ユニゾンリサーチ UNISON RESEARCH ユニコ P、CDP UNICO P、CDP

ユニゾンリサーチ/UNISON RESEARCH
ユニコ P,CDP/UNICO P,CDP テストリポート

真空管の音にこだわる、イタリアの“ユニゾンリサーチ / UNISON RESEARCH”より、電圧増幅に双3極管12AU7を使ったハイブリッド方式のCDプレーヤー、プリメインアンプ、の廉価モデルが発売されました。
ユニコが考える「真空管のメリット」は「音が柔らかくなり雰囲気が出る」ことだと思いますが、我々ユーザーからすれば簡単な作業で「真空管」を交換して(真空管を交換するとメーカー保証が受けられないことがあります。逸品館に交換を依頼されない場合、交換はあくまでも自己責任でお願いいたします)「自分なりの音を作ることができる」というこのも大きな「メリット」です。
「真空管ならではの特徴」を引き出して、「音を作る楽しみを追求」するために、今回は「オリジナル電源ケーブル+オリジナル真空管」、「AIRBOW CPSC−LH2+オリジナル真空管」、「オリジナル電源ケーブル+ムラード真空管」、「AIRBOW CPSC−LH2ムラード真空管」の4通りの組み合わせで音質をテストを実施しました。

UNICO CDP (PDFファイル、カタログ UNICO P (PDFファイル、カタログ
生産完了 生産完了

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バランス(XLR)出力とデジタル入力を備え、単体DACとしても使用できる上級モデル、UNICO CDも販売しています。

※このCDプレーヤーのデジタル出力は、96KHzに固定されています。一部のDAコンバーターやCDR、MDなどへのデジタルコピーが出来ないことがあります。

UNICO Pには、フォノイコライザーが内蔵され、レコードプレーヤーがお使いいただけます。
通常は[MM対応]となりますが、お申し付け頂ければ[MC対応]も可能です。
[MC]カートリッジをご利用のお客様は、ご注文時に[MC]をご指定くださいませ。
※ご購入後の[MM/MC]の切り替えには内部回路の接続の変更が必要となりますので、一旦逸品館までお送りいただくことになります。

在庫あり。 1号館展示中。

写真(クリックすると拡大します)

上から、UNICO CDPとUNICO P
外観の意匠は上級機と同一で
パネルのレタリングのみ異なります
CDPはアンバランス出力のみ
P のスピーカー出力端子は
大型の良品でBi−wire対応
リモコンと電源ケーブルは
CDPとPで同じ物が入っています
電源ケーブルは太めで良質

UNICO CDPは、向かって左側面に
電源スイッチがあります(上)
CDと異なり真空管は一本です
DACもシングルになっています
メカはCDと同じTEAC製
トロイダルトランスが搭載されています

UNICO Pは、向かって右側面に
電源スイッチがあります(下)
真空管は一本だけ使われています 大型のトロイダルトランスが搭載され
回路はシンプル&コンパクトです
パネルの表示(ユニコCDとユニコCDPの動作は同じです)

フロントパネルにはバックライト付きの液晶表示があります。

なかなか凝ったグラフィックが施され、高級感を高めています。

電源を入れると30秒のウォーミングアップが始まります。ウォーミングアップ中は、すべての操作が禁止されます。

ウォーニングアップが終了すると、ユニゾンリサーチ社のロゴが表示されます。

開閉の時には、「OPEN」、「CLOSE」とそれに対応するマークのグラフィックが表示されます。

 

音質テスト結果 (アンプ→CDの順でテストしました)

ユニコ P

オリジナル電源ケーブル+オリジナル真空管

先に「AIRBOW CPSC−LH2+オリジナル真空管」の組み合わせを聞いたせいで、、Dレンジ、Fレンジが狭く、全体的にやや濁りや曇りを感じたが、立ち上がり、立ち下がりといった「音が出始めてから消えるまでの時間軸上の変化が非常にリニア」でアンプから音が出ている事を忘れてしまうほど「自然な音」がする。

色彩感や明瞭度など音の変化に対するリニアリティーも非常に高く、楽器とボーカルのコンビネーション、ハーモニー、ユニゾンは完璧、素晴らしく出来の良い音だ。音が非常にナチュラルなので、音楽が体の外側から自分の心の中に「スゥー」と抵抗なく入ってくる。

パワー感や押し出し感はさほど強くないので「がんがん鳴る」というよりは、ステージがある程度のサイズに濃密にコンパクトにまとまる。自分専用のパーソナルコンポ、スモールステージの良さを感じる。
他の電源ケーブルや真空管との組合せと比較すると、真空管の良さ、柔らかさ、色っぽさを最も強く感じるサウンド。

AIRBOW CPSC−LH2+オリジナル真空管

電源ケーブルの交換で明瞭度、精細度、Dレンジ、Fレンジが一気に広くなり見通しとステージのサイズがグンと大きくなる。通常録音盤のCDソフトを優秀録音盤に変えたようなイメージの変化をする。

高域はキツくならない程度までギリギリに伸びてクッキリしてくるが、けっして球らしい透明感は失われない。
楽器の音色、アタックが一段と鮮やかになり、透明度明瞭後の増加と相まって「楽器やボーカル、ステージとの距離感が近く」なったように感じる。

CPSC−LH2との組み合わせでは、ハイブリッドアンプ、ユニコ P の真空管というよりはトランジスターの持ち味が強くなり、ハイスピードでスッキリと抜けがよく、ステージの見晴らしに優れたサウンドに変化した。

オリジナル電源ケーブル+ムラード真空管

ムラードCV4003では、オリジナルの真空管に比べ音が細かく、質感が高まり、アンプのグレードが上がったように感じられる。

透明度やユニコPの最大の持ち味である「バランスの良さ」は一切損なわれずに音がさらに柔らかく、中音にふくらみが出る。さらに、上品な艶が加わりニュアンスの変化が大きくなったことで「音楽の持つ雰囲気もより深く伝わる」ようになる。

音質が高まったことにより、それまでは感じられなかった「空気感」のようなものが伝わるようになる。

電源ケーブルの交換に比べ真空管の交換による変化は遙かに大きく、音楽がより楽しめるサウンドに変化した。

AIRBOW CPSC−LH2+ムラード真空管

製品のグレードが2〜3グレードくらいアップしたと感じるほど、透明度、明瞭度、Dレンジ、Fレンジなど、アンプの音質クォリティーが大幅に向上する。同時に、スピーカーのサイズを大きくしたのでは?と思うほど低音の量感と質感が大きくアップするのが不思議だ。

楽音の分離感が向上、細かいタッチの変化まで聞き取れるようになる。音の質感が向上するため、同じ楽器がかなり良いものに変わったような感じがする。

確実に、それまでは聞こえなかった音や、音にならない気配のような部分まで再現される。透明度、精細度が絶大で「音の裏側?、ステージの後ろ側」まで見通しているような気がするほど、音のすべてが再現されている感じがした。

総評

ユニコ P の特徴は、「絶対的なバランスの良さ」と「クラスを越える音のきめ細やかさ」にある。

真空管を使った良さが出て「音が細かいにもかかわらず、色彩感やニュアンスが薄くならず」音が艶っぽい。そして艶が乗っても、出来の悪い真空管アンプのように「オーバデコレイト(POPSが演歌調になる)」になったりしないのが嬉しいし、素晴らしい。あらゆるジャンルの音楽にマッチする癖の少ない大きな好感覚える素晴らしい音に仕上がっている。

ボーカルの伸びやかさ、弦楽器の切れ味、透明度、エコーの美しさは、平面的で音の堅い国産プリメインとはまったく異なり、このクラスでは類を見ないほどの高いレベルにあり、あらゆるソフトを「泣ける音」で聴かせてくれる。音楽的な表現力、説得力に富み、その音質は、私の好きなミュージカル・フィディリティーとの類似性を感じさせるが、癖のなさクォリティーの高さでは一枚上手で、定価の15万円を非常に安いと感じる。たぶん、現時点で売価20万円以下で手に入る「最も音の良い、お薦めのプリメインアンプ」のひとつであることは間違いない。

家庭で音楽を楽しむために「これ以上を求める」のは、明らかに「過剰」で「無駄に贅沢」だと断言できるほどいい音で、私にはほぼ非の打ち所がないと感じられるほど素晴らしい音に聞こえた。久々に出会えた数少ない本物のアンプ。

ノーマル(完全オリジナル)でも十分にお薦めだが、モディファイを行うなら「真空管の交換」をお薦めしたい。電源ケーブルは、標準添付のものが良く交換によってこのアンプの良さが損なわれることもあるから、交換には十分注意して欲しい。AIRBOWの電源ケーブルなら今回テストしたCPSC−LH2よりもCPSC−Lとの相性が良さそうに感じた。

ユニコ CDP

オリジナル電源ケーブル+オリジナル真空管

最新のCDメカと最新のハイスペックDACを搭載したプレーヤーの良さで、精細度、明瞭度が高く、上級モデルのユニコCD同様、再現される音には価格を十分に超えるクォリティーが感じられる。

CDプレーヤーのユニコ CDPでは、アンプのユニコ Pに比べ音色感よりも明瞭度感が強いため、やや現代的なイメージになるが、それでも十分に「真空管の持ち味」が感じられ、この価格帯に多く存在する「SACD/CDコンパチ機」よりも、明らかに中低域に厚みがあり音楽が楽しく暖かく聞こえる。

多くの現代的CDプレーヤーが「理に訴える音」しか出せないのに対し「情に訴える音」を出す。だが、それが「お涙頂戴的な薄っぺらい情」ではなく、「濁りのない透明な深み」を持つ「高度な感情」に昇華しているのがすごい。

ユニコ P同様、音のあらゆるバランス感覚が抜群で、非常に水準の高いTUBE−AMPと同等の良さを感じる。真空管の名機ウェスタンの正統派サウンドに近い、といえば褒め過ぎか・・・。

AIRBOW CPSC−LH2+オリジナル真空管

アンプのユニコ Pでは、やや相性的な問題が発生したCPSC−LH2だが、音質がアンプよりもより現代的であった事が幸いしたのか、ユニコ CDPとの相性は非常に良い。少なくともCPSC−LH2との相性は、アンプでは△だが、CDでは◎だ。

全帯域で音がよりクリアーになり、Dレンジ、Fレンジが拡大、ニュアンスがよりハッキリ、クッキリと描かれるようになる。CDプレーヤーのランクが1ランク上がった感じがする。透明度が更に高まったことと、ムラード真空管の持ち味の良さが相まって、CDでありながら高級アナログプレーヤー「ノッティンガム」を彷彿とさせるような「とてもピュアでアナログ的な音」が出る。

その音は心にダイレクトに訴え「情」に強く触れてくるが、決して流されず音楽の論理を崩さない。いわゆる「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。」そのどちらにも偏らない「中庸」の良さ、抜群のバランス感覚の良さはアンプと共通だ。

オリジナル電源ケーブル+ムラード真空管

アンプとほぼ同様な音質変化の傾向を示すが、なぜか変化の割合が少なく、アンプでの変化を10とすると5〜7と言った程度に感じられる。

上品なやさしい音だが、ややあっさりさわやかで、色気が足りない感じがしなくもない。

上級機のユニコCDでは、お薦めな真空管の交換だが、このユニコCDPでは、なぜだがオリジナルの真空管の音もなかなか魅力的で判断に迷うところがある。

AIRBOW CPSC−LH2+ムラード真空管

アンプでは、ややバランスがHiFiに偏りすぎた感のあったこの組み合わせがCDには一番合っている。

整った音だが、説得力があり、品があって深みがある。上級機のユニコ CDと比べると「ややあっさり」、「中低音の厚みがすこし薄い」、「チャンネルセパレーション(左右への音の広がり)がやや小さい」など、若干の性能低下を感じなくもないが、8畳程度までのリスニングルームや、コンパクトなステージ感を好む場合には、まったく問題とならないだろう。

そういう意味で、ユニコ P、ユニコ CDP共に10畳程度までのリスニングルームに小〜中型(ウーファーの口径が20〜25センチ程度まで)スピーカーの組み合わせにベストマッチすると断言して差し支えなさそうだ。

総評

ユニコ CDP の特徴は、「絶対的なバランスの良さ」と「クラスを越える音のきめ細やかさ」にある。

CDで音楽を楽しむために、これ以上の製品は不要だと断言できるほどの存在感のある音楽を再現し、音ではなく演奏者の心を聞くことが出来る数少ない本物のCDプレーヤーに違いない。

SACD/CDコンパチ機や最新のデバイスで固められたCDプレーヤーにはない、暖かさ、表情の柔らかさ、表現のしなやかさを感じさせてくれる。

アンプは、真空管の交換をお薦めしたいが、CDプレーヤーはノーマルのままでも十分だ。音質バランスという意味だけなら、ほどほどの性能にとどまる(それでもかなり良い音だが)ノーマルの方が優れているかも知れなし、雰囲気の濃さという意味ならノーマルが一番濃い。

現在のシステムの音が堅めで、ニュアンスや暖かさを強く求める場合にはノーマルを、システムがすでにかなりのクォリティーに達していて、さらなるクリアネスや明瞭度を求める場合には、電源+真空管の交換をお薦めしたい。

ストを終えた感想

オーディオの評価は、価格だけで決められる、決まるわけではない。それを教えてくれるコンポが、この価格で輸入されることに大きな喜びを感じる。音楽を聴く喜びこそ、オーディオが欲しくなるきっかけであり、ゴールであって欲しいと心から願う。

ユニコ Pとユニコ CDPは、間違いなくお洒落なイタリアの歌姫だ。だが、それは華美なお嬢さんではなく、オードリー・ヘップバーンが演じた「マイフェアレディ」のような・・・言葉には出さない心の強さを持ち、いつも側にいて「一番大切な何か」を思い出させてくれるそんな存在のように感じた。

ムラード真空管

真空管は、様々な種類がありますが「型式番号が同じ」もしくは「互換球」なら、電球を差し替えるような簡単な作業で交換し、音質の変化を楽しめます。

ユニコCDPとユニコPに使われている真空管は「プリアンプに使われるミニチュア管/12AU7」です。

真空管の交換は、さすがに電源ケーブルの差し替えほどは優しくありませんが、作業は、カバーを本体に止めている6本のネジを外してカバーを取り、ソケットに刺さっている真空管を差し替えるだけの簡単なものです。

左側がオリジナルの真空管(ロシア製)
右側が交換した真空管(イギリス製)
CDPとPには同一の真空管が使用されています。

今回交換に使用したのは、私のお気に入りの「ムラード、CV4003」ですが、写真からわかるように、真空管の心臓部(赤い矢印の部分)が、オリジナルのロシア製真空管よりも、遙かにコンパクトで精度が高く作られています。

私が持っている「ムラード、CV4003」は「イギリス軍払い下げ品(軍用球)」です。国の存亡、人の生き死にに関わる装置に使用され、また戦場という非常に過酷な環境と、軍用機に対応する高精度に耐えるために、「軍用球」なかでも実際に「軍が保管していた選別球の払い下げ品」の精度と性能は、現在お手軽に作られている「オーディオ用真空管」とは比較にならないほど高いことは説明するまでもありません。

音質的にも現在入手可能なロシア、中国球などと比較して、「軍用球」は、その精度と性能の向上の高さに比例して、音が良い場合が多く、CV4003では「引き締まった透明度の高い音」が実現しますが、その理由をすこし説明しましょう。

真空管は、カソードとプレートという「二つの板(筒)状の電極」の間に「グリッド」という「網目状の電極」が入った構造になっています。

詳しい動作の仕組みは省略しますが、真空管の増幅(音作り)は、音声信号を「グリッド」に流し「カソードからプレートに流れる電子をグリッドで物理的(電気的)に制御」することで行われます。

このとき、「グリッド」が物理的な作用を受けて「振動」すれば、その振動はそのまま「音声として増幅」されるのです。これを実験で確かめるためには、プリアンプの真空管を指ではじけば「スピーカーからコンコン」と増幅された音が聞こえることでわかります。

つまり、真空管はその「強度」と「振動モード(鳴きの音)」が「そのままその球の音(持ち味)」として、聞き取れる、非常にわかりやすい「物理的なエコーチャンバー(物理的なエコー発生器)」で、振動に対しマイクのように働くことがあるのです。真空管を交換すると、この「真空管で付加される響きが変わる」ため「電源ケーブルの交換などに比べて音が大きく変わる」のです。

交換に使用した「ムラード/CV4003」の良さは、物理的な強度と工作精度の高さによりロシア球に比べて「共振」が生じにくく「音質がより一層クリアになる」所にあります。

2005年6月3日 逸品館代表 清原 裕介

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