずれにしても、XV−Z21000は、私のお気に入りのモデルになりましたから発売と同時に迷わず3号館に展示する予定です。