【2024年】逸品館おすすめスピーカー27+2モデル聴き比べ「その1:ブックシェルフ型 エントリーモデル(~約10万円)」

目次

はじめに

スピーカーの中でよく売れるのは、「サイズが小さなブックシェルフ型で、販売価格が"ペア10万円を切る製品"」です。
このクラスのスピーカーの音質は、価格と密接な関係があります。

スピーカーにかかわらずではありますが、工業製品の生産には"性能に反映されないコスト"が一定金額必要になります。
開発費・広告宣伝費などは量産効果で安くできますが、"物流コスト"だけはスピーカーの販売数・販売価格などにかかわらず必要になります。
ブックシェルフ型スピーカーを生産国(主に中国)から日本に輸送し、港からメーカーの倉庫に、そこからさらに販売店へ運送する一連の輸送費などが主な物流コストとなりますが、それは少なくとも、スピーカー1台当たり数千~5千円近くかかるはずです。

例えばメーカー希望小売価格が3万円程度のスピーカーの場合、その中で許される製造原価は凡そ定価の1/3程度(約1万円)となります。そこから上記の物流コストを引いた残りが"製品の製造にかけられるコスト"(製造コスト)となり、単純計算だと純粋に使える製造コストは"わずか5千円程度"になってしまいます。
安価で音が良いと評判のスピーカー"Polk Audio MXT15"などは、まさしくそのギリギリのコストで作られているわけです。裏を返せば、上級モデルの"Polk Audio ES20"などになると、製造原価に占める物流コストの割合がぐっと下がり、製品に使える製造コストの割合・金額が、MXT15に比べてずっと多くなります。

▼ 試聴概要と機種説明・2024年 逸品館おすすめスピーカー27+2モデル 聴き比べ「その1」

聴き比べスピーカー一覧
  ブックシェルフ型 【その1】エントリーモデル(予算約10万円以内)

今回は次の8モデルを選び、AIRBOW Model M1 Specialを使って聴き比べました。
(※メーカー順。YouTube投稿順とは異なります。)

  1. JBL (ジェービーエル)
    1. STAGE 240B
    2. STAGE 250B
    3. STUDIO 620W
  2. Mission(ミッション)
    1. LX-1 MK.II
    2. LX-2 MK.II
    3. QX-1 MK.II
    4. QX-2 MK.II
  3. Polk Audio(ポークオーディオ)
他サイズ・価格帯はこちら
■ブックシェルフ型
  • その1:予算10万円以内(当ページ)
  • その2:予算25万円以内(準備中)
  • その3:予算50万円以内(準備中)
■フロア(トールボーイ)型
  • その4:予算15万円以内(準備中)
  • その5:予算50万円以内(準備中)

■製品紹介

Polk Audio(ポークオーディオ)

その他の使用機材

今回の聴き比べは、逸品館・3号館のメイン試聴室で行いました。
試聴環境、スピーカー以外の製品は下記の表をご確認ください。

▼システム
ミュージックサーバーCHUWI - Lake Box N100(AIRBOW - IDC-RMP12使用
アンプAIRBOW - Model M1 Special(電源ケーブル: AIRBOW - CPSC-M2/2.01m使用
▼ケーブル・アクセサリー等
スピーカーケーブルAIRBOW - SPK-300
オーディオボード
(スピーカー用)
AIRBOW - WFB-4449H-HD(生産完了品)
スタンドAIRBOW - STAND-G21(生産完了品)

試聴テスト使用楽曲

試聴テスト本文

Mission(ミッション)

▼ LX-1 MK.II
▼ QX-1 MK.II
▼ LX-2 MK.II
▼ QX-2 MK.II
MISSION 総評
輸入が一時中断していた"Mission(ミッション)"のスピーカーですが、逸品館と輸入代理店のタッグにより再開することができました。が、ラインナップで最も安い"LX-1/2 MK.II"のみ余計な輸入コストを下げ、健全な価格を維持するため逸品館のみでの取り扱いとなります。
"ツィーターをスピーカー下部に配置する"というMission特有の上下反転レイアウトは、ツィーターの共振のコントロールのためにあると思うのですが、ツィーターの一部をウーファーのマウントに食い込むように配置することで、"ウーファーとツィーターの距離を小さくする"工夫も行われています。
その効果で、今回試聴した4つのモデルの音の広がりや立体感は"ブックシェルフ型"という形状を考慮してもより優れたものでした。
また、4モデルの音色は見事に統一されておりナチュラルで癖が少なく、透明度の高さが印象的でした。
評価:LX-1/2 MK.II
LXシリーズの比較では、中高音の見通しのよさや音のきめ細やかさ、デリケートな表現に関しては、このクラスの水準以上で、特にアコースティックな音源の再生は見事でした。1と2の比較では、中低音に余裕のあるLX-2のほうが音の広がりが大きく、再現にゆとりがありJAZZのようにパワー感が求められる楽曲では有利でした。2モデルともに大きな部屋で鳴らすよりも、パーソナルなプライベート空間で静かに音楽と向き合いたいときにマッチすると思います。
評価:QX-1/2 MK.II
上位モデルのQXシリーズは、LXシリーズをそのまま拡大したような音質です。きめ細やかさ、広がり感や立体感、繊細さのいずれもが正当に拡大されていて、安心して音楽に浸れます。アコースティックな音源、ハイレゾのように品位の高い録音などを、じっくりと聞きたいときにその要求にこたえます。イギリスの老舗が作った音らしい"大人のムード"にどっぷり浸ると、時のたつことを忘れるでしょう。その澄み切ったサウンドを聞いていると、ふと真空管のシングルアンプで鳴らしたいと思いました。

JBL(ジェービーエル)

▼ STAGE 240B
▼ STAGE 250B
▼ STUDIO 620W
評価:STAGE 240B / 250B
新たに生まれ変わったJBL STAGE シリーズですが、その仕上がりは予想以上でした。
JBLが採用する金属振動板を使うホーン型ユニットには、"テキスタイルドーム型よりも繊細さや深みが不足する"というウィークポイントがあると私は感じています。世代を重ねるごとに改善しているとはいえ、同じホーン型のKlipschなどと比べるとまだ物足りない所があります。
しかし、トランペットやシンバル等の金属系の音の明瞭度や、特に音の芯がくっきり再現される部分は、ほかのスピーカーにはない魅力を持つのも事実です。
明るくリズミカルなポップスやロック・ジャズの再生はSTAGE シリーズの独断場です。ぐいぐいと音が前に出て、いまにも体が動き出しそうになります。インテリアにマッチする"デザイン性の高さ"、仕上げの良さもさすがです。

ただ、"夏の終わりのハーモニー"のような深みと含みのある音楽の再現はやや苦手なようです。
STAGE シリーズは、良い意味で分かりやすいスピーカーです。大ヒットしたBOSE 101MMやJBL Controlシリーズと音質の共通点が多いですが、それをはっきりと越える性能を持っています。まだ音楽にそれほど強いこだわりを持たない方の"最初の1本"として自信を持ってお勧めできます。
240B / 250Bの違いはウーファーのサイズですが、エンクロージャー幅の拡大に伴い"ホーンの形状"が異なるのか、私は240Bのバランスとまとまりの良さ、より優れた立体感の再現力に一票を投じたいと思います。
評価:STUDIO 620W
外観の仕上げや後にむけて絞り込まれたラウンド形状からもわかるようにSTUDIO シリーズは、STAGE シリーズとは明確にクラスの異なる製品です。当然ネットワークやユニットもアップグレードされていますが、STAGE シリーズでは"アノダイズド・アルミ"が使われていたコンプレッションドライバーの振動板が樹脂製の"NEOTEC"に変更され、広域の伸びやかさが拡大しただけではなくSTAGEの弱点であった"微小信号の再現性(デリケートさの再現)"が大幅に向上しているところは聞き逃せないポイントです。
また、しっかりしたキャビネットとウーファーユニットが奢られたことで、改善したホーンの音質に中低域が追従するのも見事です。
別の価格帯グループ内で試聴したSTAGE 630Wと比較した場合、STAGE 620Wはより音のつながりに優れスピーカーのバランスとしては一枚も二枚も上手に仕上がっていることが確認できました。

ホーンならではのパワー感、明瞭度の高さを持ちながら、よくできたテキスタイル型ツィーター搭載スピーカーのような繊細さや滑らかさも持ち合わせています。
JBLのファンで予算が許すのであれば、STAGEではなくSTUDIO 620 一択です。直接は比較していませんがKlipschと比べた時には、音の密度がより高いように思います。仕上げの良さはこちらです。
個人的には、このサイズのベストホーンスピーカーは"TANNOY Autograph Mini"だと思うのですが、4倍近く高価なそれと比較できるほどSTAGE 620Wの仕上がりは素晴らしいものです。ジャンルを問わず音楽を楽しませてくれる"名機"でした。

Polk Audio(ポークオーディオ)

▼ ES20
評価:ES20
いま日本で売れに売れている"Polk Audio"のスピーカーは、ヨドバシカメラ全店の合計よりも逸品館一店舗の出荷額がそれを上回るほど、逸品館でもよく売れています。
逸品館の動画の影響もあるのか、このクラスのスピーカーとしてはフロア型の人気が高いのも特徴ですが、驚異的なコストパフォーマンスを持つ製品であることは疑いようがありません。ただし、理由は不明ですが"モデルによる音の違い"が非常に大きいのもPolk Audioスピーカーの特徴です。
今回試聴したES20も、非常によく売れているモデルです。

低音はびっくりするくらい良く出て、押し出しやパワー感の強さも特徴的です。空間の濁りのなさや音の広がりにも優れ、Never An Absorution の再現ではフロア型のような重低音まで再現されました。
しかし、ウーファーに"マイカ強化コーン"を使う影響から、ウーファーの中高域(2-4kHz近辺)の響きにやや突っ張るような硬さを感じますし、その帯域のエネルギーも強いので、ややドンシャリな傾向を感じます。また、アコースティック楽器や人間の声では色彩感がやや薄く、音が薄っぺらく感じることがありました。
ES20は、クラシックのようなデリケートな表現をする音楽ではなく、パワー感と明瞭度が求められる電気楽器(主にデジタル音源)を主体に作られる最新の音楽に向いています。
対して、最近リバイバル・ブームが発生中のシティーポップや、演歌のようなアナログライクな音源で構成される音楽には、より響きが豊かで音色も柔らかな下位モデルのMXTシリーズがマッチすると思いました。