VIENNA ACOUSTICS T3G(Beethove
Concert Grand)
Ne-Yo
The Collection (UICD9062)
音像はピントがシャープで、スピーカーを結ぶ線上にコンパクトにしっかり定位する。ボーカル音像のエッジはシャープだが滑らかで柔らかく、左右スピーカーの中央にホログラムのように明瞭に定位する。その凝縮感がとても心地よい。
音場の前後方向の奥行きは少し浅いが、左右への広がりは大きい。
解像度が高く、細かい音まできちんと分離して聞こえる。
スピーカーを結ぶ線上から前方に向かって音像が明瞭に展開するのは、最近流行の3D映像の雰囲気を持つ。
低音は、わずかに膨らむがぐんぐんと前に出る。さすがATCを鳴らすアンプは低音の力が違う。ただ、T3Gとの組合せでは、低音が中高音と同じ位置から出てボーカルと低音がぶつかるイメージ。圧迫感を感じるので、長く聞くのがちょっとしんどいかも知れないと思えた。
Holly
Cole Trio Don't Smoke in Bed (CDP 07777 81198 2 1)
久しぶりにホリーコールを出してきたのは、このアンプに合うと思ったからだ。その予想は、見事に的中した。
シャープにセンターに定位するボーカル。伴奏の楽器はボーカルとは全く混ざらず、大きく左右に分離する。
ピアノはハンマーの動きが見えそうなほど明確に再現され、音色も正確で美しい。
ウッドベースの低音もむやみに膨らまず、押し出し感も十分だ。
唯一少し不満に感じるのは、ニーヨでもそう感じたが音が前方中央に固まりすぎて、左右には広がるものの、体を包み込むように背後までは広がらないことだ。
空間に漂う響きは繊細で美しく、音質はこの価格のプリメインアンプとしては文句なしに抜群だ。ただし、その音場形成は独特(音は分離するが、音場が中央付近に凝縮されたように固まる)で、コンサートホールのような音場型の鳴り方はしない。
マスタリング時に音楽をモニターするイメージの鳴り方は、スピーカーで音楽を鑑賞するのに適している。
: バルトーク管弦楽のための協奏曲、フリッツライナー(指揮)・シカゴ交響楽団
解像度はすばらしく高く、細かい音まで濁りなく再現する。その性能は、驚くべき水準に達している。しかし、時としてその音の良さが災いして、音場の展開が細かすぎて神経質に感じられることがある。
また、音の広がりもPOPSやJAZZで感じたのと同じに前方中央に固まりすぎる傾向が強い。コンサートを舞台袖で聴いているような感覚だ。
ちょっと窮屈に感じたので、試しにリスニングポジション(頭)を前後に動かして聞いてみると、少しの移動で音の広がりとまとまりのバランスが大きく変わることに気づいた。
スピーカーに思いっきり近づいたピンポイントのポジションでは、スピーカーの存在が完全に消えて、まるで架空のミニチュア・コンサート会場に入ってしまったかのような、不思議な感覚で音楽を聴ける位置を発見した。
SIA2-150はあまりにも高性能で、音の分離や定位が良すぎるために、セッティングやリスニングポジションに神経を使わなければならないが、ピンポイントに入ったときには価格を遙かに超えるすばらしい性能を発揮する。
T3Gのような大型スピーカーでさえ、ミキシングコンソール上に設置した小型モニターで音楽をモニターするようなイメージの鳴らし方をするが、このアンプの美点は高性能だが冷たさはかけらもなく、ソースの弱点を暴くような鳴り方をしないことだ。
周波数レンジは、高域〜低域ともそれほど広くないように感じるが、第3楽章の冒頭ではピアニシモからわき上がってくるような底知れぬ深い低音が再現された。
T3Gで聞くSIA2−150は、静かで知的、音楽を分析的に鳴らすアンプに思える。今回は試せなかったが、PMCとの組み合わせもおもしろそうだ。