2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4」

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目次

テストレポート概要

逸品館YouTube情報チャンネルの再生回数からも分かりますが、逸品館が発信している情報の中でも人気が高いのが
「スピーカーの聴き比べ」です。そのご期待に沿うべく、手の届く価格帯「35万円(ペア)以下のスピーカー」を聴き比べることにしました。

▼ 2023年・おすすめスピーカー40機種聴き比べの「全体説明」

お客様と逸品館の利益を合わせて熟考し「40機種」を選出しました。
そして、それを次の「5つのグループ」に分けて聴き比べることにしました。


試聴機の準備状況などにより全ての聴き比べは実施できないかもしれませんが、ともかくできるだけやってみようと思います。

今回のメイン使用機材

こちらには、フロア(トールボーイ)型「その4:ウーファー口径165mm以下(ミドルサイズ)」で選んだ9機種の製品情報を掲載しました。

その他の使用機材

今回の聴き比べは、逸品館・3号館のメイン試聴室で行いました。
試聴環境、スピーカー以外の製品は下記の表をご確認ください。

▼システム
データーサーバーCHUWI - HeroBox N5100(AIRBOW - IDC-RMP12使用
ストリーマーVolumio - RivoAIRBOW - WFB-A4HD使用
アンプAIRBOW - HD-AMP1 Special(電源ケーブル: AET - TSD-HR/AC 1.8m使用
▼ケーブル・アクセサリー等
LANケーブルカテゴリー7 市販品(硬めの平型ケーブルがお薦め)
ノイズフィルターiFi audio - LAN iSilencer
USBケーブルaudioquest - USB2 DIAMOND
スピーカーケーブルAIRBOW - SPK-300
オーディオボード
(スピーカー用)
AIRBOW - WFB-4449-150
スタンドAIRBOW - STAND-G21

試聴テスト使用楽曲リスト

試聴テスト本文

▼試聴概要と機種説明・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4」

今回はフロア(トールボーイ)型「その4:ウーファー口径165mm以下(ミドルサイズ)」で試聴する各スピーカーをご紹介しています。
前回までよりレポート内容を細分化し、それぞれの機種で「試聴動画(YouTube)」「楽曲ごとの評価」(上記のうち6曲分)、最後にスピーカー別の「総評」に分けて記載しました。


▼ Polk Audio - MXT70 試聴・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4の1」

再生周波数帯域が、一世を風靡した38cm口径のウーファーを搭載する4Wayモニタースピーカー「JBL - 4344」とほぼ同一ながら、たった9万円(ペア・税別)で購入できる驚くべき「コスパ」のスピーカーがMXT70です。

■試聴楽曲
「せせらぎ」
癒やされる系のこのスピーカーのサウンドは、せせらぎを聴くのにとても良くマッチしている。高音は滑らかで水の流れる音が柔らかい。鳥の声もとても自然。
かなり低い低音まで再現されているのだろう。音にならない空気の揺らぎからその場の雰囲気まで伝わり、音場はあるがままに大きく広がり、音に包まれているように感じた。
■試聴楽曲
「愛の挨拶」
ピアノはゆとりがあり響きも豊かでゆったりと鳴る。
バイオリンは高音まですっと伸びて、柔らかく肉感的に鳴る。
低音が出るフロア型スピーカーは、ブックシェルフとはまったく異なる音の世界を醸し出す。
低価格の大型スピーカーと言うことで気になる低音の質や濁りがなく、質量共に良い低音が再現される。
体全体が包み込まれるような豊かな雰囲気で愛の挨拶が聴けた。
■試聴楽曲
「バッハ・コンチェルト」
この曲でもブックシェルフ型よりもゆったりと時間が流れて行くような鳴り方をする。
弦楽器の切れ込みが穏やかで、小型スピーカーで感じる「せわしなさ」が消えた。
低音は少し膨らみ気味だが嫋やかに響き、コンサートホールのイメージが再現され、納得の音でクラシックが聴けた。
■試聴楽曲
「Never An Absolution」
Polk Audio - MXTシリーズのツィーターは良く出来ていて、このモデルにかかわらず高音は質感高く、最高域までよく伸びる。音場はふわりと部屋いっぱいに大きく広がる。
ウェルフロートボードのような「フローティングボード」を使わなければ「床鳴り」が起きそうなほど、低音は良く出る。これならサブウーファーは要らない。
空気の「揺らぎ」まで感じられる低音が再現され、再生される音楽のシーンまで変わってしまった。
■試聴楽曲
「Stranger」
金属の音は色彩の変化があって美しく鳴る。指打ちの音もリアル。
さすがに打ち込みの低音は少し膨らみ響きも若干濁るが、ベースラインのメロディーやテンポが明確に再生されてすばらしい。
伴奏はスピーカーの後方に展開し、ボーカルが中央からすっと前に抜けてくる。理想的な音場が実現する。
■試聴楽曲
「夏の終わりのハーモニー」
イントロのピアノはゆったりと響く。ギターの音も穏やか。
ボーカルはピントが少し甘く細やかさももう少し欲しいが、低音~中音~高音のバランスと聴かせ方が上手く、演奏を楽しませてくれる。音楽の躍動は大きい。
▼ Polk Audio - ES55 試聴・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4の2」

ラウンド形状が採用されたおしゃれなデザイン、上級なユニットが搭載されるワンクラス上級の「Polk Audio - ES55」は、見た目も美しいスピーカーに仕上がっています。再生周波数帯域も僅かに広くなっています。はたして価格差以上の違いを感じさせてくれるのでしょうか?

■試聴楽曲
「せせらぎ」
MXT70に比べ音の質が高く、音場がすこし前に出る。
水量が多く明晰な音だが鳥の声はやや電子的に感じられる。
より分析的でクォリティの高さを感じるが、MXT70の方が低音にゆとりがあり、より自然な雰囲気が出ていたように思える。
■試聴楽曲
「愛の挨拶」
低音の濁りや膨らみがほとんどなく、ピアノの響きが引き締まる。
バイオリンも響きが減り、音像がクッキリする。
この曲をMXT70は、コンサートホールの中央付近で聴いているような響きのバランスで鳴らした。ES55は直接音が強く、それよりも前方の座席の音を出す。
どちらが好みかは分かれるだろう。
■試聴楽曲
「バッハ・コンチェルト」
弦楽器が洪水のように勢いよく流れ込んでくる。切れ込みも鮮やかだ。
無駄な響きの少ない引き締まった音場だが、MXT70の牧歌的なゆるさも良かった。
ES55は無駄な響きの少ないやや乾いた音で、音場の豊かさが見量的だったMXT70とは異なる、ブックスシェルフ型に近いような雰囲気でこの曲を鳴らした。
■試聴楽曲
「Never An Absolution」
高音の質はMXT70よりも高く、張りのあるしっかりとした音でバグパイプが鳴るが響きの成分が少なく、まるで「真空中」で楽器が鳴っているように感じることがある。低音は密度が高く「重量感」があるが、やはり響きが少なく広がりはそれほど大きくない。
音場はスピーカーの周りにあって、MXT70のように大きく広がらない。
■試聴楽曲
「Stranger」
金属の打鍵の音は立ち上がりが早くスッキリと美しいが、余韻の消えるのがMXT70よりも早い。
指打ちの音もクッキリしているが「溜め」が感じられない。
打ち込みの低音は引き締まり量も多いが、特定の帯域で少し膨らみ「バスレフ」を感じさせる。
■試聴楽曲
「夏の終わりのハーモニー」
ピアノの響きは美しいが、複雑さに欠ける。
ギターの音も鋭いが、音色が単調。ボーカルもあまり魅力を感じない。
音楽的な魅力は、MXT70の方が高かったように思う。
▼ Polk Audio - R600 試聴・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4の3」

Sonus Faberなどの高額製品に使われる「リング型ツィーター(ピナクル・リングラジエター型ツィーター)」の搭載により、存在感と品質感をグッと高めたのがR600ですが、それでも価格は20万円(ペア・税別)以内と以前お買い得なレンジにあります。大ヒットしたPolk Audio50周年記念モデル「R200AE」上級モデルの音質をチェック。

■試聴楽曲
「せせらぎ」
ピナクル・リングラジエーター型ツィーターの効果だろう。水の流れる音や鳥の声が明らかに上質に聴こえる。水量も多く、音場の広がりも自然。
MXT70の雰囲気の良さと、ES55の音の良さの「良いとこ取り」が成功し、高級な音が聴けた。
すごくリアルな音。
■試聴楽曲
「愛の挨拶」
ピアノの低音は不足を感じない十分な伸びと量感がある。ひびきの濁りも少なく、密度も高く「質感の高さ」を感じさせる音。
バイオリンの高音は素直に伸びて中音も魅力的だが、MXT70に比べるとやや音の線が細い感じがある。
Liveそのものにこの曲を聴かせてくれたMXT70よりはすこしHi-Fi寄りになるが、ES55を大きく凌駕し定位や広がりも自然で音色の再現性も良い。
良質なコンサートホールで聴いているような澄み切った音で愛の挨拶が聴けた。
■試聴楽曲
「バッハ・コンチェルト」
中低音は量感に不足なく、膨らみや滲みもない良質な低音が再現される。再現される「空間」は、良い意味でルーズに広がったMXT70に対し、弦楽器の響きはやや抑制されタイトなイメージに変化するが、音質が緻密でこちらの方が「本物」に近くリアル。
■試聴楽曲
「Never An Absolution」
バグパイプの音はクリアでシャープ。空間の濁りは少ないが、広がりは大きく、楽器の定位に優れている。
低音はとても低いところから出て、量感も質感も優れている。サブウーファーの必要性は感じない。
大型スピーカーならではの迫力でこの曲を再現する。ボーカルのもう少し「艶」がでれば完璧な音になる。
■試聴楽曲
「Stranger」
金属の音がクリアで美しく、余韻も長い。
指打ちの音はぴったりのタイミングで入り、伴奏と融合する。
打ち込みの低音も膨らまず、遅れることなく出る。この曲でも低音の質の高さを感じる。
ボーカルはどうしてもブックシェルフ型に軍配が上るが、濁りも少なく良い感じで鳴る。
■試聴楽曲
「夏の終わりのハーモニー」
ピアノの音はクリアで響きも長く聴こえる。ギターの質感が大きく向上し、ボーカルも艶めかしい。
さすが上級モデルの名に恥じない上質な音を聴かせてくれる。
音の良さと雰囲気の良さが見事に両立している。
▼ audio pro - AVANTO FS-20(ウォールナット) 試聴・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4の4」
■試聴楽曲
「せせらぎ」
音の広がりに優れ、再現される音場がとても自然。
雰囲気もすばらしく良く、MXT70に似るが、キャビネットのサイズが小さいので余計な濁りやゆるみはずっと少ない。鳥の声はキュートでバリエーションも豊富。
音のキメも細かく水量も多く、ナチュラルで高い質感のせせらぎが聴けた。
■試聴楽曲
「愛の挨拶」
ピアノは生っぽい雰囲気と質感。バイオリンもとても素直な鳴り方。
優しく変化に富む音で演奏が生き生きと鳴る。
スピーカーの存在が消え、ライブで聴いているような心地よさがある。
■試聴楽曲
「バッハ・コンチェルト」
弦の音は生っぽく、力強く、分離も良い。
伴奏は後方へ広がり、ソリストは一歩前に出る。
バッフルが小さく反射防止レザーが張られている効果で、ブックシェルフ型スピーカーのような濁りの無い澄み切った音場と、シャープな定位が実現する。そしてさらに大きなスピーカーと変わらない量感豊かな低音が出る。
スピーカーの存在が消え、生演奏を聴いているような雰囲気がこの曲でも醸し出された。
■試聴楽曲
「Never An Absolution」
バグパイプの高音が伸びやかで生き生きと鳴り、大きく躍動する。
音場は自然に大きく広がる。
低音はサイズが信じられないくらい良く出て、膨らみや遅れも感じられない。
驚くほどクリアで清浄な空間が実現し、その中にニュアンスの濃い音がちりばめられる。
音楽の温度感が高く、情熱的な音。表現力がすばらしい。
■試聴楽曲
「Stranger」
ウインドベルの音に動きがあり、トライアングルの音にもニュアンスが感じられる。
指打ちの音がメロディーと融合し、ボーカルも抜群に魅力的。
低音の遅れや濁りも無く、帯域バランスに優れ、各楽器のタイムアライメントも正確。
聴き惚れるような音が出る。
■試聴楽曲
「夏の終わりのハーモニー」
ピアノの音は最高。ギターもボーカルに被らないようにポロポロと鳴り、実に良い仕事をする。
ボーカルはとても魅力的。
ただただ良い音が出るだけなので、感想を書くことが出来なくなった。
▼ DALI - OBERON5 試聴・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4の5」

15万円と言えば中級のブックシェルフ型スピーカー、例えばB&W - 606S3やFocal - Vestia No.2と同じ価格でしかありませんが、低音の再生能力は桁違いです。スピーカースタンドを別途購入する必要がないのもお財布には嬉しい。もしこれで音が良ければ、もうブックシェルフ型スピーカーを検討しなくてすみます。

■試聴楽曲
「せせらぎ」
せせらぎの音、鳥の声がaudio pro - AVANTO FS-20にもまして自然で濃密。
音の広がり、定位の正確さ、立体感もすばらしい。
有機的な暖かい音で、密度感も高い。部屋の中にせせらぎの音がぎゅっと満ちる。
目を閉じ、耳を澄まし、心と体を預ければ、ここはもう清流が流れる森の中だ。
■試聴楽曲
「愛の挨拶」
ピアノの低音は、サイズが倍くらい大きなモデルと比較してもほとんど不足を感じない。周波数特性低限の39Hzは、掛け値なく信頼できる。
この曲でもリアルで緻密な素晴らしい音場を再現し、演奏が大きく動き、音楽が部屋いっぱいに躍動する。
■試聴楽曲
「バッハ・コンチェルト」
低音楽器の数が多いこの曲では、Polk Audioの大型モデルとの差を感じるが、実際にはこの程度の低音で十分だし、過剰さがない分家庭用にはベストな低音だと言い切れる。
ハーモニーの分離と融合の素晴らしさは、ブックシェルフ型のOBERON1の良さをそのまま受け継いでいる。audio pro - AVANTO FS-20でも感じたが、バッフルの面積は小さければ小さい方が前方への音の張り出しが少なくなり自然な定位が得られ、スピーカーの存在感が薄れるようだ。
スピーカーやオーディオの存在を感じることなく、自然体で心地よく音楽が聴けた。
■試聴楽曲
「Never An Absolution」
高音の質感はaudio pro - AVANTO FS-20を僅かに超える。張りと伸びがあり楽音の変化も大きく再現される。
低音はaudio pro - AVANTO FS-20よりも若干少ないが、この曲が低音部で表現したいニュアンスはきちんと伝わる。
Polk Audio - MXT70の大型ならではの響きの多さも魅力的だったが、OBERON5の響きすぎない感じもまた魅力的だ。
DALI - KOREに通じる「ミュージカリティー(音楽性)」を重んじるDALIの世界を忠実に守る「製品の存在を主張しすぎない」深く静かな音でこの曲が鳴った。
■試聴楽曲
「Stranger」
金属音の透明感、色彩感が鮮やか。
audio pro - AVANTO FS-20よりも少し情報量が多いように感じる。
再現される演奏のイメージはかなり近いがあえて区別するなら、FS-20「たっぷり」、OBERON5「すっきり」という印象。
私がこの曲を聴くならば、どちらでも良い。
■試聴楽曲
「夏の終わりのハーモニー」
ピアノの音、ギターの音、ボーカル。伴奏とボーカルがそれぞれ主張をしながらも、見事に融合する。
ニュアンスが優しく、そして深く再現される。音楽にどっぷりと浸れる。滋味深い音。
ペア50万円以下では「ベストかも?(少なくともこれより良いスピーカーを聴かない限り不満は出ない)」というすばらしい音でこの曲が聴けた。
▼ Wharfedale - DIAMOND240(プラス:高域/マイナス:低域) 試聴・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4の6」

歴史的には最古と言える量産スピーカーメーカーがWharfedale(ワーフェデール)です。現在はLUXMANも所有する中国資本のIAGグループの参加となり中国で生産されますが、基本設計や音決めはイギリス流を踏襲しています。安くて上手いスピーカー作りをもっとも得意とするWharfedaleのフロア型はどんな音を聴かせてくれるのでしょう。

■試聴楽曲
「せせらぎ」
自然で滑らかな音、鳥の声も良い感じ。水量は多くも少なくもなく、今回聴き比べるスピーカーの標準にある。
他のモデルに比べると、高音の最先端がわずかに丸く、音の輪郭成分や明瞭度はそれほど高くないことがわかるが、それが奏功してリラックスできる雰囲気の音でせせらぎが鳴った。
■試聴楽曲
「愛の挨拶」
ピアノの低音の伸び感が自然で、ピアニストの指使い、タッチが明確に伝わってくる。
バイオリンも同様に音質が自然で、バイオリニストの弓使いが明確に感じ取れる。
演奏の抑揚自体はそれほど大きくはないが、楽音の細やかな変化が聴き取れ、生演奏にかなり近い雰囲気で聴くことができる。
繊細な良い音だ。
■試聴楽曲
「バッハ・コンチェルト」
低音楽器のパートは遅れることなく、膨らむこともなく適切。
弦楽器で構成されるハーモニーは、倍音構造が正しく明確に再現され、そのメロディーからそれぞれの楽器に与えられたスコアが読み取れそうなほどだ。
低音~中音~高音のエネルギーバランスが整っていて、それぞれの楽器の特徴的な音色もきちんと再現される。
スピーカーやオーディオの存在を意識させない、空間に溶け込む自然な音。
■試聴楽曲
「Never An Absolution」
バグパイプの音は濁りなく美しく響きも伸びやかだが、音の張りや芯はそれほど強くない。
低音はサイズの小さいDALI - OBERON5よりも僅かに少ないか?スペックは信用できないが、この聞き比べでは39Hzと40Hzの違いを感じる。しかし、じっくり聴き込むと十分に低い周波数まで伸びていることが感じられた。
ボーカルは艶やかで心地よい。空間の再現がとても上手だ。
■試聴楽曲
「Stranger」
金属の音色は美しく、響きや変化も良く出る。
指打ちの音のタイミングも良い。
この曲でもDALI - OBERON5との類似性を感じるが、DIAMOND240はより穏やかでゆったりとした雰囲気を持つ。
心地よく音楽の世界へと誘われる。
■試聴楽曲
「夏の終わりのハーモニー」
クラシックの2曲でも感じたが、DIAMOND240は楽器の音の変化、つまり奏者のタッチがとても良く伝わる。
ピアニストがなぜその音を出したのか?ギタリストがわざと柔らかめのタッチでギターを奏でるのはなぜか?
伴奏が見事に伴奏らしく主役を引き立てるように鳴る。
ボーカルからすっと前に抜けて、リスナーに向けてメッセージを送る。
ゆったりと穏やかに、そして濃密に時が流れる。大人のムードを持つ音質だ。
▼ Wharfedale - DIAMOND12.4 試聴・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4の7」

DIAMOND240というモデルがありながら、わざわざ新型の12シリーズを発売しているWharfedaleの意図とは?また、DIAMOND240の3Wayに対して2Wayに「格下げ」された12.4はどんな音を奏でてくれるのか?ガチで聴き比べました。

■試聴楽曲
「せせらぎ」
DIAMOND240よりも音の先端が鋭く、高域がクッキリしている。明瞭度が向上し、音場の見通しが良くなる。
水泡が弾ける音は強くなる。鳥の声も鋭くなるが雰囲気はややあっさりする。
輪郭が強くなり明瞭度が上がった分、より細かな音まで聴けるようになり、水量は増えた。
しかし、写真で言うところの「ソフトフォーカス感(ぼけ味)」が薄くなった結果、濃厚さはやや薄れた。
■試聴楽曲
「愛の挨拶」
ピアノとバイオリンの音はクッキリしてきて、一般的なHi-Fiスピーカーの音に近づく。
明瞭度と濃厚さはトレードの関係になるから、明瞭度が向上した分濃厚さは薄れた。
しかし、その変化が起きても「楽器のタッチの再現性」はまったく変わらない。
演奏者の意図を音から読みとれるような鳴り方をするから、演奏が実に意味深く聴き取れる。
■試聴楽曲
「バッハ・コンチェルト」
弦楽器の切れ込みの鮮やかさが増して、弓の切り返しがはっきりと聴こえるようになる。
弦楽器の音も鋭さを増すが、その分少し細身になる。
DIAMOND240で聴くこの演奏は、コンサートホールの中央付近。DIAMOND12.4では、その座席位置が前方に移動する。
あえて言うならば、DIAMOND240は「情」に訴え、DIAMOND12.4は「理」を伝えてくる。
録音の明瞭度がやや「高すぎる」この曲では、DIAMOND240の穏やかさがより良くマッチしていた。
■試聴楽曲
「Never An Absolution」
音場はDIAMOND240よりも僅かに広がりが大きい。バグパイプの音に明瞭度と芯の強さが出た。
DIAMOND240と同様に楽音の変化の再現性に優れているが、明瞭度が増加した分、その動きは大きくなっている。
低音は、DIAMOND12.4よりも良く出るが、キャビネットサイズの違いに加えて、これはDIAMOND240=ボトムバスレフ、12.4=リアバスレフの違いにもよるのだろう。
ボーカルは伴奏と明確に分離する。空間の透明感、各楽器の存在感はDIAMOND240を上回る。
録音の良いこの曲では、DIAMOND12.4に軍配が上がった。
■試聴楽曲
「Stranger」
最新Hi-FiスピーカーにふさわしいDiamond 12.4のクリアでメリハリの効いた音が、この現代的なPopsに良く合う。
金属の美しい響きから始まり、指打ちのリズムが加わった後のキーボードの分離がすばらしく、その音の変化もよく伝わる。
打ち込みの低音も量感がDIAMOND240よりも多い。
個別に配置された音が融合し、一体となる「ポリフォニック」な構造が見事に再現され、演奏が大きく躍動する。
■試聴楽曲
「夏の終わりのハーモニー」
ピアノの響きは澄み切って美しい、ギターも断弦の感覚がきちんと伝わってくる。ボーカルは子音がやや強くなる。
DIAMOND240/DIAMOND12.4は共に「楽音のデリケートな変化の再現性」に秀でているから、音楽を聴くのが実に楽しい。
この曲でも試聴を忘れて演奏に引き込まれていった。
▼ Klipsch - R-800F 試聴・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4の8」

Polk Audioと共にアメリカ市場を「二分する」量産スピーカーメーカーがKlipsch(クリプシュ)です。以前ヤマハが輸入代理店を務めていたとき、逸品館は全国で最も多くKlipschを売りました。オーディオマニアなら誰しも一度はあこがれる「ホーン型」のスピーカー。それもこんなに大きな製品が、こんなに安く手に入るなんて。驚きです。

■試聴楽曲
「せせらぎ」
ホーンスピーカーにもかかわらず、音場はスピーカーの後方に大きく展開する。音像が拡大することなくあるべき位置に定位し、ホーンの「ネガティブ」な部分をまったく感じる事がない。
水の粒子が細やかで、一粒ずつの水泡が弾ける様子まで見えるような聴こえ方だ。鳥の声も実にリアル。
水量も多く、情報は多い。
■試聴楽曲
「愛の挨拶」
ピアノの響きには、さすがに大きなキャビネットの共鳴が混じり、若干濁ってしまう。また、低音は十分だが、これほど大きなサイズのスピーカーの低音という感じはしない。
バイオリンは素直な鳴り方で、1~2弦の音が特に魅力的に感じられる。音の変化も大きい。
音像は肥大せず繊細さもあり、大型ホーンスピーカーの大味さは皆無だ。
コンサートホールの響きが豊かに再現され、その中に楽器の音像がクリアに浮かび出す。
演奏の抑揚も大きく魅力的な音だ。
■試聴楽曲
「バッハ・コンチェルト」
弦楽器の切れ込みは普通に良い。ソリストの存在感も普通。ホーンは通常ドーム型ツィーターよりも高域の輪郭は強くなるものだが、先に聴いたDIAMOND12.4のそれとそんなに変わった印象がない。
全体的にまとまりのある音でホーンの癖もなく価格は安いと思えるが、どこという特徴もない。ある意味では中庸な音だ。
■試聴楽曲
「Never An Absolution」
バグパイプの音はホーンらしく明瞭でストレートに再現され、楽音の変化も大きい。響きは豊かで、空間は大きく広がる。
低音はキャビネットの大きさなりにかなり低く伸びるが、Polk Audio - MXT70のように響きすぎることはない。
ボーカルは乾くことなく、伴奏と綺麗に分離して聴き取れる。
■試聴楽曲
「Stranger」
一般的にホーン型スピーカーではイントロに使われる金属打楽器の音が際立って明瞭に聴きとれるのだが、R-800のそれはドーム型ツィーターを使うスピーカーと大きな差がないように感じられる。
打ち込みの低音はパルシブな部分で少し膨らんでしまうが、ボーカルはホーンらしく分離に優れ、表情も豊かだ。
■試聴楽曲
「夏の終わりのハーモニー」
音の輪郭が不要に持ち上がることはないが、分離は良い。
ピアノとギターは少しあっさりして、ボーカルもさっぱりした感じに聴こえる。
この曲で感じるR-800の音は少し乾いてあっさりした印象になるが、ムードは良い。
▼ Klipsch - RP-6000F2 試聴・2023年 逸品館おすすめスピーカー40機種聴き比べ「その4の9」

B&W 600S3シリーズと同じ「チタン」を振動板に使うツィーター(コンプレッション・ドライバー)を搭載し、製品に配慮した2分割ホーン、R-800よりも強度の高いエンクロージャー(キャビネット)を採用する上級モデルRPシリーズは、一般家庭向きKlipsch製品のトップモデルですが、それでも21万円(ペア・税別)と「中堅ブックシェルフ型スピーカー+専用スタンド」の価格帯に収まります。逸品館が主張する「置けるならフロア型がお買い得」は事実なのでしょうか? 確かめてみましょう。

■試聴楽曲
「せせらぎ」
R-800に比べて水の音が緻密になり、水量も増える。
音場の展開はR-800の方が広く感じたが、RP-6000F2では音場中央の音の密度が高く、外側では密度が低くなるが音そのものは大きく広がって行く。言うならば、中央に音が位置し、外側に雰囲気が広がるという印象だ。
音質は澄み切っていて、音の繋がりも滑らか。
澄み切った清流を感じさせる、抜群に清涼な音質でせせらぎが鳴った。
■試聴楽曲
「愛の挨拶」
ピアノのタッチが明確に再現され、バイオリンも密度が上がりデリケートな弓使いの変化がきちんと再現されるようになる。
ピアノとバイオリンは綺麗に分離しながら濃密なハーモニーを形成する。
ホーンと言うことを完全に忘れさせる、自然体の音。
Hi-Fiミュージックモニターとして高い完成度を感じさせる音で、愛の挨拶が聴けた。
■試聴楽曲
「バッハ・コンチェルト」
弦楽器の切れ込みは抜群に良いが、誇張感は一切ない。
低音は低いところまで良く伸びるが、バスレフの膨らみや濁りは皆無。実に良質な低音が再現される。
ホーンのグレードアップによる中高域の改善に見合う低音のグレードアップがバランス良く実現し、一つのスピーカーとしてより高い次元で完結(完成)している。
本当に良く出来たリアルなミュージックモニターとして、安心して聴いていられる。
■試聴楽曲
「Never An Absolution」
R-800と比較して細やかな音まで聴こえ、空間の情報量がかなり増える。無駄な響きは少なく、クリアで見通しが良い。
バグパイプの音は芯がしっかりして、リード楽器らしい「強さ」も出てくる。
低音の量感はR-800に譲るが、不要な響きや膨らみがほとんどないので、セッティングが簡単なような気がする。
ボーカルはやや乾いた雰囲気だが、雰囲気は良い。
■試聴楽曲
「Stranger」
チタン振動板を使う効果なのだろう、金属の音は実にストレートだ。
キャビネットやホーンの共振が良くチェックされているから、音の濁りがとても少なく電子楽器の音は澄み切っている。
指打ちの音は、テキスタイル(ファブリック)ドームよりもドライな雰囲気。
ボーカルは子音が少し強い。
高性能なホーン型スピーカーらしく音の立ち上がりが早く、制振の巧みさにより立ち上がりも早い。
共振による濁りがとても小さく、リアルなミュージックモニターとして成立している。
■試聴楽曲
「夏の終わりのハーモニー」
すべての音が適正で濁りが少なく澄み切っているが、全体的にやや「乾いた」雰囲気がある。
音の再現がストレートでスピーカーの響きによる付帯音が少ない。

試聴テスト後の感想・総評

■ Polk Audio - MXT70高価な食材を使わず、調理にもこだわらず、それでいて美味しいのが「お袋の味」。
MXT70は老舗大衆食堂の「おすすめ定食」のような満足感を与えてくれる。
9万円/ペアというのが驚異的に感じられる、とても良く出来たスピーカーだ。
低音もとても良く出るし複数買っても高くならないので、サラウンド・シアターシステムには特におすすめ。
■ Polk Audio - ES55ES55は、MXT70の上級モデルと言うことで「オーディオ的なこだわり」がより強い。
けれどそれが逆効果になって、音楽の再現が単調ないわゆる良くない「モニター調」のサウンドになっているように思う。3号館の試聴室との相性はMXT70が良く、音楽を納得の音質で楽しませてくれた。
私なら迷わずMXT70を選ぶが、スピーカーの「鳴り方」は、部屋によって大きく変わるから、場合によってはES55の方が良い結果を出すこともあるはずだ。
■ Polk Audio - R600MXT70は「音楽性重視」で雰囲気の良さを醸し出した。ES55はHi-Fi志向で「クリア」な音を聞かせてくれた。
R-600は、双方の良いところを合わせた、音も雰囲気も良いという性格を与えられている。
高級なツィーターを搭載する効果なのだろう。音色の再現性に優れ、色彩感が鮮やかだ。
やや単調に感じられたES55とはその点が大きく違う。
現代的Hi-Fiスピーカーの王道を行く、色づけの少ないストレートな音で音楽を聞かせてくれた。
■ audio pro - AVANTO FS-20(WN)バッフル面積を小さくして反射防止にレザーを張り、大口径のウーファーをサイドに取り付けるという、コロンブスの卵的な発想が大正解。
FS-20は、Polk Audioの3モデルを確実に凌駕する音質と音楽を聞かせる力を持つ。
価格も「発売から一度の値上げもなく税込10万円/ペア程度で販売」されているし、サイズもそれほど大きくないので手が届きやすい。コマーシャリズムには乗らないが、DALI - OBERON1を彷彿とさせるすばらしい音質を発揮する。
現在の在庫限りで、生産が完了しているのが残念だ。
さすが逸品館の一推しスピーカーだけのことはあった。
■ DALI - OBERON5FS-20もすばらしかったが、OBERON5もすばらしい。「双璧」という言葉がピタリと当てはまる。
OBERON1の良い部分をまったく損なうことなく、その高い質感に見合う低音が加わったのがOBERON5だ。
容積(サイズ)こそ一番小さいが、再生される低音はスペックの39Hzを実感させる。目を閉じてその音を聞き、目を開ければその小ささに誰もが驚くだろう。
面積(反射面積)の小さい幅狭なバッフルが実現する、小型スピーカーと同等の見事な定位。3D的な音の広がり。
AIRBOW HD-AMP1 Specialとのマッチングも良いのだろう。高価なスピーカーに浮気する必要を感じさせない必要十分以上な音。
使いやすいサイズ、出すぎない低音。購入したユーザーが幸せな気持ちになれる逸品だと思った。
■ Wharfedale - DIAMOND240同軸2Wayユニットを思わせる意匠のツィーター周りのリング。3Wayという成り立ち。ユニットそれぞれに割り当てられた円形の専用グリル。
そのこだわりに満ちた外観からは、ストレートなHi-Fiの世界を想像させる。
しかし、出てくる音はそれとは真逆の「機器の存在を完全に消し去った自然深い」ものだ。
音楽の本質を理解できる方に聞いて頂きたい、実に完成度の高い大人なスピーカーだった。
■ Wharfedale - DIAMOND12.4Wharfedaleは、Bi-Wire対応など技術的な先進性が高いように感じられるが、最古の歴史を持つ量産スピーカーメーカーだけあって「音楽を鳴らすならスピーカーはこうあるべき」という基本に忠実な音がする。例えば一つずつの楽音のデリケートな変化の再現性であったり、ハーモニーの構造のクリアで正確な再現性であったり、音楽を再現するために必要なポイントがしっかりと抑えられている。
その上でDiamond240は、ソフトフォーカスを生かしたレトロでムーディーな雰囲気を持ち、Diamond12.4は明瞭度の高さを生かした明晰な味わいを持つ。
Diamond12.4を総評するならば、B&Wの明晰さ(Hi-Fi性能)とDALIの忠実さ(ミュージカリティーの高さ)を足して、1.5で割った感覚だ。
つまり、(1+1)/2=1ではなく、(1+1)/1.5=1.33、両方の良さが両立していると言うことになる。
■ Klipsch - R-800ホーン最大の利点は、音が前方に強く放射されるので「背後の壁からの影響を受けにくい」ことだと思う。
加えて特殊な形状が採用されたR-800のリアバスレフポートから出る低音は、膨らみすぎずポートから出る低音の存在感を感じさせない。
サイズは大きいが、低音が過剰に膨らむことなく、ホーンだが音像がぼやけることもない。
良く出来たスピーカーだが、DALIのような緻密さや深さとは違う、アメリカらしい「おおらかな感覚」で音楽を聞かせてくれる。
■ Klipsch - RP-6000F23号館は一般的なリスニングルームに比べると、少しデッド(反射の少ない)に設定している。
そういう環境で鳴らすRP-6000F2は「やや乾いた響きの少ない印象」を与える。
しかし、それ以外の部分では、何ら問題がないストレートでHi-Fiな音で音楽を楽しませてくれる。
同じチタン振動板を使うB&W - 600S3シリーズに近い部分はあるが、それよりも音は細かく変化の再現性にも優れている。
ホーンの悪癖もなく、低音の処理も良く出来ているので、どんなシーンでも使いやすいと想像できる。
響きや雰囲気のある真空管アンプやアナログトランジスターアンプと組み合わせると良いだろう。
また、アナログレコードを聞くにはとても適しているに違いない。
今回は聞かなかったが、メタル系のロックやヒップホップのような、最先端のアメリカンミュージックとはベストマッチするだろう。
大音量でも音場のに取りや音像の滲みが少ないので、音量を上げられる方や本格的なシアターにはベストマッチするだろう。

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