反射吸音パネルを使ったルームチューニング

反射・吸音パネルを使った

効果的なルームチューニング

ルームチューンはなぜ必要か?

店頭で慎重に試聴し、購入したスピーカーが、「自宅では全く違う音になってしまった」という経験はありませんか?

それはなぜでしょう?

私たちは「目に見えるもの」に気を取られます。スピーカーには音が出るユニットが付いていますから、それを見れば、当然音はそこからだけ(スピーカーからだけ)出ていると思い込んでしまいます。

クラシックのコンサートは、ホールで音が違う。という話を耳にしたことはありませんか?

それは「ホールの反射音(ホールの音響特性)」に依存するということは、ちょっとマニアなオーディオファンなら誰でも知っています。

では、私たちの部屋=リスニングルームは?その音響特性は、スピーカーの音質に影響しないのでしょうか?

私たちの部屋(リスニングルーム)もコンサートホールほどではありませんが、その音響特性はスピーカーの音を大きく左右します。購入したスピーカーが店頭で聞いたときと、自宅で聞いたときの音が全然違ったのはそれが理由だったのです。

実は、私達が「スピーカーの音」として聞いているのは「スピーカーからの音が3割」で「残りは部屋の音=部屋の壁などの反射音」なのです。ですから、どんなに良いスピーカーを購入しても「部屋の音が悪い」とその真価が発揮できないのです。逆に安物のスピーカーでも「部屋の音が良い」と抜群にいい音にきこえるのです。

高価なスピーカーが安価なスピーカーに負けてしまった。自分のスピーカーをいい音で鳴らせない。そんな苦い経験はありませんか?それを機器の問題と考え、高価な機器やアクセサリーを次々と購入したことはありませんか?

ちょっと待ってください!

部屋の音を整えましょう。そうすれば機器の「不必要な買い換えなし」に、オーディオセットの音質を大きく改善できます。

ルームチューンの基本的な考え方  

ルームチューンの目的は、「部屋の響きを整えること」

ルームチューン実験の初期に、私はルームチューンの目的を「余計な響きを取り去ること」と考え多くの吸音材を使用しました。最終的には、部屋中が吸音材だらけになってしまったほどです。しかし、その方法では「響きが失われすぎる」ために、音の元気がなくなったり、低音がもやもやしたり、澄みきった音にはなりましたが、音楽を聞いて楽しいか?と問われると「決してそうではなかった」と思います。

繰り返しになりますが、ルームチューンの目的は「部屋の響きを整えること」で「消し去ること」ではありません。最初によく失敗することなので、それを良く覚えていてください。吸音材の使用は、少なければ少ないほど「上手なルームチューン」に成功しています。

周波数特性や残響特性よりも「音色」を重視

ルームチューンといえば「部屋の周波数特性と残響特性をフラットにする」という考え方が正しいとされています。日本の主なコンサートホールは、当然その考えに基づいて厳密に設計されています。しかし、その結果はどうでしょう?

日本よりも海外のホールの音が良いとされるのは「空気の違い」のせいだけではありません。海外のホールの多くは熟練した職人によって、人間が聞いて心地よいか?楽器を演奏していい音に聞こえるか?人間の感覚に合わせて作られているからです。

では、音響工学の考えでいったい何が不足しているのでしょう?

それは「音色」です。

例えばテストトーンの「正弦波」をスピーカーから出したとします。全く同じ信号を入力してもスピーカーによって「トーンの音色」が違って聞こえます。明るい音色、くらい音色、華やかな音色、くすんだ音色、乾いた音色、しめった音色・・・。単純な正弦波を再生しても、それぞれ「音色」は違います。

ちょっと脇道に逸れて、マイクから「音色」を考えてみましょう。マイクに詳しい方ならご存じだと思いますが、マイクには「録音用」と「測定用」があります。おかしな話です。同じ音を収録するのに、なぜマイクを「録音用」と「測定用」に分けなければならないのでしょう。それは、マイクが理想的に音波を電気信号に変換できないからです。

詳しい話になりますが、周波数特性の優れたマイクは、必ずしも「音色の良いマイク」ではありません。50KHzを越えるような高い周波数を収録しようと思えば、音波の波長の問題でマイクのダイヤフラムを相当小さくしなければなりません。しかし、ダイヤフラムを小さくするとマイクの感度は悪くなり、音色の悪いマイクになってしまいます。そのためマイクの感度を上げ、良い音色で音楽を収録するためには、マイクのダイヤフラムはある程度以上の面積が必要です。しかし、ダイヤフラムの面積を大きくすれば、高周波特性が悪くなります。現在録音に使われているマイクの高域周波数限界は「40KHz」程度です。SACDやDVDオーディオ、そしてブルーレイは「100KHz」まで収録できることを売り物にしていますが、現場ではそんな高い周波数まで収録できるマイクは使われていません。なぜ?そんな特性のマイクではよい音色で音楽を収録できないからです。

話を具体的にします。2人の女性がいて、その一人と会話をしていると考えてください。会話している女性の声が「甲高い音色」を持っているとします。もし周囲に同じ「同じ甲高い声の女性」がいる場合と、全く異なる「ハスキーな声の女性」がいた場合、どちらが会話をし易いでしょう?間違いなく後者です。声の音色が異なると、音量に関わらず容易に分離して聞き取れるからです。この例え話は、「カクテルパーティー効果」というよく知られた聴覚の働きを説明したものですが、このように私たちの耳は「音色の違い」に非常に敏感です。

この「音色」を正確に収録するために用途に合わせて多くのマイクが存在し、また様々な「音色」を楽しむために多くのオーディオセットが商品化されているのです。周波数特性や残響特性をフラットにしても「音色」が統一されていなければ、良い音は楽しめません。この「音色の違い」を考慮すれば、より効率的で無駄の少ないルームチューンが実現します。

響きを消すのではなく整える

ルームチューンの目的は、「部屋の響きを整えること」です。

ルームチューン実験の初期に、私はルームチューンの目的を「余計な響きを取り去ること」と考え多くの吸音材を使用しました。最終的には、部屋中が吸音材だらけになってしまったほどです。しかし、その方法では「響きが失われすぎる」ために、音の元気がなくなったり、低音がもやもやしたり、済みきった音にはなりましたが、音楽が楽しく聴けたか?と問われると答えは「NO」です。

当時は「良い響き」と「悪い響き」の区別がなく、響きはすべて悪いものとして取り去るべきだと考えていました。しかし、経験を積む間に「良い響き」があることに気付きました。さらに最近では「悪い響き」を「良い響き」に変換する方法も発見しました。そこでも「音色」に対する考えが重要となります。

悪い「音色」

「音色」について理解を深めるために、コーラスのハーモニーを例にあげて考えましょう。女性だけあるいは男性だけのコーラスは「統一感のある音色」が心地よく聞こえますが、複雑な感じはしません。男女混声になると「ハーモニーの複雑さと厚み」が増します。デュエットでも男女と女性二人では、全く違ったイメージに感じられます。同性二人でも声質が違う場合と、姉弟や一卵性双生児など声質が非常に似通った二人が歌っている場合では、ハーモニーの印象がまるで異なります。もっと極端な例を挙げましょう。大人のコーラス隊に、一人の「子供」が入ったらどうでしょう?子供の声が凄く気になります。このように音色には「異質」・「同質」という概念が強く存在し、そして私たちは「その音質の違い」に非常に敏感なのです。

反射パネルを選ぶときには、この「質感」に注目しなければなりません。私たちは「反射する物質の音質」を聞き分けることができるからです。段ボール箱の表面を叩くと「ボコボコ」という低級な音がしますが、これは「悪い音色をもつ材質」の代表です。強度が低い物体は、音が当たったときに音波に共鳴し、「素材の音」を盛大に発生します。その「共振」は、音楽と共に発生します。言い換えれば「段ボールのハーモニー」がコーラス隊に加わったようなものです。それでは、済みきった美しい音色で音楽を楽しめません。

薄いベニヤ板やフスマも同じです。叩いたときに不明瞭な濁った音がするものを「反射パネル」に使ってはなりません。また、部屋の中にそのような「悪い音色」の反射物(薄い戸フスマ、フスマ、ベニヤの壁や天井など)が設置されている場合には、交換するかあるいは「表面の反射を低減する」措置が必要です。

では、これらの材質を「吸音」に使った場合はどうでしょうか?答えは同じです。どんなに高性能な吸音材でも「100%の吸音」は実現できません。吸音しきれない「数%〜十数%」は反射します。その時のごく僅かな「反射音」でさえ、それが「悪い音色」を持っていれば、リスニングルームの響きを大きく損ねます。

いい「音色」

悪い音色があれば、良い音色もあります。では、良い音色とはどのようなものでしょう?一つは「耳に心地よい質感」を持つことです。いわゆる響きの良い材質を使うことで、この問題は解決します。次に「異質な質感」を持たないことです。

話は再び少し脇道に逸れます。スピーカーの中央にTVを設置している場合、その「画面からの反射」は、非常に有害であるといわれてきました。これは「表面が湾曲したブラウン管」を使っているときは正しかったのですが、平面パネルの画面が主流になった今では、間違っていると言えます。

重要なのは「画面の反射音」ではなく「画面の形状」だったからです。これを光の反射を例にあげて説明します。曲面からの光の反射は、どの位置から見ても「一点(あるいは一線)」だけが強く輝きます。反射物が球状であれば、どの位置から反射物を見ても光源を直接反射する角度が常に存在するからです。球状(ロール状)の反射/吸音パネルも同じ特異な反射を発生します。感覚では、パネルに当たった音がまんべんなく広がるように反射する様に感じられますが、それは間違いで、あらゆる方向へ「ビームのような強い反射」を起こします。先ほどのコーラスに例えるなら、大人の中に混ざった子供のような感じです。

「曲面」に対し「平面」は一方向へ強い反射を起こしますが、方向性が明確なためにそれをコントロールすることが可能となります。スピーカーの中央にTVが設置されている場合、曲面のブラウン管では不可能でしたが、平面TVならスピーカーと画面の距離と角度を調整することでその悪影響を大きく低減できます。

反射物の形状についての話をまとめます。反射物の形状が「曲面」の場合は反射のコントロールによる悪影響の低減は期待できませんが、形状が「平面」の場合ならその反射をコントロールし、悪影響を低減することができます。同様の考えで部屋の壁や天井が平面の場合には、スピーカーの角度や位置を変えることで同様の悪影響の低減効果が期待できます。Sonus faberなど一部のトールボーイ型スピーカーに角度の付いたバッフルが採用されていますが、壁や天井からの不要な反射を低減するためには効果的な方法です。

パネルの「音色」に話を戻します。良い音色を持つパネルは「心地よい音を反射」するものや、「耳に不愉快でない反射」を発生するものです。前者は「反射パネル」として有効で、後者は「吸音パネル」に使うと効果があります。

心地よい反射の第一条件は「変な共鳴をしない」ことです。最適な材質は、「厚みのある材質」でなおかつ「コンサートホールに使われるような良い響きを持つ材質」です。その条件を満たすもので入手及び販売が容易なものは「木材」です。

響きの良い木材から作られた「サーロジック LVパネル」は、良質な反射パネルの代表です。この反射パネルは、サイズの違う角材が組み合わされていますが、それをコーラスに例えるなら「腕の良い複数のボーカル」がハーモニーに加わる感覚です。適切に使うことで響きの複雑さと厚みが増し、スピーカーの音を生き生きさせます。

吸音パネルで重要なポイントも、反射が大きいか?小さいか?ではありません。反射パネルと同じに「反射する音が悪い音色ではない」ということが最も重要です。段ボールや卵ケースを代替吸音材として使う安上がりのルームチューンが知られていますが、これは良くありません。それは、それらを軽く叩いてみれば分かりますが、濁った鈍い音がするはずです。コーラスにそんな濁った声のボーカルが混ざったら?想像できるはずです。

逸品館がお薦めする「吸音材」は、KRIPTONが発売している「ミスティックホワイト」です。この不織布は非常に細い繊維が組み合わされており、音響エネルギーを「繊維の滑り摩擦」に変換して効率的に吸収します。ミスティックホワイトは、擦り合わせたときの音はほとんど聞こえません。「悪い音」を発生せずに音響エネルギーを吸収できるのです。このミスティックホワイトを充填したAP−10/5は、吸音パネルとして最も音質がよい製品の一つです。新発売のAP−R30/15は、一面がミスティックホワイトを使った「吸音面」、反対側は「穴あきボード」を使った「反射面」として作られていますから、一枚のボードで「吸音〜反射」をコントロールでき、非常に便利です。

KRIPTON

ミスティックホワイト

450×500oの薄い特殊なフェルト。
壁に貼り付けて大きな吸音効果を発揮。
 

¥8,800(税別) 2枚入り

高音と低音は分けて考える

ルームチューンの実践に話を薦めます。ルームチューンは「部屋の響きを整えること」だと説明しましたが、「高音」と「低音」では、その振る舞いが全く異なるので注意が必要です。

音の中で「中高音(だいたい500Hz以上)」は、光と同じような「反射」を念頭に考えます。次のパネルの使い方で詳しく説明しますが、光が鏡で反射するのとおなじように中高音は、対象物で反射します。200Hzよりも低い「低音」は、反射ではなく回折を行います。プールに波を起こして板で遮っても、波は板に沿って波が屈曲し背後に回り込みます。この「ものに沿って流れる」という波の動きを回折といいます。パネルを設置した場合、「中高音」は「反射」し、「低音」は「回折」すると考えるのが重要なポイントです。

例えば、スピーカーとリスナーの間に吸音材を配置したとします。中高音は吸音材で遮られて、リスナーに届かなくなります。しかし、低音は吸音材を回り込んでリスナーに届きます。中高音のエネルギーが減少し、低音のエネルギーは変化しないので、音のバランスは低音よりに元気のない音になります。スピーカーの背後に反射パネルを置いた場合には、中高音のみが反射して届くので、明るいハッキリとした音になります。

ルームチューンの方法

平行面とコーナー部分への対策

ルームチューンには様々な方法があります。まず「定在波(フラッターエコー)」と呼ばれる「悪い反射」を取り除きましょう。壁と壁、天井と床など「平行する平面」の間では、音の反射が往復します。この往復運動によって繰り返される反射を「フラッターエコー」と呼びます。

「フラッターエコー」の発生は、平行面の間に立って手を叩くと確認できます。「パ〜〜〜ン」という済んだエコーが聞こえる場合は、問題はありません。しかし、「ビ〜〜〜ン」という濁ったエコーや「耳がキンキンする」様な圧迫感が生じている場合には、対策が必要です。

またフラッターエコーではありませんが、天井と壁が交わる「コーナー部分」も複雑に反射が入り乱れ、部屋の音響を損ねる原因となります。スピーカーの音が「上方向に広がらない」と感じられる場合、あるいは上からの圧迫感を感じる場合には、この部分への対策が必要です。

平行する二面間やコーナー部では、悪い反射が起きる。爆弾マークの位置で、音の濁りが生じやすい。

天井と床の吸音  

上図爆弾マークの位置で生じている「音の濁り」を低減する方法をいくつかご紹介します。

スピーカーの直前の床Aにムートンなど毛足の長い吸音効果の高い敷物を敷くと、上下方向への音の広がりと中央部分の音の透明度が格段に向上します。

スピーカー背後の天井@にも吸音材を設置します。スピーカー後方への音場の広がりを改善し、リスニングルーム全体への音の広がりと定位(立体)感を大きく改善できます。

@に使用する吸音材は、サーロジックのスカラホールやクライナプロのKQ−1を利用します。どちらも軽く、「押しピン」で天井に止めたり、テグスなどの細い糸で吊り下げられます。

 サーロジック スカラホール

850×1250oのカーテン生地を使った吸音材。付属の押しピン天井に貼り付けることにより、大きな吸音効果を発揮。  

¥20,000(税別) 1枚入り

 クライナプロ KQ−1

440×440×85oの白いスポンジ状の吸音材。壁に貼り付けたりテグスで吊したり、様々な使い方で大きな吸音効果を発揮。  

¥12,000(税別) 2枚入り

天井のコーナー部分には、直径20mm前後・厚さ3〜5mm程度の丸いフェルトを放射状に張り付けると大きな効果があります。

フェルトとフェルトの距離は15cm〜20cm程度が最適で、それよりも細かい間隔で多く張りすぎると、効果がなくなりますので注意してください。

コーナンなどのホームセンターで入手可能です。逸品館では販売していません。

吸音パネルを使ってフラッターエコーを取り除く

平行な壁の間あるいは天井と床の間で発生する「フラッターエコー」は、問題となる平面の両方、あるいはどちらか一方を「吸音」することで抑えることができます。  

音場の左右への広がりと中央定位を向上させるためには、パネル(お薦めの吸音パネルはこちら)を左図@に設置します。部屋の幅が2m以内なら吸音パネル、2.5m以上なら反射パネルを使うと良いでしょう。パネルは壁と並行にせず、角度を付けて設置します。壁とパネルの角度を調整することで、左右への音の広がりの大きさと中央定位の密度が変わります。

音場の前後方向、特にスピーカー背後への音の広がりを向上させるためには、左図Aの位置にパネルを配置します。壁からの反射が大きいときには吸音パネル、スピーカーの後ろをカーテンなどで吸音している場合には、反射パネルをお使い下さい。この場合もパネルは壁と並行にせず、角度を付けて設置します。パネルの角度を調整することで、左右への音の広がりの大きさと中央部分の奥行きが変わります。

リスナー背後への音の広がりを向上させるためには、左図Bにパネルを設置します。この場合、パネルは壁と並行にしてください。

スピーカーの中央部分にTVやオーディオラックなどがない場合には、右図@にパネルを設置します。AP−R30を使った場合の音質について、詳しく書いていますので参考にしてください。

リアスピーカーを設置している場合や、部屋が狭く反射音が過大に感じられる場合には、右図ABに吸音もしくは反射パネルを配置します。いずれの場合にも、部屋のサイズよりも音の広がりを大きくできます。

 Sa−Logic 音響調整グッズのページはこちらからどうぞ。

KRIPTON AP−R30音質テスト

ルームチューニングを行うパネルには「反射」と「吸音」の2種類が必要です。KRIPTONのAP−R30/15は、一枚のパネルの両面を「吸音」と「反射」の特性を持たせた便利なパネルです。実際に使って音質をテストしました。

KRIPTON AP-R30 ¥66,000(税別)
この商品のお求めはこちら

KRIPTON AP-R15 ¥34,000(税別)
この商品のお求めはこちら

パネルを設置しない場合、3号館ではどのスピーカーが鳴っているのか分からないほど自然な定位が得られている。
中央のZingali(大型ホーンスピーカー)の後ろにサーロジックLVパネルを設置しているのが非常に効果的で、スピーカーの中央の幅を広く設置しているにもかかわらず、中央部分の定位が薄くならない

通常の家庭における平均的なスピーカーの設置例。音はスピーカーの正面に向かって広がるため、リスニングポジションでは「中央部」の音の密度が薄くなり、ボーカルが中央にしっかり定位しない。
バックの楽器の音(伴奏)の定位も散漫で、音場の立体感にも乏しい。

AP−R30の反射面と吸音面の表示→

反射面を手前に向けて大きく広げて設置
軽いパネルなのでスピーカーの間にTVやラックを設置していても、その都度移動して設置が可能。効果は絶大!

中央部への奥行きと左右への広がりが増す。

ボーカルの中央定位も向上するが、元々がかなり良好なため変化の量としては驚くほどではない。

パネルの反射音は、LVパネルよりも柔らかくしっとりとしている。

中央部の定位が向上すると共に左右への広がりも拡大する。リスナー前方の音の濁りが消え音場の透明感が大きく向上する。

ボーカルが目の前で歌っているように高い密度で定位し、実在感が増す。

吸音面を手前に向けた場合

反射面を手前にしているときと同じ傾向になるが、中央部で音が吸収されるため定位が甘くなる。

中央部への奥行きは増大する。

反射面をリスナーに向けた場合、スピーカーから出た音は、パネルに当たって点線矢印の経路で反射してリスナーに戻る。左右への広がりが大きくなるが、中央の密度は薄くなる。吸音面をリスナーに向けた場合、反射音の量が少なくなって効果が小さくなるが、変化の傾向は同じ。

反射面でスピーカーの音がリスナー方向に反射する角度で設置

中央部への奥行きは若干減少するが、ボーカル定位の密度が向上し目の前に歌手が立っている感じが出てくる。

中央の音の密度が濃くなり、左右の音の密度は若干低くなるが、両側から体が包み込むように音が広がるようになる。

音の広がりはさらに自然で大きくなり、あたかも目の前にステージが出現したかのような自然な立体感が実現する。

中央部の定位が格段に向上する。左右への音の広がりも拡大する。

広い角度で設置したときと効果の出方は変わらないが、パネルの角度を狭くすることでボーカルが一歩前に出て、伴奏がその後ろに展開するようになる。

パネルがないときとは、比べものにならないほどの立体感と中央部の定位感の向上が実現する。

吸音面を手前に向けた場合

反射面を手前にしているときと同じ傾向になるが、中央部で定位はパネルがないときよりも向上する。

中央部への奥行きは、わずかに増大する。

反射面をリスナーに向けた場合、スピーカーから出た音は、パネルに当たって点線矢印の経路で直接リスナーに戻る。スピーカーの中央にボーカルが実在感のある濃い密度で定位するが、交響曲では音が前に出すぎることがある。そのような場合、吸音面をリスナーに向けると反射音の量が少なくなって中央定位とスピーカー中央奥への広がりが両立する。

パネルの角度をさらに狭くする

パネルからの反射がリスナーに返らず、左右の壁方向に反射されるため音場が横長になる。

中央部への奥行きは深くなるが、ボーカル定位の密度は薄くなり、全体的に希薄で寂しい音になってしまった。

パネルの角度を狭角にしすぎると中央部の定位が散漫になる。左右への広がりは大きくなるが、パネルを設置しないときの音場に近くなり、あまり面白くない。

パネルをあまり狭角にするのは、逆効果になる。

吸音面を手前に向けた場合

左右の音が中央部で遮られ、反対側へと行かなくなるために左右への拡がりが非常に大きく感じられるようになる。

音の濁りも激減するが、やはり音は少し希薄になる。

左右の壁からの反射が大きすぎる場合にお薦めの設置方法だ。

スピーカーから出た音は、パネルに当たって点線矢印の経路で反射しリスナーにはほとんど戻らない。

スピーカーの中央定位は薄くなり、音像が左右に広がって散漫になるが、中央奥行き方向への音の濁りや圧迫感は解消する。

その他の設置例

TVを設置している場合は、上記の方法でパネルをその都度動かしてくるのが効果が大きく、パネルも一枚で済むためお薦めの方法だが、パネルを常設する場合には、まずスピーカーからでる音がスピーカー背後とTV(ラック)で反射しないような左図の位置に設置するのがよい。

この場合、吸音面をスピーカー側にするのとスピーカーとTV(ラック)を遮る位置のパネルを左図のように角度を付けておくのが重要なポイントになる。

ただし、反射/吸音面の使い分けは、部屋の状況によっては逆の場合が良いこともあるので試して欲しい。

この方法で中央方向への奥行きと、定位感が大きく向上する。

左右方向への音の広がりと、前後方向への音の広がりを改善するためには、スピーカーの左右外側にパネルを設置するのがよい。

左図では、吸音面が内側になっているがこれは部屋が狭い場合に効果的な置き方で、部屋が広い(左右の壁の何画が2.5m以上)ある場合は、反射面を内側にする方が良いと思われるが、試して決めることが重要だ。

パネルの角度を変えると左右への音の広がりが変わるので、リスナーを中心にもしくはリスナーの前方に音場が「球状」に広がるようにパネルの位置を調整する。

位置が良くないと音場は、前後に広がらず、左右に大きな楕円形になってしまう。パネルの位置を変えても状況が改善しない場合は、TVの前に吸音材(ムートン)を敷く。

中央部にTVやラックがない場合には、左右のパネルを「吸音」中央のパネルを「反射」にして3枚使用すると大きな効果と球状の理想的な音場が得られる。

パネルをAP−R30からサーロジックのLVパネルに変えると、音の力強さや明瞭度が増加する。部屋が広い(10畳以上)場合には、LVパネルが効果が高くお薦め。

AP−R15/30はしっとりとした落ち着いた音で、LVパネルは、明快で気持ちよい音が得られる。使い勝手は、軽さ、設置性、調整のやりやすさでAP−R15/30がLVパネルをリードするが、音の良さではLVパネルは他メーカーの追従を許さない。

贅を尽くした理想的なパネルの配置(3号館メイン試聴室)

黄色いのが「LVパネル(反射)」で黒いのが「AP−10(吸音)」を使用する。反射パネルと吸音パネルを交互に配置することで、音の広がりと豊かな響き、明瞭度、パワー感が完全に両立し、コンサートホールとほぼ同じ音響がリスニングルームで実現する。

中央パネルの位置で楽器を演奏すると、楽器の音が素晴らしく良く響き演奏がし易いことから、このパネルの設置の素晴らしさがよくわかる。

響きがさらに欲しい場合には、緑の位置にLVパネルを追加すると良い。コストはかかるが、絶対に納得できる素晴らしい音響のリスニングルームが実現する。それでも、専用ルームを作るよりは遥かに安上がりだ。

2008年9月 逸品館代表 清原 裕介

 

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