iFi-audio - NEO Stream+AIRBOW - ミュージックPC"Enterprise-S"、CHUWI - Hero Box J4125、光ディスク聴き比べ

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目次

テストレポート概要

ネットワークオーディオストリーマー「iFi-audio - NEO Stream」と、SACD/CDプレーヤー「AIRBOW - SA12OSE Master」を組み合わせて、2万円で購入した小型ファンレスPC「CHUWI Hero Box J4125」に2TB SSDとAIRBOWの専用電源を組み合わせた約9万円のPCシステムと、75万円のAIRBOW音楽再生専用PC「Enterprise S」、さらにAIRBOW - SA12OSE Master本体にセットした「光ディスク」を聴き比べました。

今回のメイン使用機材

■ iFi-audio - NEO Stream
(ネットワークオーディオストリーマー)

主な特徴

現在お使いのDACをNeo Streamに繋ぎ、Neo Streamをネットワークに接続すれば、ネットワーク入力が備わらないDAC(CDプレーヤーなど)ネットワークプレーヤー(DAC)として使えるようになります。Neo Streamには「USB」、「同軸」、「光」、「AES/EBU」、「I2S」のデジタル出力が備わり、ほとんどのDACをNeo Streamに繋げます。

Neo Streamは音楽再生専用にLinuxをカスタマイズして搭載することで、最大PCM768/32bit、DSDx512(24.6MHz)までの信号に対応する高音質ストリーマとして動作しますが、より特徴的なのは切り換えたそれぞれの入力信号、「DLNA/UPnP/OPEN Home(汎用の音楽再生プロトコル)」、「Roon Ready(Roon独自の高音質音楽再生プロトコル)」、「TIDAL/Spotify Connect(ストリーミングサービスに合わせた音楽再生プロトコル)」、「Apple Airplay(Apple社の音楽再生プロトコル)」、「HQ Player NAA(HQ Player専用の音楽再生プロトコル)」に合わせてLinuxのプログラムを切り換え、OSレベルでそれぞれに特化した高音質な動作を行えるように作られているところです。またLAN信号を光に変換し、ジッターやノイズを低減して音質を向上させるための「専用LAN光変換アダプター」まで付属し、これでもか!というほど音質への備えは万全です。

この「アダプター(Opt-Box)のある・なし」をチェックしましたが、大きな効果が確認できました。

電源にも「iFi audio 高音質電源アダプター(iPower II)」が付属し、短いですが必要なケーブルも添付されていますから、購入後すぐに音を出すことができると思います。ケーブルは、それから順次グレードアップするとさらに良い音が聴けると思います。
デジタル出力は、「USB」、「I2S」、「光/同軸デジタル」、「AES/EBU」と種類が豊富で、さらにそれぞれの出力は単独(選択しない出力はOFFになります)で動作させられます。アナログ出力は、RCAとジャック型のバランス出力が各1系統備わります。
使い勝手も良くできています。フロントのツマミだけですべての設定変更が可能ですし、小さいですが縦置き横置きに対応して自動的に切り替わるフロントの表示パネルには、楽曲の情報だけではなく、ジャケットまで表示されます。

■ AIRBOW - SA12OSE Master
(SACD/CDプレーヤー)

希望小売価格 450,000円(税別)

ΔΣ型ディスクリートDACを搭載するmarantz - SA12 OSEをベースに、約100個のパーツを高音質部品に換装することで、上級モデルでSA10を超えるほどの滑らかさと、圧倒的に豊かな表現力を実現したAIRBOWのカスタムモデル。今回は、Neo StreamとUSB接続することで、ネットワークプレーヤーとして使っています。

その他の使用機材

▼システム
データーサーバーCHUWI - HeroBox N5100(高音質電源:AIRBOW - IDC-RMP12使用
AIRBOW - ミュージックPC「Enterprise S」
スピーカーFOCAL - SPECTRAL 40th + ARIBOW - CLT-5(波動ツィーター)

今回のテストでNeo Streamに接続したPC環境は、廉価な「CHUWI - HeroBox N5100」+AIRBOWの高音質電源を組み合わせたシステムと、高音質なミュージックPC「AIRBOW - Enterprise S」で構築したシステムの2種類です。

CHUWI - HeroBox J4125
amazonで購入できる2万円強の小型ファンレスPCです。CPUに4コアのCeleron J4125が使われ、オーディオ専用PCとして使うには十分な速度を持っています(4コアのi5などのファンレスモデルもamazonなら、8万円前後で購入できます)。
OSはWindows11にアップデートし、Roon CoreとJRiver Media Center 29をインストール。今回はUSB3.0に接続した2TBの外付けSSDに記録した音楽データーを再生しました。

AIRBOW - ミュージックPC Enterprise S 【特別価格にて販売中!! 680,000円(税込)】
高音質マザーボードに高性能CPU、メモリー、4TBのHDD、リニア電源を組み合わせた高音質音楽再生専用PC。

▼ケーブル・アクセサリー等
USBケーブルWIREWORLD - U3AB<Ultraviolet 8>
LANケーブルQED - Performance Ethernet Graphite

試聴テスト使用楽曲リスト

試聴テスト本文

試聴したのは以下の5曲です。さらにそれぞれ、光学ディスクの音源とも聴き比べました。

※YouTubeにアップロードした動画の音声は、SA12OSE Masterの出力を直接録音した「電気録音」です。

1.「せせらぎ(WAV 44.1kHz/16bit vs CD)」で聴き比べ
「せせらぎ(WAV 44.1kHz/16bit vs CD)」試聴結果
CHUWI
HeroBox N5100
(WAV 44.1kHz/16bit)
音質がクリアで見通しが良い。解像度は高いが、HiFiに偏らず有機的な生々しさが醸し出される。
鳥の声もその「意味」が伝わるし、遠くでなく鳥と近くでなく鳥の対比も鮮やか。
体を包み込むように音場が大きく広がる。
ミュージックPC
Enterprise S
(WAV 44.1kHz/16bit)
水の量が増え、音質がさらにきめ細かく滑らかになる。水の音と鳥の声の分離が向上し、目を閉じると完全に「せせらぎの前」に立っているイメージになる。もはやこれ以上の「音質」は不要と断言できるほど完璧な音になった。とてもゆとりを感じさせる。
AIRBOW
SA12OSE Master
CD(光ディスク)
光ディスク「CD」の音は、ネットワークの音に比べると少し「解像度が低く」感じられるが、よく聴いてみると情報量は決して少なくないことがわかる。音の輪郭がとても滑らかで、強調された感じがない。暖かく有機的な音だ。CDの音がアナログでネットワークの音がデジタルのように感じられるから不思議だ。
音の向こう側に音が幾重にも重なり、響きがとても複雑で濃厚だ。生で音を聴いているような「明確さ」はネットワークが上回るが、せせらぎの生々しさや空気の温度感はCDの方がより強く感じられる。
流石に40年かけて熟成されてきたメディアは違う。
心地よく眠気を誘う。
2.「新世界より(WAV 44.1kHz / 16bit vs CD)」で聴き比べ
「新世界より(WAV 44.1kHz / 16bit vs CD)」試聴結果
CHUWI
HeroBox N5100
(WAV 44.1kHz/16bit)
SA12OSE Masterの良さがNEO Streamによって十分発揮される。LAN入力にありがちな音の固さ、もやもやした見通しの悪さが全く感じられない。小さな音から、大きな音まで揺らぎなく再現される。金管楽器の「抜け感」、弦楽器の「圧力」、ハーモニーの「重厚感」がきちんと再現される。
波のない水面に、水滴の輪が広がるように、音が綺麗に広がって行く様が美しい。
ミュージックPC
Enterprise S
(WAV 44.1kHz/16bit)
金管楽器に一段と「押し出し感」が出てくる。重厚な弦楽器のハーモニーから、ファゴットの音がスッと抜けてくる。それぞれのメロディーが美しく絡み合い、夕暮れのような静かで美しい雰囲気を醸し出してくれる。下手な生演奏、かなり美味い生演奏よりも、今スピーカーから流れる演奏が素晴らしく満足して聴ける気がする。S/Nが抜群に良い。後で聴き比べるが、ディスクよりも良い音なのではないだろうか。
AIRBOW
SA12OSE Master
CD(光ディスク)
このソフトでは、ネットワークとCDの音の違いはせせらぎほど大きくはない。
ネットワークに比べると、解像度がやや低く、音の輪郭が甘い。それでも音の数は十分に多く、金管と木管の違い、それぞれの弦楽器の音の違いは、より明確に聴き取れ、ハーモニーの厚みは十分にある。
S/Nも若干ネットワークに譲るが、演奏の間合いの人間味を感じさせるところなど、CDならではの魅力が感じられる。
3.「LOVE(FLAC 192kHz/24bit vs SHM-CD)」で聴き比べ
「LOVE(FLAC 192kHz/24bit vs SHM-CD)」試聴結果
CHUWI
HeroBox N5100
FLAC 192kHz/24bit
グランドピアノの「厚み」、ウッドベースの「重み」、ボーカルの「力強さ」がきちんと再現される、LAN入力にありがちな「薄っぺらさ」とは無縁の心地よい音。伴奏同士の分離、ボーカルの分離もよく、温かいムードのある音で演奏が楽しめた。
ミュージックPC
Enterprise S
FLAC 192kHz/24bit
グランドピアノがフルコンサートの大きさになった。ウッドベースもより生々しく、重厚だが押し付けがましい低音ではない。ボーカルは、いい意味で粘り気が薄くなる。唇の動きだけではなく、下の動きまで見えそうなほど細やかで生々しいボーカル。演奏を聴くだけではなく、良い音を聴いている楽しみも感じられる。
AIRBOW
SA12OSE Master
SHM-CD(光ディスク)
ネットワークと比べると少し音が丸く、高音方向の「抜け」が感じられない。
けれど、それが「悪いか?」となると少し感覚は違ってくる。ステージまでの距離は近いが、音は細かく聴こえ過ぎない。この程よさが、CDの魅力を醸し出している。
4.「Mona Lisa(WAV 44.1kHz/16bit vs SACD)」で聴き比べ
「Mona Lisa(WAV 44.1kHz/16bit vs SACD)」試聴結果
CHUWI
HeroBox N5100
(WAV 44.1kHz/16bit)
まだ「若い」グレース・マーヤさんの声が清々しく、魅力的。きれいな発音の英語、ギターの透明感もうまく再現されている。ボーカルは中央に、ギターはやや左側にシャープに定位する。ギターの残響が右側のスピーカーからはっきりと聴こえ、左右の分離も抜群。キュートでやさしく艶のある音は、アナログ・ディスクを聴いているかのようだ。
ミュージックPC
Enterprise S
(WAV 44.1kHz/16bit)
会場が一際静かになって、ギターとボーカルが空間にホログラムのように浮かび上がる。環境は全く変えていないのに、リスニングルームが圧倒的に静かになったように感じられる。とても不思議な雰囲気。美しく静かな時間だけが流れて行く。そういう贅沢な気持ちを味合わせてくれる。
AIRBOW
SA12OSE Master
SACD(光ディスク)
ネットワークで聴いた音はCDからリッピングしたPCM WAV 44.1kHz/16bitだが、SACDに収録されるのは、DCDx128だ。
聴き比べてみると実際にその違いがはっきりと感じられる。音の細やかさやデリケートな変化だけではなく、会場の「空気感」が濃密に伝わる。ただし、それはこのSACDが「ダイレクト録音」のソースだからであって、PCM音源からDSD変換されているSACDではこれほどの音の違いはない。
改めてじっくりと聴くと、本物の「SACD」の音の良さが良くわかる。
素晴らしくチャーミングで、素敵な音だ。
5.「Cantate Domino(DSD 5.6MHz vs SACD)」で聴き比べ
「Cantate Domino(DSD 5.6MHz vs SACD)」試聴結果
CHUWI
HeroBox N5100
DSD 5.6MHz
フォーマットは「DD256」だが、意外にCDからリッピングした音との差はそれほど大きくは感じられない。それでも、ボーカルのなめらかさ、パイプオルガンの温かい重厚感、コーラスの厚みなどにDSDの良さが出てきている。
しっかり聴くと、音の粒子がとてもきめ細かく、滑らかだとわかる。
ハイエンドのオーディオを聴いているというよりは、とても良い席でコンサートを聴いているイメージで演奏が聴けた。
ミュージックPC
Enterprise S
DSD 5.6MHz
CDをリッピングした音と、DSD128の差がさらに小さくなる。音が本当に良くなると、ハイレゾなどいらなくなる。DSDの良さは、滑らかさと厚みの両立。音はとても細かいが、薄っぺらな音にはならない。とても滑らかな音だが、音の輪郭がぼやけない。高性能マイクを使って録音された演奏は、生演奏よりも細やかで品位が高く感じられることがあるが、今聴こえている音はまさしくそういう音だ。
はるかに高価なハイエンドの音も聴いてきているが、私は今聴こえている音で100%満足できる。
望めば手に入る、最高の音だと思う。
AIRBOW
SA12OSE Master
SACD(光ディスク)
このSACDは、アナログマスターから直接DSDに変換されて録音されている。そのため「アナログ音源の良さ」がそのまま生かされている。SACDに記録されているのは「DSDx128」でさらにそれが圧縮されている。ネットワークで聴いたのは圧縮されていないネイティブの「DSDx256」だが、それと比べても音により厚みがあって「アナログらしさ」がより強く感じられる。
生音にはネットワークが近いかも知れないが、生演奏にはSACDの方がより近いように感じられる。どちらも良い音だ。

試聴テスト後の感想・総評

レポート  逸品館代表 清原 裕介
作成日時           2022年11月

iFi audio - Neo Stream / iDSD、Eleven Audio(旧:XI Audio) - K-DACを使ったネットワーク関係の聴き比べに続けてこの試聴を行った。今日は、一日中音を聴き比べていたが、この後半の試聴は良い音に包み込まれて疲れることなく楽しい時間を過ごせた。