marantz ピュアオーディオ 白河工場生産 Made In JapanモデルをB&W - 702S3/805D4 Signatureで聴き比べ

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目次

テストレポート概要

逸品館が取り扱うオーディオ・メーカーは多岐にわたりますが、今回は「marantz製品」を取り上げたいと思います。 現在発売されているmarantz製品には「ピュアオーディオ」と「サラウンド」の2つのラインアップがあります。 この2つを明確に分ける必要はありませんが、便宜上その中から「ピュアオーディオ&日本製造」の7モデルを今一度しっかりと聴いてみました。(2023年8月31日 D&M 川崎本社AV試聴室にて収録)

今回のメイン使用機材

◇marantz - Model 40n
ネットワークレシーバー

メーカー希望小売価格 260,000円(税別)

◇marantz - Model 30
プリメインアンプ

メーカー希望小売価格 298,000円(税別)

◇marantz - SACD 30n
SACDプレーヤー

メーカー希望小売価格 298,000円(税別)

◇marantz - PM-12 OSE
(プリメインアンプ)

メーカー希望小売価格 350,000円(税別)

◇marantz - SA-12 OSE
(SACD/CDプレーヤー)

メーカー希望小売価格 350,000円(税別)

◇marantz - PM-10
(プリメインアンプ)

メーカー希望小売価格 600,000円(税別)

◇marantz - SA-10
(SACD/CDプレーヤー)

メーカー希望小売価格 600,000円(税別)

◇B&W - 702 S3
(フロアスタンドスピーカー)

メーカー希望小売価格 495,000円(税別)

◇B&W - 805 D4 Signature
(ブックシェルフスピーカー)

メーカー希望小売価格 800,000円(税別)

今回の試聴は、marantzブランドマネージャー・高山氏とB&Wブランドマネージャー・加納氏などのご協力により、D&M 川崎本社試聴室で収録しました。アップロードした動画からは、家電総合メーカーの大企業にはない「自由な雰囲気」を持つmarantzというメーカーの社風や、二人のブランドマネージャーを含む社員みんなが「自社製品と音楽を愛している」事が伝わると思います。

一人のエンジニアやチームが長期間にわたり、自分たちのオーディオ機器の音質に責任を持ち、自分たちの作るものは自分たちで考えるという構造は、転属が多い日本の大企業では育ちにくくD&M社のようなオーディオ専業メーカーならではの良さです。そして、そこから生み出せる「製品」には、良い意味で「真心のこもったハンドメイド感覚」が生きています。そんな、marantz製品を逸品館はおすすめいたします。今回撮影した動画は合計9本で構成され、既にすべてYouTubeにアップロードを終えています。marantz製品の素晴らしさを是非ご確認いただければと思います。

試聴テスト使用楽曲

試聴テスト本文

▼ 動画(1)試聴概要と機材説明 では、今回モニターに使ったB&W - 702S3の詳しい説明と今回の聴き比べの目的について説明します。

長く私は「B&W」を理に強く情に薄いスピーカーだと評してきました。 しかし、2020年7月発売の「700S2 シリーズ」、2020年9月発売の「600AE シリーズ」や、2021年9月発売の「800D4 シリーズ」は、情の再現(ミュージカリティー)で大幅な向上が実現します。 S2からS3へのモデルチェンジで上級モデル800D4シリーズ同等技術を取り入れたことで、製品価格が一部旧型上位モデル800シリーズの価格を超えるほど上昇した「700S3 シリーズ」ですが、幅を狭めラウンド形状に変更されたフロントバッフルや独立したキャビネットを持つツィーターが丁髷のように上に付く「ツイーター・オン・トップ」が幅広く採用されたことで、リスナーの体を音が包む込むような大きな「音の広がり(立体感)」が実現し、S2から搭載が開始された「カーボンツィーター」のさらなる改良により「高域と低域方向への再生周波数レンジの拡大」と「自然な音の繋がり」、そして「より暖かく情熱的な音」が実現しました。結果として700S3 シリーズは、B&Wの持つ「モニタースピーカー」としての主軸を一切ぶらすことなく、より高い「ミュージカリティー(音楽性)」を実現しています。

▼ 動画(2)Model 30とSACD 30nでネットワークとディスクを聴いてみた

Model 40nの特徴は、HDMI/ARCを含む「こだわったネットワーク入力」を備えることと、あえて「アナログアンプ」を採用したところにあります。また、新開発の「専用オリジナル高音質クロックジェネレーター」が搭載されています。ジッターを低減し、高音質を実現するこの回路の効果で「HEOS」を通じて接続できるネット-ワーク音楽サービスだけでなく「HDMI/ARC」や従来型の同軸/光デジタル入力の音質を大幅に改善することに成功しています。D&M製品専用ネットワーク再生アプリ「HEOS」は、メーカーから無償提供されるアプリとしては高機能で使いやすいという特徴を持ちます。 Model 40nは「HEOS」により様々な、ネットワーク音楽サービスに高音質接続できます。

Model 40nがパワーアンプ段に「アナログ回路」を採用するのはコストダウンがもっとも大きな目的ですが、同時にアナログ回路ならではの「ミュージカリティー(音楽性)」を実現するところにもあります。 アナログパワーアンプの魅力は「動画(4)Model 30とSACD 30nでネットワークとディスクを聴いてみた」をご覧下されば伝わると思います。

▼ 動画(3)Model 40nとSACD 30nでネットワークで聴いてみた

このモデルの最大の特徴は何と言っても「ディスクリートDAC」を搭載するmarantzの最廉価モデルだということでしょう。 小さなチップにすべての回路が収まる「DACチップ」と違い、ディスクリートDACでは通常サイズのオーディオ専用パーツが使用できるだけではなく、回路全体の電流量を大幅に増やせるため「解像度(明瞭度)」と「躍動感(力強さ)」が大きく改善します。 
「動画(3)Model 40nとSACD 30nでネットワークで聴いてみた」で驚くほど大きなその違いを確認できます。 同時にこの動画では「アンプを買い換えなければ解決しない」と考えていた「スピーカーの駆動」が、「プレーヤーに原因がある」ということを伺い知ることができます。

動画(4)Model 30とSACD 30nでネットワークとディスクを聴いてみた

Philipsの開発陣が多く在籍するオランダ「HYPEX(ハイペックス)」社のクラスDパワーアンプ素子は、marantz SA-10/SA-12 OSE/Model 30nに共通して採用されます。「動画(4)Model 30とSACD 30nでネットワークとディスクを聴いてみた」では、Model 40nが搭載するアナログアンプとModel 30が搭載するデジタルアンプの音の違いがよくわかります。

動画(5)・Model 30とSA-12 OSEでディスクを聴いてみた

SACD 30nと同じ「ディスクリートDAC」を搭載しながらネット-ワーク入力を持たないにもかかわらず、価格が高いSA-12 OSEには、上級モデルSA-10と同等の高剛性シャーシーが使われるなどデザインこそ古いままながら、Model 30nでは省略された高音質技術が使われています。 「動画(5)・Model 30とSA-12 OSEでディスクを聴いてみた(5)」をご覧下されば、同じ「ディスク」を聴き比べることで、Model 30nでは感じられなかった魅力がSA-12 OSEに残されていることに気付けるでしょう。

動画(6)PM-12 OSEとSA-12 OSEでディスクを聴いてみた

PM-12 OSEはその外観やシャーシを除き、内部の構成はかなりModel 30に近いアンプです。しかし実際の音はかなり違いがありました。「動画(6)PM-12 OSEとSA-12 OSEでディスクを聴いてみた」では、その違いだけではなくPM-12 OSEとPM-10に共通する「ウォーミングアップ前後の音質の違い」も確認できます。

動画(7)PM-12 OSEとSA-10でディスクを聴いてみた

 発売から早くも6年が経過するSA-10は、モデルチェンジの早いデジタル機器としてはすでに「旧世代」のイメージがあります。けれど業界に先駆けて採用した「ディスクリートDAC」や開発が熟成に達している「D&M オリジナルディスク再生メカ」の構成を考えれば、「旧世代の安さ(オーディオ機器価格はこの6年で大きく上昇)」で購入できる最安のフラッグシップモデルとも考えられます。 「動画(7)PM-12 OSEとSA-10でディスクを聴いてみた」を見ることで、今こそ「お買い時」なSA-10の素晴らしい実力と「アンプの鳴り方(スピーカー駆動力)」がアンプではなくプレーヤーに大きく依存しているという「事実」を再確認できます。
一般的な「オーディオの常識」が、事実御前でいかに「陳腐」なものであるか、再確認して下さい。 そして、「下手な常識」や「思い込み」こそが、あなたをより良い音から「遠ざけている」ということにお気づき下さい。

動画(8)PM-10とSA-10でディスクを聴いてみた

SA-12 OSEやModel 40nに搭載される「ハイペックス・クラスDパワーアンプ」を片チャンネル「2台」搭載することで、実用レベルの筐体サイズで理想のパワーアンプシステム「BTL(バランス)出力」を実現しいるだけで驚異的なのに、さらにmarantzが高音質プリアンプのために開発していた「HDAM SA3」を多段で採用して60万円という価格は、驚きを通り越してあり得ないと思えるほどです。 

「動画(8)PM-10とSA-10でディスクを聴いてみた」の後半で、ウォーミングアップが完了したSA/PM-10がならす「夏の終わりのハーモニー」を一聴するだけでそれが「過大広告」ではないとお分かりいただけると思います。

動画(9)PM-10とSA-10でB&W 805D4 Signatureを聴いてみた

さらに「動画(9)PM-10とSA-10でB&W 805D4 Signatureを聴いてみた」に至っては、様々なオーディオショウで繰り返される「1000万円を超えるようなハイエンドオーディオシステム」とこの動画の音を比べることで、多くの超高級オーディオが実は「魂の抜けたような音でしか鳴っていない」ことにお気づきになると思います。 逸品館は常々「オーディオ製品の価格差一桁は誤差程度しか音質に影響しない」と主張していますが、スピーカーを除いてそれが「あながち言い過ぎ」ではないともお気づきになると思います。 とにかく「最高の音質」は「最高の価格」で実現するのではなく、「最高の情熱」がそれを生み出すのだとお伝えできればと思います。

試聴テスト後の感想・総評

  • Model 40nをネットワークで聴いてみた(2)
    音楽を聴くのにもっと安いセットとして、ネットワークレシーバーModel 40nから聴き始めました。
  • Model 40nとSACD 30nでネットワークで聴いてみた(3)
    Model 40nを「アナログ入力プリメインアンプ」として使い、SACD30nのネットワークの音質をチェックしました。 同時に「アンプの音質(スピーカーの鳴り方)」が、プレーヤーの変更でこれほど大きく変わるという所も試聴の大きなポイントです。
  • Model 30とSACD 30nでネットワークとディスクを聴いてみた(4)
    出力アンプにアナログ回路を採用する「Model 40n」とデジタル回路(クラスD)を採用する「Model 30」との音質の違いが注目のポイントです。
  • Model 30とSA-12 OSEでディスクを聴いてみた(5)
    同じ「ディスクリートDAC」を採用しながらネットワーク入力を持つ「Model 30n」と、よりピュアオーディオ志向が強い「SA-12 OSE」の音質の違いに注目しましょう。
  • PM-12 OSEとSA-12 OSEでディスクを聴いてみた(6)
    同じ「デジタル出力(クラスD)」を採用する新型「Model 30」と旧世代の「PM-12 OSE」の音質の違いに注目です。
  • PM-12 OSEとSA-10でディスクを聴いてみた(7)
    marantzが始めて「ディスクリートDAC」を搭載したフラッグシップSACDプレーヤー「SA-10」は現在の基準でどれくらいの音質を実現していたのか? そして再び「プレーヤーの入れ替え」でプリメインアンプの音質が驚異的に向上するという事実を確認できます。 
  • PM-10とSA-10でディスクを聴いてみた(8)
    PM-12 OSEからPM-10にアンプを買えた時点と15分ほど音楽を聴いた後の「PM-10」の音質の違いに注目しましょう。 オーディオ機器にとって「ウォーミングアップ」がどれくらい重要なのかよくわかると思います。 同時に「ウォーミングアップなし」で開始されるショップでの試聴に疑問を感じられると思います。 
  • PM-10とSA-10でB&W 805D4 Signatureを聴いてみた(9)
    B&W 702S3と805D4 Signatureには倍近い価格の開きがあります。 それでも出る音は,それ以上大きな価値に差があると感じます。 それと共に「たった60万円」に過ぎない、marantzのSACDプレーヤーとプリメインアンプが、ここまで良い音で804D4 Signatureを鳴らすことに「それ以上」驚かされます。

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